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純粋経済学要論 | D''p=apD'a+bpD''b+cpD''c+dpD''d+ ……D''k=akD'a+bkD''b+ckD''c+dkD''d+ …………………………………………………………である。かつ量 D''b, D''c, D''d ……は生産物(B)、(C)、(D)……の需要方程式を満足するものであり、量 D''t=O''t, D''p=O''p, D''k=O''k ……は用役(T)、(P)、(K)……の供給方程式を満足するものである。(これらの方程式において、p''t, p''p, p''k …… p''b, p''c, p''d ……は独立変数である。)右の二組の方程式から、次の方程式が引き出される。D'ap''a=D''tp''t+D''pp''p+D''kp''k+ …… -(D''bp''b+D''cp''c+D''dp''d+ ……) この場合には、次の方程式によって、(A)の D''a 量が需要せられる。 |
純粋経済学要論 | D''a=o''tp''t+O''pp''p+O''kp''k+ …… -(D''bp''b+D''cp''c+D''dp''d+ ……) そして D''t=O''t, D''p=O''p, D''k=O''k ……であるから、D''a=D'ap''aである。 これで解るように、問題の方程式のすべては、ただ一つの例外を除き、満足された。この例外は、価値尺度財である商品の需要と供給との均等を生ぜしめるこの商品の生産費の方程式、またはこの商品の販売価格を生産費すなわち1に等しからしめるこの商品の需要方程式である。だからもし偶然に、p''a=1 であったとすれば、D'a=D''a であろうし、またはもし偶然に D'a=D''a であったとすれば、p''a=1 であろう。そして問題は全く解けるのである。しかし一般に、p't, p'p, p'k ……が既に述べたようにして、p''t, p''p, p''k に変化した後には |
純粋経済学要論 | となり、従ってとなる。 二一九 だから生産方程式の体系の解法を完結するには、なお、方程式atp'''t+app'''p+akp'''k+ …… =p'''a=1に従い、p'''t, p'''p, p'''k を決定しながら、換言すればのいずれかであるに従って、ならしめながら、すべての摸索を繰り返さねばならぬ。 この新しい点から出発して、私共は、まず第一過程として、生産物の市場において、方程式D'''a=O'''tp'''t+O'''pp'''p+O'''kp'''k+ …… -(D'''bp'''b+D'''cp'''c+D'''dp'''d+ ……)によって D'''a を決定し、次に第二過程として、用役の市場において、方程式DIVa=D'''apIVaによって、DIVa を決定する。ここで証明すべきことは、pIVa が p''a よりも1に近いということである。ところで、このことがほぼたしかであることは、例えば p''a>1 である場合には、p'''b<p''b, p'''c<p''c, p'''d<p''d ……であり、従って、D'''b>D''b, D'''c>D''c, D'''d>D''d ……であり、従ってまた D'''a<D''a であることを考えてみれば、容易に解る。 |
純粋経済学要論 | かくて、p'''a=1 ならば、p'''a は pIVa となるために、(B)、(C)、(D)……の需要の増加によって増大し、(A)の需要の減少によって減少する。p''a<1 である場合には、p'''a は、pIVa となるために、(B)、(C)、(D)……の需要の減少によって減少し、(A)の需要の増加によって大となる。それらいずれの場合にも、これらの傾向は反対の方向をとっているから、これらの影響によって、pa は、pt, pp, pk ……の減少または増大の影響によって1に近づくよりも、より多く1に接近する。そして同じ方法を継続すれば、ますます1に近づく。ついにこれに達し、pIVa=1 となったと仮定すれば、D'''a=DIVa が得られ、問題は完全に解かれる。 ところで、今まで私が記述してきた摸索は自由競争の制度の下に自然に行われるのである。実際D''a=D'ap''aであるときには、(A)の生産者の負債は D'ap''a である。 |
純粋経済学要論 | このとき彼らは、(A)の需要量 D''a を価格1で提供すれば、利益として D'a-D''a=D'a(1-p''a) を得る。この差は、もし p''a<1 であって D'a>D''a であるならば、本来の意味の利益(bénéfice)である。しかしこの場合には、彼らは生産を拡張し、p''t, p''p, p''k ……を増大せしめ、従って p''a を増大せしめ、p''a は1に近づく。右の差は、もし p''a>1 であって、D'a<D''a であるならば、損失である。生産者はこの損失を負担せねばならぬ。このときには、彼らは生産を制限し、p''t, p''p, p''k ……を減少せしめ、従って p''a を減ぜしめ、この p''a は1に近づく。ここで注意すべきことは、(A)の企業者は、価値尺度財である商品の生産費が販売価格すなわち1より大であって、確かに彼らに損失を生ぜしめるような場合には、これを生産せず、ただ生産費が1より小なるかまたはこれに等しい場合にのみこれを生産し、損失を伴う地位を避け得る自由をもっていることである。 |
純粋経済学要論 | いずれにせよ、結局(A)の企業者は、(B)、(C)、(D)……の企業者のように、販売価格が生産費より大なる場合にはその生産を拡張し、生産費が販売価格より大なる場合にはこれを制限するよりほかはない。前の場合には、彼らは、用役の市場において、用役の価格を騰貴せしめ、後の場合には、これを下落せしめる。これら二つのいずれの場合にも、彼らは均衡を生ぜしめるに至るのである。 二二〇 この証明の全ての部分を結合して、市場価格成立の法則すなわち生産の均衡価格成立の法則を次のように定立することが出来る。 ――諸生産物の製造に用いられかつ価値尺度財の仲介によりこれらの諸生産物と交換せられる諸生産用役が与えられて、市場の均衡が現われるには、換言すれば価値尺度財で表わされたこれらすべての用役の価格とすべての生産物の価格が静止状態にあるには、(一)これらの価格において、各用役及び各生産物の有効需要が有効供給に等しく、(二)生産物の販売価格が用役から成るその生産費に等しくなければならぬし、またこれだけの条件が充されれば足るのである。 |
純粋経済学要論 | これら二つの均等が存在しないとき、第一の均等を実現するには、有効需要が有効供給より大なる用役または生産物の価格を騰貴せしめねばならないし、また有効供給が有効需要より大なる用役または生産物の価格を下落せしめねばならない。そして第二の均等を実現するには、販売価格が生産費より大なる生産物の量を増加せねばならぬし、生産費が販売価格より大なる生産物の量を減少せねばならぬ。 以上が生産の均衡価格の成立の法則である。この法則を、次に私が為そうとしているように、適当に一般化された均衡価格変動の法則と結合すれば、二重の法則である需要供給及び生産費の法則の科学的方式が得られよう。 第二十二章 自由競争の原理について。生産物の価格と用役の価格との変動の法則。用役の購買曲線及び販売曲線。生産物の価格曲線。要目 二二一 生産の領域における自由競争の解析的定義。二二二 自由競争の純粋かつ単純な事実または概念は原理となる。 |
純粋経済学要論 | 二二三 「自由放任」の証明は与えられていない。認識されない例外、公共事業、自然的必然的独占、社会的富の分配。二二四、二二五、二二六 用役の交換価値と稀少性の比例性。二二七 生産物と用役の均衡価格の変動の法則。二二八、二二九 用役の購買曲線と販売曲線。二三〇 生産物の価格の曲線。 二二一 第二十一章になした証明によって、生産の領域における自由競争こそ、第二十章の方程式の実際的解法であることが明らかになった。換言すれば一方、企業者が、利益があるとき生産を拡張し、損失を受けるときこれを縮少し得る自由と、他方、地主・労働者・資本家が用役をせり下げつつ売り、生産物をせり上げつつ購い得る自由、企業者が用役をせり上げつつ購い、生産物をせり下げつつ売り得る自由こそが、第二十章の方程式の実際的解法である。飜って、これらの方程式及びこれらの方程式がよって立つ所の条件を回想すれば、記憶に甦ってくるものは次の如くである。 |
純粋経済学要論 | ――自由競争によって支配せられる市場における生産は、用役が、欲望の可能的最大満足を生ぜしめるに適当な性質と量との生産物に変形せられるために結合せられる操作である。ただしこの結合は、各生産物及び各用役が市場においてはそれぞれの需要と供給とを等しからしめる所の唯一の価格しかもたないという条件と、生産物の販売価格は用役から成る生産費に等しいという条件のうちに、なされるものでなければならぬ。 二二二 最後におそらく人々は、科学的に丹念に仕上げられた純粋経済学の重要さを知ろうと欲するであろう。私は、純粋科学の観点に立って、今まで自由競争を一つの事実として採らなければならなかったし、また採ってきたのである。否、これを一つの仮説としてさえ採ってきたのである。これを私共が現実に見るか否かは、さまで重要ではない。厳密にいえば、これを思想のうちに考え得るのみで足りる。私は、これらの与件の下で、自由競争の性質・原因・結果を研究した。 |
純粋経済学要論 | 今や、これらの結果を要約すれば、ある限界の中で利用の最大を生ぜしめることであることが明らかになった。これによってこの自由競争の事実は利益の原理または利益の準則となる。これを農・工・商業に細密に適用することが残されているだけである。かくて純粋経済学の結論によって、私共は応用科学の入口にまで運ばれてくる。ここで読者は、私共の方法に対するある反対論が自らいかにその力を失うかを、見られるであろう。ある者はまずいった、「自由競争における価格の決定の要因の一つは人間の意志であって、その決断を計算することは不可能である」と。だが私は、人間の自由による決断を計算しようと試みたことはない。ただその結果を数学的に表わそうと試みただけである。私の理論にあっては、各交換者は自分の理解に基づいて、各自の利用欲望曲線を形成すると仮定せられている。ひとたびこれらの曲線が形成せられれば、いかにして曲線または価格が絶対的自由競争の仮設的の制度の下に現われるかを、示すことが出来る。 |
純粋経済学要論 | しかるにある人はいう、「だが絶対的自由競争はまさしく一つの仮説に過ぎない。現実においては自由競争は、妨害をなす無数の原因によって妨げられている。故に、いかなる方式を用いても表わし得ない妨害要因を取除かれた自由競争それ自体のみを研究するのは、好奇心を満足する以外に何らの利益もあり得ない」と。この反対論の内容の空虚なことは明らかである。今後いかに科学が進歩しても、妨害原因を、交換方程式及び生産方程式に導き入れて表わし得ないと仮定してみても、――これを主張するのはおそらく軽率であり、たしかに無益である――私が立てた方程式は生産の自由という一般的にして優れた準則にだけは導き得るのである。自由は、ある限界のうちで、最大利用を生ぜしめる。故にこれを妨げる原因は、最大利用の実現を妨げる。そしてこれらの原因がいかなるものであろうとも、私共は出来得るだけそれらを除去せねばならぬ。 二二三 経済学者が既に自由放任(laisser faire, laisser passer)を鼓吹しながら述べてきたことは要するにこれであった。 |
純粋経済学要論 | 不幸にして今日までの経済学者は彼らのレッセ・フェール、レッセ・パッセを証明することをせず、ただ国家の干渉をこれまた証明することなく主張した新旧の社会主義者に対抗して、これを主張するだけであった。かくいえば、感激しやすい人は直ちにこれに反対してくるであろう。しかし問うことを私に許されたい、経済学者が自由競争の結果がいかなるものであるかを知らないとしたら、彼らはいかにして、これらの結果がよいとか有利であるとかいい得るかと。また、定義を下さず、またそのことに関係があり、そのことを証明する法則を定立せずして、自由競争が有利なことをいかにして知り得るかと。これこそレッセ・フェール、レッセ・パッセが経済学者によって証明されなかったと、私がいう先験的理由である。なお次に述べるような経験的な理由がある。ある原理が科学的に定立せられたとき、なし得る第一のことは、これが適用される場合と、適用されない場合とを弁別することである。 |
純粋経済学要論 | これを反対から考えてみると、経済学者が自由競争を拡張してしばしばその限界を超えているのは、この自由競争の原理が充分に証明されていないよい証拠である。これらを今例を挙げて説明してみる。自由競争についての私の証明は、第一の基礎として、用役及び生産物に対する消費者の利用の評価に依存する。故にそれは、消費者が評価し得る個人的欲望すなわち私的利用(utilité privé)と、これとは全く異る方法で評価せられる社会的欲望すなわち公的利用(utilité publique)との間の根本的区別を予想している。故に私的利益に関する物の生産に適用せられる自由競争の原理は、公共利益の物の生産に適用せられるべきではない。しかるに、公共用務を私的企業に委ねて自由競争に従わしめようとする謬想に陥った経済学者もある。なお他の例を挙げる。私の証明は、第二の基礎として、生産物の販売価格と生産費との均等化に依存する。故にそれは、企業者が利益のある企業に集り、損失のある企業を去り得る可能性を予想する。 |
純粋経済学要論 | だから自由競争の原理は、自然的必然的独占の対象である物の生産には、必然的に適用せられない。しかるに独占的産業についても、自由競争を絶えず主張する所の経済学者がある。最後に自由競争についての考察をおえるために、最後ではあるが最も重要な解説をしておく。すなわち利用の問題を明らかにしながら自由競争についてなした私の証明は、正義の問題を全く考慮外に置く。私の証明は、用役のある配分から生産物のいかなる分配が生ずるかの点に限られている。それは、用役の分配の問題には少しも触れていない。しかるに産業の問題について、レッセ・フェール、レッセ・パッセを高調することで満足せず、これを所有権の問題にまで故なく妄りに適用しようとしている経済学者がある。これこそ、科学を文学的に取扱うことの危険である理由である。真と偽とを同時に主張する人があり、従って偽と真とを共に否定しようとする人がある。そして、互に理由もあれば誤ってもいる所の反対者によって、反対の方向に引張られながら、人々の意見が決定せられる。 |
純粋経済学要論 | 二二四 vt, vp, vk ……は用役(T)、(P)、(K)……の交換価値であり、これらと生産物(A)の交換価値 va との比がこれらの用役の価格を成すものであり、rt,1, rp,1, rk,1 …… rt,2, rp,2, rk,2 …… rt,3, rp,3, rk,3 ……はこれらの用役を直接に消費するために保留しまたは獲得した人(1)、(2)、(3)……における交換後のこれらの用役の稀少性すなわち充された最後の欲望の強度であるとすると、私共は一般均衡の表(第一三三節)を次の如く補足せねばならぬ。 va :vb :vc :vd :……:vt :vp :vk :……::ra,1:rb,1:rc,1:rd,1:……:rt,1:rp,1:rk,1:……::ra,2:rb,2:rc,2:rd,2:……:rt,2:rp,2:rk,2:……::ra,3:rb,3:rc,3:rd,3:……:rt,3:rp,3:rk,3:…… |
純粋経済学要論 | ::……………………………………………………… 直接に消費せられる地用・労働・利殖は、あるいは時間で計量せられる無限小量ずつ、あるいは土地・人・資本の計量単位に相応する量ずつ、消費せられることが出来る。故に表中にこれらに関する部分に、充された最後の欲望の強度と充されない最初の欲望の強度とのおよそ中間に、下線を施した稀少性の項を記入することが出来る。かつまた用役についても、生産物についても、充されるべき最初の欲望の強度より大きい稀少性の比例項を括弧のうちに記入することが出来る。これらの二つの留保をすれば、生産物についての次の命題は、用役へと拡張せられることが出来る。――交換価値は稀少性に比例する。 二二五 (T)、(P)、(K)は無限小量ずつ消費せられ得る土地用役・人的用役・動産用役であり、τr,1τq,1, τr,2τq,2, τr,3τq,3, πr,1πq,1, πr,2πq,2, πr,3πq,3, χr,1χq,1, χr,2χq,2, χr,3χq,3(第六図)は交換者(1)、(2)、(3)に対するこれらの用役の利用または欲望の連続な曲線であるとする。 |
純粋経済学要論 | 0.75, 2.16, 1.50 を、(A)で表わした(T)、(P)、(K)の価格であるとする。この仮定せられた場合において、交換者(1)と交換者(3)とは三つの用役を消費する。この仮定せられた場合において、交換者(1)は用役のそれぞれの量7、8、5を消費し、それぞれの稀少性は 1.50, 4.33, 3 となったとし、交換者(3)はそれぞれの量3、1、2を消費し、それぞれの稀少性は 3, 8.66, 6 となったとする。交換者(2)は地用(T)の量1を消費し、その稀少性は 4.50 であるとする。しかるに彼において、労働(P)、利殖(K)のそれぞれの稀少性系列に記入せられるべき数字 13, 9 は、これら用役の充すべき最初の欲望の強度 9, 6 より大であるため、これら二つの用役が欠けている。故に次の均衡の表が得られる。 0.75:2.16:1.50::1.50:4.33:3::4.50:(13):(9) |
純粋経済学要論 | ::3 :8.66:6 二二六 (T)、(P)、(K)のそれぞれの平均稀少性を Rt, Rp, Rk と呼び、これらの平均を算出するのに、下線を附した数字及び括弧内の数字を計算中に入れることを条件とすれば、次の方程式を立てることが出来る。 二二七 価格変動の法則はまたこれを一般化して(第一三七節)、次のような言葉でいい表わすべきである。 ――交換が価値尺度財の仲介によって行われる市場において、諸々の生産物または用役が均衡状態において与えられ、かつ他の事情が同一であって、もしこれらの生産物または用役の一つの利用が交換者の一人または多数に対し増加しまたは減少すれば、価値尺度財で表わしたこの生産物または用役の価格は騰貴しまたは下落する。 他の事情が同一であって、もしこれらの生産物または用役の一つの量がこれらの物の所有者の一人または多数について増加しまたは減少すれば、この生産物の価格は下落しまたは騰貴する。 |
純粋経済学要論 | 諸々の生産物または用役の価格が与えられ、これらの生産物または用役の一つの利用または量が交換者または所有者の一人または多数において変化しても、それらの稀少性が変化しなければ、この生産物または用役の価格は変化しない。 もしすべての生産物または用役の利用及び量が交換者または所有者の一人または多数について変化しても、それらの稀少性の比が変化しないならば、これらの生産物または用役の価格は変化しない。 なおこれらに二つの他の命題を附け加えることが出来る。 ――すべての事情が同一であって、一人または多数の人の所有するある用役の量が増加または減少し、従って価格が下落しまたは騰貴すれば、この用役を入れて製造せられる生産物の価格は下落しまたは騰貴する。 他の事情が同一であって、消費者の一人または多数に対するある生産物の利用が増加しまたは減少し、有効需要が増加しまたは減少し、従って価格が騰貴しまたは減少すれば、この生産物に入り込む用役の価格は騰貴しまたは下落する。 |
純粋経済学要論 | 二二八 第十五章において、私は購買曲線及び販売曲線を形成した(第一五一節)。他の言葉でいえば、一般均衡状態において交換市場に最後に達せられる需要曲線すなわち価値尺度財でなされる商品の需要曲線及び価値尺度財を受けてなされる商品の供給曲線を形成した。次に私は、供給を所有量と相等しいと仮定し、購買曲線を価格の曲線に変化した(第一五三節)。私はここで再びこの概念に帰って、これを用役及び生産物に関して補充しなければならぬ。 二二九 (A)を価値尺度財とする。かつ一方用役(P)、(K)……と生産物(A)、(B)、(C)、(D)……とが一定の一般均衡価格 p'p, p'k, …… p'b, p'c, p'd ……で互に交換せられ、または交換せられようとしているとし、他方用役(T)がその存在を認められ、またその所有せられている量を認められて、市場に現われ、交換及び生産の機構のうちに姿を出現したとする。 理論的には(T)が出現すれば、二つの新未知数 pt, Ot と二つの補足的な方程式を導き入れられた生産方程式の四個の体系の成立を必要とする(第二〇二、二〇三節)。 |
純粋経済学要論 | これらの二つの補足的方程式の一つは(T)の需要方程式atDa+btDb+ctDc+dtDd+ …… =Otであり、他は(T)の供給方程式Ot=Ft(pt, pp, pk …… pb, pc, pd ……)である。先になしたように(第二一五節)、正の ot 及び負の ot をそれぞれU及びuで表わせば、これら二つの方程式は、ただ一つの方程式atDa+btDb+ctDc+dtDd……+u=Uとなる。しかし、他の価格の変化と他の有効需要及び供給の変化を捨象し、これらを常数と考えれば、この方程式の左辺は、ただ一つの函数 pt の減少函数であって、幾何学的には購買曲線 TdTp(第九図)によって表わされ得る。右辺は同じ変数 pt の函数であって、初め増加函数であって、次いで減少函数となる。その値はゼロから出発してゼロ(無限遠点において)に帰るのである。この右辺は幾何学的には販売曲線 MN によって表わされ得る。 |
純粋経済学要論 | 二曲線の交点Tが価格 pt を決定する。 二三〇 (A)を常に価値尺度財とする。かつ一方用役(T)、(P)、(K)……と生産物(A)、(C)、(D)……とが一定の一般均衡価格 p't, p'p, p'k …… p'c, p'd ……で互に交換せられまたは交換せられようとし、他方生産物(B)の製造方法が発見せられ、(B)が公衆の領域に入ってき、市場に現われて、交換及び生産の機構のうちに姿を現わしたとする。 理論的には、(B)の出現は、二つの未知数と二つの補足的方程式を導き入れられた新しい生産方程式の四つの体系を必要とする。これら二つの補充的方程式の一つは(B)の需要方程式Db=Fb(pt, pp, pk …… pb, pc, pd ……)であり、他は(B)の生産費方程式btpt+bppp+bkpk+ …… =pbである。 だがもし他の価格の変化、他の有効需要及び供給の変化を捨象し、これらを常数と考えれば、Db は唯一の変数 pb の減少函数であって、幾何学的には価格曲線 BdBp(第十図)によって表わされ得る。横坐標 pb をもつ点Bの縦坐標は需要 Db を表わす。かくて私共は、既に示した幾何学的表現に立ち帰るわけである。 |