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外国語
活動
エ 言語活動で扱う題材は,児童の興味・関心に合ったものとし,国語科
や音楽科,図画工作科など,他教科等で児童が学習したことを活用した
り,学校行事で扱う内容と関連付けたりするなどの工夫をすること。
オ 外国語活動を通して,外国語や外国の文化のみならず,国語や我が国
の文化についても併せて理解を深めるようにすること。言語活動で扱う
題材についても,我が国の文化や,英語の背景にある文化に対する関心
を高め,理解を深めようとする態度を養うのに役立つものとすること。
カ 障害のある児童などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さ
に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
キ 学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が指導計画を作成し,
授業を実施するに当たっては,ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な
地域人材などの協力を得る等,指導体制の充実を図るとともに,指導方
法の工夫を行うこと。
⑵ 2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 英語でのコミュニケーションを体験させる際は,児童の発達の段階を
考慮した表現を用い,児童にとって身近なコミュニケーションの場面を
設定すること。
イ 文字については,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニ
ケーションを補助するものとして取り扱うこと。
ウ 言葉によらないコミュニケーションの手段もコミュニケーションを支
えるものであることを踏まえ,ジェスチャーなどを取り上げ,その役割
を理解させるようにすること。
エ 身近で簡単な事柄について,友達に質問をしたり質問に答えたりする
力を育成するため,ペア・ワーク,グループ・ワークなどの学習形態に
ついて適宜工夫すること。その際,相手とコミュニケーションを行うこ
とに課題がある児童については,個々の児童の特性に応じて指導内容や
指導方法を工夫すること。
オ 児童が身に付けるべき資質・能力や児童の実態,教材の内容などに応
じて,視聴覚教材やコンピュータ,情報通信ネットワーク,教育機器な
どを有効活用し,児童の興味・関心をより高め,指導の効率化や言語活
動の更なる充実を図るようにすること。
カ 各単元や各時間の指導に当たっては,コミュニケーションを行う目
的,場面,状況などを明確に設定し,言語活動を通して育成すべき資
質・能力を明確に示すことにより,児童が学習の見通しを立てたり,振
り返ったりすることができるようにすること。
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外国語
活動
1 外国語活動においては,言語やその背景にある文化に対する理解が深まる
よう指導するとともに,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を行う
際は,英語を取り扱うことを原則とすること。
2 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などと
の関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,
外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
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総合的な
学習の
時間
探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,
よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとお
り育成することを目指す。
⑴ 探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に
付け,課題に関わる概念を形成し,探究的な学習のよさを理解するようにす
る。
⑵ 実社会や実生活の中から問いを見いだし,自分で課題を立て,情報を集
め,整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。
⑶ 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かし
ながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う。
1 目 標
各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の
目標を定める。
2 内 容
各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の
内容を定める。
3 各学校において定める目標及び内容の取扱い
各学校において定める目標及び内容の設定に当たっては,次の事項に配慮
するものとする。
⑴ 各学校において定める目標については,各学校における教育目標を踏ま
え,総合的な学習の時間を通して育成を目指す資質・能力を示すこと。
⑵ 各学校において定める目標及び内容については,他教科等の目標及び内
容との違いに留意しつつ,他教科等で育成を目指す資質・能力との関連を
重視すること。
⑶ 各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会との関
わりを重視すること。
第1 目 標
第2 各学校において定める目標及び内容
第5 章
総合的な学習の時間
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総合的な
学習の
時間
⑷ 各学校において定める内容については,目標を実現するにふさわしい探
究課題,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力を示す
こと。
⑸ 目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じ
て,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に
対応する横断的・総合的な課題,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地
域や学校の特色に応じた課題,児童の興味・関心に基づく課題などを踏ま
えて設定すること。
⑹ 探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力については,
次の事項に配慮すること。
ア 知識及び技能については,他教科等及び総合的な学習の時間で習得す
る知識及び技能が相互に関連付けられ,社会の中で生きて働くものとし
て形成されるようにすること。
イ 思考力,判断力,表現力等については,課題の設定,情報の収集,整
理・分析,まとめ・表現などの探究的な学習の過程において発揮され,
未知の状況において活用できるものとして身に付けられるようにするこ
と。
ウ 学びに向かう力,人間性等については,自分自身に関すること及び他
者や社会との関わりに関することの両方の視点を踏まえること。
⑺ 目標を実現するにふさわしい探究課題及び探究課題の解決を通して育成
を目指す具体的な資質・能力については,教科等を越えた全ての学習の基
盤となる資質・能力が育まれ,活用されるものとなるよう配慮すること。
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資
質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図る
ようにすること。その際,児童や学校,地域の実態等に応じて,児童が探
究的な見方・考え方を働かせ,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習
や児童の興味・関心等に基づく学習を行うなど創意工夫を生かした教育活
動の充実を図ること。
⑵ 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活
動との関連の下に,目標及び内容,学習活動,指導方法や指導体制,学習
の評価の計画などを示すこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
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総合的な
学習の
時間
⑶ 他教科等及び総合的な学習の時間で身に付けた資質・能力を相互に関
連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにするこ
と。その際,言語能力,情報活用能力など全ての学習の基盤となる資質・
能力を重視すること。
⑷ 他教科等の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2
の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこ
と。
⑸ 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において
適切に定めること。
⑹ 障害のある児童などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに
応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
⑺ 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科など
との関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容につい
て,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,児童の学習状況に
応じて教師が適切な指導を行うこと。
⑵ 探究的な学習の過程においては,他者と協働して課題を解決しようとす
る学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習
活動が行われるようにすること。その際,例えば,比較する,分類する,
関連付けるなどの考えるための技法が活用されるようにすること。
⑶ 探究的な学習の過程においては,コンピュータや情報通信ネットワー
クなどを適切かつ効果的に活用して,情報を収集・整理・発信するなどの
学習活動が行われるよう工夫すること。その際,コンピュータで文字を入
力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得
し,情報や情報手段を主体的に選択し活用できるよう配慮すること。
⑷ 自然体験やボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動な
どの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積
極的に取り入れること。
⑸ 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目
標及び内容を踏まえ,探究的な学習の過程に適切に位置付けること。
⑹ グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の
人々の協力も得つつ,全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制
について工夫を行うこと。
⑺ 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社
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総合的な
学習の
時間
会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習
環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
⑻ 国際理解に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通
して,諸外国の生活や文化などを体験したり調査したりするなどの学習活
動が行われるようにすること。
⑼ 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通し
て,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響
を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の
第3の1の⑶のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を
身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験するこ
とが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。
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特別活動
集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主
的,実践的に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上
の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指
す。
⑴ 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となる
ことについて理解し,行動の仕方を身に付けるようにする。
⑵ 集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし,解決するために話し合
い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。
⑶ 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして,集団や社
会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,自己の生き方に
ついての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う。
〔学級活動〕
1 目 標
学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし,解決するため
に話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践したり,学級での話
合いを生かして自己の課題の解決及び将来の生き方を描くために意思決定し
て実践したりすることに,自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の
目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内 容
1の資質・能力を育成するため,全ての学年において,次の各活動を通し
て,それぞれの活動の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解
し,主体的に考えて実践できるよう指導する。
⑴ 学級や学校における生活づくりへの参画
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
学級や学校における生活をよりよくするための課題を見いだし,解決
するために話し合い,合意形成を図り,実践すること。
イ 学級内の組織づくりや役割の自覚
第1 目 標
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
第6 章
特別活動
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特別活動
学級生活の充実や向上のため,児童が主体的に組織をつくり,役割を
自覚しながら仕事を分担して,協力し合い実践すること。
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
児童会など学級の枠を超えた多様な集団における活動や学校行事を通
して学校生活の向上を図るため,学級としての提案や取組を話し合って
決めること。
⑵ 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全
ア 基本的な生活習慣の形成
身の回りの整理や挨拶などの基本的な生活習慣を身に付け,節度ある
生活にすること。
イ よりよい人間関係の形成
学級や学校の生活において互いのよさを見付け,違いを尊重し合い,
仲よくしたり信頼し合ったりして生活すること。
ウ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成
現在及び生涯にわたって心身の健康を保持増進することや,事件や事
故,災害等から身を守り安全に行動すること。
エ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
給食の時間を中心としながら,健康によい食事のとり方など,望まし
い食習慣の形成を図るとともに,食事を通して人間関係をよりよくする
こと。
⑶ 一人一人のキャリア形成と自己実現
ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成
学級や学校での生活づくりに主体的に関わり,自己を生かそうとする
とともに,希望や目標をもち,その実現に向けて日常の生活をよりよく
しようとすること。
イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解
清掃などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働すること
の意義を理解し,社会の一員として役割を果たすために必要となること
について主体的に考えて行動すること。
ウ 主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用
学ぶことの意義や現在及び将来の学習と自己実現とのつながりを考え
たり,自主的に学習する場としての学校図書館等を活用したりしなが
ら,学習の見通しを立て,振り返ること。
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特別活動
3 内容の取扱い
⑴ 指導に当たっては,各学年段階で特に次の事項に配慮すること。
〔第1学年及び第2学年〕
話合いの進め方に沿って,自分の意見を発表したり,他者の意見をよく
聞いたりして,合意形成して実践することのよさを理解すること。基本的
な生活習慣や,約束やきまりを守ることの大切さを理解して行動し,生活
をよくするための目標を決めて実行すること。
〔第3学年及び第4学年〕
理由を明確にして考えを伝えたり,自分と異なる意見も受け入れたりし
ながら,集団としての目標や活動内容について合意形成を図り,実践する
こと。自分のよさや役割を自覚し,よく考えて行動するなど節度ある生活
を送ること。
〔第5学年及び第6学年〕
相手の思いを受け止めて聞いたり,相手の立場や考え方を理解したりし
て,多様な意見のよさを積極的に生かして合意形成を図り,実践するこ
と。高い目標をもって粘り強く努力し,自他のよさを伸ばし合うようにす
ること。
⑵ 2の⑶の指導に当たっては,学校,家庭及び地域における学習や生活の
見通しを立て,学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲
につなげたり,将来の生き方を考えたりする活動を行うこと。その際,児
童が活動を記録し蓄積する教材等を活用すること。
〔児童会活動〕
1 目 標
異年齢の児童同士で協力し,学校生活の充実と向上を図るための諸問題の
解決に向けて,計画を立て役割を分担し,協力して運営することに自主的,
実践的に取り組むことを通して,第1の目標に掲げる資質・能力を育成する
ことを目指す。
2 内 容
1の資質・能力を育成するため,学校の全児童をもって組織する児童会に
おいて,次の各活動を通して,それぞれの活動の意義及び活動を行う上で必
要となることについて理解し,主体的に考えて実践できるよう指導する。
⑴ 児童会の組織づくりと児童会活動の計画や運営
児童が主体的に組織をつくり,役割を分担し,計画を立て,学校生活の
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特別活動
課題を見いだし解決するために話し合い,合意形成を図り実践すること。
⑵ 異年齢集団による交流
児童会が計画や運営を行う集会等の活動において,学年や学級が異なる
児童と共に楽しく触れ合い,交流を図ること。
⑶ 学校行事への協力
学校行事の特質に応じて,児童会の組織を活用して,計画の一部を担当
したり,運営に協力したりすること。
3 内容の取扱い
⑴ 児童会の計画や運営は,主として高学年の児童が行うこと。その際,学
校の全児童が主体的に活動に参加できるものとなるよう配慮すること。
〔クラブ活動〕
1 目 標
異年齢の児童同士で協力し,共通の興味・関心を追求する集団活動の計画
を立てて運営することに自主的,実践的に取り組むことを通して,個性の伸
長を図りながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内 容
1の資質・能力を育成するため,主として第4学年以上の同好の児童を
もって組織するクラブにおいて,次の各活動を通して,それぞれの活動の意
義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて実践
できるよう指導する。
⑴ クラブの組織づくりとクラブ活動の計画や運営
児童が活動計画を立て,役割を分担し,協力して運営に当たること。
⑵ クラブを楽しむ活動
異なる学年の児童と協力し,創意工夫を生かしながら共通の興味・関心
を追求すること。
⑶ クラブの成果の発表
活動の成果について,クラブの成員の発意・発想を生かし,協力して全
校の児童や地域の人々に発表すること。
〔学校行事〕
1 目 標
全校又は学年の児童で協力し,よりよい学校生活を築くための体験的な活
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特別活動
動を通して,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養いながら,第
1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内 容
1の資質・能力を育成するため,全ての学年において,全校又は学年を単
位として,次の各行事において,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の
充実と発展に資する体験的な活動を行うことを通して,それぞれの学校行事
の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて
実践できるよう指導する。
⑴ 儀式的行事
学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,
新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること。
⑵ 文化的行事
平素の学習活動の成果を発表し,自己の向上の意欲を一層高めたり,文
化や芸術に親しんだりするようにすること。
⑶ 健康安全・体育的行事
心身の健全な発達や健康の保持増進,事件や事故,災害等から身を守る
安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感
や連帯感の涵
かん
養,体力の向上などに資するようにすること。
⑷ 遠足・集団宿泊的行事
自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞
を広め,自然や文化などに親しむとともに,よりよい人間関係を築くなど
の集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるよ
うにすること。
⑸ 勤労生産・奉仕的行事
勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動などの
社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにすること。
3 内容の取扱い
⑴ 児童や学校,地域の実態に応じて,2に示す行事の種類ごとに,行事
及びその内容を重点化するとともに,各行事の趣旨を生かした上で,行事
間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たって
は,自然体験や社会体験などの体験活動を充実するとともに,体験活動を
通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするな
どの事後の活動を充実すること。
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特別活動
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 特別活動の各活動及び学校行事を見通して,その中で育む資質・能力
の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにす
ること。その際,よりよい人間関係の形成,よりよい集団生活の構築や社
会への参画及び自己実現に資するよう,児童が集団や社会の形成者として
の見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,実践的に取り組む中
で,互いのよさや個性,多様な考えを認め合い,等しく合意形成に関わり
役割を担うようにすることを重視すること。
⑵ 各学校においては特別活動の全体計画や各活動及び学校行事の年間指導
計画を作成すること。その際,学校の創意工夫を生かし,学級や学校,地
域の実態,児童の発達の段階などを考慮するとともに,第2に示す内容相
互及び各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間などの指導との
関連を図り,児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにするこ
と。また,家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫
すること。
⑶ 学級活動における児童の自発的,自治的な活動を中心として,各活動と
学校行事を相互に関連付けながら,個々の児童についての理解を深め,教
師と児童,児童相互の信頼関係を育み,学級経営の充実を図ること。その
際,特に,いじめの未然防止等を含めた生徒指導との関連を図るようにす
ること。
⑷ 低学年においては,第1章総則の第2の4の⑴を踏まえ,他教科等との
関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにするとともに,幼稚園教
育要領等に示す幼児期の終わりまでに育ってほしい姿との関連を考慮する
こと。特に,小学校入学当初においては,生活科を中心とした関連的な指
導や,弾力的な時間割の設定を行うなどの工夫をすること。
⑸ 障害のある児童などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに
応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
⑹ 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科など
との関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容につい
て,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 学級活動,児童会活動及びクラブ活動の指導については,指導内容の特
質に応じて,教師の適切な指導の下に,児童の自発的,自治的な活動が効
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
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特別活動
果的に展開されるようにすること。その際,よりよい生活を築くために自
分たちできまりをつくって守る活動などを充実するよう工夫すること。
⑵ 児童及び学校の実態並びに第1章総則の第6の2に示す道徳教育の重点
などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るととも
に,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたり
することができること。
⑶ 学校生活への適応や人間関係の形成などについては,主に集団の場面
で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の児童の多様な実態を踏ま
え,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリング
(教育相談を含む。
)の双方の趣旨を踏まえて指導を行うこと。特に入学当
初や各学年のはじめにおいては,個々の児童が学校生活に適応するととも
に,希望や目標をもって生活できるよう工夫すること。あわせて,児童の
家庭との連絡を密にすること。
⑷ 異年齢集団による交流を重視するとともに,幼児,高齢者,障害のある
人々などとの交流や対話,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習
の機会を通して,協働することや,他者の役に立ったり社会に貢献したり
することの喜びを得られる活動を充実すること。
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとと
もに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
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Page 193 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_01.pdf | 移行期間中の小学校の標準授業時数について
…………………
平成30 年4 月1 日から平成32 年3 月31 日までの間における
小学校学習指導要領の特例を定める件
(平成29 年文部科学省告示第93 号)
…………………………
移行措置関係規定
192
193
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移行措置
関係規定
学年
教科等
1
2
3
4
5
6
計
国語
306
(9)
315
(9)
245
(7)
245
(7)
175
(5)
175
(5)
1461
社会
-
-
-
-
70
(2)
90
(2.6)
100
(2.9)
105
(3)
365
算数
136
(4)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
1011
理科
-
-
-
-
90
(2.6)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
405
生活
102
(3)
105
(3)
-
-
-
-
-
-
-
-
207
音楽
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
図画
工作
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
家庭
-
-
-
-
-
-
-
-
60
(1.7)
55
(1.6)
115
体育
102
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
90
(2.6)
90
(2.6)
597
道徳
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
特別
活動
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
総合的な
学習の時間
-
-
-
-
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
280
外国語
活動
-
-
-
-
-
-
-
-
35
(1)
35
(1)
70
合計
850
(25)
910
(26)
945
(27)
980
(28)
980
(28)
980
(28)
5645
学年
教科等
1
2
3
4
5
6
計
国語
306
(9)
315
(9)
245
(7)
245
(7)
175
(5)
175
(5)
1461
社会
-
-
-
-
70
(2)
90
(2.6)
100
(2.9)
105
(3)
365
算数
136
(4)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
1011
理科
-
-
-
-
90
(2.6)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
405
生活
102
(3)
105
(3)
-
-
-
-
-
-
-
-
207
音楽
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
図画
工作
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
家庭
-
-
-
-
-
-
-
-
60
(1.7)
55
(1.6)
115
体育
102
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
90
(2.6)
90
(2.6)
597
道徳
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
特別
活動
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
総合的な
学習の時間
-
-
-
-
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
280
外国語
活動
-
-
-
-
15
-
15
-
50
(1.4)
50
(1.4)
130
合計
850
(25)
910
(26)
960
(27.4)
995
(28.4)
995
(28.4)
995
(28.4)
5705
学年
教科等
1
2
3
4
5
6
計
国語
306
(9)
315
(9)
245
(7)
245
(7)
175
(5)
175
(5)
1461
社会
-
-
-
-
70
(2)
90
(2.6)
100
(2.9)
105
(3)
365
算数
136
(4)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
175
(5)
1011
理科
-
-
-
-
90
(2.6)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
405
生活
102
(3)
105
(3)
-
-
-
-
-
-
-
-
207
音楽
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
図画
工作
68
(2)
70
(2)
60
(1.7)
60
(1.7)
50
(1.4)
50
(1.4)
358
家庭
-
-
-
-
-
-
-
-
60
(1.7)
55
(1.6)
115
体育
102
(3)
105
(3)
105
(3)
105
(3)
90
(2.6)
90
(2.6)
597
外国語
-
-
-
-
-
-
-
-
70
(2)
70
(2)
140
道徳
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
特別
活動
34
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
35
(1)
209
総合的な
学習の時間
-
-
-
-
70
(2)
70
(2)
70
(2)
70
(2)
280
外国語
活動
-
-
-
-
35
(1)
35
(1)
-
-
-
-
70
合計
850
(25)
910
(26)
980
(28)
1015
(29)
1015
(29)
1015
(29)
5785
〔 平成29 年度 〕
【 現 行 】
〔平成30・31 年度〕
【 移行期間 】
〔平成32 年度以降〕
【 新 課 程 】
※網掛けは現行と異なる部分
※ただし,総合的な学習の時間の授業時数及び総授業時数から
15 を超えない範囲内の授業時数を減じることができる。
※網掛けは移行措置期間と異なる部分
移行措置期間中の小学校の標準授業時数について
注:
( )内は週当たりのコマ数。
|
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移行措置
関係規定
○平成三十年四月一日から平成三十二年三月三十一日までの間における小学校学習指導要
領の特例を定める件(平成二十九年文部科学省告示第九十三号)
学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第五十二条の規定に基づき,平
成三十年四月一日から平成三十二年三月三十一日までの間における小学校学習指導要領
(平成二十年文部科学省告示第二十七号)の特例を次のように定め,平成三十年四月一日か
ら施行する。
平成二十九年七月七日
文部科学大臣 松野 博一
1 総則
平成30 年4月1日から平成31 年3月31 日まで(以下「平成30 年度」という。
)及び平成31 年
4月1日から平成32 年3月31 日まで(以下「平成31 年度」という。
)の教育課程の編成に当たっ
ては,小学校学習指導要領(平成20 年文部科学省告示第27 号)
(以下「現行小学校学習指導要領」
という。
)第1章の規定にかかわらず,小学校学習指導要領(平成29 年文部科学省告示第63 号)
(以下「新小学校学習指導要領」という。
)第1章の規定(第3の1⑶イを除く。
)によるものとす
る。
2 国語
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの国語の指導に当たっては,現行小学
校学習指導要領第2章第1節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導
要領第2章第1節の規定によることができる。ただし,現行小学校学習指導要領による場合には,
平成30 年度及び平成31 年度の第4学年並びに平成31 年度の第5学年の国語の指導に当たっては,
現行小学校学習指導要領第2章第1節の別表の学年別漢字配当表にかかわらず,新小学校学習指導
要領第2章第1節の別表の学年別漢字配当表によることとする。
3 社会
平成30 年度及び平成31 年度の第3学年から第6学年までの社会の指導に当たっては,現行小学
校学習指導要領第2章第2節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導要
領第2章第2節の規定によることができる。ただし,現行小学校学習指導要領による場合には,次
のとおりとする。
⑴ 平成30 年度及び平成31 年度の第5学年の社会の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領
第2章第2節第2〔第5学年〕の2⑴アのうち「我が国の位置と領土」の部分の規定に係る事項
を省略し,新小学校学習指導要領第2章第2節第2〔第5学年〕の2⑴ア
(ア)
のうち「世界にお
ける我が国の国土の位置,国土の構成,領土の範囲」の部分の規定に係る事項を加え,新小学校
学習指導要領第2章第2節第2〔第5学年〕の3⑴アの規定を適用するものとする。
⑵ 平成31 年度の第3学年の社会の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第2節第
2〔第3学年及び第4学年〕のうち,2⑴ア,2⑵ア及びイ,2⑷ア及びイ並びに2⑸アに規定
する事項を指導するものとする。ただし,現行小学校学習指導要領第2章第2節第2〔第3学年
及び第4学年〕の2⑷の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第2節第2〔第3学
年及び第4学年〕の3⑷のうち,
「火災」に関する部分の規定を適用するものとする。
4 算数
⑴ 次の表の第1欄に掲げる年度の同表の第2欄に掲げる学年の算数の指導に当たっては,それぞ
|
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移行措置
関係規定
れ,現行小学校学習指導要領第2章第3節第2に規定する事項のうち同表の第2欄に掲げる学年
に係る同表の第3欄に掲げる事項に,新小学校学習指導要領第2章第3節第2に規定する事項の
うち同表の第4欄に掲げる学年に係る同表の第5欄に掲げる事項を加え,新小学校学習指導要領
第2章第3節第2の規定のうち同学年に係る同表の第6欄に掲げる規定を適用するものとする。
第1欄
第2欄
第3欄
第4欄
第5欄
第6欄
平成30 年度第3学年
2B⑴
第3学年
3⑺のうち「接頭
語
(キロ
(k)
やミリ
(m)
)
についても
触れる」
第4学年
2B⑴ア
第3学年
3⑺のうち「接頭
語
(キロ
(k)
やミリ
(m)
)
についても
触れる」
2B⑴
第4学年
2B⑷イ
(ア)
のうち
「面積の単位とこ
れまでに学習した
単位との関係を考
察する」
平成31 年度第3学年
2B⑴
第3学年
3⑺のうち「接頭
語
(キロ
(k)
やミリ
(m)
)
についても
触れる」
第4学年
2A⑸
第4学年
2A⑷ア
(ア)
2B⑴
第4学年
2B ⑷イ
(ア)
のうち
「面積の単位とこ
れまでに学習した
単位との関係を考
察する」
2D
第4学年
2C⑵ア
(ア)
第5学年
2B⑵
第5学年
2B⑷イ
(ア)
のうち
「体積の単位とこ
れまでに学習した
単位との関係を考
察する」
2B⑷
第5学年
2C⑵ア
(ア)
⑵ 平成31 年度の第5学年の算数の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第3節第
2〔第5学年〕の2A⑷カに規定する事項を省略するものとする。
5 理科
⑴ 平成30 年度及び平成31 年度の第4学年の理科の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領
第2章第4節第2〔第4学年〕の2A⑶イに規定する事項を省略するものとする。
⑵ 平成31 年度の第5学年の理科の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第4節第
2〔第5学年〕の2B⑵イに規定する事項を省略するものとする。
⑶ 平成31 年度の第6学年の理科の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第2章第4節第
2〔第6学年〕の2A⑷ウに規定する事項を省略するものとする。
6 生活
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年及び第2学年の生活の指導に当たっては,現行小学校学
習指導要領第2章第5節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導要領第
2章第5節の規定によることができる。
|
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移行措置
関係規定
7 音楽
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの音楽の指導に当たっては,現行小学
校学習指導要領第2章第6節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導要
領第2章第6節の規定によることができる。
8 図画工作
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの図画工作の指導に当たっては,現行
小学校学習指導要領第2章第7節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指
導要領第2章第7節の規定によることができる。
9 家庭
平成30 年度及び平成31 年度の第5学年及び第6学年の家庭の指導に当たっては,現行小学校学
習指導要領第2章第8節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導要領第
2章第8節の規定によることができる。
10 体育
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの体育の指導に当たっては,現行小学
校学習指導要領第2章第9節の規定にかかわらず,その全部又は一部について新小学校学習指導要
領第2章第9節の規定によることができる。
11 特別の教科 道徳
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの特別の教科である道徳の指導に当
たっては,現行小学校学習指導要領第3章の規定にかかわらず,新小学校学習指導要領第3章の規
定によるものとする。
12 外国語活動
⑴ 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成29 年文部科学省令第20 号)
(12 ⑵において
「改正省令」という。
)附則第2項及び第3項の規定による平成30 年度及び平成31 年度の第3学
年及び第4学年の外国語活動の指導に当たっては,新小学校学習指導要領第4章の規定の全部又
は一部によるものとし,新小学校学習指導要領第4章第2の2〔第3学年及び第4学年〕
〔知識
及び技能〕⑴イ
(ア)
及び2〔第3学年及び第4学年〕⑶①に規定する事項は必ず指導するものと
する。
⑵ 改正省令附則第2項及び第3項の規定による平成30 年度及び平成31 年度の第5学年及び第6
学年の外国語活動の指導に当たっては,現行小学校学習指導要領第4章に規定する事項に,新小
学校学習指導要領第2章第10 節第2の全部又は一部を加えて指導するものとし,新小学校学習
指導要領第2章第10 節第2の英語2〔第5学年及び第6学年〕のうち,
〔知識及び技能〕⑴ア,
イ
(ア)
,エ
(ア)
e及びf,エ
(イ)
並びに⑶①イ及びオに規定する事項は必ず指導するものとする。
13 総合的な学習の時間
平成30 年度及び平成31 年度の第3学年から第6学年までの総合的な学習の時間の指導に当たっ
ては,現行小学校学習指導要領第5章の規定にかかわらず,新小学校学習指導要領第5章の規定
(第3の2⑼の後段の部分を除く。
)によるものとする。
|
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移行措置
関係規定
14 特別活動
平成30 年度及び平成31 年度の第1学年から第6学年までの特別活動の指導に当たっては,現行
小学校学習指導要領第6章の規定にかかわらず,新小学校学習指導要領第6章の規定によるものと
する。
|
Page 199 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_01.pdf | 学校教育法(抄)
…………………………………………………
学校教育法施行規則(抄)
………………………………………
中学校連携型小学校及び小学校連携型中学校の
教育課程の基準の特例を定める件
(平成28 年文部科学省告示第53 号)
…………………………
義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び
小学校併設型中学校の教育課程の基準の特例を定める件
(平成28 年文部科学省告示第53 号)
…………………………
関係法令
義務教育学校等
198
199
203
204
|
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義務教育
学校等
関係法令
第四十九条の二 義務教育学校は,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育
を基礎的なものから一貫して施すことを目的とする。
第四十九条の三 義務教育学校における教育は,前条に規定する目的を実現するため,第
二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
第四十九条の四 義務教育学校の修業年限は,九年とする。
第四十九条の五 義務教育学校の課程は,これを前期六年の前期課程及び後期三年の後期課
程に区分する。
第四十九条の六 義務教育学校の前期課程における教育は,第四十九条の二に規定する目的
のうち,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施
すことを実現するために必要な程度において第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう
行われるものとする。
② 義務教育学校の後期課程における教育は,第四十九条の二に規定する目的のうち,前期
課程における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育
を施すことを実現するため,第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものと
する。
第四十九条の七 義務教育学校の前期課程及び後期課程の教育課程に関する事項は,第
四十九条の二,第四十九条の三及び前条の規定並びに次条において読み替えて準用する第
三十条第二項の規定に従い,文部科学大臣が定める。
第四十九条の八 第三十条第二項,第三十一条,第三十四条から第三十七条まで及び第
四十二条から第四十四条までの規定は,義務教育学校に準用する。この場合において,第
三十条第二項中「前項」とあるのは「第四十九条の三」と,第三十一条中「前条第一項」
とあるのは「第四十九条の三」と読み替えるものとする。
第五章の二 義務教育学校
学校教育法(抄)
昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号
一部改正:平成二十九年五月三十一日法律第四十一号
|
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義務教育
学校等
関係法令
第四章 小学校
学校教育法施行規則
昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号
一部改正:平成二十九年三月三十一日文部科学省令第二十号
第二節 教育課程
第五十二条の二 小学校(第七十九条の九第二項に規定する中学校併設型小学校を除く。
)
においては,中学校における教育との一貫性に配慮した教育を施すため,当該小学校の設
置者が当該中学校の設置者との協議に基づき定めるところにより,教育課程を編成するこ
とができる。
2 前項の規定により教育課程を編成する小学校(以下「中学校連携型小学校」という。
)
は,第七十四条の二第一項の規定により教育課程を編成する中学校と連携し,その教育課
程を実施するものとする。
第五十二条の三 中学校連携型小学校の各学年における各教科,特別の教科である道徳,外
国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年における
これらの総授業時数は,別表第二の二に定める授業時数を標準とする。
第五十二条の四 中学校連携型小学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,
教育課程の基準の特例として文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第七十四条の二 中学校(併設型中学校,第七十五条第二項に規定する連携型中学校及び第
七十九条の九第二項に規定する小学校併設型中学校を除く。
)においては,小学校におけ
る教育との一貫性に配慮した教育を施すため,当該中学校の設置者が当該小学校の設置者
との協議に基づき定めるところにより,教育課程を編成することができる。
2 前項の規定により教育課程を編成する中学校(以下「小学校連携型中学校」という。
)
は,中学校連携型小学校と連携し,その教育課程を実施するものとする。
第七十四条の三 小学校連携型中学校の各学年における各教科,特別の教科である道徳,総
合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授
業時数は,別表第二の三に定める授業時数を標準とする。
第七十四条の四 小学校連携型中学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,
教育課程の基準の特例として文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第五章 中学校
|
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義務教育
学校等
関係法令
第一節 義務教育学校
第七十九条の二 義務教育学校の前期課程の設備,編制その他設置に関する事項について
は,小学校設置基準の規定を準用する。
2 義務教育学校の後期課程の設備,編制その他設置に関する事項については,中学校設置
基準の規定を準用する。
第七十九条の三 義務教育学校の学級数は,十八学級以上二十七学級以下を標準とする。た
だし,地域の実態その他により特別の事情のあるときは,この限りでない。
第七十九条の四 義務教育学校の分校の学級数は,特別の事情のある場合を除き,八学級以
下とし,前条の学級数に算入しないものとする。
第七十九条の五 次条第一項において準用する第五十条第一項に規定する義務教育学校の前
期課程の各学年における各教科,特別の教科である道徳,外国語活動,総合的な学習の時
間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は,別表
第二の二に定める授業時数を標準とする。
2 次条第二項において準用する第七十二条に規定する義務教育学校の後期課程の各学年に
おける各教科,特別の教科である道徳,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授
業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は,別表第二の三に定める授業時数を標
準とする。
第七十九条の六 義務教育学校の前期課程の教育課程については,第五十条,第五十二条
の規定に基づき文部科学大臣が公示する小学校学習指導要領及び第五十五条から第五十六
条の四までの規定を準用する。この場合において,第五十五条から第五十六条までの規定
中「第五十条第一項,第五十一条(中学校連携型小学校にあつては第五十二条の三,第
七十九条の九第二項に規定する中学校併設型小学校にあつては第七十九条の十二において
準用する第七十九条の五第一項)又は第五十二条」とあるのは「第七十九条の五第一項又
は第七十九条の六第一項において準用する第五十条第一項若しくは第五十二条の規定に基
づき文部科学大臣が公示する小学校学習指導要領」と,第五十五条の二中「第三十条第一
項」とあるのは「第四十九条の六第一項」と,第五十六条の二及び第五十六条の四中「第
五十条第一項,第五十一条(中学校連携型小学校にあつては第五十二条の三,第七十九条
の九第二項に規定する中学校併設型小学校にあつては第七十九条の十二において準用する
第七十九条の五第一項)及び第五十二条」とあるのは「第七十九条の五第一項並びに第
七十九条の六第一項において準用する第五十条第一項及び第五十二条の規定に基づき文部
科学大臣が公示する小学校学習指導要領」と読み替えるものとする。
2 義務教育学校の後期課程の教育課程については,第五十条第二項,第五十五条から第
五十六条の四まで及び第七十二条の規定並びに第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が
第五章の二 義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校
|
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義務教育
学校等
関係法令
公示する中学校学習指導要領の規定を準用する。この場合において,第五十五条から第
五十六条までの規定中「第五十条第一項,第五十一条(中学校連携型小学校にあつては第
五十二条の三,第七十九条の九第二項に規定する中学校併設型小学校にあつては第七十九
条の十二において準用する第七十九条の五第一項)又は第五十二条」とあるのは「第
七十九条の五第二項又は第七十九条の六第二項において準用する第七十二条若しくは第
七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する中学校学習指導要領」と,第五十五条の
二中「第三十条第一項」とあるのは「第四十九条の六第二項」と,第五十六条の二及び第
五十六条の四中「第五十条第一項,第五十一条(中学校連携型小学校にあつては第五十二
条の三,第七十九条の九第二項に規定する中学校併設型小学校にあつては第七十九条の
十二において準用する第七十九条の五第一項)及び第五十二条」とあるのは「第七十九条
の五第二項並びに第七十九条の六第二項において準用する第七十二条及び第七十四条の規
定に基づき文部科学大臣が公示する中学校学習指導要領」と,第五十六条の四中「他の小
学校,義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部」とあるのは「他の中学校,義
務教育学校の後期課程,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部」と読み替え
るものとする。
第七十九条の七 義務教育学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課
程の基準の特例として文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第七十九条の八 第四十三条から第四十九条まで,第五十三条,第五十四条,第五十七条か
ら第七十一条まで(第六十九条を除く。
)及び第七十八条の規定は,義務教育学校に準用
する。
2 第七十八条の二の規定は,義務教育学校の後期課程に準用する。
第二節 中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校
第七十九条の九 同一の設置者が設置する小学校(中学校連携型小学校を除く。
)及び中学
校(併設型中学校,小学校連携型中学校及び連携型中学校を除く。
)においては,義務教
育学校に準じて,小学校における教育と中学校における教育を一貫して施すことができ
る。
2 前項の規定により中学校における教育と一貫した教育を施す小学校(以下「中学校併設
型小学校」という。
)及び同項の規定により小学校における教育と一貫した教育を施す中
学校(以下「小学校併設型中学校」という。
)においては,小学校における教育と中学校
における教育を一貫して施すためにふさわしい運営の仕組みを整えるものとする。
第七十九条の十 中学校併設型小学校の教育課程については,第四章に定めるもののほか,
教育課程の基準の特例として文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
2 小学校併設型中学校の教育課程については,第五章に定めるもののほか,教育課程の基
準の特例として文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
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義務教育
学校等
関係法令
第七十九条の十一 中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校においては,小学校におけ
る教育と中学校における教育を一貫して施すため,設置者の定めるところにより,教育課
程を編成するものとする。
第七十九条の十二 第七十九条の五第一項の規定は中学校併設型小学校に,同条第二項の規
定は小学校併設型中学校に準用する。
この省令は,平成三十二年四月一日から施行する。
附則
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義務教育
学校等
関係法令
1 中学校連携型小学校及び小学校連携型中学校における小中一貫教育(小学校における教
育及び中学校における教育を一貫して施す教育をいう。
)において特色ある教育課程を編
成することができるよう次のように取り扱うものとする。
一 中学校連携型小学校において,学校教育法施行規則別表第二の二備考第三号の規定に
より各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「小学校教科
等」という。
)の授業時数を減ずる場合は,その減ずる時数を当該小学校教科等の内容
を代替することのできる内容の小中一貫教科等の授業時数に充てること。
二 小学校連携型中学校において,学校教育法施行規則別表第二の三備考第三号の規定に
より各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「中学校教科等」という。
)
の授業時数を減ずる場合は,その減ずる時数を当該中学校教科等の内容を代替すること
のできる内容の小中一貫教科等の授業時数に充てること。
2 中学校連携型小学校及び小学校連携型中学校における教育課程は,次に掲げる要件を満
たして編成するものとする。
一 九年間の計画的かつ継続的な教育を施すものであること。
二 学校教育法施行規則第五十二条及び第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示す
る小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領において全ての児童又は生徒に履修させ
る内容として定められている事項(次号において「内容事項」という。
)が,中学校連
携型小学校及び小学校連携型中学校の教育課程全体を通じて適切に取り扱われているこ
と。
三 内容事項を指導するために必要となる標準的な総授業時数が,中学校連携型小学校及
び小学校連携型中学校の教育課程全体を通じて適切に確保されていること。
四 児童又は生徒の発達の段階並びに小学校教科等又は中学校教科等の特性に応じた内容
の系統性及び体系性に配慮がなされていること。
五 保護者の経済的負担への配慮その他の義務教育における機会均等の観点からの適切な
配慮がなされていること。
六 前各号に掲げるもののほか,児童又は生徒の転出入に対する配慮等の教育上必要な配
慮がなされていること。
この告示は,平成二十八年四月一日から施行する。
附則
中学校連携型小学校及び小学校連携型中学校
の教育課程の基準の特例を定める件
平成二十八年文部科学省告示第五十三号
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義務教育
学校等
関係法令
1 義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校における小中一貫教育
(小学校における教育及び中学校における教育を一貫して施す教育をいう。
)において特色
ある教育課程を編成することができるよう次のように取り扱うものとする。
一 義務教育学校の前期課程又は中学校併設型小学校において,学校教育法施行規則別表
第二の二備考第三号の規定により各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間及び
特別活動(以下「小学校教科等」という。
)の授業時数を減ずる場合は,その減ずる時
数を当該小学校教科等の内容を代替することのできる内容の小中一貫教科等の授業時数
に充てること。
二 義務教育学校の後期課程又は小学校併設型中学校において,学校教育法施行規則別表
第二の三備考第三号の規定により各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動(以
下「中学校教科等」という。
)の授業時数を減ずる場合は,その減ずる時数を当該中学
校教科等の内容を代替することのできる内容の小中一貫教科等の授業時数に充てるこ
と。
三 義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校における指導につい
ては,次のように取り扱うものとすること。
イ 義務教育学校の前期課程及び中学校併設型小学校と義務教育学校の後期課程及び小
学校併設型中学校における指導の内容については,小学校教科等又は中学校教科等の
内容のうち相互に関連するものの一部を入れ替えて指導することができること。
ロ 義務教育学校の前期課程及び中学校併設型小学校における指導の内容の一部につい
ては,義務教育学校の後期課程及び小学校併設型中学校における指導の内容に移行し
て指導することができること。
ハ 義務教育学校の後期課程及び小学校併設型中学校における指導の内容の一部につい
ては,義務教育学校の前期課程及び中学校併設型小学校における指導の内容に移行し
て指導することができること。この場合においては,義務教育学校の後期課程及び小
学校併設型中学校において当該移行した指導の内容について再度指導しないことがで
きること。
ニ 義務教育学校の前期課程及び中学校併設型小学校における小学校教科等の内容のう
ち特定の学年において指導することとされているものの一部については,他の学年に
おける指導の内容に移行して指導することができること。この場合においては,当該
特定の学年において,当該移行した指導の内容について再度指導しないことができる
こと。
ホ 義務教育学校の後期課程及び小学校併設型中学校における中学校教科等の内容のう
ち特定の学年において指導することとされているものの一部については,他の学年に
おける指導の内容に移行して指導することができること。この場合においては,当該
義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び
小学校併設型中学校の教育課程の基準の特例を定める件
平成二十八年文部科学省告示第五十三号
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義務教育
学校等
関係法令
特定の学年において,当該移行した指導の内容について再度指導しないことができる
こと。
2 義務教育学校並びに中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校における教育課程は,
次に掲げる要件を満たして編成するものとする。
一 九年間の計画的かつ継続的な教育を施すものであること。
二 学校教育法施行規則第五十二条及び第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示す
る小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領において全ての児童又は生徒に履修させ
る内容として定められている事項(次号において「内容事項」という。
)が,義務教育
学校並びに中学校併設型小学校及び小学校併設型中学校の教育課程全体を通じて適切に
取り扱われていること。
三 内容事項を指導するために必要となる標準的な総授業時数が,義務教育学校並びに中
学校併設型小学校及び小学校併設型中学校の教育課程全体を通じて適切に確保されてい
ること。
四 児童又は生徒の発達の段階並びに小学校教科等又は中学校教科等の特性に応じた内容
の系統性及び体系性に配慮がなされていること。
五 保護者の経済的負担への配慮その他の義務教育における機会均等の観点からの適切な
配慮がなされていること。
六 前各号に掲げるもののほか,児童又は生徒の転出入に対する配慮等の教育上必要な配
慮がなされていること。
この告示は,平成二十八年四月一日から施行する。
附則
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Page 209 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_01.pdf | 前文 ………………………………………………………………
第1章 総則 ……………………………………………………
第2章 ねらい及び内容 ………………………………………
健康 …………………………………………………………
人間関係 ……………………………………………………
環境 …………………………………………………………
言葉 …………………………………………………………
表現 …………………………………………………………
第3章 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う
教育活動などの留意事項 ……………………………
教育要領
幼稚園
平成29 年3 月告示
209
210
216
216
217
218
219
220
222
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幼稚園
教育要領
○文部科学省告示第六十二号
学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第三十八条の規定に基づき,幼稚園教育要
領(平成二十年文部科学省告示第二十六号)の全部を次のように改正し,平成三十年四月一日から施
行する。
平成二十九年三月三十一日
文部科学大臣 松野 博一
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幼稚園
教育要領
教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の
形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条
に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。
1 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うととも
に,健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うととも
に,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体
的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重
し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
また,幼児期の教育については,同法第11 条に掲げるとおり,生涯にわたる人格形成の基礎を培
う重要なものであることにかんがみ,国及び地方公共団体は,幼児の健やかな成長に資する良好な環
境の整備その他適当な方法によって,その振興に努めなければならないこととされている。
これからの幼稚園には,学校教育の始まりとして,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつ
つ,一人一人の幼児が,将来,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある
存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓
き,持続可能な社会の創り手となることができるようにするための基礎を培うことが求められる。こ
のために必要な教育の在り方を具体化するのが,各幼稚園において教育の内容等を組織的かつ計画的
に組み立てた教育課程である。
教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育
を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの幼稚園において,幼児
期にふさわしい生活をどのように展開し,どのような資質・能力を育むようにするのかを教育課程に
おいて明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた
教育課程の実現が重要となる。
幼稚園教育要領とは,こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるも
のである。幼稚園教育要領が果たす役割の一つは,公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国
的に確保することである。また,各幼稚園がその特色を生かして創意工夫を重ね,長年にわたり積み
重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら,幼児や地域の現状や課題を捉え,家庭や
地域社会と協力して,幼稚園教育要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要であ
る。
幼児の自発的な活動としての遊びを生み出すために必要な環境を整え,一人一人の資質・能力を育
んでいくことは,教職員をはじめとする幼稚園関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,様々な
立場から幼児や幼稚園に関わる全ての大人に期待される役割である。家庭との緊密な連携の下,小学
校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,幼児の自発的な活動としての遊びを
通しての総合的な指導をする際に広く活用されるものとなることを期待して,ここに幼稚園教育要領
を定める。
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幼稚園
教育要領
幼児期の教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,幼稚園教育は,学校教育
法に規定する目的及び目標を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであるこ
とを基本とする。
このため教師は,幼児との信頼関係を十分に築き,幼児が身近な環境に主体的に関わり,環境との
関わり方や意味に気付き,これらを取り込もうとして,試行錯誤したり,考えたりするようになる幼
児期の教育における見方・考え方を生かし,幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるも
のとする。これらを踏まえ,次に示す事項を重視して教育を行わなければならない。
1 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくもの
であることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるよう
にすること。
2 幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である
ことを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるよ
うにすること。
3 幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていく
ものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の
特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。
その際,教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づ
き,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとの関わ
りが重要であることを踏まえ,教材を工夫し,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,
幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。
1 幼稚園においては,生きる力の基礎を育むため,この章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏ま
え,次に掲げる資質・能力を一体的に育むよう努めるものとする。
⑴ 豊かな体験を通じて,感じたり,気付いたり,分かったり,できるようになったりする「知
識及び技能の基礎」
⑵ 気付いたことや,できるようになったことなどを使い,考えたり,試したり,工夫したり,
表現したりする「思考力,判断力,表現力等の基礎」
⑶ 心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力,人間性等」
2 1に示す資質・能力は,第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むものであ
る。
3 次に示す「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は,第2章に示すねらい及び内容に基づく
活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり,教師が指
導を行う際に考慮するものである。
⑴ 健康な心と体
幼稚園生活の中で,充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ,
見通しをもって行動し,自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。
第2 幼稚園教育において育みたい資質・能力及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
第1 章
総則
第1 幼稚園教育の基本
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幼稚園
教育要領
⑵ 自立心
身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で,しなければならないことを自覚し,
自分の力で行うために考えたり,工夫したりしながら,諦めずにやり遂げることで達成感を味
わい,自信をもって行動するようになる。
⑶ 協同性
友達と関わる中で,互いの思いや考えなどを共有し,共通の目的の実現に向けて,考えた
り,工夫したり,協力したりし,充実感をもってやり遂げるようになる。
⑷ 道徳性・規範意識の芽生え
友達と様々な体験を重ねる中で,してよいことや悪いことが分かり,自分の行動を振り返っ
たり,友達の気持ちに共感したりし,相手の立場に立って行動するようになる。また,きまり
を守る必要性が分かり,自分の気持ちを調整し,友達と折り合いを付けながら,きまりをつ
くったり,守ったりするようになる。
⑸ 社会生活との関わり
家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに,地域の身近な人と触れ合う中で,人との
様々な関わり方に気付き,相手の気持ちを考えて関わり,自分が役に立つ喜びを感じ,地域に
親しみをもつようになる。また,幼稚園内外の様々な環境に関わる中で,遊びや生活に必要な
情報を取り入れ,情報に基づき判断したり,情報を伝え合ったり,活用したりするなど,情報
を役立てながら活動するようになるとともに,公共の施設を大切に利用するなどして,社会と
のつながりなどを意識するようになる。
⑹ 思考力の芽生え
身近な事象に積極的に関わる中で,物の性質や仕組みなどを感じ取ったり,気付いたりし,
考えたり,予想したり,工夫したりするなど,多様な関わりを楽しむようになる。また,友達
の様々な考えに触れる中で,自分と異なる考えがあることに気付き,自ら判断したり,考え直
したりするなど,新しい考えを生み出す喜びを味わいながら,自分の考えをよりよいものにす
るようになる。
⑺ 自然との関わり・生命尊重
自然に触れて感動する体験を通して,自然の変化などを感じ取り,好奇心や探究心をもって
考え言葉などで表現しながら,身近な事象への関心が高まるとともに,自然への愛情や畏敬の
念をもつようになる。また,身近な動植物に心を動かされる中で,生命の不思議さや尊さに気
付き,身近な動植物への接し方を考え,命あるものとしていたわり,大切にする気持ちをもっ
て関わるようになる。
⑻ 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
遊びや生活の中で,数量や図形,標識や文字などに親しむ体験を重ねたり,標識や文字の役
割に気付いたりし,自らの必要感に基づきこれらを活用し,興味や関心,感覚をもつようにな
る。
⑼ 言葉による伝え合い
先生や友達と心を通わせる中で,絵本や物語などに親しみながら,豊かな言葉や表現を身に
付け,経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり,相手の話を注意して聞いたりし,言
葉による伝え合いを楽しむようになる。
⑽ 豊かな感性と表現
心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で,様々な素材の特徴や表現の仕方などに気
付き,感じたことや考えたことを自分で表現したり,友達同士で表現する過程を楽しんだり
し,表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる。
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幼稚園
教育要領
1 教育課程の役割
各幼稚園においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの幼稚園教育要領の示
すところに従い,創意工夫を生かし,幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適切
な教育課程を編成するものとする。
また,各幼稚園においては,6に示す全体的な計画にも留意しながら,
「幼児期の終わりまで
に育ってほしい姿」を踏まえ教育課程を編成すること,教育課程の実施状況を評価してその改善
を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を
図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各幼稚園の教育活動の質の
向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。
)に努めるものとする。
2 各幼稚園の教育目標と教育課程の編成
教育課程の編成に当たっては,幼稚園教育において育みたい資質・能力を踏まえつつ,各幼稚
園の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも
共有されるよう努めるものとする。
3 教育課程の編成上の基本的事項
⑴ 幼稚園生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育課程に係る
教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織するもの
とする。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しよう
とする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性を踏まえ,入園から修了に至るまでの長期的な視
野をもって充実した生活が展開できるように配慮するものとする。
⑵ 幼稚園の毎学年の教育課程に係る教育週数は,特別の事情のある場合を除き,39 週を下っ
てはならない。
⑶ 幼稚園の1日の教育課程に係る教育時間は,4時間を標準とする。ただし,幼児の心身の発
達の程度や季節などに適切に配慮するものとする。
4 教育課程の編成上の留意事項
教育課程の編成に当たっては,次の事項に留意するものとする。
⑴ 幼児の生活は,入園当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して幼稚園生活に親し
み,安定していく時期から,他の幼児との関わりの中で幼児の主体的な活動が深まり,幼児が
互いに必要な存在であることを認識するようになり,やがて幼児同士や学級全体で目的をもっ
て協同して幼稚園生活を展開し,深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げ
られていくものであることを考慮し,活動がそれぞれの時期にふさわしく展開されるようにす
ること。
⑵ 入園当初,特に,3歳児の入園については,家庭との連携を緊密にし,生活のリズムや安全
面に十分配慮すること。また,満3歳児については,学年の途中から入園することを考慮し,
幼児が安心して幼稚園生活を過ごすことができるよう配慮すること。
⑶ 幼稚園生活が幼児にとって安全なものとなるよう,教職員による協力体制の下,幼児の主体
的な活動を大切にしつつ,園庭や園舎などの環境の配慮や指導の工夫を行うこと。
5 小学校教育との接続に当たっての留意事項
⑴ 幼稚園においては,幼稚園教育が,小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに
配慮し,幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培
うようにするものとする。
⑵ 幼稚園教育において育まれた資質・能力を踏まえ,小学校教育が円滑に行われるよう,小学
第3 教育課程の役割と編成等
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幼稚園
教育要領
校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け,
「幼児期の終わりまでに育ってほしい
姿」を共有するなど連携を図り,幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めるも
のとする。
6 全体的な計画の作成
各幼稚園においては,教育課程を中心に,第3章に示す教育課程に係る教育時間の終了後等に
行う教育活動の計画,学校保健計画,学校安全計画などとを関連させ,一体的に教育活動が展開
されるよう全体的な計画を作成するものとする。
1 指導計画の考え方
幼稚園教育は,幼児が自ら意欲をもって環境と関わることによりつくり出される具体的な活動
を通して,その目標の達成を図るものである。
幼稚園においてはこのことを踏まえ,幼児期にふさわしい生活が展開され,適切な指導が行わ
れるよう,それぞれの幼稚園の教育課程に基づき,調和のとれた組織的,発展的な指導計画を作
成し,幼児の活動に沿った柔軟な指導を行わなければならない。
2 指導計画の作成上の基本的事項
⑴ 指導計画は,幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し,必要
な体験を得られるようにするために,具体的に作成するものとする。
⑵ 指導計画の作成に当たっては,次に示すところにより,具体的なねらい及び内容を明確に設
定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにするものとする。
ア 具体的なねらい及び内容は,幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し,幼児の生活
の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の興味や関心,発達の実情などに応じて設定す
ること。
イ 環境は,具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し,幼児が自らそ
の環境に関わることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。
その際,幼児の生活する姿や発想を大切にし,常にその環境が適切なものとなるようにする
こと。
ウ 幼児の行う具体的な活動は,生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,
幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をする
こと。
その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての評価
を適切に行い,常に指導計画の改善を図るものとする。
3 指導計画の作成上の留意事項
指導計画の作成に当たっては,次の事項に留意するものとする。
⑴ 長期的に発達を見通した年,学期,月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちな
がらより具体的な幼児の生活に即した週,日などの短期の指導計画を作成し,適切な指導が行
われるようにすること。特に,週,日などの短期の指導計画については,幼児の生活のリズム
に配慮し,幼児の意識や興味の連続性のある活動が相互に関連して幼稚園生活の自然な流れの
中に組み込まれるようにすること。
⑵ 幼児が様々な人やものとの関わりを通して,多様な体験をし,心身の調和のとれた発達を促
すようにしていくこと。その際,幼児の発達に即して主体的・対話的で深い学びが実現するよ
第4 指導計画の作成と幼児理解に基づいた評価
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幼稚園
教育要領
うにするとともに,心を動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し,一つ一つの体験
が相互に結び付き,幼稚園生活が充実するようにすること。
⑶ 言語に関する能力の発達と思考力等の発達が関連していることを踏まえ,幼稚園生活全体を
通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図ること。
⑷ 幼児が次の活動への期待や意欲をもつことができるよう,幼児の実態を踏まえながら,教師
や他の幼児と共に遊びや生活の中で見通しをもったり,振り返ったりするよう工夫すること。
⑸ 行事の指導に当たっては,幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が
主体的に楽しく活動できるようにすること。なお,それぞれの行事についてはその教育的価値
を十分検討し,適切なものを精選し,幼児の負担にならないようにすること。
⑹ 幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ,視聴覚教材やコンピュータなど情報機器
を活用する際には,幼稚園生活では得難い体験を補完するなど,幼児の体験との関連を考慮す
ること。
⑺ 幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様な関わりをもつことが重要であることを踏
まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験
が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
⑻ 幼児の行う活動は,個人,グループ,学級全体などで多様に展開されるものであることを踏
まえ,幼稚園全体の教師による協力体制を作りながら,一人一人の幼児が興味や欲求を十分に
満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
4 幼児理解に基づいた評価の実施
幼児一人一人の発達の理解に基づいた評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとす
る。
⑴ 指導の過程を振り返りながら幼児の理解を進め,幼児一人一人のよさや可能性などを把握
し,指導の改善に生かすようにすること。その際,他の幼児との比較や一定の基準に対する達
成度についての評定によって捉えるものではないことに留意すること。
⑵ 評価の妥当性や信頼性が高められるよう創意工夫を行い,組織的かつ計画的な取組を推進す
るとともに,次年度又は小学校等にその内容が適切に引き継がれるようにすること。
1 障害のある幼児などへの指導
障害のある幼児などへの指導に当たっては,集団の中で生活することを通して全体的な発達を
促していくことに配慮し,特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ,個々の幼児の障害の
状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。また,家
庭,地域及び医療や福祉,保健等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で幼児へ
の教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに, 個々
の幼児の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする。
2 海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児の幼稚園生活への適応
海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児については,安心して自
己を発揮できるよう配慮するなど個々の幼児の実態に応じ,指導内容や指導方法の工夫を組織的
かつ計画的に行うものとする。
第5 特別な配慮を必要とする幼児への指導
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幼稚園
教育要領
1 各幼稚園においては,園長の方針の下に,園務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつ
つ,相互に連携しながら,教育課程や指導の改善を図るものとする。また,各幼稚園が行う学校
評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や幼稚園運営の中核となることを踏ま
え,カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。
2 幼児の生活は,家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留
意し,家庭との連携を十分に図るなど,幼稚園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつ
つ展開されるようにするものとする。その際,地域の自然,高齢者や異年齢の子供などを含む人
材,行事や公共施設などの地域の資源を積極的に活用し,幼児が豊かな生活体験を得られるよう
に工夫するものとする。また,家庭との連携に当たっては,保護者との情報交換の機会を設けた
り,保護者と幼児との活動の機会を設けたりなどすることを通じて,保護者の幼児期の教育に関
する理解が深まるよう配慮するものとする。
3 地域や幼稚園の実態等により,幼稚園間に加え,保育所,幼保連携型認定こども園,小学校,
中学校,高等学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るものとする。特に,幼稚園教
育と小学校教育の円滑な接続のため,幼稚園の幼児と小学校の児童との交流の機会を積極的に設
けるようにするものとする。また,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設
け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むよう努めるものとする。
幼稚園は,第3章に示す教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動について,学校教育法
に規定する目的及び目標並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施するものとする。
また,幼稚園の目的の達成に資するため,幼児の生活全体が豊かなものとなるよう家庭や地域におけ
る幼児期の教育の支援に努めるものとする。
第6 幼稚園運営上の留意事項
第7 教育課程に係る教育時間終了後等に行う教育活動など
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幼稚園
教育要領
この章に示すねらいは,幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたも
のであり,内容は,ねらいを達成するために指導する事項である。各領域は,これらを幼児の発達の
側面から,心身の健康に関する領域「健康」
,人との関わりに関する領域「人間関係」
,身近な環境と
の関わりに関する領域「環境」
,言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表
現」としてまとめ,示したものである。内容の取扱いは,幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たっ
て留意すべき事項である。
各領域に示すねらいは,幼稚園における生活の全体を通じ,幼児が様々な体験を積み重ねる中で相
互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること,内容は,幼児が環境に関わって展開する
具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。
また,
「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が,ねらい及び内容に基づく活動全体を通して資
質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であることを踏まえ,指導を行う際に考慮
するものとする。
なお,特に必要な場合には,各領域に示すねらいの趣旨に基づいて適切な,具体的な内容を工夫
し,それを加えても差し支えないが,その場合には,それが第1章の第1に示す幼稚園教育の基本を
逸脱しないよう慎重に配慮する必要がある。
健 康
〔健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。
〕
1 ねらい
⑴ 明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。
⑵ 自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。
⑶ 健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け,見通しをもって行動する。
2 内 容
⑴ 先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する。
⑵ いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
⑶ 進んで戸外で遊ぶ。
⑷ 様々な活動に親しみ,楽しんで取り組む。
⑸ 先生や友達と食べることを楽しみ,食べ物への興味や関心をもつ。
⑹ 健康な生活のリズムを身に付ける。
⑺ 身の回りを清潔にし,衣服の着脱,食事,排泄
せつ
などの生活に必要な活動を自分でする。
⑻ 幼稚園における生活の仕方を知り,自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動す
る。
⑼ 自分の健康に関心をもち,病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
⑽ 危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
⑴ 心と体の健康は,相互に密接な関連があるものであることを踏まえ,幼児が教師や他の幼児と
の温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として,しなやかな心と
体の発達を促すこと。特に,十分に体を動かす気持ちよさを体験し,自ら体を動かそうとする意
欲が育つようにすること。
⑵ 様々な遊びの中で,幼児が興味や関心,能力に応じて全身を使って活動することにより,体を
第2 章
ねらい及び内容
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幼稚園
教育要領
動かす楽しさを味わい,自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。その際,
多様な動きを経験する中で,体の動きを調整するようにすること。
⑶ 自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより,体の諸機能の発達が促されることに留意
し,幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際,幼児の動線に配慮した園庭や遊
具の配置などを工夫すること。
⑷ 健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏ま
え,幼児の食生活の実情に配慮し,和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさ
を味わったり,様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし,食の大切さに気付き,進ん
で食べようとする気持ちが育つようにすること。
⑸ 基本的な生活習慣の形成に当たっては,家庭での生活経験に配慮し,幼児の自立心を育て,幼
児が他の幼児と関わりながら主体的な活動を展開する中で,生活に必要な習慣を身に付け,次第
に見通しをもって行動できるようにすること。
⑹ 安全に関する指導に当たっては,情緒の安定を図り,遊びを通して安全についての構えを身に
付け,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交
通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,避難訓練などを通して,災害などの緊急時に適
切な行動がとれるようにすること。
人間関係
〔他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人と関わる力を養う。
〕
1 ねらい
⑴ 幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。
⑵ 身近な人と親しみ,関わりを深め,工夫したり,協力したりして一緒に活動する楽しさを味わ
い,愛情や信頼感をもつ。
⑶ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内 容
⑴ 先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
⑵ 自分で考え,自分で行動する。
⑶ 自分でできることは自分でする。
⑷ いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
⑸ 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。
⑹ 自分の思ったことを相手に伝え,相手の思っていることに気付く。
⑺ 友達のよさに気付き,一緒に活動する楽しさを味わう。
⑻ 友達と楽しく活動する中で,共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどする。
⑼ よいことや悪いことがあることに気付き,考えながら行動する。
⑽ 友達との関わりを深め,思いやりをもつ。
⑾ 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き,守ろうとする。
⑿ 共同の遊具や用具を大切にし,皆で使う。
⒀ 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
⑴ 教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人と関わる基盤となるこ
とを考慮し,幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し,試行錯誤しながら諦
めずにやり遂げることの達成感や,前向きな見通しをもって自分の力で行うことの充実感を味わ
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幼稚園
教育要領
うことができるよう,幼児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにすること。
⑵ 一人一人を生かした集団を形成しながら人と関わる力を育てていくようにすること。その際,
集団の生活の中で,幼児が自己を発揮し,教師や他の幼児に認められる体験をし,自分のよさや
特徴に気付き,自信をもって行動できるようにすること。
⑶ 幼児が互いに関わりを深め,協同して遊ぶようになるため,自ら行動する力を育てるようにす
るとともに,他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを
味わうことができるようにすること。
⑷ 道徳性の芽生えを培うに当たっては,基本的な生活習慣の形成を図るとともに,幼児が他の幼
児との関わりの中で他人の存在に気付き,相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし,
また,自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に,
人に対する信頼感や思いやりの気持ちは,葛藤やつまずきをも体験し,それらを乗り越えること
により次第に芽生えてくることに配慮すること。
⑸ 集団の生活を通して,幼児が人との関わりを深め,規範意識の芽生えが培われることを考慮
し,幼児が教師との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で,互いに思いを主張し,折り合い
を付ける体験をし,きまりの必要性などに気付き,自分の気持ちを調整する力が育つようにする
こと。
⑹ 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人と触れ合い,自分の感
情や意志を表現しながら共に楽しみ,共感し合う体験を通して,これらの人々などに親しみをも
ち,人と関わることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また,
生活を通して親や祖父母などの家族の愛情に気付き,家族を大切にしようとする気持ちが育つよ
うにすること。
環 境
周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力
を養う。
1 ねらい
⑴ 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
⑵ 身近な環境に自分から関わり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようと
する。
⑶ 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚
を豊かにする。
2 内 容
⑴ 自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。
⑵ 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
⑶ 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
⑷ 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。
⑸ 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりす
る。
⑹ 日常生活の中で,我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。
⑺ 身近な物を大切にする。
⑻ 身近な物や遊具に興味をもって関わり,自分なりに比べたり,関連付けたりしながら考えた
り,試したりして工夫して遊ぶ。
⑼ 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
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幼稚園
教育要領
⑽ 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
⑾ 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
⑿ 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
⑴ 幼児が,遊びの中で周囲の環境と関わり,次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作
の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を
大切にすること。また,他の幼児の考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わ
い,自分の考えをよりよいものにしようとする気持ちが育つようにすること。
⑵ 幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美しさ,不思議さなどに直接触れる
体験を通して,幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われること
を踏まえ,幼児が自然との関わりを深めることができるよう工夫すること。
⑶ 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い,共感し合うことなどを通して自分から関わろう
とする意欲を育てるとともに,様々な関わり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念,生命
を大切にする気持ち,公共心,探究心などが養われるようにすること。
⑷ 文化や伝統に親しむ際には,正月や節句など我が国の伝統的な行事,国歌,唱歌,わらべう
たや我が国の伝統的な遊びに親しんだり,異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じ
て,社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。
⑸ 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量
や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。
言 葉
経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲
や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
1 ねらい
⑴ 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
⑵ 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わ
う。
⑶ 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,言葉に対する
感覚を豊かにし,先生や友達と心を通わせる。
2 内 容
⑴ 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。
⑵ したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
⑶ したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
⑷ 人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。
⑸ 生活の中で必要な言葉が分かり,使う。
⑹ 親しみをもって日常の挨拶をする。
⑺ 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
⑻ いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
⑼ 絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。
⑽ 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
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幼稚園
教育要領
⑴ 言葉は,身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答
し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して,幼児が教師
や他の幼児と関わることにより心を動かされるような体験をし,言葉を交わす喜びを味わえるよ
うにすること。
⑵ 幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに,教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して
聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき,言葉による伝え合いができるようにす
ること。
⑶ 絵本や物語などで,その内容と自分の経験とを結び付けたり,想像を巡らせたりするなど,楽
しみを十分に味わうことによって,次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われる
ようにすること。
⑷ 幼児が生活の中で,言葉の響きやリズム,新しい言葉や表現などに触れ,これらを使う楽しさ
を味わえるようにすること。その際,絵本や物語に親しんだり,言葉遊びなどをしたりすること
を通して,言葉が豊かになるようにすること。
⑸ 幼児が日常生活の中で,文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさ
を味わい,文字に対する興味や関心をもつようにすること。
表 現
感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,
創造性を豊かにする。
1 ねらい
⑴ いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
⑵ 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
⑶ 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
2 内容
⑴ 生活の中で様々な音,形,色,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽し
む。
⑵ 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
⑶ 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
⑷ 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなど
する。
⑸ いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
⑹ 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
⑺ かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。
⑻ 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
⑴ 豊かな感性は,身近な環境と十分に関わる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事な
どに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養
われるようにすること。その際,風の音や雨の音,身近にある草や花の形や色など自然の中にあ
る音,形,色などに気付くようにすること。
⑵ 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児
自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむこ
とができるようにすること。
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幼稚園
教育要領
⑶ 生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分に発揮させることがで
きるように,遊具や用具などを整えたり,様々な素材や表現の仕方に親しんだり,他の幼児の表
現に触れられるよう配慮したりし,表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫す
ること。
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幼稚園
教育要領
1 地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行
う教育活動については,幼児の心身の負担に配慮するものとする。また,次の点にも留意するもの
とする。
⑴ 教育課程に基づく活動を考慮し,幼児期にふさわしい無理のないものとなるようにすること。
その際,教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図るようにすること。
⑵ 家庭や地域での幼児の生活も考慮し,教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計
画を作成するようにすること。その際,地域の人々と連携するなど,地域の様々な資源を活用し
つつ,多様な体験ができるようにすること。
⑶ 家庭との緊密な連携を図るようにすること。その際,情報交換の機会を設けたりするなど,保
護者が,幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにすること。
⑷ 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえつつ,例えば実施日数や時間
などについて,弾力的な運用に配慮すること。
⑸ 適切な責任体制と指導体制を整備した上で行うようにすること。
2 幼稚園の運営に当たっては,子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放し
て,園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ,幼児期の教育に関する相談に応じ
たり,情報を提供したり,幼児と保護者との登園を受け入れたり,保護者同士の交流の機会を提供
したりするなど,幼稚園と家庭が一体となって幼児と関わる取組を進め,地域における幼児期の教
育のセンターとしての役割を果たすよう努めるものとする。その際,心理や保健の専門家,地域の
子育て経験者等と連携・協働しながら取り組むよう配慮するものとする。
第3 章
教育課程に係る教育時間の
終了後等に行う教育活動などの留意事項
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Page 225 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_01.pdf | 平成29 年3 月告示
前文 ………………………………………………………………
第1 章 総 則 ……………………………………………
第2 章 各 教 科 ……………………………………………
第1 節 国 語 …………………………………………
第2 節 社 会 …………………………………………
第3 節 数 学 …………………………………………
第4 節 理 科 …………………………………………
第5 節 音 楽 …………………………………………
第6 節 美 術 …………………………………………
第7 節 保健体育 …………………………………………
第8 節 技術
・
家庭 …………………………………………
第9 節 外 国 語 …………………………………………
第3 章 特別の教科 道徳 ……………………………………
第4 章 総合的な学習の時間 …………………………………
第5 章 特 別 活 動 ……………………………………………
226
227
235
235
243
260
270
285
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309
317
325
329
332
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中学校
学習指導
要領
各教科等の授業時数
備考
一 この表の授業時数の一単位時間は,五十分とする。
二 特別活動の授業時数は,中学校学習指導要領で定める学級活動(学校給食に係るも
のを除く。
)に充てるものとする。
区 分
第1 学年
第2 学年
第3 学年
各
教
科
の
授
業
時
数
国
語
140
140
105
社
会
105
105
140
数
学
140
105
140
理
科
105
140
140
音
楽
45
35
35
美
術
45
35
35
保
健
体
育
105
105
105
技術・家庭
70
70
35
外
国
語
140
140
140
特別の教科である道徳の授業時数
35
35
35
総合的な学習の時間の授業時数
50
70
70
特
別
活
動
の
授
業
時
数
35
35
35
総
授
業
時
数
1015
1015
1015
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○文部科学省告示第六十四号
学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第七十四条の規定に基づき,中学
校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の全部を次のように改正し,平成
三十三年四月一日から施行する。平成三十年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの
間における中学校学習指導要領の必要な特例については,別に定める。
平成二十九年三月三十一日
文部科学大臣 松野 博一
中学校
学習指導
要領
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教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及
び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的の
もと,同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。
1 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うと
ともに,健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養う
とともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づ
き,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を
尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の生徒
が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重
し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓
ひら
き,持続
可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教
育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立て
た教育課程である。
教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい
学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校
において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるよう
にするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を
図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。
学習指導要領とは,こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定
めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは,公の性質を有する学校における教育
水準を全国的に確保することである。また,各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね,
長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら,生徒や地域の
現状や課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる
充実を図っていくことも重要である。
生徒が学ぶことの意義を実感できる環境を整え,一人一人の資質・能力を伸ばせるように
していくことは,教職員をはじめとする学校関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,
様々な立場から生徒や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育及び
小学校教育の基礎の上に,高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しな
がら,生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待し
て,ここに中学校学習指導要領を定める。
中学校
学習指導
要領
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1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに
従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や
地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成す
るよう教育を行うものとする。
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す主体的・対話的で
深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中
で,次の⑴から⑶までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとす
る。
⑴ 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために
必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性
を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考
慮して,生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を
図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。
⑵ 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵養を目指
した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。
)を要として学
校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,総合的な学習の時間
及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこ
と。
道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間として
の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きる
ための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。
道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,そ
の他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それら
を育んできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国
家及び社会の形成者として,公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,
国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資するこ
ととなるよう特に留意すること。
⑶ 学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全
体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指し
た教育の充実に努めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,
安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科,技術・家
庭科及び特別活動の時間はもとより,各教科,道徳科及び総合的な学習の時間などにおいても
それぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また,それらの指導を通して,家庭や地
域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促
し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。
3 2の⑴から⑶までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手と
なることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体並びに
各教科,道徳科,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,第2の
第1 中学校教育の基本と教育課程の役割
第1 章
総則
中学校
学習指導
要領
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3の⑵のア及びウにおいて,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。
)に限
る。
)の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の
充実を図るものとする。その際,生徒の発達の段階や特性等を踏まえつつ,次に掲げることが偏
りなく実現できるようにするものとする。
⑴ 知識及び技能が習得されるようにすること。
⑵ 思考力,判断力,表現力等を育成すること。
⑶ 学びに向かう力,人間性等を涵
かん
養すること。
4 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要
な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してそ
の改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその
改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の
質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。
)に努めるものとす
る。
1 各学校の教育目標と教育課程の編成
教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資
質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基
本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第4章総合的な学習の
時間の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする。
2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
⑴ 各学校においては,生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを
含む。
)
,問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよ
う,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
⑵ 各学校においては,生徒や学校,地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し,豊かな人生の
実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求め
られる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を
生かした教育課程の編成を図るものとする。
3 教育課程の編成における共通的事項
⑴ 内容等の取扱い
ア 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除
き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
イ 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導する
ことができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項
は,全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校
において特に必要がある場合には,この事項にかかわらず加えて指導することができる。た
だし,これらの場合には,第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の目標や内容の趣
旨を逸脱したり,生徒の負担過重となったりすることのないようにしなければならない。
ウ 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場
合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切
な工夫を加えるものとする。
エ 学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教
第2 教育課程の編成
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科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によら
ないことができる。
オ 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を考慮して,生徒の特性等に応じた多様な学
習活動が行えるよう,第2章に示す各教科や,特に必要な教科を,選択教科として開設し生
徒に履修させることができる。その場合にあっては,全ての生徒に指導すべき内容との関連
を図りつつ,選択教科の授業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成し,生徒
の負担過重となることのないようにしなければならない。また,特に必要な教科の名称,目
標,内容などについては,各学校が適切に定めるものとする。
カ 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科
道徳の第2に示す内容とし,その実施に当たっては,第6に示す道徳教育に関する配慮事項
を踏まえるものとする。
⑵ 授業時数等の取扱い
ア 各教科等の授業は,年間35 週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生
徒の負担過重にならないようにするものとする。ただし,各教科等や学習活動の特質に応じ
効果的な場合には,夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,
これらの授業を特定の期間に行うことができる。
イ 特別活動の授業のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年
間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
ウ 各学校の時間割については,次の事項を踏まえ適切に編成するものとする。
(ア)
各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数
を確保しつつ,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定める
こと。
(イ)
各教科等の特質に応じ,10 分から15 分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導
を行う場合において,当該教科等を担当する教師が,単元や題材など内容や時間のまとま
りを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う
体制が整備されているときは,その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることができ
ること。
(ウ)
給食,休憩などの時間については,各学校において工夫を加え,適切に定めること。
(エ)
各学校において,生徒や学校,地域の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創
意工夫を生かした時間割を弾力的に編成できること。
エ 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施
と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって
相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
⑶ 指導計画の作成等に当たっての配慮事項
各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和
のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
ア 各教科等の指導内容については,⑴のアを踏まえつつ,単元や題材など内容や時間のまと
まりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3の1に示す主
体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導が
できるようにすること。
イ 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにするこ
と。
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4 学校段階間の接続
教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階間の接続を図るものとす
る。
⑴ 小学校学習指導要領を踏まえ,小学校教育までの学習の成果が中学校教育に円滑に接続さ
れ,義務教育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付け
ることができるよう工夫すること。特に,義務教育学校,小学校連携型中学校及び小学校併設
型中学校においては,義務教育9年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成するこ
と。
⑵ 高等学校学習指導要領を踏まえ,高等学校教育及びその後の教育との円滑な接続が図られる
よう工夫すること。特に,中等教育学校,連携型中学校及び併設型中学校においては,中等教
育6年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 第1の3の⑴から⑶までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間
のまとまりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行う
こと。
特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等
や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考すること
により,各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。
)
が鍛えられていくことに留意し,生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせなが
ら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を
見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した
学習の充実を図ること。
⑵ 第2の2の⑴に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えると
ともに,国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,生徒の言語活動を充実すること。あわ
せて,⑺に示すとおり読書活動を充実すること。
⑶ 第2の2の⑴に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報
通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用し
た学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教
材・教具の適切な活用を図ること。
⑷ 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れ
るように工夫すること。
⑸ 生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働するこ
との重要性などを実感しながら理解することができるよう,各教科等の特質に応じた体験活動
を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
⑹ 生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど,生徒の興味・関心を生かした
自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
⑺ 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話的で深い学びの
実現に向けた授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実
すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図
第3 教育課程の実施と学習評価
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り,資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。
2 学習評価の充実
学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感でき
るようにすること。また,各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元
や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や
成果を評価し,指導の改善や学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにするこ
と。
⑵ 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推
進するとともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫す
ること。
1 生徒の発達を支える指導の充実
教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育て
るため,日頃から学級経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行
うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した
指導を行うカウンセリングの双方により,生徒の発達を支援すること。
⑵ 生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校
生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を
深め,学習指導と関連付けながら,生徒指導の充実を図ること。
⑶ 生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて
必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教
科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自らの生き方を考え
主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な
進路指導を行うこと。
⑷ 生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることが
できるよう,生徒や学校の実態に応じ,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容
の習熟の程度に応じた学習,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な
学習などの学習活動を取り入れることや,教師間の協力による指導体制を確保することなど,
指導方法や指導体制の工夫改善により,個に応じた指導の充実を図ること。その際,第3の1
の⑶に示す情報手段や教材・教具の活用を図ること。
2 特別な配慮を必要とする生徒への指導
⑴ 障害のある生徒などへの指導
ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の
生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとす
る。
イ 特別支援学級において実施する特別の教育課程については,次のとおり編成するものとす
る。
(ア)
障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るため,特別支援学校小学部・中
学部学習指導要領第7章に示す自立活動を取り入れること。
第4 生徒の発達の支援
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(イ)
生徒の障害の程度や学級の実態等を考慮の上,各教科の目標や内容を下学年の教科の目
標や内容に替えたり,各教科を,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
の各教科に替えたりするなどして,実態に応じた教育課程を編成すること。
ウ 障害のある生徒に対して,通級による指導を行い,特別の教育課程を編成する場合には,
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第7章に示す自立活動の内容を参考とし,具体的
な目標や内容を定め,指導を行うものとする。その際,効果的な指導が行われるよう,各教
科等と通級による指導との関連を図るなど,教師間の連携に努めるものとする。
エ 障害のある生徒などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労働等の業務を行う
関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために,個別の教育支
援計画を作成し活用することに努めるとともに,各教科等の指導に当たって,個々の生徒の
実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする。特に,特
別支援学級に在籍する生徒や通級による指導を受ける生徒については,個々の生徒の実態を
的確に把握し,個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し,効果的に活用するものとす
る。
⑵ 海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や,日本語の習得に困難のある生徒に対する
日本語指導
ア 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における
生活経験を生かすなどの適切な指導を行うものとする。
イ 日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方
法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。特に,通級による日本語指導については,
教師間の連携に努め,指導についての計画を個別に作成することなどにより,効果的な指導
に努めるものとする。
⑶ 不登校生徒への配慮
ア 不登校生徒については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は
援助を得ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の生徒の実態に応じた情報の提供その
他の必要な支援を行うものとする。
イ 相当の期間中学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒を対象として,文部科学大
臣が認める特別の教育課程を編成する場合には,生徒の実態に配慮した教育課程を編成する
とともに,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとす
る。
⑷ 学齢を経過した者への配慮
ア 夜間その他の特別の時間に授業を行う課程において学齢を経過した者を対象として特別の
教育課程を編成する場合には,学齢を経過した者の年齢,経験又は勤労状況その他の実情を
踏まえ,中学校教育の目的及び目標並びに第2章以下に示す各教科等の目標に照らして,中
学校教育を通じて育成を目指す資質・能力を身に付けることができるようにするものとす
る。
イ 学齢を経過した者を教育する場合には,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体
制の工夫改善に努めるものとする。
1 教育課程の改善と学校評価,教育課程外の活動との連携等
ア 各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつ
第5 学校運営上の留意事項
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つ,相互に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう
努めるものとする。また,各学校が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善
が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ,カリキュラム・マネジメントと関連付け
ながら実施するよう留意するものとする。
イ 教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の
全体計画,いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の
全体計画等と関連付けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特
に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学
等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵
かん
養等,学校教育が目指す資質・能力の
育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意す
ること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関
係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられる
ようにするものとする。
2 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携
教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の実施に必要な人
的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど,家庭や地域社会との連
携及び協働を深めること。また,高齢者や異年齢の子供など,地域における世代を越えた交
流の機会を設けること。
イ 他の中学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,高等学校,特別支援学校などと
の間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を
設け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。
道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,前項までに示す事項に加え,次の
事項に配慮するものとする。
1 各学校においては,第1の2の⑵に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作
成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」とい
う。
)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成
に当たっては,生徒や学校,地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとと
もに,道徳科の指導方針,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容との関連を踏まえた各教科,
総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の
方法を示すこと。
2 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その
際,小学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活
をすること,生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,
法やきまりの意義に関する理解を深めること,自らの将来の生き方を考え主体的に社会の形成に
参画する意欲と態度を養うこと,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛す
るとともに,他国を尊重すること,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けることに留
意すること。
第6 道徳教育に関する配慮事項
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3 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体
験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,
生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資する
こととなるよう留意すること。
4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳
教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会
との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
中学校
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言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・
能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
⑵ 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
⑶ 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語
を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
〔第1学年〕
1 目 標
⑴ 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり
理解したりすることができるようにする。
⑵ 筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い,日常生活における人との
関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを確かなものにすることができるようにす
る。
⑶ 言葉がもつ価値に気付くとともに,進んで読書をし,我が国の言語文化を大切にして,思い
や考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音声の働きや仕組みについて,理解を深めること。
イ 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」と
いう。
)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち300 字程度から400 字程度ま
での漢字を読むこと。また,学年別漢字配当表の漢字のうち900 字程度の漢字を書き,文
や文章の中で使うこと。
ウ 事象や行為,心情を表す語句の量を増すとともに,語句の辞書的な意味と文脈上の意味と
の関係に注意して話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 単語の類別について理解するとともに,指示する語句と接続する語句の役割について理解
を深めること。
オ 比喩,反復,倒置,体言止めなどの表現の技法を理解し使うこと。
⑵ 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 原因と結果,意見と根拠など情報と情報との関係について理解すること。
イ 比較や分類,関係付けなどの情報の整理の仕方,引用の仕方や出典の示し方について理解
第1 目 標
第2 各学年の目標及び内容
第2 章
各教科
第1 節 国語
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を深め,それらを使うこと。
⑶ 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音読に必要な文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読し,古典特有のリズム
を通して,古典の世界に親しむこと。
イ 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
ウ 共通語と方言の果たす役割について理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)
字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷書で書くこと。
(イ)
漢字の行書の基礎的な書き方を理解して,身近な文字を行書で書くこと。
オ 読書が,知識や情報を得たり,自分の考えを広げたりすることに役立つことを理解するこ
と。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
⑴ 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,日常生活の中から話題を決め,集めた材料を整理し,伝え合う内容
を検討すること。
イ 自分の考えや根拠が明確になるように,話の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見と
の関係などに注意して,話の構成を考えること。
ウ 相手の反応を踏まえながら,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫するこ
と。
エ 必要に応じて記録したり質問したりしながら話の内容を捉え,共通点や相違点などを踏ま
えて,自分の考えをまとめること。
オ 話題や展開を捉えながら話し合い,互いの発言を結び付けて考えをまとめること。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 紹介や報告など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問したり意見などを述べたり
する活動。
イ 互いの考えを伝えるなどして,少人数で話し合う活動。
B 書くこと
⑴ 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,日常生活の中から題材を決め,集めた材料を整理し,伝えたいこと
を明確にすること。
イ 書く内容の中心が明確になるように,段落の役割などを意識して文章の構成や展開を考え
ること。
ウ 根拠を明確にしながら,自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,文章を整えるこ
と。
オ 根拠の明確さなどについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善
点を見いだすこと。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本や資料から文章や図表などを引用して説明したり記録したりするなど,事実やそれを基
に考えたことを書く活動。
イ 行事の案内や報告の文章を書くなど,伝えるべきことを整理して書く活動。
ウ 詩を創作したり随筆を書いたりするなど,感じたことや考えたことを書く活動。
中学校
学習指導
要領
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C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係などについて叙述を基に捉え,
要旨を把握すること。
イ 場面の展開や登場人物の相互関係,心情の変化などについて,描写を基に捉えること。
ウ 目的に応じて必要な情報に着目して要約したり,場面と場面,場面と描写などを結び付け
たりして,内容を解釈すること。
エ 文章の構成や展開,表現の効果について,根拠を明確にして考えること。
オ 文章を読んで理解したことに基づいて,自分の考えを確かなものにすること。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や記録などの文章を読み,理解したことや考えたことを報告したり文章にまとめたり
する活動。
イ 小説や随筆などを読み,考えたことなどを記録したり伝え合ったりする活動。
ウ 学校図書館などを利用し,多様な情報を得て,考えたことなどを報告したり資料にまとめ
たりする活動。
〔第2学年〕
1 目 標
⑴ 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり
理解したりすることができるようにする。
⑵ 論理的に考える力や共感したり想像したりする力を養い,社会生活における人との関わりの
中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
⑶ 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を生活に役立て,我が国の言語文化を大切にし
て,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,相手の行動を促す働きがあることに気付くこと。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴について理解すること。
ウ 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち
350 字程度から450 字程度までの漢字を読むこと。また,学年別漢字配当表に示されてい
る漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
エ 抽象的な概念を表す語句の量を増すとともに,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意
味を表す語句などについて理解し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊
かにすること。
オ 単語の活用,助詞や助動詞などの働き,文の成分の順序や照応など文の構成について理解
するとともに,話や文章の構成や展開について理解を深めること。
カ 敬語の働きについて理解し,話や文章の中で使うこと。
⑵ 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 意見と根拠,具体と抽象など情報と情報との関係について理解すること。
イ 情報と情報との関係の様々な表し方を理解し使うこと。
中学校
学習指導
要領
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⑶ 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界に親しむこと。
イ 現代語訳や語注などを手掛かりに作品を読むことを通して,古典に表れたものの見方や考
え方を知ること。
ウ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)
漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
(イ)
目的や必要に応じて,楷書又は行書を選んで書くこと。
エ 本や文章などには,様々な立場や考え方が書かれていることを知り,自分の考えを広げた
り深めたりする読書に生かすこと。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
⑴ 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,異なる立場や考えを想定しながら集
めた材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えが明確になるように,根拠の適切さや論理の展開などに注意して,話の
構成を工夫すること。
ウ 資料や機器を用いるなどして,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫するこ
と。
エ 論理の展開などに注意して聞き,話し手の考えと比較しながら,自分の考えをまとめるこ
と。
オ 互いの立場や考えを尊重しながら話し合い,結論を導くために考えをまとめること。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や提案など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問や助言などをしたりする活
動。
イ それぞれの立場から考えを伝えるなどして,議論や討論をする活動。
B 書くこと
⑴ 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,多様な方法で集めた材料を整理し,
伝えたいことを明確にすること。
イ 伝えたいことが分かりやすく伝わるように,段落相互の関係などを明確にし,文章の構成
や展開を工夫すること。
ウ 根拠の適切さを考えて説明や具体例を加えたり,表現の効果を考えて描写したりするな
ど,自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表現の効果などを確かめて,文章を整えること。
オ 表現の工夫とその効果などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい
点や改善点を見いだすこと。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 多様な考えができる事柄について意見を述べるなど,自分の考えを書く活動。
イ 社会生活に必要な手紙や電子メールを書くなど,伝えたいことを相手や媒体を考慮して書
く活動。
ウ 短歌や俳句,物語を創作するなど,感じたことや想像したことを書く活動。
C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
中学校
学習指導
要領
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ア 文章全体と部分との関係に注意しながら,主張と例示との関係や登場人物の設定の仕方な
どを捉えること。
イ 目的に応じて複数の情報を整理しながら適切な情報を得たり,登場人物の言動の意味など
について考えたりして,内容を解釈すること。
ウ 文章と図表などを結び付け,その関係を踏まえて内容を解釈すること。
エ 観点を明確にして文章を比較するなどし,文章の構成や論理の展開,表現の効果について
考えること。
オ 文章を読んで理解したことや考えたことを知識や経験と結び付け,自分の考えを広げたり
深めたりすること。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 報告や解説などの文章を読み,理解したことや考えたことを説明したり文章にまとめたり
する活動。
イ 詩歌や小説などを読み,引用して解説したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 本や新聞,インターネットなどから集めた情報を活用し,出典を明らかにしながら,考え
たことなどを説明したり提案したりする活動。
〔第3学年〕
1 目 標
⑴ 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり
理解したりすることができるようにする。
⑵ 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を養い,社会生活における人と
の関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるよ
うにする。
⑶ 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を通して自己を向上させ,我が国の言語文化に関
わり,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
⑴ 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。また,学
年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
イ 理解したり表現したりするために必要な語句の量を増し,慣用句や四字熟語などについて
理解を深め,話や文章の中で使うとともに,和語,漢語,外来語などを使い分けることを通
して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 話や文章の種類とその特徴について理解を深めること。
エ 敬語などの相手や場に応じた言葉遣いを理解し,適切に使うこと。
⑵ 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 具体と抽象など情報と情報との関係について理解を深めること。
イ 情報の信頼性の確かめ方を理解し使うこと。
⑶ 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歴史的背景などに注意して古典を読むことを通して,その世界に親しむこと。
イ 長く親しまれている言葉や古典の一節を引用するなどして使うこと。
中学校
学習指導
要領
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ウ 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いについて理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)
身の回りの多様な表現を通して文字文化の豊かさに触れ,効果的に文字を書くこと。
オ 自分の生き方や社会との関わり方を支える読書の意義と効用について理解すること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
⑴ 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,多様な考えを想定しながら材料を整
理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えを明確にし,相手を説得できるように論理の展開などを考えて,話の構
成を工夫すること。
ウ 場の状況に応じて言葉を選ぶなど,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫す
ること。
エ 話の展開を予測しながら聞き,聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分の考えを広
げたり深めたりすること。
オ 進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら話し合い,合意形成に向けて考
えを広げたり深めたりすること。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 提案や主張など自分の考えを話したり,それらを聞いて質問したり評価などを述べたりす
る活動。
イ 互いの考えを生かしながら議論や討論をする活動。
B 書くこと
⑴ 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,集めた材料の客観性や信頼性を確認
し,伝えたいことを明確にすること。
イ 文章の種類を選択し,多様な読み手を説得できるように論理の展開などを考えて,文章の
構成を工夫すること。
ウ 表現の仕方を考えたり資料を適切に引用したりするなど,自分の考えが分かりやすく伝わ
る文章になるように工夫すること。
エ 目的や意図に応じた表現になっているかなどを確かめて,文章全体を整えること。
オ 論理の展開などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点
を見いだすこと。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評するなど,自分の考えを書く活動。
イ 情報を編集して文章にまとめるなど,伝えたいことを整理して書く活動。
C 読むこと
⑴ 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,論理や物語の展開の仕方などを捉えること。
イ 文章を批判的に読みながら,文章に表れているものの見方や考え方について考えること。
ウ 文章の構成や論理の展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで考えを広げたり深めたりして,人間,社会,自然などについて,自分の意見
をもつこと。
⑵ ⑴に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
中学校
学習指導
要領
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ア 論説や報道などの文章を比較するなどして読み,理解したことや考えたことについて討論
したり文章にまとめたりする活動。
イ 詩歌や小説などを読み,批評したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 実用的な文章を読み,実生活への生かし方を考える活動。
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒
の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,言葉による見方・考え方
を働かせ,言語活動を通して,言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学
習の充実を図ること。
⑵ 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げるこ
ともできること。
⑶ 第2の各学年の内容の〔知識及び技能〕に示す事項については,
〔思考力,判断力,表現力
等〕に示す事項の指導を通して指導することを基本とし,必要に応じて,特定の事項だけを取
り上げて指導したり,それらをまとめて指導したりするなど,指導の効果を高めるよう工夫す
ること。
⑷ 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」に関す
る指導については,第1学年及び第2学年では年間15 〜25 単位時間程度,第3学年では年間
10 〜20 単位時間程度を配当すること。その際,音声言語のための教材を積極的に活用するな
どして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
⑸ 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B書くこと」に関する指導につい
ては,第1学年及び第2学年では年間30 〜40 単位時間程度,第3学年では年間20 〜30 単位
時間程度を配当すること。その際,実際に文章を書く活動を重視すること。
⑹ 第2の第1学年及び第3学年の内容の〔知識及び技能〕の⑶のオ,第2学年の内容の〔知識
及び技能〕の⑶のエ,各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」に関す
る指導については,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにするとともに,他
教科等における読書の指導や学校図書館における指導との関連を考えて行うこと。
⑺ 言語能力の向上を図る観点から,外国語科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効
果を高めるようにすること。
⑻ 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指
導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
⑼ 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しな
がら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導を
すること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 〔知識及び技能〕に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 日常の言語活動を振り返ることなどを通して,生徒が,実際に話したり聞いたり書いたり
読んだりする場面を意識できるよう指導を工夫すること。
イ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア)
他教科等の学習において必要となる漢字については,当該教科等と関連付けて指導する
など,その確実な定着が図られるよう工夫すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
中学校
学習指導
要領
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ウ 書写の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア)
文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生
活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。
(イ)
硬筆を使用する書写の指導は各学年で行うこと。
(ウ)
毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指
導すること。
(エ)
書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20 単位時間程度,
第3学年では年間10 単位時間程度とすること。
⑵ 第2の内容の指導に当たっては,生徒がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活
用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
⑶ 第2の内容の指導に当たっては,学校図書館などを目的をもって計画的に利用しその機能の
活用を図るようにすること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
⑴ 教材は,第2の各学年の目標及び内容に示す資質・能力を偏りなく養うことや読書に親しむ
態度を育成することをねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調
和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話
すこと・聞くこと」
,
「B書くこと」及び「C読むこと」のそれぞれの⑵に掲げる言語活動が十
分行われるよう教材を選定すること。
⑵ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的に物事を捉え考察し,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立
つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立
つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役
立つこと。
⑶ 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」の教材については,
各学年で説明的な文章や文学的な文章などの文章の種類を調和的に取り扱うこと。また,説明
的な文章については,適宜,図表や写真などを含むものを取り上げること。
⑷ 我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれか
の学年で取り上げること。
⑸ 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した
文章などを取り上げること。
中学校
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要領
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社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立
ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民
としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 我が国の国土と歴史,現代の政治,経済,国際関係等に関して理解するとともに,調査や諸資
料から様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
⑵ 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる
課題の解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に
議論したりする力を養う。
⑶ 社会的事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養
うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の国土や歴史に対する
愛情,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文
化を尊重することの大切さについての自覚などを深める。
〔地理的分野〕
1 目 標
社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通し
て,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会
の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 我が国の国土及び世界の諸地域に関して,地域の諸事象や地域的特色を理解するとともに,
調査や諸資料から地理に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにす
る。
⑵ 地理に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,位置や分布,場所,人間と自然環
境との相互依存関係,空間的相互依存作用,地域などに着目して,多面的・多角的に考察した
り,地理的な課題の解決に向けて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明
したり,それらを基に議論したりする力を養う。
⑶ 日本や世界の地域に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課
題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解
を通して涵
かん
養される我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しよう
とすることの大切さについての自覚などを深める。
2 内 容
A 世界と日本の地域構成
⑴ 地域構成
次の①と②の地域構成を取り上げ,位置や分布などに着目して,課題を追究したり解決した
りする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 世界の地域構成 ② 日本の地域構成
ア 次のような知識を身に付けること。
第1 目 標
第2 各分野の目標及び内容
第2 節 社会
中学校
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要領
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(ア)
緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置などを基に,世界の地域構成を
大観し理解すること。
(イ)
我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の範囲や変化とその特色などを基に,日
本の地域構成を大観し理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
世界の地域構成の特色を,大陸と海洋の分布や主な国の位置,緯度や経度などに着目し
て多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
日本の地域構成の特色を,周辺の海洋の広がりや国土を構成する島々の位置などに着目
して多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 世界の様々な地域
⑴ 世界各地の人々の生活と環境
場所や人間と自然環境との相互依存関係などに着目して,課題を追究したり解決したりする
活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
人々の生活は,その生活が営まれる場所の自然及び社会的条件から影響を受けたり,そ
の場所の自然及び社会的条件に影響を与えたりすることを理解すること。
(イ)
世界各地における人々の生活やその変容を基に,世界の人々の生活や環境の多様性を理
解すること。その際,世界の主な宗教の分布についても理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
世界各地における人々の生活の特色やその変容の理由を,その生活が営まれる場所の自
然及び社会的条件などに着目して多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑵ 世界の諸地域
次の①から⑥までの各州を取り上げ,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設
けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けること
ができるよう指導する。
① アジア ② ヨーロッパ ③ アフリカ
④ 北アメリカ ⑤ 南アメリカ ⑥ オセアニア
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界各地で顕在化している地球的課題は,それが見られる地域の地域的特色の影響を受
けて,現れ方が異なることを理解すること。
(イ)
①から⑥までの世界の各州に暮らす人々の生活を基に,各州の地域的特色を大観し理解
すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
①から⑥までの世界の各州において,地域で見られる地球的課題の要因や影響を,州と
いう地域の広がりや地域内の結び付きなどに着目して,それらの地域的特色と関連付けて
多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 日本の様々な地域
⑴ 地域調査の手法
場所などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付け
ることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
観察や野外調査,文献調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方の基礎を理解する
こと。
中学校
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(イ)
地形図や主題図の読図,目的や用途に適した地図の作成などの地理的技能を身に付ける
こと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
地域調査において,対象となる場所の特徴などに着目して,適切な主題や調査,まとめ
となるように,調査の手法やその結果を多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑵ 日本の地域的特色と地域区分
次の①から④までの項目を取り上げ,分布や地域などに着目して,課題を追究したり解決し
たりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 自然環境 ② 人口 ③ 資源・エネルギーと産業
④ 交通・通信
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色,自然災害と防災への取組
などを基に,日本の自然環境に関する特色を理解すること。
(イ)
少子高齢化の課題,国内の人口分布や過疎・過密問題などを基に,日本の人口に関する
特色を理解すること。
(ウ)
日本の資源・エネルギー利用の現状,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課
題などを基に,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を理解すること。
(エ)
国内や日本と世界との交通・通信網の整備状況,これを活用した陸上,海上輸送などの
物流や人の往来などを基に,国内各地の結び付きや日本と世界との結び付きの特色を理解
すること。
(オ)
①から④までの項目に基づく地域区分を踏まえ,我が国の国土の特色を大観し理解する
こと。
(カ)
日本や国内地域に関する各種の主題図や資料を基に,地域区分をする技能を身に付ける
こと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
①から④までの項目について,それぞれの地域区分を,地域の共通点や差異,分布など
に着目して,多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
日本の地域的特色を,①から④までの項目に基づく地域区分などに着目して,それらを
関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑶ 日本の諸地域
次の①から⑤までの考察の仕方を基にして,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主
題を設けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付け
ることができるよう指導する。
① 自然環境を中核とした考察の仕方
② 人口や都市・村落を中核とした考察の仕方
③ 産業を中核とした考察の仕方
④ 交通や通信を中核とした考察の仕方
⑤ その他の事象を中核とした考察の仕方
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
幾つかに区分した日本のそれぞれの地域について,その地域的特色や地域の課題を理解
すること。
(イ)
①から⑤までの考察の仕方で取り上げた特色ある事象と,それに関連する他の事象や,
そこで生ずる課題を理解すること。
中学校
学習指導
要領
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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
日本の諸地域において,それぞれ①から⑤までで扱う中核となる事象の成立条件を,地
域の広がりや地域内の結び付き,人々の対応などに着目して,他の事象やそこで生ずる課
題と有機的に関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑷ 地域の在り方
空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通し
て,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
地域の実態や課題解決のための取組を理解すること。
(イ)
地域的な課題の解決に向けて考察,構想したことを適切に説明,議論しまとめる手法に
ついて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
地域の在り方を,地域の結び付きや地域の変容,持続可能性などに着目し,そこで見ら
れる地理的な課題について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
⑴ 内容のA,B及びCについては,この順序で取り扱うものとし,既習の学習成果を生かすこ
と。
⑵ 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 世界や日本の場所や地域の特色には,一般的共通性と地方的特殊性があり,また,地域に
見られる諸事象は,その地域の規模の違いによって現れ方が異なることに留意すること。
イ 地図の読図や作図,景観写真の読み取り,地域に関する情報の収集や処理などの地理的技
能を身に付けるに当たっては,系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図
書「地図」を十分に活用すること。
ウ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることの
ないようにすること。
エ 地域の特色や変化を捉えるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に
留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮するこ
と。
オ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色を
捉える上で必要な範囲にとどめること。
⑶ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
日本の地域構成を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取
り上げること。
(イ)
「領域の範囲や変化とその特色」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上
げるとともに,竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめ
ぐる問題も取り上げるようにすること。その際,尖閣諸島については我が国の固有の領土
であり,領土問題は存在しないことも扱うこと。
(ウ)
地球儀や地図を積極的に活用し,学習全体を通して,大まかに世界地図や日本地図を描
けるようにすること。
⑷ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,世界各地の人々の生活の特色やその変容の理由と,その生活が営まれる場
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所の自然及び社会的条件との関係を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教との
関わりなどを取り上げるようにすること。
イ ⑵については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
州ごとに設ける主題については,各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる事
象を取り上げるとともに,そこで特徴的に見られる地球的課題と関連付けて取り上げるこ
と。
(イ)
取り上げる地球的課題については,地域間の共通性に気付き,我が国の国土の認識を
深め,持続可能な社会づくりを考える上で効果的であるという観点から設定すること。ま
た,州ごとに異なるものとなるようにすること。
⑸ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
地域調査に当たっては,対象地域は学校周辺とし,主題は学校所在地の事情を踏まえ
て,防災,人口の偏在,産業の変容,交通の発達などの事象から適切に設定し,観察や調
査を指導計画に位置付けて実施すること。なお,学習の効果を高めることができる場合に
は,内容のCの⑶の中の学校所在地を含む地域の学習や,Cの⑷と結び付けて扱うことが
できること。
(イ)
様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの
作業的な学習活動を取り入れること。また,課題の追究に当たり,例えば,防災に関わり
危険を予測したり,人口の偏在に関わり人口動態を推測したりする際には,縮尺の大きな
地図や統計その他の資料を含む地理空間情報を適切に取り扱い,その活用の技能を高める
ようにすること。
イ ⑵については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
①から④までで示した日本の地域的特色については,系統的に理解を深めるための基本
的な事柄で構成すること。
(イ)
地域区分に際しては,日本の地域的特色を見いだしやすくなるようにそれぞれ適切な数
で区分すること。
ウ ⑶については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
日本の諸地域については,国内を幾つかの地域に区分して取り上げることとし,その地
域区分は,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ)
学習する地域ごとに①から⑤までの考察の仕方を一つ選択することとし,①から④まで
の考察の仕方は,少なくとも一度は取り扱うこと。また,⑤の考察の仕方は,様々な事象
や事柄の中から,取り上げる地域に応じた適切なものを適宜設定すること。
(ウ)
地域の考察に当たっては,そこに暮らす人々の生活・文化,地域の伝統や歴史的な背
景,地域の持続可能な社会づくりを踏まえた視点に留意すること。
エ ⑷については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
取り上げる地域や課題については,各学校において具体的に地域の在り方を考察できる
ような,適切な規模の地域や適切な課題を取り上げること。
(イ)
学習の効果を高めることができる場合には,内容のCの⑴の学習や,Cの⑶の中の学校
所在地を含む地域の学習と結び付けて扱うことができること。
(ウ)
考察,構想,表現する際には,学習対象の地域と類似の課題が見られる他の地域と比較
したり,関連付けたりするなど,具体的に学習を進めること。
(エ)
観察や調査の結果をまとめる際には,
地図や諸資料を有効に活用して事象を説明したり,
自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
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〔歴史的分野〕
1 目 標
社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通し
て,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会
の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解するとと
もに,諸資料から歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにす
る。
⑵ 歴史に関わる事象の意味や意義,伝統と文化の特色などを,時期や年代,推移,比較,相互
の関連や現在とのつながりなどに着目して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題
を把握し複数の立場や意見を踏まえて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを
説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
⑶ 歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に
追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養
される我が国の歴史に対する愛情,国民としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々
の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切
さについての自覚などを深め,国際協調の精神を養う。
2 内 容
A 歴史との対話
⑴ 私たちと歴史
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
年代の表し方や時代区分の意味や意義についての基本的な内容を理解すること。
(イ)
資料から歴史に関わる情報を読み取ったり,年表などにまとめたりするなどの技能を身
に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
時期や年代,推移,現在の私たちとのつながりなどに着目して,小学校での学習を踏ま
えて歴史上の人物や文化財,出来事などから適切なものを取り上げ,時代区分との関わり
などについて考察し表現すること。
⑵ 身近な地域の歴史
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
自らが生活する地域や受け継がれてきた伝統や文化への関心をもって,具体的な事柄と
の関わりの中で,地域の歴史について調べたり,収集した情報を年表などにまとめたりす
るなどの技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
比較や関連,時代的な背景や地域的な環境,歴史と私たちとのつながりなどに着目し
て,地域に残る文化財や諸資料を活用して,身近な地域の歴史的な特徴を多面的・多角的
に考察し,表現すること。
B 近世までの日本とアジア
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⑴ 古代までの日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界の古代文明や宗教のおこり
世界の古代文明や宗教のおこりを基に,世界の各地で文明が築かれたことを理解するこ
と。
(イ)
日本列島における国家形成
日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷(大和政
権)による統一の様子と東アジアとの関わりなどを基に,東アジアの文明の影響を受けな
がら我が国で国家が形成されていったことを理解すること。
(ウ)
律
りつ
令
りょう
国家の形成
律
りつ
令
りょう
国家の確立に至るまでの過程,摂関政治などを基に,東アジアの文物や制度を積
極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ,その後,天皇や貴族による政治が展開し
たことを理解すること。
(エ)
古代の文化と東アジアとの関わり
仏教の伝来とその影響,仮名文字の成立などを基に,国際的な要素をもった文化が栄
え,それらを基礎としながら文化の国風化が進んだことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
古代文明や宗教が起こった場所や環境,農耕の広まりや生産技術の発展,東アジアとの
接触や交流と政治や文化の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(エ)
までについて古代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現するこ
と。
(イ)
古代までの日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑵ 中世の日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
武家政治の成立とユーラシアの交流
鎌倉幕府の成立,元
げん
寇
こう
(モンゴル帝国の襲来)などを基に,武士が台頭して主従の結び
付きや武力を背景とした武家政権が成立し,その支配が広まったこと,元寇がユーラシア
の変化の中で起こったことを理解すること。
(イ)
武家政治の展開と東アジアの動き
南北朝の争乱と室町幕府,日
にち
明
みん
貿易,琉
りゅう
球
きゅう
の国際的な役割などを基に,武家政治の展開
とともに,東アジア世界との密接な関わりが見られたことを理解すること。
(ウ)
民衆の成長と新たな文化の形成
農業など諸産業の発達,畿内を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立,
武士や民衆などの多様な文化の形成,応
おう
仁
にん
の乱後の社会的な変動などを基に,民衆の成長
を背景とした社会や文化が生まれたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
武士の政治への進出と展開,東アジアにおける交流,農業や商工業の発達などに着目し
て,事象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(ウ)
までについて中世の社会の変化の
様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
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(イ)
中世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑶ 近世の日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界の動きと統一事業
ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織
お
田
だ
・豊
とよ
臣
とみ
による統一事業とその当時の対外関
係,武将や豪商などの生活文化の展開などを基に,近世社会の基礎がつくられたことを理
解すること。
(イ)
江戸幕府の成立と対外関係
江戸幕府の成立と大名統制,身分制と農村の様子,鎖国などの幕府の対外政策と対外関
係などを基に,幕府と藩による支配が確立したことを理解すること。
(ウ)
産業の発達と町人文化
産業や交通の発達,教育の普及と文化の広がりなどを基に,町人文化が都市を中心に形
成されたことや,各地方の生活文化が生まれたことを理解すること。
(エ)
幕府の政治の展開
社会の変動や欧米諸国の接近,幕府の政治改革,新しい学問・思想の動きなどを基に,
幕府の政治が次第に行き詰まりをみせたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
交易の広がりとその影響,統一政権の諸政策の目的,産業の発達と文化の担い手の変
化,社会の変化と幕府の政策の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,
アの
(ア)
から
(エ)
までについて近世の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現す
ること。
(イ)
近世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 近現代の日本と世界
⑴ 近代の日本と世界
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
欧米における近代社会の成立とアジア諸国の動き
欧米諸国における産業革命や市民革命,アジア諸国の動きなどを基に,欧米諸国が近代
社会を成立させてアジアへ進出したことを理解すること。
(イ)
明治維新と近代国家の形成
開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化の風潮などを基に,明治維新に
よって近代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解すること。
(ウ)
議会政治の始まりと国際社会との関わり
自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日
にっ
清
しん
・日露戦争,条約改正などを基に,立憲制
の国家が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的な地位が向上したことを理
解すること。
(エ)
近代産業の発展と近代文化の形成
我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを
基に,我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解すること。
(オ)
第一次世界大戦前後の国際情勢と大衆の出現
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第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民
の政治的自覚の高まりと文化の大衆化などを基に,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我
が国の動きと,大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解すること。
(カ)
第二次世界大戦と人類への惨禍
経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が
国の政治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の
生活などを基に,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたこ
とを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
工業化の進展と政治や社会の変化,明治政府の諸改革の目的,議会政治や外交の展開,
近代化がもたらした文化への影響,経済の変化の政治への影響,戦争に向かう時期の社会
や生活の変化,世界の動きと我が国との関連などに着目して,事象を相互に関連付けるな
どして,アの
(ア)
から
(カ)
までについて近代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,
表現すること。
(イ)
近代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑵ 現代の日本と世界
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導すること。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
日本の民主化と冷戦下の国際社会
冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを基に,第二次世界大戦後
の諸改革の特色や世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解すること。
(イ)
日本の経済の発展とグローバル化する世界
高度経済成長,国際社会との関わり,冷戦の終結などを基に,我が国の経済や科学技術
の発展によって国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきた
ことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
諸改革の展開と国際社会の変化,政治の展開と国民生活の変化などに着目して,事象
を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
及び
(イ)
について現代の社会の変化の様子を多面的・
多角的に考察し,表現すること。
(イ)
現代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(ウ)
これまでの学習を踏まえ,歴史と私たちとのつながり,現在と未来の日本や世界の在り
方について,課題意識をもって多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
⑴ 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の発達の段階を考慮して,各時代の特色や時代の転換に関係する基礎的・基本的な歴
史に関わる事象を重点的に選んで指導内容を構成すること。
イ 調査や諸資料から歴史に関わる事象についての様々な情報を効果的に収集し,読み取り,
まとめる技能を身に付ける学習を重視すること。その際,年表を活用した読み取りやまと
め,文献,図版などの多様な資料,地図などの活用を十分に行うこと。
ウ 歴史に関わる事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究し
たり,意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うととも
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に,学習内容の確かな理解と定着を図ること。
エ 各時代の文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考察させるようにするこ
と。
オ 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化
が相互に深く関わっていることを考察させるようにすること。その際,歴史に見られる文化
や生活の多様性に気付かせること。
カ 国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わ
る文化遺産について,生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それらの時代的背
景や地域性などと関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人
物と文化遺産を取り上げることにも留意すること。
キ 歴史に関わる事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着
目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
ク 日本人の生活や生活に根ざした文化については,政治の動き,社会の動き,各地域の地理
的条件,身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり,民俗学や考古学などの成果の活用や
博物館,郷土資料館などの施設を見学・調査したりするなど具体的に学ぶことを通して理解
させるように工夫すること。
⑵ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。小学校で
の学習を踏まえ,扱う内容や活動を工夫すること。
「課題を追究したり解決したりする活動」
については,内容のB以下の学習と関わらせて,歴史を追究するために,課題意識をもって
学ぶことを促す適切な学習活動を設けるような工夫をすること。⑴のアの
(ア)
の「年代の表
し方や時代区分」の学習については,導入における学習内容を基盤にし,内容のB以下の
学習と関わらせて継続的・計画的に進めること。また,⑴のイの
(ア)
の「時期や年代,推移,
現在の私たちとのつながり」については,内容のB以下の学習と関わらせて,事象相互の関
連などにも留意し,それぞれの時代でこれらに着目して考察することが大切であることに気
付かせること。
イ ⑵については,内容のB以下の学習と関わらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時
代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取
扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの地域の施設の活用や地域の人々の
協力も考慮すること。
⑶ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴のアの
(ア)
の「世界の古代文明」については,人類の出現にも触れ,中国の文明をはじ
めとして諸文明の特徴を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展など
の共通する特徴に気付かせるようにすること。また,ギリシャ・ローマの文明について,政
治制度など民主政治の来歴の観点から取り扱うこと。
「宗教のおこり」については,仏教,
キリスト教,イスラム教などを取り上げ,古代の文明とともに大きく捉えさせるようにする
こと。⑴のアの
(イ)
の「日本列島における国家形成」については,狩猟・採集を行っていた
人々の生活が農耕の広まりとともに変化していったことに気付かせるようにすること。ま
た,考古学などの成果を活用するとともに,古事記,日本書紀,風土記などにまとめられ
た神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう
留意すること。
「大和朝廷(大和政権)による統一の様子と東アジアとの関わり」について
は,古墳の広まりにも触れるとともに,大陸から移住してきた人々の我が国の社会や文化に
果たした役割にも気付かせるようにすること。⑴のアの
(ウ)
の「律
りつ
令
りょう
国家の確立に至るまで
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の過程」については,聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
の政治,大化の改新から律
りつ
令
りょう
国家の確立に至るまでの過程
を,小学校での学習内容を活用して大きく捉えさせるようにすること。なお,
「聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
の
政治」を取り上げる際には,聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
が古事記や日本書紀においては「
戸
どの
皇
おう
子
じ
」などと表
記され,後に「聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
」と称されるようになったことに触れること。
イ ⑵のアの
(ア)
の「ユーラシアの変化」については,モンゴル帝国の拡大によるユーラシア
の結び付きについて気付かせること。⑵のアの
(イ)
の「琉
りゅう
球
きゅう
の国際的な役割」については,
琉
りゅう
球
きゅう
の文化についても触れること。⑵のアの
(ウ)
の「武士や民衆などの多様な文化の形成」
については,代表的な事例を取り上げてその特色を捉えさせるようにすること。その際,こ
の時代の文化の中に現在に結び付くものが見られることに気付かせるようにすること。ま
た,禅宗の文化的な影響についても触れること。
「応
おう
仁
にん
の乱後の社会的な変動」については,
戦国の動乱も取り扱うようにすること。
ウ ⑶のアの
(ア)
の「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,
その背景となるアジアの交易の状況やムスリム商人などの役割と世界の結び付きに気付かせ
ること。また,宗教改革についても触れること。
「織
お
田
だ
・豊
とよ
臣
とみ
による統一事業」については,
検地・刀狩などの政策を取り扱うようにすること。⑶のアの
(イ)
の「鎖国などの幕府の対外
政策と対外関係」については,オランダ,中国との交易のほか,朝鮮との交流や琉
りゅう
球
きゅう
の役
割,北方との交易をしていたアイヌについて取り扱うようにすること。その際,アイヌの文
化についても触れること。
「幕府と藩による支配」については,その支配の下に大きな戦乱
のない時期を迎えたことなどに気付かせること。⑶のアの
(ウ)
の「産業や交通の発達」につ
いては,身近な地域の特徴を生かすようにすること。
「各地方の生活文化」については,身
近な地域の事例を取り上げるように配慮し,藩校や寺子屋などによる「教育の普及」や社会
的な「文化の広がり」と関連させて,現在との結び付きに気付かせるようにすること。⑶の
アの
(エ)
の「幕府の政治改革」については,百姓一
いっ
揆
き
などに結び付く農村の変化や商業の発
達などへの対応という観点から,代表的な事例を取り上げるようにすること。
⑷ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴のアの
(ア)
の「市民革命」については,政治体制の変化や人権思想の発達や広がり,現
代の政治とのつながりなどと関連付けて,アメリカの独立,フランス革命などを扱うこと。
「アジア諸国の動き」については,欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という
観点から,代表的な事例を取り上げるようにすること。⑴のアの
(イ)
の「開国とその影響」
については,⑴のアの
(ア)
の欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。
「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・
兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。その際,
北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。
「明治維新」に
ついては,複雑な国際情勢の中で独立を保ち,近代国家を形成していった政府や人々の努力
に気付かせるようにすること。⑴のアの
(ウ)
の「日
にっ
清
しん
・日露戦争」については,この頃の大
陸との関係を踏まえて取り扱うようにすること。
「条約改正」については,当時の国内の社
会状況や国際情勢との関わりを踏まえて,欧米諸国と対等な外交関係を樹立する過程の中か
ら代表的な事例を取り上げるようにすること。
「立憲制の国家が成立して議会政治が始まる」
については,その歴史上の意義や現代の政治とのつながりに気付かせるようにすること。⑴
のアの
(エ)
の「近代文化」については,伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成された
ものであることに気付かせるようにすること。⑴のアの
(オ)
の「第一次世界大戦」について
は,世界に戦禍が広がった背景や,日本の参戦,ロシア革命なども取り上げて,世界の動き
と我が国との関連を踏まえて取り扱うようにすること。
「我が国の国民の政治的自覚の高ま
うまや
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学習指導
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り」については,大正デモクラシーの時期の政党政治の発達,民主主義的な思想の普及,社
会運動の展開を取り扱うようにすること。⑴のアの
(カ)
については,国際協調と国際平和の
実現に努めることが大切であることに気付かせるようにすること。
イ ⑵のアの
(ア)
の「我が国の民主化と再建の過程」については,国民が苦難を乗り越えて新
しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。その際,男女普通選挙の確
立,日本国憲法の制定などを取り扱うこと。⑵のアの
(イ)
については,沖縄返還,日中国交
正常化,石油危機などの節目となる歴史に関わる事象を取り扱うようにすること。また,民
族や宗教をめぐる対立や地球環境問題への対応などを取り扱い,これまでの学習と関わらせ
て考察,構想させるようにすること。
〔公民的分野〕
1 目 標
現代社会の見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野
に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必
要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務との関係を広い視野から正し
く認識し,民主主義,民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動との関わり,現代の社会
生活及び国際関係などについて,個人と社会との関わりを中心に理解を深めるとともに,諸資
料から現代の社会的事象に関する情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
⑵ 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を現代の社会生活と関連付けて多面的・多角的
に考察したり,現代社会に見られる課題について公正に判断したりする力,思考・判断したこ
とを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
⑶ 現代の社会的事象について,現代社会に見られる課題の解決を視野に主体的に社会に関わ
ろうとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵
かん
養される,国民
主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重
し,各国民が協力し合うことの大切さについての自覚などを深める。
2 内 容
A 私たちと現代社会
⑴ 私たちが生きる現代社会と文化の特色
位置や空間的な広がり,推移や変化などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動
を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などが見られることについて
理解すること。
(イ)
現代社会における文化の意義や影響について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
少子高齢化,情報化,グローバル化などが現在と将来の政治,経済,国際関係に与える
影響について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
文化の継承と創造の意義について多面的・多角的に考察し,表現すること。
⑵ 現代社会を捉える枠組み
対立と合意,効率と公正などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,
次の事項を身に付けることができるよう指導する。
中学校
学習指導
要領
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ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組みとして,対立と合意,効率と公正などにつ
いて理解すること。
(イ)
人間は本来社会的存在であることを基に,個人の尊厳と両性の本質的平等,契約の重要
性やそれを守ることの意義及び個人の責任について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
社会生活における物事の決定の仕方,契約を通した個人と社会との関係,きまりの役割
について多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 私たちと経済
⑴ 市場の働きと経済
対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決した
りする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
身近な消費生活を中心に経済活動の意義について理解すること。
(イ)
市場経済の基本的な考え方について理解すること。その際,市場における価格の決まり
方や資源の配分について理解すること。
(ウ)
現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解すること。
(エ)
勤労の権利と義務,労働組合の意義及び労働基準法の精神について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
個人や企業の経済活動における役割と責任について多面的・多角的に考察し,表現する
こと。
(イ)
社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善について多面的・多角的
に考察し,表現すること。
⑵ 国民の生活と政府の役割
対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決した
りする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
社会資本の整備,公害の防止など環境の保全,少子高齢社会における社会保障の充実・
安定化,消費者の保護について,それらの意義を理解すること。
(イ)
財政及び租税の意義,国民の納税の義務について理解すること。
イ 国民の生活と福祉の向上を図ることに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身
に付けること。
(ア)
市場の働きに委ねることが難しい諸問題に関して,国や地方公共団体が果たす役割につ
いて多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(イ)
財政及び租税の役割について多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 私たちと政治
⑴ 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究し
たり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深め,法の意義を理解すること。
(イ)
民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解すること。
(ウ)
日本国憲法が基本的人権の尊重,国民主権及び平和主義を基本的原則としていることに
中学校
学習指導
要領
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ついて理解すること。
(エ)
日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について
理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について多面的・多角的
に考察し,表現すること。
⑵ 民主政治と政治参加
対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究し
たり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあらましや政党の役割を理解すること。
(イ)
議会制民主主義の意義,多数決の原理とその運用の在り方について理解すること。
(ウ)
国民の権利を守り,社会の秩序を維持するために,法に基づく公正な裁判の保障がある
ことについて理解すること。
(エ)
地方自治の基本的な考え方について理解すること。その際,地方公共団体の政治の仕組
み,住民の権利や義務について理解すること。
イ 地方自治や我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の基
礎を育成することに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
民主政治の推進と,公正な世論の形成や選挙など国民の政治参加との関連について多面
的・多角的に考察,構想し,表現すること。
D 私たちと国際社会の諸課題
⑴ 世界平和と人類の福祉の増大
対立と合意,効率と公正,協調,持続可能性などに着目して,課題を追究したり解決したり
する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の
主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの
役割が大切であることを理解すること。その際,領土(領海,領空を含む。
)
,国家主権,
国際連合の働きなど基本的な事項について理解すること。
(イ)
地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力な
どが大切であることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
日本国憲法の平和主義を基に,我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における
我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
⑵ よりよい社会を目指して
持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を探究する
活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を多面的・多角的に考察,構想
し,自分の考えを説明,論述すること。
3 内容の取扱い
⑴ 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された
中学校
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資質・能力が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っ
ていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまり
のある学習が展開できるようにすること。
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,現代社会の見方・考え方を働か
せ,日常の社会生活と関連付けながら具体的事例を通して,政治や経済などに関わる制度や
仕組みの意義や働きについて理解を深め,多面的・多角的に考察,構想し,表現できるよう
にすること。
ウ 分野全体を通して,課題の解決に向けて習得した知識を活用して,事実を基に多面的・多
角的に考察,構想したことを説明したり,論拠を基に自分の意見を説明,論述させたりする
ことにより,思考力,判断力,表現力等を養うこと。また,考察,構想させる場合には,資
料を読み取らせて解釈させたり,議論などを行って考えを深めさせたりするなどの工夫をす
ること。
エ 合意形成や社会参画を視野に入れながら,取り上げた課題について構想したことを,妥当
性や効果,実現可能性などを踏まえて表現できるよう指導すること。
オ 分野の内容に関係する専門家や関係諸機関などと円滑な連携・協働を図り,社会との関わ
りを意識した課題を追究したり解決したりする活動を充実させること。
⑵ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
「情報化」については,人工知能の急速な進化などによる産業や社会の構造的な変化な
どと関連付けたり,災害時における防災情報の発信・活用などの具体的事例を取り上げた
りすること。アの
(イ)
の「現代社会における文化の意義と影響」については,科学,芸術,
宗教などを取り上げ,社会生活との関わりなどについて学習できるように工夫すること。
(イ)
イの
(イ)
の「文化の継承と創造の意義」については,我が国の伝統と文化などを取り扱
うこと。
イ ⑴及び⑵については公民的分野の導入部として位置付け,⑴,⑵の順で行うものとし,適
切かつ十分な授業時数を配当すること。
⑶ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(イ)
の「市場における価格の決まり方や資源の配分」については,個人や企業の経
済活動が様々な条件の中での選択を通して行われていることや,市場における取引が貨幣
を通して行われていることなどを取り上げること。
(イ)
イの
(ア)
の「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,起業について触
れるとともに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこと。イの
(イ)
の「社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善」については,仕
事と生活の調和という観点から労働保護立法についても触れること。
イ ⑵については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(ア)
の「消費者の保護」については,消費者の自立の支援なども含めた消費者行政
を取り扱うこと。
(イ)
イの
(イ)
の「財政及び租税の役割」については,財源の確保と配分という観点から,財
政の現状や少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて財政の持続可能性と関連付けて考
察し,表現させること。
⑷ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑵のアの
(ウ)
の「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度についても触
中学校
学習指導
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れること。
⑸ 内容のDについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア ⑴については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(ア)
の「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並び
にそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることの理解を通して,それらを尊重
する態度を養うように配慮すること。また,
「領土(領海,領空を含む。
)
,国家主権」に
ついては関連させて取り扱い,我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残され
ている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや,尖閣諸島をめぐり解
決すべき領有権の問題は存在していないことなどを取り上げること。
「国際連合をはじめ
とする国際機構などの役割」については,国際連合における持続可能な開発のための取組
についても触れること。
(イ)
イの
(ア)
の「国際社会における我が国の役割」に関連させて,核兵器などの脅威に触れ,
戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮するこ
と。また,国際社会における文化や宗教の多様性について取り上げること。
イ ⑵については,身近な地域や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的
な視点に立って探究させること。また,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授
業時数を配当すること。
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生
徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,分野の特質に応じた見
方・考え方を働かせ,社会的事象の意味や意義などを考察し,概念などに関する知識を獲得し
たり,社会との関わりを意識した課題を追究したり解決したりする活動の充実を図ること。ま
た,知識に偏り過ぎた指導にならないようにするため,基本的な事柄を厳選して指導内容を構
成するとともに,各分野において,第2の内容の範囲や程度に十分配慮しつつ事柄を再構成す
るなどの工夫をして,基本的な内容が確実に身に付くよう指導すること。
⑵ 小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及
び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,
全体として教科の目標が達成できるようにする必要があること。
⑶ 各分野の履修については,第1,第2学年を通じて地理的分野及び歴史的分野を並行して学
習させることを原則とし,第3学年において歴史的分野及び公民的分野を学習させること。各
分野に配当する授業時数は,地理的分野115 単位時間,歴史的分野135 単位時間,公民的分野
100 単位時間とすること。これらの点に留意し,各学校で創意工夫して適切な指導計画を作成
すること。
⑷ 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指
導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
⑸ 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しな
がら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導を
すること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 社会的な見方・考え方を働かせることをより一層重視する観点に立って,社会的事象の意
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
中学校
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味や意義,事象の特色や事象間の関連,社会に見られる課題などについて,考察したことや選
択・判断したことを論理的に説明したり,立場や根拠を明確にして議論したりするなどの言語
活動に関わる学習を一層重視すること。
⑵ 情報の収集,処理や発表などに当たっては,学校図書館や地域の公共施設などを活用すると
ともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,指導に生か
すことで,生徒が主体的に調べ分かろうとして学習に取り組めるようにすること。その際,課
題の追究や解決の見通しをもって生徒が主体的に情報手段を活用できるようにするとともに,
情報モラルの指導にも留意すること。
⑶ 調査や諸資料から,社会的事象に関する様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる
技能を身に付ける学習活動を重視するとともに,作業的で具体的な体験を伴う学習の充実を図
るようにすること。その際,地図や年表を読んだり作成したり,現代社会の諸課題を捉え,多
面的・多角的に考察,構想するに当たっては,関連する新聞,読み物,統計その他の資料に平
素から親しみ適切に活用したり,観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめ,発表
したりするなどの活動を取り入れるようにすること。
⑷ 社会的事象については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な
見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導すると
ともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど
の偏った取扱いにより,生徒が多面的・多角的に考察したり,事実を客観的に捉え,公正に判
断したりすることを妨げることのないよう留意すること。
3 第2の内容の指導に当たっては,教育基本法第14 条及び第15 条の規定に基づき,適切に行う
よう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
中学校
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要領
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数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育
成することを目指す。
⑴ 数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化
したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
⑵ 数学を活用して事象を論理的に考察する力,数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的
に考察する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。
⑶ 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとす
る態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度を養う。
〔第1学年〕
1 目 標
⑴ 正の数と負の数,文字を用いた式と一元一次方程式,平面図形と空間図形,比例と反比例,
データの分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象
を数理的に捉えたり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付ける
ようにする。
⑵ 数の範囲を拡張し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則な
どを考察したりする力,図形の構成要素や構成の仕方に着目し,図形の性質や関係を直観的に
捉え論理的に考察する力,数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだし,その特徴を表,
式,グラフなどで考察する力,データの分布に着目し,その傾向を読み取り批判的に考察して
判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養う。
⑶ 数学的活動の楽しさや数学のよさに気付いて粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうと
する態度,問題解決の過程を振り返って検討しようとする態度,多面的に捉え考えようとする
態度を養う。
2 内 容
A 数と式
⑴ 正の数と負の数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
(イ)
正の数と負の数の四則計算をすること。
(ウ)
具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
算数で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の方法を考察し
表現すること。
(イ)
正の数と負の数を具体的な場面で活用すること。
⑵ 文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
第1 目 標
第2 各学年の目標及び内容
第3 節 数学
中学校
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要領
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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
(イ)
文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
(ウ)
簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
(エ)
数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて
表したり読み取ったりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
具体的な場面と関連付けて,一次式の加法と減法の計算の方法を考察し表現すること。
⑶ 一元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
(イ)
簡単な一元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
等式の性質を基にして,一元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)
一元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
自然数 素数 符号 絶対値 項 係数 移項 ≦ ≧
B 図 形
⑴ 平面図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法を理解すること。
(イ)
平行移動,対称移動及び回転移動について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
図形の性質に着目し,基本的な作図の方法を考察し表現すること。
(イ)
図形の移動に着目し,二つの図形の関係について考察し表現すること。
(ウ)
基本的な作図や図形の移動を具体的な場面で活用すること。
⑵ 空間図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
空間における直線や平面の位置関係を知ること。
(イ)
扇形の弧の長さと面積,基本的な柱体や錐体,球の表面積と体積を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものと捉えたり,空間図形を平面
上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を見いだしたりすること。
(イ)
立体図形の表面積や体積の求め方を考察し表現すること。
〔用語・記号〕
弧 弦 回転体 ねじれの位置 π // ⊥ ∠ △
C 関 数
⑴ 比例,反比例について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
中学校
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(ア)
関数関係の意味を理解すること。
(イ)
比例,反比例について理解すること。
(ウ)
座標の意味を理解すること。
(エ)
比例,反比例を表,式,グラフなどに表すこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
比例,反比例として捉えられる二つの数量について,表,式,グラフなどを用いて調
べ,それらの変化や対応の特徴を見いだすこと。
(イ)
比例,反比例を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
関数 変数 変域
D データの活用
⑴ データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを表やグラフに整理すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
目的に応じてデータを収集して分析し,そのデータの分布の傾向を読み取り,批判的に
考察し判断すること。
⑵ 不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることが
できるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
多数の観察や多数回の試行の結果を基にして,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読
み取り表現すること。
〔用語・記号〕
範囲 累積度数
〔数学的活動〕
⑴
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付
けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過程や結
果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展
的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
⑴ 内容の「A数と式」の⑴に関連して,自然数を素数の積として表すことを取り扱うものとす
る。
⑵ 内容の「A数と式」の⑴のアとイの
(ア)
に関連して,数の集合と四則計算の可能性を取り扱
うものとする。
⑶ 内容の「A数と式」の⑵のアの
(エ)
に関連して,大小関係を不等式を用いて表すことを取り
中学校
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要領
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扱うものとする。
⑷ 内容の「A数と式」の⑶のアの
(イ)
とイの
(イ)
に関連して,簡単な比例式を解くことを取り扱
うものとする。
⑸ 内容の「B図形」の⑴のイの
(ウ)
に関連して,円の接線はその接点を通る半径に垂直である
ことを取り扱うものとする。
⑹ 内容の「B図形」の⑵のイの
(ア)
については,見取図や展開図,投影図を取り扱うものとす
る。
〔第2学年〕
1 目 標
⑴ 文字を用いた式と連立二元一次方程式,平面図形と数学的な推論,一次関数,データの分布
と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化した
り,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
⑵ 文字を用いて数量の関係や法則などを考察する力,数学的な推論の過程に着目し,図形の
性質や関係を論理的に考察し表現する力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相
互に関連付けて考察する力,複数の集団のデータの分布に着目し,その傾向を比較して読み取
り批判的に考察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養
う。
⑶ 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうと
する態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よ
りよく問題解決しようとする態度を養う。
2 内 容
A 数と式
⑴ 文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
簡単な整式の加法と減法及び単項式の乗法と除法の計算をすること。
(イ)
具体的な事象の中の数量の関係を文字を用いた式で表したり,式の意味を読み取ったり
すること。
(ウ)
文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明できることを理解すること。
(エ)
目的に応じて,簡単な式を変形すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
具体的な数の計算や既に学習した計算の方法と関連付けて,整式の加法と減法及び単項
式の乗法と除法の計算の方法を考察し表現すること。
(イ)
文字を用いた式を具体的な場面で活用すること。
⑵ 連立二元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよ
う指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
(イ)
連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(ウ)
簡単な連立二元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
中学校
学習指導
要領
|
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(ア)
一元一次方程式と関連付けて,連立二元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)
連立二元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
同類項
B 図 形
⑴ 基本的な平面図形の性質について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができ
るよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
平行線や角の性質を理解すること。
(イ)
多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線や角の性質を基にしてそれらを確かめ説明
すること。
⑵ 図形の合同について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
(イ)
証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめ
たり,証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
(イ)
三角形や平行四辺形の基本的な性質などを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
対頂角 内角 外角 定義 証明 逆 反例 ≡
C 関 数
⑴ 一次関数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
一次関数について理解すること。
(イ)
事象の中には一次関数として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ)
二元一次方程式を関数を表す式とみること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
一次関数として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,
式,グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ)
一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
変化の割合 傾き
D データの活用
⑴ データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと。
中学校
学習指導
要領
|
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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り,批判的に考察
し判断すること。
⑵ 不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることが
できるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
多数回の試行によって得られる確率と関連付けて,場合の数を基にして得られる確率の
必要性と意味を理解すること。
(イ)
簡単な場合について確率を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
同様に確からしいことに着目し,場合の数を基にして得られる確率の求め方を考察し表
現すること。
(イ)
確率を用いて不確定な事象を捉え考察し表現すること。
〔数学的活動〕
⑴
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付
けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解
決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返っ
て統合的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
⑴ 内容の「B図形」の⑵のイの
(ア)
に関連して,正方形,ひし形及び長方形が平行四辺形の特
別な形であることを取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目 標
⑴ 数の平方根,多項式と二次方程式,図形の相似,円周角と中心角の関係,三平方の定理,関
数y =ax 2,標本調査などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事
象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるよ
うにする。
⑵ 数の範囲に着目し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則な
どを考察したりする力,図形の構成要素の関係に着目し,図形の性質や計量について論理的に
考察し表現する力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察す
る力,標本と母集団の関係に着目し,母集団の傾向を推定し判断したり,調査の方法や結果を
批判的に考察したりする力を養う。
⑶ 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうと
する態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よ
りよく問題解決しようとする態度を養う。
2 内 容
A 数と式
中学校
学習指導
要領
|
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⑴ 正の数の平方根について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
数の平方根の必要性と意味を理解すること。
(イ)
数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
(ウ)
具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
既に学習した計算の方法と関連付けて,数の平方根を含む式の計算の方法を考察し表現
すること。
(イ)
数の平方根を具体的な場面で活用すること。
⑵ 簡単な多項式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
(イ)
簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をするこ
と。
(a +b)
2=a 2+2ab +b 2
(a −b)
2=a 2−2ab +b 2
(a +b)
(a −b)
=a 2−b 2
(x +a)
(x +b)
=x 2+
(a +b)
x +ab
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
既に学習した計算の方法と関連付けて,式の展開や因数分解をする方法を考察し表現す
ること。
(イ)
文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明すること。
⑶ 二次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(イ)
因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
(ウ)
解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
因数分解や平方根の考えを基にして,二次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)
二次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
根号 有理数 無理数 因数 √
B 図 形
⑴ 図形の相似について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
(イ)
基本的な立体の相似の意味及び相似な図形の相似比と面積比や体積比との関係について
理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
中学校
学習指導
要領
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(ア)
三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
(イ)
平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること。
(ウ)
相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
⑵ 円周角と中心角の関係について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができる
よう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
円周角と中心角の関係を見いだすこと。
(イ)
円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
⑶ 三平方の定理について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
三平方の定理を見いだすこと。
(イ)
三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
∽
C 関 数
⑴ 関数y =ax 2について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
関数y =ax 2について理解すること。
(イ)
事象の中には関数y =ax 2として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ)
いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
関数y =ax 2として捉えられる二つの数量について,
変化や対応の特徴を見いだし,
表,
式,グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ)
関数y =ax 2を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
D データの活用
⑴ 標本調査について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
標本調査の必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理するこ
と。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること。
(イ)
簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を推定し判断すること。
〔用語・記号〕
全数調査
〔数学的活動〕
中学校
学習指導
要領
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⑴
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付
けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解
決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返っ
て統合的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
⑴ 内容の「A数と式」の⑴などに関連して,誤差や近似値,a × 10n の形の表現を取り扱うも
のとする。
⑵ 内容の「A数と式」の⑶については,実数の解をもつ二次方程式を取り扱うものとする。
⑶ 内容の「A数と式」の⑶のアの
(イ)
とイの
(ア)
については,ax 2=b(a,b は有理数)の二次方
程式及びx 2+px +q =0(p,q は整数)の二次方程式を取り扱うものとする。因数分解して
解くことの指導においては,内容の「A数と式」の⑵のアの
(イ)
に示した公式を用いることが
できるものを中心に取り扱うものとする。また,平方の形に変形して解くことの指導において
は,x の係数が偶数であるものを中心に取り扱うものとする。
⑷ 内容の「B図形」の⑵に関連して,円周角の定理の逆を取り扱うものとする。
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,数学
的活動を通して,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,数
学的な見方・考え方を働かせながら,日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学の問題を
見いだし,問題を自立的,協働的に解決し,学習の過程を振り返り,概念を形成するなどの学
習の充実を図ること。
⑵ 第2の各学年の目標の達成に支障のない範囲内で,当該学年の内容の一部を軽く取り扱い,
それを後の学年で指導することができるものとすること。また,学年の目標を逸脱しない範囲
内で,後の学年の内容の一部を加えて指導することもできるものとすること。
⑶ 生徒の学習を確実なものにするために,新たな内容を指導する際には,既に指導した関連す
る内容を意図的に再度取り上げ,学び直しの機会を設定することに配慮すること。
⑷ 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指
導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
⑸ 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しな
がら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導を
すること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,数学的な表
現を用いて簡潔・明瞭・的確に表現したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなど
の機会を設けること。
⑵ 各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばんや電卓,コンピュータ,情報通信ネット
ワークなどの情報手段を適切に活用し,学習の効果を高めること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
中学校
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要領
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⑶ 各領域の指導に当たっては,具体物を操作して考えたり,データを収集して整理したりする
などの具体的な体験を伴う学習を充実すること。
⑷ 第2の各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り扱う内容の程度や範囲を明確
にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取
り上げること。
3 数学的活動の取組においては,次の事項に配慮するものとする。
⑴ 数学的活動を楽しめるようにするとともに,数学を学習することの意義や数学の必要性など
を実感する機会を設けること。
⑵ 数学を活用して問題解決する方法を理解するとともに,自ら問題を見いだし,解決するため
の構想を立て,実践し,その過程や結果を評価・改善する機会を設けること。
⑶ 各領域の指導に当たっては,観察や操作,実験などの活動を通して,数量や図形などの性質
を見いだしたり,発展させたりする機会を設けること。
⑷ 数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共
有する機会を設けること。
4 生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容
を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決
する学習を課題学習と言い,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものと
する。
中学校
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要領
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自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うこと
などを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成する
ことを目指す。
⑴ 自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関
する基本的な技能を身に付けるようにする。
⑵ 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
⑶ 自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
〔第1分野〕
1 目 標
物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとお
り育成することを目指す。
⑴ 物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,
電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイ
オンなどについて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深
めるようにする。また,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本
的な技能を身に付けるようにする。
⑵ 物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもっ
て観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を
通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。
⑶ 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養
うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内 容
⑴ 身近な物理現象
身近な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよ
う指導する。
ア 身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それ
らの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)
光と音
○
ア 光の反射・屈折
光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折する
ときの規則性を見いだして理解すること。
○
イ 凸レンズの働き
凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像のでき方との関係を見いだし
て理解すること。
○
ウ 音の性質
第1 目 標
第2 各分野の目標及び内容
第4 節 理科
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要領
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音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わる
こと及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだして理解する
こと。
(イ)
力の働き
○
ア 力の働き
物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めた
り,運動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向
きによって表されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力
がつり合うときの条件を見いだして理解すること。
イ 身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,光の反
射や屈折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きの規則性や関係性を見いだして表現するこ
と。
⑵ 身の回りの物質
身の回りの物質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよ
う指導する。
ア 身の回りの物質の性質や変化に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観
察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)
物質のすがた
○
ア 身の回りの物質とその性質
身の回りの物質の性質を様々な方法で調べる実験を行い,物質には密度や加熱したと
きの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解するとともに,実験
器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
○
イ 気体の発生と性質
気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を理解すると
ともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
(イ)
水溶液
○
ア 水溶液
水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けて理解するこ
と。
(ウ)
状態変化
○
ア 状態変化と熱
物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化す
るが質量は変化しないことを見いだして理解すること。
○
イ 物質の融点と沸点
物質は融点や沸点を境に状態が変化することを知るとともに,混合物を加熱する実験
を行い,沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだして理解すること。
イ 身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質
の性質や状態変化における規則性を見いだして表現すること。
⑶ 電流とその利用
電流とその利用についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよ
う指導する。
ア 電流,磁界に関する事物・現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解する
とともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
中学校
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要領
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(ア)
電流
○
ア 回路と電流・電圧
回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や
各部に加わる電圧についての規則性を見いだして理解すること。
○
イ 電流・電圧と抵抗
金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだして理
解するとともに,金属線には電気抵抗があることを理解すること。
○
ウ 電気とそのエネルギー
電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,熱や光などが取り出せること及び
電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだして理解するこ
と。
○
エ 静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔て
て力が働くこと及び静電気と電流には関係があることを見いだして理解すること。
(イ)
電流と磁界
○
ア 電流がつくる磁界
磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,
コイルの回りに磁界ができることを知ること。
○
イ 磁界中の電流が受ける力
磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見
いだして理解すること。
○
ウ 電磁誘導と発電
磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られる
ことを見いだして理解するとともに,直流と交流の違いを理解すること。
イ 電流,磁界に関する現象について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験な
どを行い,その結果を分析して解釈し,電流と電圧,電流の働き,静電気,電流と磁界の規
則性や関係性を見いだして表現すること。
⑷ 化学変化と原子・分子
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それら
の観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)
物質の成り立ち
○
ア 物質の分解
物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質は元の物質とは異なることを見い
だして理解すること。
○
イ 原子・分子
物質は原子や分子からできていることを理解するとともに,物質を構成する原子の種
類は記号で表されることを知ること。
(イ)
化学変化
○
ア 化学変化
2種類の物質を反応させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見い
だして理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の
中学校
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要領
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組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解するこ
と。
○
イ 化学変化における酸化と還元
酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして
理解すること。
○
ウ 化学変化と熱
化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見
いだして理解すること。
(ウ)
化学変化と物質の質量
○
ア 化学変化と質量の保存
化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生
成物の質量の総和が等しいことを見いだして理解すること。
○
イ 質量変化の規則性
化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には
一定の関係があることを見いだして理解すること。
イ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子
や分子と関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における物質の変化やその量的な
関係を見いだして表現すること。
⑸ 運動とエネルギー
物体の運動とエネルギーについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることが
できるよう指導する。
ア 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するととも
に,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)
力のつり合いと合成・分解
○
ア 水中の物体に働く力
水圧についての実験を行い,その結果を水の重さと関連付けて理解すること。また,
水中にある物体には浮力が働くことを知ること。
○
イ 力の合成・分解
力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ)
運動の規則性
○
ア 運動の速さと向き
物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知るこ
と。
○
イ 力と運動
物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運
動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動
では物体は等速直線運動することを見いだして理解すること。
(ウ)
力学的エネルギー
○
ア 仕事とエネルギー
仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を
行い,物体のもつ力学的エネルギーは物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理
解すること。
○
イ 力学的エネルギーの保存
中学校
学習指導
要領
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力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移
り変わることを見いだして理解するとともに,力学的エネルギーの総量が保存されるこ
とを理解すること。
イ 運動とエネルギーについて,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して
解釈し,力のつり合い,合成や分解,物体の運動,力学的エネルギーの規則性や関係性を見
いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。
⑹ 化学変化とイオン
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 化学変化をイオンのモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観
察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)
水溶液とイオン
○
ア 原子の成り立ちとイオン
水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れない
ものとがあることを見いだして理解すること。また,電解質水溶液に電圧をかけ電流を
流す実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知るとともに,イオン
の生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
○
イ 酸・アルカリ
酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオ
ンと水酸化物イオンによることを知ること。
○
ウ 中和と塩
中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解するこ
と。
(イ)
化学変化と電池
○
ア 金属イオン
金属を電解質水溶液に入れる実験を行い,金属によってイオンへのなりやすさが異なる
ことを見いだして理解すること。
○
イ 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電池の基本的な仕組みを理解
するとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 化学変化について,見通しをもって観察,実験などを行い,イオンと関連付けてその結果
を分析して解釈し,化学変化における規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探
究の過程を振り返ること。
⑺ 科学技術と人間
科学技術と人間との関わりについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けること
ができるよう指導する。
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験な
どに関する技能を身に付けること。
(ア)
エネルギーと物質
○
ア エネルギーとエネルギー資源
様々なエネルギーとその変換に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では
様々なエネルギーの変換を利用していることを見いだして理解すること。また,人間
は,水力,火力,原子力,太陽光などからエネルギーを得ていることを知るとともに,
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エネルギー資源の有効な利用が大切であることを認識すること。
○
イ 様々な物質とその利用
物質に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では,様々な物質が幅広く利
用されていることを理解するとともに,物質の有効な利用が大切であることを認識する
こと。
○
ウ 科学技術の発展
科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしている
ことを認識すること。
(イ)
自然環境の保全と科学技術の利用
○
ア 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,
持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
イ 日常生活や社会で使われているエネルギーや物質について,見通しをもって観察,実験な
どを行い,その結果を分析して解釈するとともに,自然環境の保全と科学技術の利用の在り
方について,科学的に考察して判断すること。
3 内容の取扱い
⑴ 内容の⑴から⑺までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判
断力,表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資
質・能力の育成を目指すものとする。
⑵ 内容の⑴から⑺までのうち,⑴及び⑵は第1学年,⑶及び⑷は第2学年,⑸から⑺までは第
3学年で取り扱うものとする。
⑶ 内容の⑴については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アについては,全反射も扱い,光の屈折では入射角と屈折角の定性的な関係に
も触れること。また,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも
触れること。
イ アの
(ア)
の○
イについては,物体の位置に対する像の位置や像の大きさの定性的な関係を調
べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの
(ア)
の○
ウについては,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さにも触
れること。
エ アの
(イ)
の○
アについては,ばねに加える力の大きさとばねの伸びとの関係も扱うこと。ま
た,重さと質量との違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
⑷ 内容の⑵については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アについては,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。
イ アの
(ア)
の○
イについては,異なる方法を用いても同一の気体が得られることにも触れるこ
と。
ウ アの
(イ)
の○
アについては,粒子のモデルと関連付けて扱い,質量パーセント濃度にも触れ
ること。また,
「溶解度」については,溶解度曲線にも触れること。
エ アの
(ウ)
の○
アについては,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも
触れること。
⑸ 内容の⑶については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アの「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて
二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
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イ アの
(ア)
の○
イの「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱
うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの
(ア)
の○
ウについては,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの
(ア)
の○
エについては,電流が電子の流れに関係していることを扱うこと。また,真空
放電と関連付けながら放射線の性質と利用にも触れること。
オ アの
(イ)
の○
イについては,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わること
を扱うこと。
カ アの
(イ)
の○
ウについては,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わる
ことを扱うこと。
⑹ 内容の⑷については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
イの「物質を構成する原子の種類」を元素ということにも触れること。また,
「記号」については,元素記号で表されることにも触れ,基礎的なものを取り上げること。
その際,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。
イ アの
(イ)
の○
アの「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ アの
(イ)
の○
イの「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
⑺ 内容の⑸については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アについては,水中にある物体には,あらゆる向きから圧力が働くことにも触
れること。また,物体に働く水圧と浮力との定性的な関係にも触れること。
イ アの
(イ)
の○
アについては,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
ウ アの
(イ)
の○
イの「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に
扱うこと。その際,斜面の角度が90 度になったときに自由落下になることにも触れること。
「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。
エ アの
(ウ)
の○
アについては,仕事の原理にも触れること。
オ アの
(ウ)
の○
イについては,摩擦にも触れること。
⑻ 内容の⑹については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アの「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていること
を扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることや,同じ元素でも中性子の数
が異なる原子があることにも触れること。また,
「イオン」については,化学式で表される
ことにも触れること。
イ アの
(ア)
の○
イについては,pH にも触れること。
ウ アの
(ア)
の○
ウについては,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
エ アの
(イ)
の○
アの「金属イオン」については,基礎的なものを扱うこと。
オ アの
(イ)
の○
イの「電池」については,電極で起こる反応をイオンのモデルと関連付けて扱
うこと。その際,
「電池の基本的な仕組み」については,ダニエル電池を取り上げること。
また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
⑼ 内容の⑺については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の○
アについては,熱の伝わり方,放射線にも触れること。また,
「エネルギーの変
換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこ
と。
イ アの
(ア)
の○
イの「様々な物質」については,天然の物質や人工的につくられた物質のうち
代表的なものを扱うこと。その際,プラスチックの性質にも触れること。
ウ アの
(イ)
の○
アについては,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野の内
容の⑺のアの
(イ)
の○
ア及びイと関連付けて総合的に扱うこと。
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