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Page 484 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf | 特別活動
482
害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を通して,協働することや,他者の役に立ったり社
会に貢献したりすることの喜びを得られる活動を充実すること。
(5)
特別活動の一環として学校給食を実施する場合には,食育の観点を踏まえた適切な指導を行うこと。
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指
導するものとする。
|
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附 則
この告示は,令和4年4月1日から施行する。ただし,改正後の高等学校学習指導要領は,同日以降高等
学校の第1学年に入学した生徒(単位制による課程にあっては,同日以降入学した生徒(学校教育法施行規
則第91 条の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。
)
)
に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用する。
附 則(平成31 年3月28 日文部科学省告示第55 号)
この告示は,公布の日から施行する。
附 則(令和元年7月1日文部科学省告示第18 号)抄
(施行期日等)
1 この告示は,公布の日から施行する。
附 則(令和3年3月31 日文部科学省告示第61 号)
この告示は,令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和4年3月31 日文部科学省告示第55 号)
この告示は,令和5年4月1日から施行する。
|
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Page 487 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf | 平成31年4月1日から新高等学校学習指導要領が適用
されるまでの間における現行高等学校学習指導要領の特
例を定める件(平成30 年文部科学省告示第172 号)
・・・・・・・
高等学校
移行措置関係規定
486
|
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関係規定
486
○文部科学省告示第百七十二号
学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第八十四条及び第九十六条の規定に基づき,平成
三十一年四月一日から高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)が適用されるまでの
間における高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十四号)の特例を次のように定める。
平成三十年八月三十一日
文部科学大臣臨時代理
国務大臣 松山 政司
1 総則
(高等学校教育の基本と教育課程の役割等)
(1)
高等学校学習指導要領(平成21 年文部科学省告示第34 号)
(以下「現行高等学校学習指導要領」とい
う。
)第1章第1款,第4款,第5款(3の
(4)
を除く。
)及び第6款の規定にかかわらず,高等学校学習
指導要領(平成30 年文部科学省告示第68 号)
(以下「新高等学校学習指導要領」という。
)第1章第1
款から第6款まで(第2款の3の
(1)
,
(2)
,及び
(3)
のコ並びに5(3の
(2)
のアの
(ウ)
を除く。
)を除
く。
)の規定によるものとする。
(福祉に属する科目)
(2)
福祉に属する科目については,現行高等学校学習指導要領第1章第2款の3の表福祉の欄中「福祉情
報活用」とあるのは,
「福祉情報活用,福祉情報」とする。
(総合的な探究の時間)
(3)
現行高等学校学習指導要領第2款及び第3款中
「総合的な学習の時間」
とあるのは,
「総合的な探究の
時間」とする。
(通信制の課程における教育課程の特例)
(4)
通信制の課程における教育課程の特例については,次に定めるところによるものとする。
ア 現行高等学校学習指導要領第1章第7款の規定のうち「第1款から第6款まで(第4款,第5款の
1並びに第5款の4の
(4)
のア及びイを除く。
)に定めるところによる」の部分にかかわらず,現行高
等学校学習指導要領第1章第2款及び第3款,新高等学校学習指導要領第1章第1款,第2款の1,
2,3の
(2)
のアの
(ウ)
及び
(5)
から
(7)
まで(
(7)
のエの
(ア)
及び
(イ)
を除く。
)並びに4並びに第3款か
ら第6款まで並びにこの告示の第1項の
(5)
の規定によること。
イ 現行高等学校学習指導要領第1章第7款の1から5までの規定にかかわらず,新高等学校学習指導
要領第1章第2款の5の
(1)
から
(6)
までの規定によること。この場合において,新高等学校学習指導
要領第1章第2款の5の
(3)
中「理数に属する科目及び総合的な探究の時間」とあるのは,
「総合的な
探究の時間」と読み替えるものとする。
(道徳教育に関する配慮事項)
(5)
道徳教育に関する配慮事項については,現行高等学校学習指導要領第1章第5款の3の
(4)
の規定に
かかわらず,この告示の第1項の
(1)
から
(4)
まで並びに現行高等学校学習指導要領第1章第2款及び第
3款に示す事項に加え,新高等学校学習指導要領第1章第7款の1から4までの規定に配慮するものと
する。
この場合において,新高等学校学習指導要領第1章第7款の1中
「公共」
とあるのは
「現代社会」
とし,第7款の2中「特別の教科である道徳」とあるのは,
「道徳又は特別の教科である道徳」と読み替
えるものとする。
2 各教科等
(地理歴史)
(1)
地理歴史に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第2章第2節第2款第3の2
の
(2)
のアの
(ア)
及び第4の2 の
(4)
のアに規定する事項については,新高等学校学習指導要領第2章第
|
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関係規定
487
2節第2款第3の3の
(2)
のウ及び第4の3の
(2)
のクのうち領土の画定に関する規定をそれぞれ適用す
るとともに,現行高等学校学習指導要領第5の2の
(1)
のア及び第6の2の
(2)
のエに規定する事項につ
いては,新高等学校学習指導要領第2章第2節第2款第1の3の
(2)
のアの
(ア)
及び第2の3の
(2)
のア
の
(オ)
のうち我が国の領域をめぐる問題に関する規定をそれぞれ適用するものとする。
(公民)
(2)
公民に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第2章第3節第2款第1の2の
(2)
のオに規定する事項については,新高等学校学習指導要領第2章第3節第2款第1の3の
(3)
のカの
(オ)
のうち「国家主権,領土(領海,領空を含む。
)
」に関する規定を適用するとともに,現行高等学校学
習指導要領第2章第3節第2款第3の2の
(1)
のイに規定する事項については,新高等学校学習指導要
領第2章第3節第2款第3の3の
(2)
のエの
(イ)
の規定を適用するものとする。
(保健体育)
(3)
保健体育に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第2章第6節の規定にかかわ
らず,その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第6節の規定によることができる。
(芸術)
(4)
芸術に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第2章第7節の規定にかかわらず,
その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第7節の規定によることができる。
(家庭)
(5)
家庭に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第2章第9節第2款第1の2の
(2)
のエに規定する事項に,新高等学校学習指導要領第2章第9節第2款第1の2のCの
(2)
のアのうち
契約の重要性及び消費者保護の仕組みに関する規定に係る事項を加え,新高等学校学習指導要領第2章
第9節第2款第1の3の
(2)
のウのうち
(2)
のアに関する規定を適用するとともに,現行高等学校学習指
導要領第2章第9節第2款第2の2の
(3)
のウ及び第3の2の
(2)
のアに規定する事項に,高等学校学習
指導要領第2章第9節第2款第2の2のCの
(2)
のアの
(イ)
のうち契約の重要性及び消費者保護の仕組み
に関する規定に係る事項を加え,新高等学校学習指導要領第2章第9節第2款第2の3 の
(2)
のウのう
ち
(2)
のアの
(イ)
に関する規定を適用するものとする。
(福祉)
(6)
福祉に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第3章第8節の規定にかかわらず,
その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第3章第8節の規定によることができる。
(体育)
(7)
体育に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第3章第10 節の規定にかかわらず,
その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第3章第10 節の規定によることができる。
(音楽)
(8)
音楽に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第3章第11 節の規定にかかわらず,
その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第3章第11 節の規定によることができる。
(美術)
(9)
美術に属する科目の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第3章第12 節の規定にかかわらず,
その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第3章第12 節の規定によることができる。
(総合的な探究の時間)
(10)
学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令
(平成30 年文部科学省令第28 号)
による改正後の学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成30 年文部科学省令第13 号)による改
正後の学校教育法施行規則
(昭和22 年文部省令第11 号)
第83 条に規定される総合的な探究の時間の指
導に当たっては,新高等学校学習指導要領第4章の規定によるものとする。
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関係規定
488
(特別活動)
(11)
特別活動の指導に当たっては,現行高等学校学習指導要領第5章の規定にかかわらず,新高等学校
学習指導要領第5章の規定によるものとする。
附 則
1 この告示は平成31 年4月1日から施行する。
ただし,第2項の
(5)
の規定は,平成30 年4月1日以降高
等学校(中等教育学校の後期課程を含む。以下同じ。
)に入学した生徒(学校教育法施行規則第91 条(同
令第113 条第1項で準用する場合を含む。
以下同じ。
)
の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒
に係る教育課程により履修するものを除く。
)
に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用し,第1項
の(3)及び第2項の
(10)
の規定は,施行日以降高等学校に入学した生徒(学校教育法施行規則第91 条の
規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。
)
に係る教育
課程及び全課程の修了の認定から適用する。
2 平成31 年3月31 日以前に高等学校に入学した生徒
(学校教育法施行規則第91 条の規定により同日後に
入学した生徒で同日以前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを含む。
)
に係る教育課程及び
全課程の修了の認定については,新高等学校学習指導要領第1章第1款,第2款及び第4款並びに第5章
中「総合的な探究の時間」とあるのは,
「総合的な学習の時間」と読み替えるものとする。
|
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関係法令
490
491
494
495
学校教育法(抄)…………………………………………………
学校教育法施行規則(抄)
………………………………………
中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の
教育課程の基準の特例を定める件(平成10 年文部省告
示第154 号)……………………………………………………
連携型中学校及び連携型高等学校の教育課程の基準の
特例を定める件(平成16 年文部科学省告示第61 号)……
|
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関係法令
490
学校教育法(抄)
第七章 中等教育学校
第六十三条 中等教育学校は,小学校における教育の基礎の上に,心身の発達及び進路に応じて,義務教育
として行われる普通教育並びに高度な普通教育及び専門教育を一貫して施すことを目的とする。
第六十四条 中等教育学校における教育は,前条に規定する目的を実現するため,次に掲げる目標を達成す
るよう行われるものとする。
一 豊かな人間性,創造性及び健やかな身体を養い,国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二
社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき,個性に応じて将来の進路を決定させ,一
般的な教養を高め,専門的な知識,技術及び技能を習得させること。
三
個性の確立に努めるとともに,社会について,広く深い理解と健全な批判力を養い,社会の発展に寄
与する態度を養うこと。
第六十五条 中等教育学校の修業年限は,六年とする。
第六十六条 中等教育学校の課程は,これを前期三年の前期課程及び後期三年の後期課程に区分する。
第六十七条 中等教育学校の前期課程における教育は,第六十三条に規定する目的のうち,小学校における
教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育を施すことを実現するため,
第二十一条各号に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
② 中等教育学校の後期課程における教育は,第六十三条に規定する目的のうち,心身の発達及び進路に応
じて,高度な普通教育及び専門教育を施すことを実現するため,第六十四条各号に掲げる目標を達成する
よう行われるものとする。
第六十八条 中等教育学校の前期課程の教育課程に関する事項並びに後期課程の学科及び教育課程に関する
事項は,第六十三条,第六十四条及び前条の規定並びに第七十条第一項において読み替えて準用する第三
十条第二項の規定に従い,文部科学大臣が定める。
第七十条 第三十条第二項,第三十一条,第三十四条,第三十七条第四項から第十七項まで及び第十九項,
第四十二条から第四十四条まで,第五十九条並びに第六十条第四項及び第六項の規定は中等教育学校に,
第五十三条から第五十五条まで,第五十八条,五十八条の二及び第六十一条の規定は中等教育学校の後期
課程に,それぞれ準用する。この場合において,第三十条第二項中「前項」とあるのは「第六十四条」と,
第三十一条中「前条第一項」とあるのは「第六十四条」と読み替えるものとする。
②
(略)
第七十一条 同一の設置者が設置する中学校及び高等学校においては,文部科学大臣の定めるところにより,
中等教育学校に準じて,中学校における教育と高等学校における教育を一貫して施すことができる。
昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号
一部改正:平成三十年六月一日法律第三十九号
|
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関係法令
491
昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号
一部改正:平成三十年三月三十日文部科学省令第十三号
学校教育法施行規則(抄)
第五章 中学校
第七十五条 中学校(併設型中学校,小学校連携型中学校及び第七十九条の九第二項に規定する小学校併設
型中学校を除く。
)
においては,高等学校における教育との一貫性に配慮した教育を施すため,当該中学校
の設置者が当該高等学校の設置者との協議に基づき定めるところにより,教育課程を編成することができ
る。
2 前項の規定により教育課程を編成する中学校(以下「連携型中学校」という。
)は,第八十七条第一項の
規定により教育課程を編成する高等学校と連携し,その教育課程を実施するものとする。
第七十六条 連携型中学校の各学年における各教科,特別の教科である道徳,総合的な学習の時間及び特別
活動のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は,別表第四に定める授業時数を標
準とする。
第七十七条 連携型中学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程の基準の特例とし
て文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第六章 高等学校
第一節 設備,編制,学科及び教育課程
第八十七条 高等学校(学校教育法第七十一条の規定により中学校における教育と一貫した教育を施すもの
(以下「併設型高等学校」という。
)を除く。
)においては,中学校における教育との一貫性に配慮した教育
を施すため,当該高等学校の設置者が当該中学校の設置者との協議に基づき定めるところにより,教育課
程を編成することができる。
2 前項の規定により教育課程を編成する高等学校(以下「連携型高等学校」という。
)は,連携型中学校と
連携し,その教育課程を実施するものとする。
第八十八条 連携型高等学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程の基準の特例と
して文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第七章 中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校
第一節 中等教育学校
第百七条 次条第一項において準用する第七十二条に規定する中等教育学校の前期課程の各学年における各
教科,特別の教科である道徳,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの授業時数並びに各学年にお
けるこれらの総授業時数は,別表第四に定める授業時数を標準とする。
第百八条 中等教育学校の前期課程の教育課程については,第五十条第二項,第五十五条から第五十六条の
四まで及び第七十二条の規定並びに第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する中学校学習指導要
領の規定を準用する。この場合において,第五十五条から第五十六条までの規定中「第五十条第一項,第
五十一条(中学校連携型小学校にあつては第五十二条の三,第七十九条の九第二項に規定する中学校併設
|
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関係法令
492
型小学校にあつては第七十九条の十二において準用する第七十九条の五第一項)又は第五十二条」とある
のは「第百七条又は第百八条第一項において準用する第七十二条若しくは第七十四条の規定に基づき文部
科学大臣が公示する中学校学習指導要領」と,第五十五条の二中「第三十条第一項」とあるのは「第六十
七条第一項」と,第五十六条の二及び第五十六条の四中「第五十条第一項,第五十一条(中学校連携型小
学校にあつては第五十二条の三,第七十九条の九第二項に規定する中学校併設型小学校にあつては第七十
九条の十二において準用する第七十九条の五第一項)及び第五十二条」とあるのは「第百七条並びに第百
八条第一項において準用する第七十二条及び第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する中学校学
習指導要領」と,第五十六条の四中「他の小学校,義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部」
とあるのは
「他の中学校,義務教育学校の後期課程,中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部」
と読み替えるものとする。
2 中等教育学校の後期課程の教育課程については,第八十三条,第八十五条から第八十六条まで及び第八
十八条の二の規定並びに第八十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する高等学校学習指導要領の規定
を準用する。この場合において,第八十五条中「前二条」とあり,並びに第八十五条の二及び第八十六条
中
「第八十三条又は第八十四条」
とあるのは,
「第百八条第二項において準用する第八十三条又は第八十四
条の規定に基づき文部科学大臣が公示する高等学校学習指導要領」と,第八十五条の二中「第五十一条」
とあるのは「第六十七条第二項」と読み替えるものとする。
第百九条 中等教育学校の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程の基準の特例として
文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第百十三条 第四十三条から第四十九条まで(第四十六条を除く。
)
,第五十四条,第五十七条,第五十八条,
第五十九条から第七十一条まで(第六十九条を除く。
)
,第七十八条の二,第八十二条,第九十一条,第九
十四条及び第百条の三の規定は,中等教育学校に準用する。
この場合において,同条中
「第百四条第一項」
とあるのは,
「第百十三条第一項」と読み替えるものとする。
2
(略)
3 第八十一条,第八十八条の三,第八十九条,第九十二条,第九十三条,第九十六条から第百条の二まで,
第百一条第二項,第百二条,第百三条第一項及び第百四条第二項の規定は,中等教育学校の後期課程に準
用する。この場合において,第九十六条第一項中「第八十五条,第八十五条の二又は第八十六条」とある
のは
「第百八条第二項において読み替えて準用する第八十五条,第八十五条の二又は第八十六条」
と,
「第
八十三条又は第八十四条」とあるのは「第百八条第二項において準用する第八十三条又は第八十四条の規
定に基づき文部科学大臣が公示する高等学校学習指導要領」と読み替えるものとする。
第二節 併設型中学校及び併設型高等学校
第百十四条 併設型中学校の教育課程については,第五章に定めるもののほか,教育課程の基準の特例とし
て文部科学大臣が別に定めるところによるものとする。
2 併設型高等学校の教育課程については,第六章に定めるもののほか,教育課程の基準の特例として文部
科学大臣が別に定めるところによるものとする。
第百十五条 併設型中学校及び併設型高等学校においては,中学校における教育と高等学校における教育を
一貫して施すため,設置者の定めるところにより,教育課程を編成するものとする。
第百十七条 第百七条及び第百十条の規定は,併設型中学校に準用する。
|
Page 495 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf | 中等教育学校等
関係法令
493
附 則
(略)
附 則
この省令は,平成三十二四月一日から施行する。
別表第四(第七十六条,第百七条,第百十七条関係)
区 分
第1 学年
第2 学年
第3 学年
各教科の授業時数
国
語
140
140
105
社
会
105
105
140
数
学
140
105
140
理
科
105
140
140
音
楽
45
35
35
美
術
45
35
35
保
健
体
育
105
105
105
技
術・家
庭
70
70
35
外
国
語
140
140
140
特別の教科である道徳の授業時数
35
35
35
総合的な学習の時間の授業時数
50
70
70
特
別
活
動
の
授
業
時
数
35
35
35
総
授
業
時
数
1015
1015
1015
備考
一 この表の授業時数の一単位時間は,五十分とする。
二 特別活動の授業時数は,中学校学習指導要領(第百八条第一項において準用する場合を含む。
次号において同じ。
)で定める学級活動(学校給食に係るものを除く。
)に充てるものとする。
三 各学年においては,各教科の授業時数から七十を超えない範囲内の授業時数を減じ,文部科学
大臣が別に定めるところにより中学校学習指導要領で定める選択教科の授業時数に充てることが
できる。ただし,各学年において,各教科の授業時数から減ずる授業時数は,一教科当たり三十
五を限度とする。
|
Page 496 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf | 中等教育学校等
関係法令
494
中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校の
教育課程の基準の特例を定める件
1 中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校における中高一貫教育(中学校における教育及び
高等学校における教育を一貫して施す教育をいう。
以下同じ。
)
において特色ある教育課程を編成すること
ができるよう次のように教育課程の基準の特例を定める。
一
中等教育学校の前期課程又は併設型中学校において,学校教育法施行規則別表第四備考第三号の規定
により各教科の授業時数を減ずる場合は,その減ずる時数を当該各教科の内容を代替することのできる
内容の選択教科の授業時数に充てること。
二
中等教育学校の後期課程又は併設型高等学校の普通科においては,生徒が高等学校学習指導要領(平
成二十一年文部科学省告示第三十四号)第一章第二款の4及び5に規定する学校設定科目及び学校設定
教科に関する科目について修得した単位数を,合わせて三十六単位を超えない範囲で中等教育学校又は
併設型高等学校が定めた全課程の修了を認めるに必要な単位数のうちに加えることができること。
三
中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校における指導については,次のように取り扱う
ものとすること。
イ
中等教育学校の前期課程及び併設型中学校と中等教育学校の後期課程及び併設型高等学校における
指導の内容については,各教科や各教科に属する科目の内容のうち相互に関連するものの一部を入れ
替えて指導することができること。
ロ
中等教育学校の前期課程及び併設型中学校における指導の内容の一部については,中等教育学校の
後期課程及び併設型高等学校における指導の内容に移行して指導することができること。
ハ
中等教育学校の後期課程及び併設型高等学校における指導の内容の一部については,中等教育学校
の前期課程及び併設型中学校における指導の内容に移行して指導することができること。この場合に
おいては,中等教育学校の後期課程及び併設型高等学校において当該移行した指導の内容について再
度指導しないことができること。
ニ
中等教育学校の前期課程及び併設型中学校における各教科の内容のうち特定の学年において指導す
ることとされているものの一部については,他の学年における指導の内容に移行して指導することが
できること。この場合においては,当該特定の学年において,当該移行した指導の内容について再度
指導しないことができること。
2 中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校における中高一貫教育においては,六年間の計画
的かつ継続的な教育を施し,生徒の個性の伸長,体験学習の充実等を図るための特色ある教育課程を編成
するよう配慮するものとする。
附 則
この告示は,平成二十四年四月一日から施行する。
平成十年文部省告示第百五十四号
一部改正:平成十一年三月二十九日文部省告示第五十九号
一部改正:平成十六年三月三十一日文部科学省告示第六十号
一部改正:平成二十年三月二十八日文部科学省告示第三十一号
一部改正:平成二十一年六月十日文部科学省告示第八十八号
一部改正:平成二十三年十一月一日文部科学省告示第百五十七号
|
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関係法令
495
連携型中学校及び連携型高等学校の教育課程の基準の特
例を定める件
1 連携型中学校及び連携型高等学校における中高一貫教育(中学校における教育と高等学校における教育
との一貫性に配慮して施す教育をいう。
以下同じ。
)
において特色ある教育課程を編成することができるよ
う次のように教育課程の基準の特例を定める。
一
連携型中学校において,学校教育法施行規則別表第四備考第三号の規定により各教科の授業時数を減
ずる場合は,その減ずる時数を当該各教科の内容を代替することのできる内容の選択教科の授業時数に
充てること。
二
連携型高等学校の普通科においては,生徒が高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第
三十四号)第一章第二款の4及び5に規定する学校設定科目及び学校設定教科に関する科目について修
得した単位数を,合わせて三十六単位を超えない範囲で連携型高等学校が定めた全課程の修了を認める
に必要な単位数のうちに加えることができること。
2 連携型中学校及び連携型高等学校における中高一貫教育においては,六年間の計画的かつ継続的な教育
を施し,生徒の個性の伸長,体験学習の充実等を図るための特色ある教育課程を編成するよう配慮するも
のとする。
附 則
この告示は,平成二十四年四月一日から施行する。
平成十六年文部科学省告示第六十一号
一部改正:平成二十年三月二十八日文部科学省告示第三十一号
一部改正:平成二十一年六月十日文部科学省告示第八十八号
一部改正:平成二十三年十一月一日文部科学省告示第百五十七号
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Page 499 | 20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf | 前文 ………………………………………………………………
第1 章 総則 ……………………………………………………
第2 章 各教科 …………………………………………………
第1 節 国 語 …………………………………………
第2 節 社 会 …………………………………………
第3 節 数 学 …………………………………………
第4 節 理 科 …………………………………………
第5 節 音 楽 …………………………………………
第6 節 美 術 …………………………………………
第7 節 保健体育 …………………………………………
第8 節 技術・家庭 …………………………………………
第9 節 外国語 …………………………………………
第3 章 特別の教科 道徳 ……………………………………
第4 章 総合的な学習の時間 …………………………………
第5 章 特別活動 ………………………………………………
498
500
507
507
515
531
540
555
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中学校
平成29 年3 月告示
学習指導要領
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指導要領
498
○文部科学省告示第六十四号
学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第七十四条の規定に基づき,中学校学習指導要領
(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の全部を次のように改正し,平成三十三年四月一日から施行する。
平成三十年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの間における中学校学習指導要領の必要な特例につ
いては,別に定める。
平成二十九年三月三十一日
文部科学大臣 松野 博一
|
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指導要領
499
教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者
として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条に掲げる次の
目標を達成するよう行われなければならない。
1 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やか
な身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業
及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体的に社会
の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社
会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の生徒が,自分のよさ
や可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら
様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓
ひら
き,持続可能な社会の創り手となることができるように
することが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を
組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。
教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通し
てよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をど
のように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,
社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。
学習指導要領とは,こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。
学習指導要領が果たす役割の一つは,公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することであ
る。また,各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね,長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術
研究の蓄積を生かしながら,生徒や地域の現状や課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,学習指導要領を
踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。
生徒が学ぶことの意義を実感できる環境を整え,一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは,
教職員をはじめとする学校関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,様々な立場から生徒や学校に関わ
る全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に,高等学校以降の教育や
生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用される
ものとなることを期待して,ここに中学校学習指導要領を定める。
|
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指導要領
500
第1章
総則
第1 中学校教育の基本と教育課程の役割
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生
徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分
考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとす
る。
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの
実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の
(1)
から
(3)
までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。
(1)
基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思
考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な
人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動
など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確
立するよう配慮すること。
(2)
道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵
かん
養を目指した教育
の充実に努めること。
学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。
)を要として学校の教育活
動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれ
ぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこと。
道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間としての生き方
を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる
道徳性を養うことを目標とすること。
道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会
における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が
国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,
公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に
貢献し未来を拓
ひら
く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。
(3)
学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じ
て適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努
めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身
の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科,技術・家庭科及び特別活動の時間はもとより,
各教科,道徳科及び総合的な学習の時間などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努める
こと。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な
体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培
われるよう配慮すること。
3 2の
(1)
から
(3)
までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となるこ
とが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体並びに各教科,道徳科,
総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,第2の3の
(2)
のア及びウにおいて,
特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。
)に限る。
)の指導を通してどのような資質・
能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図るものとする。その際,生徒の発達の段
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指導要領
501
階や特性等を踏まえつつ,次に掲げることが偏りなく実現できるようにするものとする。
(1)知識及び技能が習得されるようにすること。
(2)思考力,判断力,表現力等を育成すること。
(3)学びに向かう力,人間性等を涵養すること。
4 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の
内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図ってい
くこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなど
を通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと
(以下
「カ
リキュラム・マネジメント」という。
)に努めるものとする。
第2 教育課程の編成
1 各学校の教育目標と教育課程の編成
教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力
を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭
や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第4章総合的な学習の時間の第2の1に基づき定
められる目標との関連を図るものとする。
2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
(1)
各学校においては,生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。
)
,問
題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質
を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2)
各学校においては,生徒や学校,地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し,豊かな人生の実現や災
害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力
を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を生かした教育課程の編成を
図るものとする。
3 教育課程の編成における共通的事項
(1)内容等の取扱い
ア 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いず
れの学校においても取り扱わなければならない。
イ 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することがで
きる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての生徒に
対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場
合には,この事項にかかわらず加えて指導することができる。ただし,これらの場合には,第2章以
下に示す各教科,道徳科及び特別活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重となったり
することのないようにしなければならない。
ウ 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,
指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるもの
とする。
エ 学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科の目標
の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
オ 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を考慮して,生徒の特性等に応じた多様な学習活動が
行えるよう,第2章に示す各教科や,特に必要な教科を,選択教科として開設し生徒に履修させるこ
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指導要領
502
とができる。その場合にあっては,全ての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ,選択教科の授
業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成し,生徒の負担過重となることのないように
しなければならない。また,特に必要な教科の名称,目標,内容などについては,各学校が適切に定
めるものとする。
カ 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第
2に示す内容とし,その実施に当たっては,第6に示す道徳教育に関する配慮事項を踏まえるものと
する。
(2)授業時数等の取扱い
ア 各教科等の授業は,年間35 週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生徒の負担
過重にならないようにするものとする。ただし,各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には,
夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,これらの授業を特定の期間に
行うことができる。
イ 特別活動の授業のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ご
と,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
ウ 各学校の時間割については,次の事項を踏まえ適切に編成するものとする。
(ア)
各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保し
つつ,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めること。
(イ)
各教科等の特質に応じ,10 分から15 分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導を行う場
合において,当該教科等を担当する教師が,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で,
その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制が整備されているときは,
その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることができること。
(ウ)
給食,休憩などの時間については,各学校において工夫を加え,適切に定めること。
(エ)
各学校において,生徒や学校,地域の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を
生かした時間割を弾力的に編成できること。
エ 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の
成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動
の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
(3)指導計画の作成等に当たっての配慮事項
各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた
具体的な指導計画を作成するものとする。
ア 各教科等の指導内容については,
(1)
のアを踏まえつつ,単元や題材など内容や時間のまとまりを
見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3の1に示す主体的・対話的で
深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。
イ 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
4 学校段階間の接続
教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階間の接続を図るものとする。
(1)
小学校学習指導要領を踏まえ,小学校教育までの学習の成果が中学校教育に円滑に接続され,義務教
育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付けることができるよう
工夫すること。特に,義務教育学校,小学校連携型中学校及び小学校併設型中学校においては,義務教
育9年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。
(2)
高等学校学習指導要領を踏まえ,高等学校教育及びその後の教育との円滑な接続が図られるよう工夫
すること。特に,中等教育学校,連携型中学校及び併設型中学校においては,中等教育6年間を見通し
|
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指導要領
503
た計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。
第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
第1の3の
(1)
から
(3)
までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまと
まりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等や学びに向
かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科等の
特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。
)が鍛えられていくことに留意
し,生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理
解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に
創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
(2)
第2の2の
(1)
に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,
国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,生徒の言語活動を充実すること。
あわせて,
(7)
に示すと
おり読書活動を充実すること。
(3)
第2の2の
(1)
に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネ
ットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充
実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を
図ること。
(4)
生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように
工夫すること。
(5)
生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要
性などを実感しながら理解することができるよう,各教科等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や
地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
(6)
生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど,生徒の興味・関心を生かした自主的,
自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(7)
学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向け
た授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地
域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収
集や鑑賞等の学習活動を充実すること。
2 学習評価の充実
学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感できるようにす
ること。また,各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時
間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指導の改善や
学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにすること。
(2)
創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推進すると
ともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。
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指導要領
504
第4 生徒の発達の支援
1 生徒の発達を支える指導の充実
教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため,
日頃から学級経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,
個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリング
の双方により,生徒の発達を支援すること。
(2)
生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送
る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と
関連付けながら,生徒指導の充実を図ること。
(3)
生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基
盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じ
て,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択するこ
とができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。
(4)
生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよ
う,生徒や学校の実態に応じ,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応
じた学習,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り
入れることや,教師間の協力による指導体制を確保することなど,指導方法や指導体制の工夫改善によ
り,個に応じた指導の充実を図ること。
その際,第3の1の
(3)
に示す情報手段や教材・教具の活用を図
ること。
2 特別な配慮を必要とする生徒への指導
(1)障害のある生徒などへの指導
ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の生徒の障害
の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
イ 特別支援学級において実施する特別の教育課程については,次のとおり編成するものとする。
(ア)
障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るため,特別支援学校小学部・中学部学習
指導要領第7章に示す自立活動を取り入れること。
(イ)
生徒の障害の程度や学級の実態等を考慮の上,各教科の目標や内容を下学年の教科の目標や内容
に替えたり,各教科を,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えた
りするなどして,実態に応じた教育課程を編成すること。
ウ 障害のある生徒に対して,通級による指導を行い,特別の教育課程を編成する場合には,特別支援
学校小学部・中学部学習指導要領第7章に示す自立活動の内容を参考とし,具体的な目標や内容を定
め,指導を行うものとする。その際,効果的な指導が行われるよう,各教科等と通級による指導との
関連を図るなど,教師間の連携に努めるものとする。
エ 障害のある生徒などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関
との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活
用することに努めるとともに,各教科等の指導に当たって,個々の生徒の実態を的確に把握し,個別
の指導計画を作成し活用することに努めるものとする。特に,特別支援学級に在籍する生徒や通級に
よる指導を受ける生徒については,個々の生徒の実態を的確に把握し,個別の教育支援計画や個別の
指導計画を作成し,効果的に活用するものとする。
(2)
海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や,日本語の習得に困難のある生徒に対する日本語指
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指導要領
505
導
ア 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験
を生かすなどの適切な指導を行うものとする。
イ 日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方法の工夫
を組織的かつ計画的に行うものとする。特に,通級による日本語指導については,教師間の連携に努
め,指導についての計画を個別に作成することなどにより,効果的な指導に努めるものとする。
(3)不登校生徒への配慮
ア 不登校生徒については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は援助を得
ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の生徒の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援を
行うものとする。
イ 相当の期間中学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒を対象として,文部科学大臣が認め
る特別の教育課程を編成する場合には,生徒の実態に配慮した教育課程を編成するとともに,個別学
習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。
(4)学齢を経過した者への配慮
ア 夜間その他の特別の時間に授業を行う課程において学齢を経過した者を対象として特別の教育課程
を編成する場合には,学齢を経過した者の年齢,経験又は勤労状況その他の実情を踏まえ,中学校教
育の目的及び目標並びに第2章以下に示す各教科等の目標に照らして,中学校教育を通じて育成を目
指す資質・能力を身に付けることができるようにするものとする。
イ 学齢を経過した者を教育する場合には,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫
改善に努めるものとする。
第5 学校運営上の留意事項
1 教育課程の改善と学校評価,教育課程外の活動との連携等
ア 各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ,相互
に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。
また,各学校が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や学校運営の中核
となることを踏まえつつ,カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するもの
とする。
イ 教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,
いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の全体計画等と関連付
けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の
自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習
意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学
校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に
応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工
夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。
2 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携
教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の実施に必要な人的又は物
的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど,家庭や地域社会との連携及び協働を深め
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指導要領
506
ること。また,高齢者や異年齢の子供など,地域における世代を越えた交流の機会を設けること。
イ 他の中学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,高等学校,特別支援学校などとの間の連
携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し
合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。
第6 道徳教育に関する配慮事項
道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,前項までに示す事項に加え,次の事項に配慮
するものとする。
1 各学校においては,第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,
校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。
)を中心に,
全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒や学
校,地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,道徳科の指導方針,第3
章特別の教科道徳の第2に示す内容との関連を踏まえた各教科,総合的な学習の時間及び特別活動にお
ける指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示すこと。
2 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,小
学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,
生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,法やきまりの意義に
関する理解を深めること,自らの将来の生き方を考え主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養う
こと,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重すること,
国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けることに留意すること。
3 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動,
地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,生徒の日常生活
に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意す
ること。
4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の
充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解
を深め,相互の連携を図ること。
|
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指導要領
507
第2章
各教科
第1節 国語
第1 目 標
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を
次のとおり育成することを目指す。
(1)
社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2)
社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
(3)
言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重
してその能力の向上を図る態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目 標
(1)
社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解し
たりすることができるようにする。
(2)
筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い,日常生活における人との関わりの
中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを確かなものにすることができるようにする。
(3)
言葉がもつ価値に気付くとともに,進んで読書をし,我が国の言語文化を大切にして,思いや考え
を伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
(1)
言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音声の働きや仕組みについて,理解を深めること。
イ 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。
)
に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち300 字程度から400 字程度までの漢字を読む
こと。また,学年別漢字配当表の漢字のうち900 字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
ウ 事象や行為,心情を表す語句の量を増すとともに,語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係
に注意して話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 単語の類別について理解するとともに,指示する語句と接続する語句の役割について理解を深め
ること。
オ 比喩,反復,倒置,体言止めなどの表現の技法を理解し使うこと。
(2)
話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 原因と結果,意見と根拠など情報と情報との関係について理解すること。
イ 比較や分類,関係付けなどの情報の整理の仕方,引用の仕方や出典の示し方について理解を深め,
それらを使うこと。
(3)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
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指導要領
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ア 音読に必要な文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読し,古典特有のリズムを通し
て,古典の世界に親しむこと。
イ 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
ウ 共通語と方言の果たす役割について理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷書で書くこと。
(イ)漢字の行書の基礎的な書き方を理解して,身近な文字を行書で書くこと。
オ 読書が,知識や情報を得たり,自分の考えを広げたりすることに役立つことを理解すること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1)
話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,日常生活の中から話題を決め,集めた材料を整理し,伝え合う内容を検討
すること。
イ 自分の考えや根拠が明確になるように,話の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係
などに注意して,話の構成を考えること。
ウ 相手の反応を踏まえながら,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 必要に応じて記録したり質問したりしながら話の内容を捉え,共通点や相違点などを踏まえて,
自分の考えをまとめること。
オ 話題や展開を捉えながら話し合い,互いの発言を結び付けて考えをまとめること。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 紹介や報告など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問したり意見などを述べたりする活
動。
イ 互いの考えを伝えるなどして,少人数で話し合う活動。
B 書くこと
(1)書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,日常生活の中から題材を決め,集めた材料を整理し,伝えたいことを明確
にすること。
イ 書く内容の中心が明確になるように,段落の役割などを意識して文章の構成や展開を考えること。
ウ 根拠を明確にしながら,自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,文章を整えること。
オ 根拠の明確さなどについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点を見
いだすこと。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本や資料から文章や図表などを引用して説明したり記録したりするなど,事実やそれを基に考え
たことを書く活動。
イ 行事の案内や報告の文章を書くなど,伝えるべきことを整理して書く活動。
ウ 詩を創作したり随筆を書いたりするなど,感じたことや考えたことを書く活動。
C 読むこと
(1)読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係などについて叙述を基に捉え,要旨を
把握すること。
イ 場面の展開や登場人物の相互関係,心情の変化などについて,描写を基に捉えること。
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指導要領
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ウ 目的に応じて必要な情報に着目して要約したり,場面と場面,場面と描写などを結び付けたりし
て,内容を解釈すること。
エ 文章の構成や展開,表現の効果について,根拠を明確にして考えること。
オ 文章を読んで理解したことに基づいて,自分の考えを確かなものにすること。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や記録などの文章を読み,理解したことや考えたことを報告したり文章にまとめたりする活
動。
イ 小説や随筆などを読み,考えたことなどを記録したり伝え合ったりする活動。
ウ 学校図書館などを利用し,多様な情報を得て,考えたことなどを報告したり資料にまとめたりす
る活動。
〔第2学年〕
1 目 標
(1)
社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解し
たりすることができるようにする。
(2)
論理的に考える力や共感したり想像したりする力を養い,社会生活における人との関わりの中で伝
え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3)
言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を生活に役立て,我が国の言語文化を大切にして,思い
や考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
(1)
言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,相手の行動を促す働きがあることに気付くこと。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴について理解すること。
ウ 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち350 字程度から450 字程度ま
での漢字を読むこと。また,学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこ
と。
エ 抽象的な概念を表す語句の量を増すとともに,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表
す語句などについて理解し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
オ 単語の活用,助詞や助動詞などの働き,文の成分の順序や照応など文の構成について理解すると
ともに,話や文章の構成や展開について理解を深めること。
カ 敬語の働きについて理解し,話や文章の中で使うこと。
(2)
話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 意見と根拠,具体と抽象など情報と情報との関係について理解すること。
イ 情報と情報との関係の様々な表し方を理解し使うこと。
(3)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界に親しむこと。
イ 現代語訳や語注などを手掛かりに作品を読むことを通して,古典に表れたものの見方や考え方を
知ること。
ウ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)
漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
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指導要領
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(イ)目的や必要に応じて,楷書又は行書を選んで書くこと。
エ 本や文章などには,様々な立場や考え方が書かれていることを知り,自分の考えを広げたり深め
たりする読書に生かすこと。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1)
話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,異なる立場や考えを想定しながら集めた材
料を整理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えが明確になるように,根拠の適切さや論理の展開などに注意して,話の構成を
工夫すること。
ウ 資料や機器を用いるなどして,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 論理の展開などに注意して聞き,話し手の考えと比較しながら,自分の考えをまとめること。
オ 互いの立場や考えを尊重しながら話し合い,結論を導くために考えをまとめること。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や提案など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問や助言などをしたりする活動。
イ それぞれの立場から考えを伝えるなどして,議論や討論をする活動。
B 書くこと
(1)書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,多様な方法で集めた材料を整理し,伝えた
いことを明確にすること。
イ 伝えたいことが分かりやすく伝わるように,段落相互の関係などを明確にし,文章の構成や展開
を工夫すること。
ウ 根拠の適切さを考えて説明や具体例を加えたり,表現の効果を考えて描写したりするなど,自分
の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表現の効果などを確かめて,文章を整えるこ と。
オ 表現の工夫とその効果などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改
善点を見いだすこと。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 多様な考えができる事柄について意見を述べるなど,自分の考えを書く活動。
イ 社会生活に必要な手紙や電子メールを書くなど,伝えたいことを相手や媒体を考慮して書く活動。
ウ 短歌や俳句,物語を創作するなど,感じたことや想像したことを書く活動。
C 読むこと
(1)読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章全体と部分との関係に注意しながら,主張と例示との関係や登場人物の設定の仕方などを捉
えること。
イ 目的に応じて複数の情報を整理しながら適切な情報を得たり,登場人物の言動の意味などについ
て考えたりして,内容を解釈すること。
ウ 文章と図表などを結び付け,その関係を踏まえて内容を解釈すること。
エ 観点を明確にして文章を比較するなどし,文章の構成や論理の展開,表現の効果について考える
こと。
オ 文章を読んで理解したことや考えたことを知識や経験と結び付け,自分の考えを広げたり深めた
りすること。
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(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 報告や解説などの文章を読み,理解したことや考えたことを説明したり文章にまとめたりする活
動。
イ 詩歌や小説などを読み,引用して解説したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 本や新聞,インターネットなどから集めた情報を活用し,出典を明らかにしながら,考えたこと
などを説明したり提案したりする活動。
〔第3学年〕
1 目 標
(1)
社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解し
たりすることができるようにする。
(2)
論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を養い,社会生活における人との関わ
りの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3)
言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を通して自己を向上させ,我が国の言語文化に関わり,
思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内 容
〔知識及び技能〕
(1)
言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。また,学年別漢
字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
イ 理解したり表現したりするために必要な語句の量を増し,慣用句や四字熟語などについて理解を
深め,話や文章の中で使うとともに,和語,漢語,外来語などを使い分けることを通して,語感を
磨き語彙を豊かにすること。
ウ 話や文章の種類とその特徴について理解を深めること。
エ 敬語などの相手や場に応じた言葉遣いを理解し,適切に使うこと。
(2)
話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 具体と抽象など情報と情報との関係について理解を深めること。
イ 情報の信頼性の確かめ方を理解し使うこと。
(3)我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歴史的背景などに注意して古典を読むことを通して,その世界に親しむこと。
イ 長く親しまれている言葉や古典の一節を引用するなどして使うこと。
ウ 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いについて理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア)
身の回りの多様な表現を通して文字文化の豊かさに触れ,効果的に文字を書くこと。
オ 自分の生き方や社会との関わり方を支える読書の意義と効用について理解すること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1)
話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,多様な考えを想定しながら材料を整理し,
伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えを明確にし,相手を説得できるように論理の展開などを考えて,話の構成を工
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指導要領
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夫すること。
ウ 場の状況に応じて言葉を選ぶなど,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 話の展開を予測しながら聞き,聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分の考えを広げたり
深めたりすること。
オ 進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら話し合い,合意形成に向けて考えを広
げたり深めたりすること。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 提案や主張など自分の考えを話したり,それらを聞いて質問したり評価などを述べたりする活動。
イ 互いの考えを生かしながら議論や討論をする活動。
B 書くこと
(1)書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,集めた材料の客観性や信頼性を確認し,伝
えたいことを明確にすること。
イ 文章の種類を選択し,多様な読み手を説得できるように論理の展開などを考えて,文章の構成を
工夫すること。
ウ 表現の仕方を考えたり資料を適切に引用したりするなど,自分の考えが分かりやすく伝わる文章
になるように工夫すること。
エ 目的や意図に応じた表現になっているかなどを確かめて,文章全体を整えること。
オ 論理の展開などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点を見い
だすこと。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評するなど,自分の考えを書く活動。
イ 情報を編集して文章にまとめるなど,伝えたいことを整理して書く活動。
C 読むこと
(1)読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,論理や物語の展開の仕方などを捉えること。
イ 文章を批判的に読みながら,文章に表れているものの見方や考え方について考えること。
ウ 文章の構成や論理の展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで考えを広げたり深めたりして,人間,社会,自然などについて,自分の意見をもつ
こと。
(2)
(1)
に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 論説や報道などの文章を比較するなどして読み,理解したことや考えたことについて討論したり
文章にまとめたりする活動。
イ 詩歌や小説などを読み,批評したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 実用的な文章を読み,実生活への生かし方を考える活動。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,言葉による見方・考え方を働かせ,言語
活動を通して,言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学習の充実を図ること。
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指導要領
513
(2)
第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げることもでき
ること。
(3)
第2の各学年の内容の〔知識及び技能〕に示す事項については,
〔思考力,判断力,表現力等〕に示す
事項の指導を通して指導することを基本とし,必要に応じて,特定の事項だけを取り上げて指導したり,
それらをまとめて指導したりするなど,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(4)
第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」に関する指導につ
いては,第1学年及び第2学年では年間15〜25 単位時間程度,第3学年では年間10〜20 単位時間程度
を配当すること。その際,音声言語のための教材を積極的に活用するなどして,指導の効果を高めるよ
う工夫すること。
(5)
第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B書くこと」に関する指導については,第
1学年及び第2学年では年間30〜40 単位時間程度,第3学年では年間20〜30 単位時間程度を配当する
こと。その際,実際に文章を書く活動を重視すること。
(6)
第2の第1学年及び第3学年の内容の〔知識及び技能〕の
(3)
のオ,第2学年の内容の〔知識及び技
能〕の
(3)
のエ,各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」に関する指導について
は,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにするとともに,他教科等における読書の指
導や学校図書館における指導との関連を考えて行うこと。
(7)
言語能力の向上を図る観点から,外国語科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高め
るようにすること。
(8)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(9)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
〔知識及び技能〕に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 日常の言語活動を振り返ることなどを通して,生徒が,実際に話したり聞いたり書いたり読んだり
する場面を意識できるよう指導を工夫すること。
イ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア)
他教科等の学習において必要となる漢字については,当該教科等と関連付けて指導するなど,そ
の確実な定着が図られるよう工夫すること。
ウ 書写の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア)
文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立
てる態度を育てるよう配慮すること。
(イ)硬筆を使用する書写の指導は各学年で行うこと。
(ウ)
毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導するこ
と。
(エ)
書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20 単位時間程度,第3学年
では年間10 単位時間程度とすること。
(2)
第2の内容の指導に当たっては,生徒がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機
会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(3)
第2の内容の指導に当たっては,学校図書館などを目的をもって計画的に利用しその機能の活用を図
るようにすること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
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指導要領
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(1)
教材は,第2の各学年の目標及び内容に示す資質・能力を偏りなく養うことや読書に親しむ態度を育
成することをねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げる
こと。また,第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」
,
「B書
くこと」
及び
「C読むこと」
のそれぞれの
(2)
に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
(2)教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的に物事を捉え考察し,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3)
第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」の教材については,各学年で
説明的な文章や文学的な文章などの文章の種類を調和的に取り扱うこと。また,説明的な文章について
は,適宜,図表や写真などを含むものを取り上げること。
(4)
我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれかの学年で
取り上げること。
(5)
古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章など
を取り上げること。
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指導要領
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第2節 社会
第1 目 標
社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グロ
ーバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・
能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1)
我が国の国土と歴史,現代の政治,経済,国際関係等に関して理解するとともに,調査や諸資料から
様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2)
社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の
解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりす
る力を養う。
(3)
社会的事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとと
もに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵
かん
養される我が国の国土や歴史に対する愛情,国民主
権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化を尊重することの
大切さについての自覚などを深める。
第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目 標
社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い
視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要
な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1)
我が国の国土及び世界の諸地域に関して,地域の諸事象や地域的特色を理解するとともに,調査や
諸資料から地理に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2)
地理に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,位置や分布,場所,人間と自然環境との相
互依存関係,空間的相互依存作用,地域などに着目して,多面的・多角的に考察したり,地理的な課
題の解決に向けて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に
議論したりする力を養う。
(3)
日本や世界の地域に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主
体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵
かん
養
される我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとすることの大切さ
についての自覚などを深める。
2 内 容
A 世界と日本の地域構成
(1)地域構成
次の①と②の地域構成を取り上げ,位置や分布などに着目して,課題を追究したり解決したりする
活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 世界の地域構成 ② 日本の地域構成
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指導要領
516
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置などを基に,世界の地域構成を大観し
理解すること。
(イ)
我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の範囲や変化とその特色などを基に,日本の地
域構成を大観し理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
世界の地域構成の特色を,大陸と海洋の分布や主な国の位置,緯度や経度などに着目して多面
的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
日本の地域構成の特色を,周辺の海洋の広がりや国土を構成する島々の位置などに着目して多
面的・多角的に考察し,表現すること。
B 世界の様々な地域
(1)世界各地の人々の生活と環境
場所や人間と自然環境との相互依存関係などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を
通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
人々の生活は,その生活が営まれる場所の自然及び社会的条件から影響を受けたり,その場所
の自然及び社会的条件に影響を与えたりすることを理解すること。
(イ)
世界各地における人々の生活やその変容を基に,世界の人々の生活や環境の多様性を理解する
こと。その際,世界の主な宗教の分布についても理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
世界各地における人々の生活の特色やその変容の理由を,その生活が営まれる場所の自然及び
社会的条件などに着目して多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2)世界の諸地域
次の①から⑥までの各州を取り上げ,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設けて課
題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう
指導する。
① アジア ② ヨーロッパ ③ アフリカ
④ 北アメリカ ⑤ 南アメリカ ⑥ オセアニア
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界各地で顕在化している地球的課題は,それが見られる地域の地域的特色の影響を受けて,
現れ方が異なることを理解すること。
(イ)
①から⑥までの世界の各州に暮らす人々の生活を基に,各州の地域的特色を大観し理解するこ
と。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
①から⑥までの世界の各州において,地域で見られる地球的課題の要因や影響を,州という地
域の広がりや地域内の結び付きなどに着目して,それらの地域的特色と関連付けて多面的・多角
的に考察し,表現すること。
C 日本の様々な地域
(1)地域調査の手法
場所などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けること
ができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
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指導要領
517
(ア)
観察や野外調査,文献調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方の基礎を理解すること。
(イ)
地形図や主題図の読図,目的や用途に適した地図の作成などの地理的な技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
地域調査において,対象となる場所の特徴などに着目して,適切な主題や調査,まとめとなる
ように,調査の手法やその結果を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2)日本の地域的特色と地域区分
次の①から④までの項目を取り上げ,分布や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりす
る活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 自然環境 ② 人口 ③ 資源・エネルギーと産業
④ 交通・通信
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色,自然災害と防災への取組などを
基に,日本の自然環境に関する特色を理解すること。
(イ)
少子高齢化の課題,国内の人口分布や過疎・過密問題などを基に,日本の人口に関する特色を
理解すること。
(ウ)
日本の資源・エネルギー利用の現状,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題など
を基に,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を理解すること。
(エ)
国内や日本と世界との交通・通信網の整備状況,これを活用した陸上,海上輸送などの物流や
人の往来などを基に,国内各地の結び付きや日本と世界との結び付きの特色を理解すること。
(オ)
①から④までの項目に基づく地域区分を踏まえ,我が国の国土の特色を大観し理解すること。
(カ)
日本や国内地域に関する各種の主題図や資料を基に,地域区分をする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
①から④までの項目について,それぞれの地域区分を,地域の共通点や差異,分布などに着目
して,多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
日本の地域的特色を,①から④までの項目に基づく地域区分などに着目して,それらを関連付
けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3)日本の諸地域
次の①から⑤までの考察の仕方を基にして,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設
けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができ
るよう指導する。
① 自然環境を中核とした考察の仕方
② 人口や都市・村落を中核とした考察の仕方
③ 産業を中核とした考察の仕方
④ 交通や通信を中核とした考察の仕方
⑤ その他の事象を中核とした考察の仕方
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
幾つかに区分した日本のそれぞれの地域について,その地域的特色や地域の課題を理解するこ
と。
(イ)
①から⑤までの考察の仕方で取り上げた特色ある事象と,それに関連する他の事象や,そこで
生ずる課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
日本の諸地域において,それぞれ①から⑤までで扱う中核となる事象の成立条件を,地域の広
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指導要領
518
がりや地域内の結び付き,人々の対応などに着目して,他の事象やそこで生ずる課題と有機的に
関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(4)地域の在り方
空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の
事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)地域の実態や課題解決のための取組を理解すること。
(イ)
地域的な課題の解決に向けて考察,構想したことを適切に説明,議論しまとめる手法について
理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
地域の在り方を,地域の結び付きや地域の変容,持続可能性などに着目し,そこで見られる地
理的な課題について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1)
内容のA,B及びCについては,この順序で取り扱うものとし,既習の学習成果を生かすこと。
(2)内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 世界や日本の場所や地域の特色には,一般的共通性と地方的特殊性があり,また,地域に見られ
る諸事象は,その地域の規模の違いによって現れ方が異なることに留意すること。
イ 地図の読図や作図,景観写真の読み取り,地域に関する情報の収集や処理などの地理的技能を身
に付けるに当たっては,系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を
十分に活用すること。
ウ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることのないよ
うにすること。
エ 地域の特色や変化を捉えるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して
地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
オ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色を捉える
上で必要な範囲にとどめること。
(3)内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
日本の地域構成を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げ
ること。
(イ)
「領域の範囲や変化とその特色」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上げると
ともに,竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題も取
り上げるようにすること。その際,尖閣諸島については我が国の固有の領土であり,領土問題は
存在しないことも扱うこと。
(ウ)
地球儀や地図を積極的に活用し,学習全体を通して,大まかに世界地図や日本地図を描けるよ
うにすること。
(4)内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,世界各地の人々の生活の特色やその変容の理由と,その生活が営まれる場所の
自然及び社会的条件との関係を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教との関わりなど
を取り上げるようにすること。
イ (2)
については,次のとおり取り扱うものとする。
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指導要領
519
(ア)
州ごとに設ける主題については,各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる事象を取
り上げるとともに,そこで特徴的に見られる地球的課題と関連付けて取り上げること。
(イ)
取り上げる地球的課題については,地域間の共通性に気付き,我が国の国土の認識を深め,持
続可能な社会づくりを考える上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異
なるものとなるようにすること。
(5)内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
地域調査に当たっては,対象地域は学校周辺とし,主題は学校所在地の事情を踏まえて,防災,
人口の偏在,産業の変容,交通の発達などの事象から適切に設定し,観察や調査を指導計画に位
置付けて実施すること。
なお,学習の効果を高めることができる場合には,内容のCの
(3)
の中の
学校所在地を含む地域の学習や,Cの
(4)
と結び付けて扱うことができること。
(イ)
様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的
な学習活動を取り入れること。また,課題の追究に当たり,例えば,防災に関わり危険を予測し
たり,人口の偏在に関わり人口動態を推測したりする際には,縮尺の大きな地図や統計その他の
資料を含む地理空間情報を適切に取り扱い,その活用の技能を高めるようにすること。
イ (2)
については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
①から④までで示した日本の地域的特色については,系統的に理解を深めるための基本的な事
柄で構成すること。
(イ)
地域区分に際しては,日本の地域的特色を見いだしやすくなるようにそれぞれ適切な数で区分
すること。
ウ (3)
については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
日本の諸地域については,国内を幾つかの地域に区分して取り上げることとし,その地域区分
は,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ)
学習する地域ごとに①から⑤までの考察の仕方を一つ選択することとし,①から④までの考察
の仕方は,少なくとも一度は取り扱うこと。また,⑤の考察の仕方は,様々な事象や事柄の中か
ら,取り上げる地域に応じた適切なものを適宜設定すること。
(ウ)
地域の考察に当たっては,そこに暮らす人々の生活・文化,地域の伝統や歴史的な背景,地域
の持続可能な社会づくりを踏まえた視点に留意すること。
エ (4)
については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア)
取り上げる地域や課題については,各学校において具体的に地域の在り方を考察できるような,
適切な規模の地域や適切な課題を取り上げること。
(イ)
学習の効果を高めることができる場合には,内容のCの
(1)
の学習や,Cの
(3)
の中の学校所在
地を含む地域の学習と結び付けて扱うことができること。
(ウ)
考察,構想,表現する際には,学習対象の地域と類似の課題が見られる他の地域と比較したり,
関連付けたりするなど,具体的に学習を進めること。
(エ)
観察や調査の結果をまとめる際には,地図や諸資料を有効に活用して事象を説明したり,自分
の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
〔歴史的分野〕
1 目 標
社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い
視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要
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指導要領
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な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1)
我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解するとともに,
諸資料から歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2)
歴史に関わる事象の意味や意義,伝統と文化の特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連
や現在とのつながりなどに着目して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し複数
の立場や意見を踏まえて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それら
を基に議論したりする力を養う。
(3)
歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究,
解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵
かん
養される我が国
の歴史に対する愛情,国民としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽く
した歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深
め,国際協調の精神を養う。
2 内 容
A 歴史との対話
(1)私たちと歴史
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
年代の表し方や時代区分の意味や意義についての基本的な内容を理解すること。
(イ)
資料から歴史に関わる情報を読み取ったり,年表などにまとめたりするなどの技能を身に付け
ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
時期や年代,推移,現在の私たちとのつながりなどに着目して,小学校での学習を踏まえて歴
史上の人物や文化財,出来事などから適切なものを取り上げ,時代区分との関わりなどについて
考察し表現すること。
(2)身近な地域の歴史
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
自らが生活する地域や受け継がれてきた伝統や文化への関心をもって,具体的な事柄との関わ
りの中で,地域の歴史について調べたり,収集した情報を年表などにまとめたりするなどの技能
を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
比較や関連,時代的な背景や地域的な環境,歴史と私たちとのつながりなどに着目して,地域
に残る文化財や諸資料を活用して,身近な地域の歴史的な特徴を多面的・多角的に考察し,表現
すること。
B 近世までの日本とアジア
(1)古代までの日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)世界の古代文明や宗教のおこり
世界の古代文明や宗教のおこりを基に,世界の各地で文明が築かれたことを理解すること。
(イ)日本列島における国家形成
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指導要領
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日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷(大和政権)によ
る統一の様子と東アジアとの関わりなどを基に,東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国
家が形成されていったことを理解すること。
(ウ)律
りつ
令
りょう
国家の形成
律
りつ
令
りょう
国家の確立に至るまでの過程,摂関政治などを基に,東アジアの文物や制度を積極的に
取り入れながら国家の仕組みが整えられ,その後,天皇や貴族による政治が展開したことを理解
すること。
(エ)古代の文化と東アジアとの関わり
仏教の伝来とその影響,仮名文字の成立などを基に,国際的な要素をもった文化が栄え,それ
らを基礎としながら文化の国風化が進んだことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
古代文明や宗教が起こった場所や環境,農耕の広まりや生産技術の発展,東アジアとの接触や
交流と政治や文化の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(エ)
ま
でについて古代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
古代までの日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2)中世の日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)武家政治の成立とユーラシアの交流
鎌
かま
倉
くら
幕府の成立,元
げん
寇
こう
(モンゴル帝国の襲来)などを基に,武士が台頭して主従の結び付きや
武力を背景とした武家政権が成立し,その支配が広まったこと,元
げん
寇
こう
がユーラシアの変化の中で
起こったことを理解すること。
(イ)武家政治の展開と東アジアの動き
南北朝の争乱と室町幕府,日
にち
明
みん
貿易,琉
りゅう
球
きゅう
の国際的な役割などを基に,武家政治の展開ととも
に,東アジア世界との密接な関わりが見られたことを理解すること。
(ウ)民衆の成長と新たな文化の形成
農業など諸産業の発達,畿内を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立,武士や
民衆などの多様な文化の形成,応
おう
仁
にん
の乱後の社会的な変動などを基に,民衆の成長を背景とした
社会や文化が生まれたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
武士の政治への進出と展開,東アジアにおける交流,農業や商工業の発達などに着目して,事
象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(ウ)
までについて中世の社会の変化の様子を多面
的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
中世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3)近世の日本
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)世界の動きと統一事業
ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織
お
田
だ
・豊
とよ
臣
とみ
による統一事業とその当時の対外関係,武将
や豪商などの生活文化の展開などを基に,近世社会の基礎がつくられたことを理解すること。
(イ)江戸幕府の成立と対外関係
江戸幕府の成立と大名統制,身分制と農村の様子,鎖国などの幕府の対外政策と対外関係など
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を基に,幕府と藩による支配が確立したことを理解すること。
(ウ)産業の発達と町人文化
産業や交通の発達,教育の普及と文化の広がりなどを基に,町人文化が都市を中心に形成され
たことや,各地方の生活文化が生まれたことを理解すること。
(エ)幕府の政治の展開
社会の変動や欧米諸国の接近,幕府の政治改革,新しい学問・思想の動きなどを基に,幕府の
政治が次第に行き詰まりをみせたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
交易の広がりとその影響,統一政権の諸政策の目的,産業の発達と文化の担い手の変化,社会
の変化と幕府の政策の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(エ)
までについて近世の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
近世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 近現代の日本と世界
(1)近代の日本と世界
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)欧米における近代社会の成立とアジア諸国の動き
欧米諸国における産業革命や市民革命,アジア諸国の動きなどを基に,欧米諸国が近代社会を
成立させてアジアへ進出したことを理解すること。
(イ)明治維新と近代国家の形成
開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化の風潮などを基に,明治維新によって近
代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解すること。
(ウ)議会政治の始まりと国際社会との関わり
自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日
につ
清
しん
・日露戦争,条約改正などを基に,立憲制の国家
が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的な地位が向上したことを理解すること。
(エ)近代産業の発展と近代文化の形成
我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを基に,
我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解すること。
(オ)第一次世界大戦前後の国際情勢と大衆の出現
第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民の政治
的自覚の高まりと文化の大衆化などを基に,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我が国の動きと,
大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解すること。
(カ)第二次世界大戦と人類への惨禍
経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政
治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の生活などを基
に,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
工業化の進展と政治や社会の変化,明治政府の諸改革の目的,議会政治や外交の展開,近代化
がもたらした文化への影響,経済の変化の政治への影響,戦争に向かう時期の社会や生活の変化,
世界の動きと我が国との関連などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの
(ア)
から
(カ)
までについて近代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
近代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
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(2)現代の日本と世界
課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する
こと。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)日本の民主化と冷戦下の国際社会
冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを基に,第二次世界大戦後の諸改
革の特色や世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解すること。
(イ)日本の経済の発展とグローバル化する世界
高度経済成長,国際社会との関わり,冷戦の終結などを基に,我が国の経済や科学技術の発展
によって国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことを理解す
ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
諸改革の展開と国際社会の変化,政治の展開と国民生活の変化などに着目して,事象を相互に
関連付けるなどして,アの
(ア)
及び
(イ)
について現代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察
し,表現すること。
(イ)
現代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(ウ)
これまでの学習を踏まえ,歴史と私たちとのつながり,現在と未来の日本や世界の在り方につ
いて,課題意識をもって多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1)内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の発達の段階を考慮して,各時代の特色や時代の転換に関係する基礎的・基本的な歴史に関
わる事象を重点的に選んで指導内容を構成すること。
イ 調査や諸資料から歴史に関わる事象についての様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめ
る技能を身に付ける学習を重視すること。その際,年表を活用した読み取りやまとめ,文献,図版
などの多様な資料,地図などの活用を十分に行うこと。
ウ 歴史に関わる事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究したり,
意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うとともに,学習内容
の確かな理解と定着を図ること。
エ 各時代の文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考察させるようにすること。
オ 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互
に深く関わっていることを考察させるようにすること。その際,歴史に見られる文化や生活の多様
性に気付かせること。
カ 国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化
遺産について,生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それらの時代的背景や地域性な
どと関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人物と文化遺産を取り
上げることにも留意すること。
キ 歴史に関わる事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して
取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
ク 日本人の生活や生活に根ざした文化については,政治の動き,社会の動き,各地域の地理的条件,
身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり,民俗学や考古学などの成果の活用や博物館,郷土資
料館などの施設を見学・調査したりするなど具体的に学ぶことを通して理解させるように工夫する
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指導要領
524
こと。
(2)内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。
小学校での学習
を踏まえ,扱う内容や活動を工夫すること。
「課題を追究したり解決したりする活動」については,
内容のB以下の学習と関わらせて,歴史を追究するために,課題意識をもって学ぶことを促す適切
な学習活動を設けるような工夫をすること。
(1)
のアの
(ア)
の「年代の表し方や時代区分」の学習に
ついては,導入における学習内容を基盤にし,内容のB以下の学習と関わらせて継続的・計画的に
進めること。また,
(1)
のイの
(ア)
の「時期や年代,推移,現在の私たちとのつながり」については,
内容のB以下の学習と関わらせて,事象相互の関連などにも留意し,それぞれの時代でこれらに着
目して考察することが大切であることに気付かせること。
イ (2)
については,
内容のB以下の学習と関わらせて計画的に実施し,
地域の特性に応じた時代を取
り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫す
ること。その際,博物館,郷土資料館などの地域の施設の活用や地域の人々の協力も考慮すること。
(3)内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
のアの
(ア)
の「世界の古代文明」については,人類の出現にも触れ,中国の文明をはじめとし
て諸文明の特徴を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特
徴に気付かせるようにすること。また,ギリシャ・ローマの文明について,政治制度など民主政治
の来歴の観点から取り扱うこと。
「宗教のおこり」
については,仏教,キリスト教,イスラム教など
を取り上げ,古代の文明とともに大きく捉えさせるようにすること。
(1)
のアの
(イ)
の「日本列島に
おける国家形成」については,狩猟・採集を行っていた人々の生活が農耕の広まりとともに変化し
ていったことに気付かせるようにすること。また,考古学などの成果を活用するとともに,古事記,
日本書紀,風土記などにまとめられた神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの
見方などに気付かせるよう留意すること。
「大和朝廷
(大和政権)
による統一の様子と東アジアとの
関わり」については,古墳の広まりにも触れるとともに,大陸から移住してきた人々の我が国の社
会や文化に果たした役割にも気付かせるようにすること。
(1)
のアの
(ウ)
の
「律
りつ
令
りょう
国家の確立に至る
までの過程」については,聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
の政治,大化の改新から律
りつ
令
りょう
国家の確立に至るまでの過程を,
小学校での学習内容を活用して大きく捉えさせるようにすること。なお,
「聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
の政治」を取
り上げる際には,聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
が古事記や日本書紀においては「厩
うまやどのおうじ
戸皇子」などと表記され,後に「聖
しょう
徳
とく
太
たい
子
し
」と称されるようになったことに触れること。
イ (2)
のアの
(ア)
の「ユーラシアの変化」については,モンゴル帝国の拡大によるユーラシアの結び
付きについて気付かせること。
(2)
のアの
(イ)
の「琉
りゅう
球
きゅう
の国際的な役割」については,琉
りゅう
球
きゅう
の文化
についても触れること。
(2)
のアの
(ウ)
の「武士や民衆などの多様な文化の形成」については,代表
的な事例を取り上げてその特色を捉えさせるようにすること。その際,この時代の文化の中に現在
に結び付くものが見られることに気付かせるようにすること。また,禅宗の文化的な影響について
も触れること。
「応
おう
仁
にん
の乱後の社会的な変動」については,戦国の動乱も取り扱うようにすること。
ウ (3)
のアの
(ア)
の「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,その
背景となるアジアの交易の状況やムスリム商人などの役割と世界の結び付きに気付かせること。ま
た,宗教改革についても触れること。
「織
お
田
だ
・豊
とよ
臣
とみ
による統一事業」
については,検地・刀狩などの
政策を取り扱うようにすること。
(3)
のアの
(イ)
の「鎖国などの幕府の対外政策と対外関係」につい
ては,オランダ,中国との交易のほか,朝鮮との交流や琉
りゅう
球
きゅう
の役割,北方との交易をしていたアイ
ヌについて取り扱うようにすること。
その際,アイヌの文化についても触れること。
「幕府と藩によ
る支配」については,その支配の下に大きな戦乱のない時期を迎えたことなどに気付かせること。
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指導要領
525
(3)
のアの
(ウ)
の「産業や交通の発達」については,身近な地域の特徴を生かすようにすること。
「各
地方の生活文化」については,身近な地域の事例を取り上げるように配慮し,藩校や寺子屋などに
よる「教育の普及」や社会的な「文化の広がり」と関連させて,現在との結び付きに気付かせるよ
うにすること。
(3)
のアの
(エ)
の「幕府の政治改革」については,百姓一
いっ
揆
き
などに結び付く農村の変
化や商業の発達などへの対応という観点から,代表的な事例を取り上げるようにすること。
(4)内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
のアの
(ア)
の「市民革命」については,政治体制の変化や人権思想の発達や広がり,現代の政
治とのつながりなどと関連付けて,アメリカの独立,フランス革命などを扱うこと。
「アジア諸国の
動き」については,欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という観点から,代表的な事
例を取り上げるようにすること。
(1)
のアの
(イ)
の「開国とその影響」については,
(1)
のアの
(ア)
の
欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。
「富国強兵・殖産興業政策」
について
は,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土
の画定などを取り扱うようにすること。その際,北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編
入についても触れること。
「明治維新」
については,複雑な国際情勢の中で独立を保ち,近代国家を
形成していった政府や人々の努力に気付かせるようにすること。
(1)
のアの
(ウ)
の
「日
につ
清
しん
・日露戦争」
については,この頃の大陸との関係を踏まえて取り扱うようにすること。
「条約改正」については,
当時の国内の社会状況や国際情勢との関わりを踏まえて,欧米諸国と対等な外交関係を樹立する過
程の中から代表的な事例を取り上げるようにすること。
「立憲制の国家が成立して議会政治が始ま
る」
については,その歴史上の意義や現代の政治とのつながりに気付かせるようにすること。
(1)
の
アの
(エ)
の
「近代文化」
については,伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成されたものである
ことに気付かせるようにすること。
(1)
のアの
(オ)
の「第一次世界大戦」については,世界に戦禍が
広がった背景や,日本の参戦,ロシア革命なども取り上げて,世界の動きと我が国との関連を踏ま
えて取り扱うようにすること。
「我が国の国民の政治的自覚の高まり」
については,大正デモクラシ
ーの時期の政党政治の発達,民主主義的な思想の普及,社会運動の展開を取り扱うようにすること。
(1)
のアの
(カ)
については,国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気付かせる
ようにすること。
イ (2)
のアの
(ア)
の「我が国の民主化と再建の過程」については,国民が苦難を乗り越えて新しい日
本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。その際,男女普通選挙の確立,日本国憲法
の制定などを取り扱うこと。
(2)
のアの
(イ)
については,沖縄返還,日中国交正常化,石油危機など
の節目となる歴史に関わる事象を取り扱うようにすること。また,民族や宗教をめぐる対立や地球
環境問題への対応などを取り扱い,これまでの学習と関わらせて考察,構想させるようにすること。
〔公民的分野〕
1 目 標
現代社会の見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,
グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民として
の資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1)
個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務との関係を広い視野から正しく認識
し,民主主義,民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動との関わり,現代の社会生活及び国際
関係などについて,個人と社会との関わりを中心に理解を深めるとともに,諸資料から現代の社会的
事象に関する情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2)
社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を現代の社会生活と関連付けて多面的・多角的に考察
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指導要領
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したり,現代社会に見られる課題について公正に判断したりする力,思考・判断したことを説明した
り,それらを基に議論したりする力を養う。
(3)
現代の社会的事象について,現代社会に見られる課題の解決を視野に主体的に社会に関わろうとす
る態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵
かん
養される,国民主権を担う公民
として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合
うことの大切さについての自覚などを深める。
2 内 容
A 私たちと現代社会
(1)私たちが生きる現代社会と文化の特色
位置や空間的な広がり,推移や変化などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通し
て,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などが見られることについて理解す
ること。
(イ)現代社会における文化の意義や影響について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
少子高齢化,情報化,グローバル化などが現在と将来の政治,経済,国際関係に与える影響に
ついて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)文化の継承と創造の意義について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2)現代社会を捉える枠組み
対立と合意,効率と公正などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事
項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組みとして,対立と合意,効率と公正などについて理
解すること。
(イ)
人間は本来社会的存在であることを基に,個人の尊厳と両性の本質的平等,契約の重要性やそ
れを守ることの意義及び個人の責任について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
社会生活における物事の決定の仕方,契約を通した個人と社会との関係,きまりの役割につい
て多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 私たちと経済
(1)市場の働きと経済
対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決したりする
活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)身近な消費生活を中心に経済活動の意義について理解すること。
(イ)
市場経済の基本的な考え方について理解すること。その際,市場における価格の決まり方や資
源の配分について理解すること。
(ウ)現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解すること。
(エ)
勤労の権利と義務,労働組合の意義及び労働基準法の精神について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
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(ア)
個人や企業の経済活動における役割と責任について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ)
社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善について多面的・多角的に考察
し,表現すること。
(2)国民の生活と政府の役割
対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決したりする
活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
社会資本の整備,公害の防止など環境の保全,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化,
消費者の保護について,それらの意義を理解すること。
(イ)財政及び租税の意義,国民の納税の義務について理解すること。
イ 国民の生活と福祉の向上を図ることに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身に付け
ること。
(ア)
市場の働きに委ねることが難しい諸問題に関して,国や地方公共団体が果たす役割について多
面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(イ)財政及び租税の役割について多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 私たちと政治
(1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究したり解
決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深め,法の意義を理解すること。
(イ)
民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解すること。
(ウ)
日本国憲法が基本的人権の尊重,国民主権及び平和主義を基本的原則としていることについて
理解すること。
(エ)
日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解す
ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について多面的・多角的に考察
し,表現すること。
(2)民主政治と政治参加
対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究したり解
決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあらましや政党の役割を理解すること。
(イ)
議会制民主主義の意義,多数決の原理とその運用の在り方について理解すること。
(ウ)
国民の権利を守り,社会の秩序を維持するために,法に基づく公正な裁判の保障があることに
ついて理解すること。
(エ)
地方自治の基本的な考え方について理解すること。その際,地方公共団体の政治の仕組み,住
民の権利や義務について理解すること。
イ 地方自治や我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の基礎を育
成することに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
民主政治の推進と,公正な世論の形成や選挙など国民の政治参加との関連について多面的・多
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指導要領
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角的に考察,構想し,表現すること。
D 私たちと国際社会の諸課題
(1)世界平和と人類の福祉の増大
対立と合意,効率と公正,協調,持続可能性などに着目して,課題を追究したり解決したりする活
動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の
尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切で
あることを理解すること。その際,領土(領海,領空を含む。
)
,国家主権,国際連合の働きなど
基本的な事項について理解すること。
(イ)
地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力などが大
切であることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
日本国憲法の平和主義を基に,我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国
の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(2)よりよい社会を目指して
持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を探究する活動を
通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を多面的・多角的に考察,構想し,自
分の考えを説明,論述すること。
3 内容の取扱い
(1)内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された資質・
能力が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っていることに
留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開で
きるようにすること。
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,現代社会の見方・考え方を働かせ,日常
の社会生活と関連付けながら具体的事例を通して,政治や経済などに関わる制度や仕組みの意義や
働きについて理解を深め,多面的・多角的に考察,構想し,表現できるようにすること。
ウ 分野全体を通して,課題の解決に向けて習得した知識を活用して,事実を基に多面的・多角的に
考察,構想したことを説明したり,論拠を基に自分の意見を説明,論述させたりすることにより,
思考力,判断力,表現力等を養うこと。また,考察,構想させる場合には,資料を読み取らせて解
釈させたり,議論などを行って考えを深めさせたりするなどの工夫をすること。
エ 合意形成や社会参画を視野に入れながら,取り上げた課題について構想したことを,妥当性や効
果,実現可能性などを踏まえて表現できるよう指導すること。
オ 分野の内容に関係する専門家や関係諸機関などと円滑な連携・協働を図り,社会との関わりを意
識した課題を追究したり解決したりする活動を充実させること。
(2)内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
「情報化」については,人工知能の急速な進化などによる産業や社会の構造的な変化などと関
連付けたり,災害時における防災情報の発信・活用などの具体的事例を取り上げたりすること。
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指導要領
529
アの
(イ)
の
「現代社会における文化の意義や影響」
については,科学,芸術,宗教などを取り上げ,
社会生活との関わりなどについて学習できるように工夫すること。
(イ)
イの
(イ)
の「文化の継承と創造の意義」については,我が国の伝統と文化などを取り扱うこと。
イ (1)
及び
(2)
については公民的分野の導入部として位置付け,
(1)
,
(2)
の順で行うものとし,適切
かつ十分な授業時数を配当すること。
(3)内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(イ)
の
「市場における価格の決まり方や資源の配分」
については,個人や企業の経済活動が
様々な条件の中での選択を通して行われていることや,市場における取引が貨幣を通して行われ
ていることなどを取り上げること。
(イ)
イの
(ア)
の
「個人や企業の経済活動における役割と責任」
については,起業について触れるとと
もに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこと。
イの
(イ)
の
「社会生活
における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善」については,仕事と生活の調和という観
点から労働保護立法についても触れること。
イ (2)
については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(ア)
の
「消費者の保護」
については,消費者の自立の支援なども含めた消費者行政を取り扱
うこと。
(イ)
イの
(イ)
の
「財政及び租税の役割」
については,財源の確保と配分という観点から,財政の現状
や少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて財政の持続可能性と関連付けて考察し,表現させ
ること。
(4)内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (2)
のアの
(ウ)
の「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度についても触れるこ
と。
(5)内容のDについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア)
アの
(ア)
の
「国家間の相互の主権の尊重と協力」
との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれら
を相互に尊重することが国際的な儀礼であることの理解を通して,それらを尊重する態度を養う
ように配慮すること。また,
「領土(領海,領空を含む。
)
,国家主権」については関連させて取り
扱い,我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段によ
る解決に向けて努力していることや,尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していな
いことなどを取り上げること。
「国際連合をはじめとする国際機構などの役割」
については,国際
連合における持続可能な開発のための取組についても触れること。
(イ)
イの
(ア)
の
「国際社会における我が国の役割」
に関連させて,核兵器などの脅威に触れ,戦争を
防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮すること。また,国
際社会における文化や宗教の多様性について取り上げること。
イ (2)
については,身近な地域や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的な視
点に立って探究させること。また,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授業時数を配
当すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
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指導要領
530
(1)
単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,分野の特質に応じた見方・考え方を働か
せ,社会的事象の意味や意義などを考察し,概念などに関する知識を獲得したり,社会との関わりを意
識した課題を追究したり解決したりする活動の充実を図ること。また,知識に偏り過ぎた指導にならな
いようにするため,基本的な事柄を厳選して指導内容を構成するとともに,各分野において,第2の内
容の範囲や程度に十分配慮しつつ事柄を再構成するなどの工夫をして,基本的な内容が確実に身に付く
よう指導すること。
(2)
小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及び歴史的
分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,全体として教科の
目標が達成できるようにする必要があること。
(3)
各分野の履修については,第1,第2学年を通じて地理的分野及び歴史的分野を並行して学習させる
ことを原則とし,第3学年において歴史的分野及び公民的分野を学習させること。各分野に配当する授
業時数は,地理的分野115 単位時間,歴史的分野135 単位時間,公民的分野100 単位時間とすること。
こ
れらの点に留意し,各学校で創意工夫して適切な指導計画を作成すること。
(4)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(5)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
社会的な見方・考え方を働かせることをより一層重視する観点に立って,社会的事象の意味や意義,
事象の特色や事象間の関連,社会に見られる課題などについて,考察したことや選択・判断したことを
論理的に説明したり,立場や根拠を明確にして議論したりするなどの言語活動に関わる学習を一層重視
すること。
(2)
情報の収集,処理や発表などに当たっては,学校図書館や地域の公共施設などを活用するとともに,
コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,指導に生かすことで,生徒が
主体的に調べ分かろうとして学習に取り組めるようにすること。その際,課題の追究や解決の見通しを
もって生徒が主体的に情報手段を活用できるようにするとともに,情報モラルの指導にも留意すること。
(3)
調査や諸資料から,社会的事象に関する様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身
に付ける学習活動を重視するとともに,作業的で具体的な体験を伴う学習の充実を図るようにすること。
その際,地図や年表を読んだり作成したり,現代社会の諸課題を捉え,多面的・多角的に考察,構想す
るに当たっては,関連する新聞,読み物,統計その他の資料に平素から親しみ適切に活用したり,観察
や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめ,発表したりするなどの活動を取り入れるようにする
こと。
(4)
社会的事象については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のあ
る事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事
柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,生
徒が多面的・多角的に考察したり,事実を客観的に捉え,公正に判断したりすることを妨げることのな
いよう留意すること。
3 第2の内容の指導に当たっては,教育基本法第14 条及び第15 条の規定に基づき,適切に行うよう特に
慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
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指導要領
531
第3節 数学
第1 目 標
数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成する
ことを目指す。
(1)
数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,
数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2)
数学を活用して事象を論理的に考察する力,数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察
する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。
(3)
数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,
問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目 標
(1)
正の数と負の数,文字を用いた式と一元一次方程式,平面図形と空間図形,比例と反比例,データ
の分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数理的に捉
えたり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2)
数の範囲を拡張し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考
察したりする力,図形の構成要素や構成の仕方に着目し,図形の性質や関係を直観的に捉え論理的に
考察する力,数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだし,その特徴を表,式,グラフなどで考
察する力,データの分布に着目し,その傾向を読み取り批判的に考察して判断したり,不確定な事象
の起こりやすさについて考察したりする力を養う。
(3)
数学的活動の楽しさや数学のよさに気付いて粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態
度,問題解決の過程を振り返って検討しようとする態度,多面的に捉え考えようとする態度を養う。
2 内 容
A 数と式
(1)
正の数と負の数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
(イ)正の数と負の数の四則計算をすること。
(ウ)具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
算数で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の方法を考察し表現す
ること。
(イ)正の数と負の数を具体的な場面で活用すること。
(2)
文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
|
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指導要領
532
(ア)文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
(イ)文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
(ウ)簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
(エ)
数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表した
り読み取ったりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
具体的な場面と関連付けて,一次式の加法と減法の計算の方法を考察し表現すること。
(3)
一元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
(イ)簡単な一元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)等式の性質を基にして,一元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)一元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
自然数 素数 符号 絶対値 項 係数 移項 ≦ ≧
B 図 形
(1)
平面図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法を理解すること。
(イ)平行移動,対称移動及び回転移動について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)図形の性質に着目し,基本的な作図の方法を考察し表現すること。
(イ)図形の移動に着目し,二つの図形の関係について考察し表現すること。
(ウ)基本的な作図や図形の移動を具体的な場面で活用すること。
(2)
空間図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)空間における直線や平面の位置関係を知ること。
(イ)
扇形の弧の長さと面積,基本的な柱体や錐
すい
体,球の表面積と体積を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものと捉えたり,空間図形を平面上に表
現して平面上の表現から空間図形の性質を見いだしたりすること。
(イ)立体図形の表面積や体積の求め方を考察し表現すること。
〔用語・記号〕
弧 弦 回転体 ねじれの位置 π // ⊥ ∠ △
C 関 数
(1)
比例,反比例について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)関数関係の意味を理解すること。
(イ)比例,反比例について理解すること。
(ウ)座標の意味を理解すること。
(エ)比例,反比例を表,式,グラフなどに表すこと。
|
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指導要領
533
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
比例,反比例として捉えられる二つの数量について,表,式,グラフなどを用いて調べ,それ
らの変化や対応の特徴を見いだすこと。
(イ)比例,反比例を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
関数 変数 変域
D データの活用
(1)
データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを表やグラフに整理すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
目的に応じてデータを収集して分析し,そのデータの分布の傾向を読み取り,批判的に考察し
判断すること。
(2)
不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができる
よう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
多数の観察や多数回の試行の結果を基にして,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り
表現すること。
〔用語・記号〕
範囲 累積度数
〔数学的活動〕
(1)
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学
習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過程や結果を振
り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考
察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1)
内容の「A数と式」の
(1)
に関連して,自然数を素数の積として表すことを取り扱うものとする。
(2)
内容の「A数と式」の
(1)
のアとイの
(ア)
に関連して,数の集合と四則計算の可能性を取り扱うもの
とする。
(3)
内容の「A数と式」の
(2)
のアの
(エ)
に関連して,大小関係を不等式を用いて表すことを取り扱うも
のとする。
(4)
内容の
「A数と式」
の
(3)
のアの
(イ)
とイの
(イ)
に関連して,簡単な比例式を解くことを取り扱うもの
とする。
(5)
内容の「B図形」の
(1)
のイの
(ウ)
に関連して,円の接線はその接点を通る半径に垂直であることを
取り扱うものとする。
|
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指導要領
534
(6)
内容の「B図形」の
(2)
のイの
(ア)
については,見取図や展開図,投影図を取り扱うものとする。
〔第2学年〕
1 目 標
(1)
文字を用いた式と連立二元一次方程式,平面図形と数学的な推論,一次関数,データの分布と確率
などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に
解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2)
文字を用いて数量の関係や法則などを考察する力,数学的な推論の過程に着目し,図形の性質や関
係を論理的に考察し表現する力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて
考察する力,複数の集団のデータの分布に着目し,その傾向を比較して読み取り批判的に考察して判
断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養う。
(3)
数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態
度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よりよく問題解
決しようとする態度を養う。
2 内 容
A 数と式
(1)
文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)簡単な整式の加法と減法及び単項式の乗法と除法の計算をすること。
(イ)
具体的な事象の中の数量の関係を文字を用いた式で表したり,式の意味を読み取ったりするこ
と。
(ウ)
文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明できることを理解すること。
(エ)目的に応じて,簡単な式を変形すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
具体的な数の計算や既に学習した計算の方法と関連付けて,整式の加法と減法及び単項式の乗
法と除法の計算の方法を考察し表現すること。
(イ)文字を用いた式を具体的な場面で活用すること。
(2)
連立二元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
(イ)連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(ウ)簡単な連立二元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
一元一次方程式と関連付けて,連立二元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)連立二元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
同類項
B 図 形
(1)
基本的な平面図形の性質について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう
指導する。
|
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指導要領
535
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)平行線や角の性質を理解すること。
(イ)多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線や角の性質を基にしてそれらを確かめ説明するこ
と。
(2)
図形の合同について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
(イ)証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめたり,
証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
(イ)三角形や平行四辺形の基本的な性質などを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
対頂角 内角 外角 定義 証明 逆 反例 ≡
C 関 数
(1)
一次関数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)一次関数について理解すること。
(イ)事象の中には一次関数として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ)二元一次方程式を関数を表す式とみること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
一次関数として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,式,グラ
フを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ)一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
変化の割合 傾き
D データの活用
(1)
データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り,批判的に考察し判断
すること。
(2)
不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができる
よう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
多数回の試行によって得られる確率と関連付けて,場合の数を基にして得られる確率の必要性
と意味を理解すること。
(イ)簡単な場合について確率を求めること。
|
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指導要領
536
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
同様に確からしいことに着目し,場合の数を基にして得られる確率の求め方を考察し表現する
こと。
(イ)確率を用いて不確定な事象を捉え考察し表現すること。
〔数学的活動〕
(1)
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学
習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過
程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合
的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1)
内容の「B図形」の
(2)
のイの
(ア)
に関連して,正方形,ひし形及び長方形が平行四辺形の特別な形
であることを取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目 標
(1)
数の平方根,多項式と二次方程式,図形の相似,円周角と中心角の関係,三平方の定理,関数y =
ax2,標本調査などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化し
たり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2)
数の範囲に着目し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考
察したりする力,図形の構成要素の関係に着目し,図形の性質や計量について論理的に考察し表現す
る力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,標本と母集団
の関係に着目し,母集団の傾向を推定し判断したり,調査の方法や結果を批判的に考察したりする力
を養う。
(3)
数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態
度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よりよく問題解
決しようとする態度を養う。
2 内 容
A 数と式
(1)
正の数の平方根について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)数の平方根の必要性と意味を理解すること。
(イ)数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
(ウ)具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
既に学習した計算の方法と関連付けて,数の平方根を含む式の計算の方法を考察し表現するこ
と。
(イ)数の平方根を具体的な場面で活用すること。
|
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指導要領
537
(2)
簡単な多項式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
(イ)
簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をすること。
(a +b)
2 =a2 +2ab +b2
(a −b)
2 =a2 −2ab +b2
(a +b)
(a −b)
=a2 −b2
(x +a)
(x +b)
=x2 +(a +b)
x +ab
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
既に学習した計算の方法と関連付けて,式の展開や因数分解をする方法を考察し表現すること。
(イ)文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明すること。
(3)
二次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(イ)因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
(ウ)解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
因数分解や平方根の考えを基にして,二次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ)二次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
根号 有理数 無理数 因数 √
B 図 形
(1)
図形の相似について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
(イ)
基本的な立体の相似の意味及び相似な図形の相似比と面積比や体積比との関係について理解す
ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
(イ)平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること。
(ウ)相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
(2)
円周角と中心角の関係について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指
導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)
円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)円周角と中心角の関係を見いだすこと。
(イ)円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
(3)
三平方の定理について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
|
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指導要領
538
(ア)三平方の定理を見いだすこと。
(イ)三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
∽
C 関 数
(1)
関数y =ax2 について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)関数y =ax2 について理解すること。
(イ)事象の中には関数y =ax2 として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ)いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)
関数y =ax2 として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,式,
グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ)関数y =ax2 を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
D データの活用
(1)
標本調査について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)標本調査の必要性と意味を理解すること。
(イ)
コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア)標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること。
(イ)簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を推定し判断すること。
〔用語・記号〕
全数調査
〔数学的活動〕
(1)
「A数と式」
,
「B図形」
,
「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学
習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過
程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合
的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1)
内容の「A数と式」の
(1)
などに関連して,誤差や近似値,a × 10
n の形の表現を取り扱うものとす
る。
(2)
内容の「A数と式」の
(3)
については,実数の解をもつ二次方程式を取り扱うものとする。
(3)
内容の「A数と式」の
(3)
のアの
(イ)
とイの
(ア)
については,ax2 =b(a,b は有理数)の二次方程式
及びx2 +px +q =0(p,q は整数)の二次方程式を取り扱うものとする。因数分解して解くことの
指導においては,内容の「A数と式」の
(2)
のアの
(イ)
に示した公式を用いることができるものを中心
に取り扱うものとする。また,平方の形に変形して解くことの指導においては,x の係数が偶数であ
るものを中心に取り扱うものとする。
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指導要領
539
(4)
内容の「B図形」の
(2)
に関連して,円周角の定理の逆を取り扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,数学的活動を
通して,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,数学的な見方・考え
方を働かせながら,日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,
協働的に解決し,学習の過程を振り返り,概念を形成するなどの学習の充実を図ること。
(2)
第2の各学年の目標の達成に支障のない範囲内で,当該学年の内容の一部を軽く取り扱い,それを後
の学年で指導することができるものとすること。また,学年の目標を逸脱しない範囲内で,後の学年の
内容の一部を加えて指導することもできるものとすること。
(3)
生徒の学習を確実なものにするために,新たな内容を指導する際には,既に指導した関連する内容を
意図的に再度取り上げ,学び直しの機会を設定することに配慮すること。
(4)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(5)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,数学的な表現を用い
て簡潔・明瞭・的確に表現したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの機会を設けるこ
と。
(2)
各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばんや電卓,コンピュータ,情報通信ネットワークな
どの情報手段を適切に活用し,学習の効果を高めること。
(3)
各領域の指導に当たっては,具体物を操作して考えたり,データを収集して整理したりするなどの具
体的な体験を伴う学習を充実すること。
(4)
第2の各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするた
めに示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げること。
3 数学的活動の取組においては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
数学的活動を楽しめるようにするとともに,数学を学習することの意義や数学の必要性などを実感す
る機会を設けること。
(2)
数学を活用して問題解決する方法を理解するとともに,自ら問題を見いだし,解決するための構想を
立て,実践し,その過程や結果を評価・改善する機会を設けること。
(3)
各領域の指導に当たっては,観察や操作,実験などの活動を通して,数量や図形などの性質を見いだ
したり,発展させたりする機会を設けること。
(4)
数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共有する機
会を設けること。
4 生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合し
たり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決する学習を課題学
習と言い,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする。
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指導要領
540
第4節 理科
第1 目 標
自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを
通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基
本的な技能を身に付けるようにする。
(2)観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3)自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔第1分野〕
1 目 標
物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成
することを目指す。
(1)
物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流と
その利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどにつ
いて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。ま
た,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるよう
にする。
(2)
物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,
実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性
を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。
(3)
物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとと
もに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内 容
(1)身近な物理現象
身近な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観
察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)光と音
᳀
ア 光の反射・屈折
光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの
規則性を見いだして理解すること。
᳀
イ 凸レンズの働き
凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像のでき方との関係を見いだして理解
すること。
|
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指導要領
541
᳀
ウ 音の性質
音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及
び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだして理解すること。
(イ)力の働き
᳀
ア 力の働き
物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運
動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向きによって表
されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条
件を見いだして理解すること。
イ 身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,光の反射や屈
折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きの規則性や関係性を見いだして表現すること。
(2)身の回りの物質
身の回りの物質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 身の回りの物質の性質や変化に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実
験などに関する技能を身に付けること。
(ア)物質のすがた
᳀
ア 身の回りの物質とその性質
身の回りの物質の性質を様々な方法で調べる実験を行い,物質には密度や加熱したときの変
化など固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解するとともに,実験器具の操作,
記録の仕方などの技能を身に付けること。
᳀
イ 気体の発生と性質
気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を理解するとともに,
気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
(イ)水溶液
᳀
ア 水溶液
水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けて理解すること。
(ウ)状態変化
᳀
ア 状態変化と熱
物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質
量は変化しないことを見いだして理解すること。
᳀
イ 物質の融点と沸点
物質は融点や沸点を境に状態が変化することを知るとともに,混合物を加熱する実験を行い,
沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだして理解すること。
イ 身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質の性質や
状態変化における規則性を見いだして表現すること。
(3)電流とその利用
電流とその利用についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導
する。
ア 電流,磁界に関する事物・現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するととも
に,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)電流
|
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指導要領
542
᳀
ア 回路と電流・電圧
回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に
加わる電圧についての規則性を見いだして理解すること。
᳀
イ 電流・電圧と抵抗
金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだして理解する
とともに,金属線には電気抵抗があることを理解すること。
᳀
ウ 電気とそのエネルギー
電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,熱や光などが取り出せること及び電力の
違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだして理解すること。
᳀
エ 静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が
働くこと及び静電気と電流には関係があることを見いだして理解すること。
(イ)電流と磁界
᳀
ア 電流がつくる磁界
磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイル
の回りに磁界ができることを知ること。
᳀
イ 磁界中の電流が受ける力
磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだし
て理解すること。
᳀
ウ 電磁誘導と発電
磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを
見いだして理解するとともに,直流と交流の違いを理解すること。
イ 電流,磁界に関する現象について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行
い,その結果を分析して解釈し,電流と電圧,電流の働き,静電気,電流と磁界の規則性や関係性
を見いだして表現すること。
(4)化学変化と原子・分子
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,
実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)物質の成り立ち
᳀
ア 物質の分解
物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質は元の物質とは異なることを見いだして
理解すること。
᳀
イ 原子・分子
物質は原子や分子からできていることを理解するとともに,物質を構成する原子の種類は記
号で表されることを知ること。
(イ)化学変化
᳀
ア 化学変化
2種類の物質を反応させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだして
理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式
で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。
᳀
イ 化学変化における酸化と還元
|
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指導要領
543
酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして理解す
ること。
᳀
ウ 化学変化と熱
化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだし
て理解すること。
(ウ)化学変化と物質の質量
᳀
ア 化学変化と質量の保存
化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の
質量の総和が等しいことを見いだして理解すること。
᳀
イ 質量変化の規則性
化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の
関係があることを見いだして理解すること。
イ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子や分子
と関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における物質の変化やその量的な関係を見いだ
して表現すること。
(5)運動とエネルギー
物体の運動とエネルギーについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができる
よう指導する。
ア 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,そ
れらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)力のつり合いと合成・分解
᳀
ア 水中の物体に働く力
水圧についての実験を行い,その結果を水の重さと関連付けて理解すること。また,水中に
ある物体には浮力が働くことを知ること。
᳀
イ 力の合成・分解
力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ)運動の規則性
᳀
ア 運動の速さと向き
物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。
᳀
イ 力と運動
物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では
運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等
速直線運動することを見いだして理解すること。
(ウ)力学的エネルギー
᳀
ア 仕事とエネルギー
仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,
物体のもつ力学的エネルギーは物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。
᳀
イ 力学的エネルギーの保存
力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わ
ることを見いだして理解するとともに,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解する
こと。
イ 運動とエネルギーについて,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,
|
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指導要領
544
力のつり合い,合成や分解,物体の運動,力学的エネルギーの規則性や関係性を見いだして表現す
ること。また,探究の過程を振り返ること。
(6)化学変化とイオン
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学変化をイオンのモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実
験などに関する技能を身に付けること。
(ア)水溶液とイオン
᳀
ア 原子の成り立ちとイオン
水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものと
があることを見いだして理解すること。また,電解質水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行
い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知るとともに,イオンの生成が原子の成り
立ちに関係することを知ること。
᳀
イ 酸・アルカリ
酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水
酸化物イオンによることを知ること。
᳀
ウ 中和と塩
中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。
(イ)化学変化と電池
᳀
ア 金属イオン
金属を電解質水溶液に入れる実験を行い,金属によってイオンへのなりやすさが異なること
を見いだして理解すること。
᳀
イ 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電池の基本的な仕組みを理解すると
ともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 化学変化について,見通しをもって観察,実験などを行い,イオンと関連付けてその結果を分析
して解釈し,化学変化における規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振
り返ること。
(7)科学技術と人間
科学技術と人間との関わりについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができ
るよう指導する。
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関
する技能を身に付けること。
(ア)エネルギーと物質
᳀
ア エネルギーとエネルギー資源
様々なエネルギーとその変換に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では様々な
エネルギーの変換を利用していることを見いだして理解すること。また,人間は,水力,火力,
原子力,太陽光などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギー資源の有効な
利用が大切であることを認識すること。
᳀
イ 様々な物質とその利用
物質に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では,様々な物質が幅広く利用され
ていることを理解するとともに,物質の有効な利用が大切であることを認識すること。
᳀
ウ 科学技術の発展
|
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指導要領
545
科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしていること
を認識すること。
(イ)自然環境の保全と科学技術の利用
᳀
ア 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可
能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
イ 日常生活や社会で使われているエネルギーや物質について,見通しをもって観察,実験などを行
い,その結果を分析して解釈するとともに,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,
科学的に考察して判断すること。
3 内容の取扱い
(1)
内容の
(1)
から
(7)
までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,
表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育
成を目指すものとする。
(2)
内容の
(1)
から
(7)
までのうち,
(1)
及び
(2)
は第1学年,
(3)
及び
(4)
は第2学年,
(5)
から
(7)
までは
第3学年で取り扱うものとする。
(3)内容の
(1)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,全反射も扱い,光の屈折では入射角と屈折角の定性的な関係にも触れ
ること。また,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも触れること。
イ アの
(ア)
の᳀
イについては,物体の位置に対する像の位置や像の大きさの定性的な関係を調べるこ
と。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの
(ア)
の᳀
ウについては,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さにも触れるこ
と。
エ アの
(イ)
の᳀
アについては,ばねに加える力の大きさとばねの伸びとの関係も扱うこと。
また,重さ
と質量との違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
(4)内容の
(2)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。
イ アの
(ア)
の᳀
イについては,異なる方法を用いても同一の気体が得られることにも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
アについては,粒子のモデルと関連付けて扱い,質量パーセント濃度にも触れること。
また,
「溶解度」については,溶解度曲線にも触れること。
エ アの
(ウ)
の᳀
アについては,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。
その際,粒子の運動にも触れるこ
と。
(5)内容の
(3)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アの
「回路」
については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵
抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
イ アの
(ア)
の᳀
イの「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。
また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの
(ア)
の᳀
ウについては,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの
(ア)
の᳀
エについては,電流が電子の流れに関係していることを扱うこと。
また,真空放電と関
連付けながら放射線の性質と利用にも触れること。
オ アの
(イ)
の᳀
イについては,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱う
こと。
|
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指導要領
546
カ アの
(イ)
の᳀
ウについては,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを
扱うこと。
(6)内容の
(4)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
イの「物質を構成する原子の種類」を元素ということにも触れること。また,
「記号」
については,元素記号で表されることにも触れ,基礎的なものを取り上げること。その際,周期表
を用いて多くの種類が存在することにも触れること。
イ アの
(イ)
の᳀
アの「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ アの
(イ)
の᳀
イの「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
(7)内容の
(5)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,水中にある物体には,あらゆる向きから圧力が働くことにも触れるこ
と。また,物体に働く水圧と浮力との定性的な関係にも触れること。
イ アの
(イ)
の᳀
アについては,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
イの
「力が働く運動」
のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。
その際,斜面の角度が90 度になったときに自由落下になることにも触れること。
「物体の速さが変
わること」については,定性的に扱うこと。
エ アの
(ウ)
の᳀
アについては,仕事の原理にも触れること。
オ アの
(ウ)
の᳀
イについては,摩擦にも触れること。
(8)内容の
(6)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アの
「原子の成り立ち」
については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこ
と。その際,原子核が陽子と中性子でできていることや,同じ元素でも中性子の数が異なる原子が
あることにも触れること。また,
「イオン」については,化学式で表されることにも触れること。
イ アの
(ア)
の᳀
イについては,pH にも触れること。
ウ アの
(ア)
の᳀
ウについては,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
エ アの
(イ)
の᳀
アの「金属イオン」については,基礎的なものを扱うこと。
オ アの
(イ)
の᳀
イの「電池」については,電極で起こる反応をイオンのモデルと関連付けて扱うこと。
その際,
「電池の基本的な仕組み」
については,ダニエル電池を取り上げること。
また,日常生活や
社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
(9)内容の
(7)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,熱の伝わり方,放射線にも触れること。また,
「エネルギーの変換」に
ついては,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。
イ アの
(ア)
の᳀
イの
「様々な物質」
については,天然の物質や人工的につくられた物質のうち代表的な
ものを扱うこと。その際,プラスチックの性質にも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
アについては,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野の内容の
(7)
のアの
(イ)
の᳀
ア及びイと関連付けて総合的に扱うこと。
〔第2分野〕
1 目 標
生命や地球に関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成するこ
とを目指す。
(1)
生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命
の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科
学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
|
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指導要領
547
(2)
生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験
などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気
付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。
(3)
生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,
自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内 容
(1)いろいろな生物とその共通点
身近な生物についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア いろいろな生物の共通点と相違点に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,
実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)生物の観察と分類の仕方
᳀
ア 生物の観察
校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見
いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。
᳀
イ 生物の特徴と分類の仕方
いろいろな生物を比較して見いだした共通点や相違点を基にして分類できることを理解する
とともに,分類の仕方の基礎を身に付けること。
(イ)生物の体の共通点と相違点
᳀
ア 植物の体の共通点と相違点
身近な植物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点がある
ことを見いだして,植物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に
基づいて植物が分類できることを見いだして理解すること。
᳀
イ 動物の体の共通点と相違点
身近な動物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点がある
ことを見いだして,動物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に
基づいて動物が分類できることを見いだして理解すること。
イ 身近な生物についての観察,実験などを通して,いろいろな生物の共通点や相違点を見いだすと
ともに,生物を分類するための観点や基準を見いだして表現すること。
(2)大地の成り立ちと変化
大地の成り立ちと変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよ
う指導する。
ア 大地の成り立ちと変化を地表に見られる様々な事物・現象と関連付けながら,次のことを理解す
るとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)身近な地形や地層,岩石の観察
᳀
ア 身近な地形や地層,岩石の観察
身近な地形や地層,岩石などの観察を通して,土地の成り立ちや広がり,構成物などについ
て理解するとともに,観察器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ)地層の重なりと過去の様子
᳀
イ 地層の重なりと過去の様子
地層の様子やその構成物などから地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規
則性を見いだして理解するとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質
|
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指導要領
548
年代を推定できることを理解すること。
(ウ)火山と地震
᳀
ア 火山活動と火成岩
火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けて理
解するとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けて理解
すること。
᳀
イ 地震の伝わり方と地球内部の働き
地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の
原因を地球内部の働きと関連付けて理解し,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。
(エ)自然の恵みと火山災害・地震災害
᳀
ア 自然の恵みと火山災害・地震災害
自然がもたらす恵み及び火山災害と地震災害について調べ,これらを火山活動や地震発生の
仕組みと関連付けて理解すること。
イ 大地の成り立ちと変化について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,地層の
重なり方や広がり方の規則性,地下のマグマの性質と火山の形との関係性などを見いだして表現す
ること。
(3)生物の体のつくりと働き
生物の体のつくりと働きについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができる
よう指導する。
ア 生物の体のつくりと働きとの関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,
実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)生物と細胞
᳀
ア 生物と細胞
生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞の
つくりの特徴を見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を
身に付けること。
(イ)植物の体のつくりと働き
᳀
ア 葉・茎・根のつくりと働き
植物の葉,茎,根のつくりについての観察を行い,それらのつくりと,光合成,呼吸,蒸散
の働きに関する実験の結果とを関連付けて理解すること。
(ウ)動物の体のつくりと働き
᳀
ア 生命を維持する働き
消化や呼吸についての観察,実験などを行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬してい
る仕組みを観察,実験の結果などと関連付けて理解すること。また,不要となった物質を排出
する仕組みがあることについて理解すること。
᳀
イ 刺激と反応
動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系
及び運動器官のつくりと関連付けて理解すること。
イ 身近な植物や動物の体のつくりと働きについて,見通しをもって解決する方法を立案して観察,
実験などを行い,その結果を分析して解釈し,生物の体のつくりと働きについての規則性や関係性
を見いだして表現すること。
(4)気象とその変化
|
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指導要領
549
身近な気象の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 気象要素と天気の変化との関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,
実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)気象観測
᳀
ア 気象要素
気象要素として,気温,湿度,気圧,風向などを理解すること。また,気圧を取り上げ,圧
力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだして理解すると
ともに,大気圧の実験を行い,その結果を空気の重さと関連付けて理解すること。
᳀
イ 気象観測
校庭などで気象観測を継続的に行い,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風
向などの変化と天気との関係を見いだして理解するとともに,観測方法や記録の仕方を身に付
けること。
(イ)天気の変化
᳀
ア 霧や雲の発生
霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連
付けて理解すること。
᳀
イ 前線の通過と天気の変化
前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付け
て理解すること。
(ウ)日本の気象
᳀
ア 日本の天気の特徴
天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けて理解すること。
᳀
イ 大気の動きと海洋の影響
気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連
付けて理解すること。
(エ)自然の恵みと気象災害
᳀
ア 自然の恵みと気象災害
気象現象がもたらす恵みと気象災害について調べ,これらを天気の変化や日本の気象と関連
付けて理解すること。
イ 気象とその変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その
結果を分析して解釈し,天気の変化や日本の気象についての規則性や関係性を見いだして表現する
こと。
(5)生命の連続性
生命の連続性についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導す
る。
ア 生命の連続性に関する事物・現象の特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それら
の観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)生物の成長と殖え方
᳀
ア 細胞分裂と生物の成長
体細胞分裂の観察を行い,その順序性を見いだして理解するとともに,細胞の分裂と生物の
成長とを関連付けて理解すること。
᳀
イ 生物の殖え方
|
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指導要領
550
生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだして理解するとともに,生物が
殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだして理解すること。
(イ)遺伝の規則性と遺伝子
᳀
ア 遺伝の規則性と遺伝子
交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだして理解する
こと。
(ウ)生物の種類の多様性と進化
᳀
ア 生物の種類の多様性と進化
現存の生物及び化石の比較などを通して,現存の多様な生物は過去の生物が長い時間の経過
の中で変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けて理解すること。
イ 生命の連続性について,観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,生物の成長
と殖え方,遺伝現象,生物の種類の多様性と進化についての特徴や規則性を見いだして表現するこ
と。また,探究の過程を振り返ること。
(6)地球と宇宙
身近な天体の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 身近な天体とその運動に関する特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観
察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)天体の動きと地球の自転・公転
᳀
ア 日周運動と自転
天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けて理解すること。
᳀
イ 年周運動と公転
星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地
軸の傾きと関連付けて理解すること。
(イ)太陽系と恒星
᳀
ア 太陽の様子
太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだして理解すること。
᳀
イ 惑星と恒星
観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を見いだして理解するとともに,太陽系の構造
について理解すること。
᳀
ウ 月や金星の運動と見え方
月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けて理解する
こと。また,金星の観測資料などを基に,金星の公転と見え方を関連付けて理解すること。
イ 地球と宇宙について,天体の観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,天体の
運動と見え方についての特徴や規則性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返るこ
と。
(7)自然と人間
自然環境を調べる観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,自然環境を調べる観察,実験
などに関する技能を身に付けること。
(ア)生物と環境
᳀
ア 自然界のつり合い
微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けて理解するとと
|
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指導要領
551
もに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだして理解する
こと。
᳀
イ 自然環境の調査と環境保全
身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解す
るとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。
᳀
ウ 地域の自然災害
地域の自然災害について,総合的に調べ,自然と人間との関わり方について認識すること。
(イ)自然環境の保全と科学技術の利用
᳀
ア 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可
能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
イ 身近な自然環境や地域の自然災害などを調べる観察,実験などを行い,自然環境の保全と科学技
術の利用の在り方について,科学的に考察して判断すること。
3 内容の取扱い
(1)
内容の
(1)
から
(7)
までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,
表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育
成を目指すものとする。
(2)
内容の
(1)
から
(7)
までのうち,
(1)
及び
(2)
は第1学年,
(3)
及び
(4)
は第2学年,
(5)
から
(7)
までは
第3学年で取り扱うものとする。
(3)内容の
(1)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,身近な生物の観察を扱うが,ルーペや双眼実体顕微鏡などを用いて,
外見から観察できる体のつくりを中心に扱うこと。
イ アの
(イ)
の᳀
アについては,花のつくりを中心に扱い,種子植物が被子植物と裸子植物に分類でき
ることを扱うこと。その際,胚
はい
珠が種子になることにも触れること。また,被子植物が単子葉類と
双子葉類に分類できることについては,葉のつくりを中心に扱うこと。なお,種子をつくらない植
物が胞子をつくることにも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
イについては,脊椎動物と無脊椎動物の違いを中心に扱うこと。脊椎動物については,
ヒトや魚を例に,体のつくりの共通点としての背骨の存在について扱うこと。また,体の表面の様
子や呼吸の仕方などの特徴を基準として分類できることを扱うこと。無脊椎動物については,節足
動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎動物の体のつくりの特徴を比較し,その共通点
と相違点を扱うこと。
(4)内容の
(2)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アの
「身近な地形や地層,岩石などの観察」
については,学校内外の地形や地層,岩石
などを観察する活動とすること。
イ アの
(イ)
の᳀
アについては,地層を形成している代表的な堆積岩も取り上げること。
「地層」につい
ては,断層,褶
しゆう
曲にも触れること。
「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。
「地質年代」の区分は,古生代,中生代,新生代を取り上げること。
ウ アの
(ウ)
の᳀
アの「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。
「マグマの
性質」については,粘性を扱うこと。
「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこ
と。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。
エ アの
(ウ)
の᳀
イについては,地震の現象面を中心に扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との
|
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指導要領
552
定性的な関係にも触れること。
また,
「地球内部の働き」
については,日本付近のプレートの動きを
中心に扱い,地球規模でのプレートの動きにも触れること。その際,津波発生の仕組みについても
触れること。
オ アの
(エ)
の᳀
アの「火山災害と地震災害」については,記録や資料などを用いて調べること。
(5)内容の
(3)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,植物と動物の細胞のつくりの共通点と相違点について触れること。
また,
細胞の呼吸及び単細胞生物の存在にも触れること。
イ アの
(イ)
の᳀
アについては,光合成における葉緑体の働きにも触れること。
また,葉,茎,根の働き
を相互に関連付けて扱うこと。
ウ アの
(ウ)
の᳀
アについては,各器官の働きを中心に扱うこと。
「消化」については,代表的な消化酵
素の働きを扱うこと。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になるこ
とにも触れること。血液の循環に関連して,血液成分の働き,腎臓や肝臓の働きにも触れること。
エ アの
(ウ)
の᳀
イについては,各器官の働きを中心に扱うこと。
(6)内容の
(4)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アの
「大気圧」
については,空気中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことに
も触れること。
イ アの
(イ)
の᳀
アについては,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結に関わりがあるこ
とを扱うこと。また,水の循環にも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
イについては,風の吹き方にも触れること。
エ アの
(ウ)
の᳀
イについては,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。
また,地球の大きさや大気
の厚さにも触れること。
オ アの
(エ)
の᳀
アの「気象災害」については,記録や資料などを用いて調べること。
(7)内容の
(5)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,染色体が複製されることにも触れること。
イ アの
(ア)
の᳀
イについては,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。
「無性生殖」につ
いては,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
アについては,分離の法則を扱うこと。
また,遺伝子の本体がDNA であることにも触
れること。
エ アの
(ウ)
の᳀
アについては,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について扱うこと。
その際,生
物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。また,遺伝子に変
化が起きて形質が変化することがあることにも触れること。
(8)内容の
(6)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
イの
「太陽の南中高度の変化」
については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触
れること。
イ アの
(イ)
の᳀
アの「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,太
陽から放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。
ウ アの
(イ)
の᳀
イの
「惑星」
については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げる
こと。
その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。
「恒星」
については,
自ら光を放つことや太陽もその一つであることも扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の
存在にも触れること。
「太陽系の構造」
については,惑星以外の天体が存在することにも触れること。
エ アの
(イ)
の᳀
ウの「月の公転と見え方」については,月の運動と満ち欠けを扱うこと。その際,日食
や月食にも触れること。
また,
「金星の公転と見え方」
については,金星の運動と満ち欠けや見かけ
|
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指導要領
553
の大きさを扱うこと。
(9)内容の
(7)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの
(ア)
の᳀
アについては,生態系における生産者と消費者との関係を扱うこと。
また,分解者の働
きについても扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。
イ アの
(ア)
の᳀
イについては,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調
べたりするなどの活動を行うこと。また,気候変動や外来生物にも触れること。
ウ アの
(ア)
の᳀
ウについては,地域の自然災害を調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活
動を行うこと。
エ アの
(イ)
の᳀
アについては,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野の内容の
(7)
のアの
(イ)
の᳀
ア及びイと関連付けて総合的に扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理科の学習過程の特質を踏まえ,理科の
見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実
を図ること。
(2)
各学年においては,年間を通じて,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分
野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ,自然の事
物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにすること。
(3)
学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるよ
うにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解
釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにする
こと。
(4)日常生活や他教科等との関連を図ること。
(5)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(6)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象に
ついての基本的な概念の形成及び科学的に探究する力と態度の育成が段階的に無理なく行えるようにす
ること。
(2)生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うようにすること。
(3)1の
(3)
の学習活動を通して,言語活動が充実するようにすること。
(4)
各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測な
どにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するようにすること。
(5)
指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に
取り入れるよう工夫すること。
(6)
原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(7)
継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
|
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指導要領
554
(8)
観察,実験,野外観察などの体験的な学習活動の充実に配慮すること。また,環境整備に十分配慮す
ること。
(9)博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るようにすること。
(10)
科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。
また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。
3 観察,実験,野外観察の指導に当たっては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及
び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。
|
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指導要領
555
第5節 音楽
第1 目 標
表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,音楽的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中の音や音楽,音楽
文化と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生
かした音楽表現をするために必要な技能を身に付けるようにする。
(2)
音楽表現を創意工夫することや,音楽のよさや美しさを味わって聴くことができるようにする。
(3)
音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽を愛好する心情を育むとともに,音楽に対する感性
を豊かにし,音楽に親しんでいく態度を養い,豊かな情操を培う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目 標
(1)
曲想と音楽の構造などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生かし
た音楽表現をするために必要な歌唱,器楽,創作の技能を身に付けるようにする。
(2)
音楽表現を創意工夫することや,音楽を自分なりに評価しながらよさや美しさを味わって聴くこと
ができるようにする。
(3)
主体的・協働的に表現及び鑑賞の学習に取り組み,音楽活動の楽しさを体験することを通して,音
楽文化に親しむとともに,音楽によって生活を明るく豊かなものにしていく態度を養う。
2 内 容
A 表 現
(1)歌唱の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歌唱表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,歌唱表現を創意工夫すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について理解すること。
(ア)曲想と音楽の構造や歌詞の内容との関わり
(イ)声の音色や響き及び言葉の特性と曲種に応じた発声との関わり
ウ 次の
(ア)
及び
(イ)
の技能を身に付けること。
(ア)
創意工夫を生かした表現で歌うために必要な発声,言葉の発音,身体の使い方などの技能
(イ)
創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の声などを聴きながら他者と合わせて歌う技能
(2)器楽の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 器楽表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,器楽表現を創意工夫すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について理解すること。
(ア)曲想と音楽の構造との関わり
(イ)楽器の音色や響きと奏法との関わり
ウ 次の
(ア)
及び
(イ)
の技能を身に付けること。
(ア)
創意工夫を生かした表現で演奏するために必要な奏法,身体の使い方などの技能
(イ)
創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の音などを聴きながら他者と合わせて演奏する技能
|
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指導要領
556
(3)創作の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 創作表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,創作表現を創意工夫すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について,表したいイメージと関わらせて理解すること。
(ア)音のつながり方の特徴
(イ)音素材の特徴及び音の重なり方や反復,変化,対照などの構成上の特徴
ウ 創意工夫を生かした表現で旋律や音楽をつくるために必要な,課題や条件に沿った音の選択や組
合せなどの技能を身に付けること。
B 鑑 賞
(1)鑑賞の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 鑑賞に関わる知識を得たり生かしたりしながら,次の
(ア)
から
(ウ)
までについて自分なりに考え,
音楽のよさや美しさを味わって聴くこと。
(ア)曲や演奏に対する評価とその根拠
(イ)生活や社会における音楽の意味や役割
(ウ)音楽表現の共通性や固有性
イ 次の
(ア)
から
(ウ)
までについて理解すること。
(ア)曲想と音楽の構造との関わり
(イ)音楽の特徴とその背景となる文化や歴史,他の芸術との関わり
(ウ)
我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽の特徴と,その特徴から生まれる音楽
の多様性
〔共通事項〕
(1)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を
感受しながら,知覚したことと感受したこととの関わりについて考えること。
イ 音楽を形づくっている要素及びそれらに関わる用語や記号などについて,音楽における働きと関
わらせて理解すること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目 標
(1)
曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を
生かした音楽表現をするために必要な歌唱,器楽,創作の技能を身に付けるようにする。
(2)
曲にふさわしい音楽表現を創意工夫することや,音楽を評価しながらよさや美しさを味わって聴く
ことができるようにする。
(3)
主体的・協働的に表現及び鑑賞の学習に取り組み,音楽活動の楽しさを体験することを通して,音
楽文化に親しむとともに,音楽によって生活を明るく豊かなものにし,音楽に親しんでいく態度を養
う。
2 内 容
A 表 現
(1)歌唱の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歌唱表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,曲にふさわしい歌唱表現を創意工夫
すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について理解すること。
|
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指導要領
557
(ア)曲想と音楽の構造や歌詞の内容及び曲の背景との関わり
(イ)声の音色や響き及び言葉の特性と曲種に応じた発声との関わり
ウ 次の
(ア)
及び
(イ)
の技能を身に付けること。
(ア)
創意工夫を生かした表現で歌うために必要な発声,言葉の発音,身体の使い方などの技能
(イ)
創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の声などを聴きながら他者と合わせて歌う技能
(2)器楽の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 器楽表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,曲にふさわしい器楽表現を創意工夫
すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について理解すること。
(ア)曲想と音楽の構造や曲の背景との関わり
(イ)楽器の音色や響きと奏法との関わり
ウ 次の
(ア)
及び
(イ)
の技能を身に付けること。
(ア)
創意工夫を生かした表現で演奏するために必要な奏法,身体の使い方などの技能
(イ)
創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の音などを聴きながら他者と合わせて演奏する技能
(3)創作の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 創作表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,まとまりのある創作表現を創意工夫
すること。
イ 次の
(ア)
及び
(イ)
について,表したいイメージと関わらせて理解すること。
(ア)音階や言葉などの特徴及び音のつながり方の特徴
(イ)音素材の特徴及び音の重なり方や反復,変化,対照などの構成上の特徴
ウ 創意工夫を生かした表現で旋律や音楽をつくるために必要な,課題や条件に沿った音の選択や組
合せなどの技能を身に付けること。
B 鑑 賞
(1)鑑賞の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 鑑賞に関わる知識を得たり生かしたりしながら,次の
(ア)
から
(ウ)
までについて考え,音楽のよさ
や美しさを味わって聴くこと。
(ア)曲や演奏に対する評価とその根拠
(イ)生活や社会における音楽の意味や役割
(ウ)音楽表現の共通性や固有性
イ 次の
(ア)
から
(ウ)
までについて理解すること。
(ア)曲想と音楽の構造との関わり
(イ)音楽の特徴とその背景となる文化や歴史,他の芸術との関わり
(ウ)
我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴と,その特徴から生まれる音楽の多様
性
〔共通事項〕
(1)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を
感受しながら,知覚したことと感受したこととの関わりについて考えること。
イ 音楽を形づくっている要素及びそれらに関わる用語や記号などについて,音楽における働きと関
わらせて理解すること。
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指導要領
558
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,音楽的な見方・考え方を働かせ,他者と
協働しながら,音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさや美しさなどを見いだしたりするなど,
思考,判断し,表現する一連の過程を大切にした学習の充実を図ること。
(2)
第2の各学年の内容の
「A表現」
の
(1)
,
(2)
及び
(3)
の指導については,ア,イ及びウの各事項を,
「B
鑑賞」の
(1)
の指導については,ア及びイの各事項を適切に関連させて指導すること。
(3)
第2の各学年の内容の〔共通事項〕は,表現及び鑑賞の学習において共通に必要となる資質・能力で
あり,
「A表現」及び「B鑑賞」の指導と併せて,十分な指導が行われるよう工夫すること。
(4)
第2の各学年の内容の「A表現」の
(1)
,
(2)
及び
(3)
並びに「B鑑賞」の
(1)
の指導については,それ
ぞれ特定の活動のみに偏らないようにするとともに,必要に応じて,
〔共通事項〕
を要として各領域や分
野の関連を図るようにすること。
(5)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(6)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 音楽活動を通して,それぞれの教材等に応じ,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせるなどして,
生徒が音や音楽と生活や社会との関わりを実感できるよう指導を工夫すること。なお,適宜,自然音
や環境音などについても取り扱い,音環境への関心を高めることができるよう指導を工夫すること。
イ 音楽によって喚起された自己のイメージや感情,音楽表現に対する思いや意図,音楽に対する評価
などを伝え合い共感するなど,音や音楽及び言葉によるコミュニケーションを図り,音楽科の特質に
応じた言語活動を適切に位置付けられるよう指導を工夫すること。
ウ 知覚したことと感受したこととの関わりを基に音楽の特徴を捉えたり,思考,判断の過程や結果を
表したり,それらについて他者と共有,共感したりする際には,適宜,体を動かす活動も取り入れる
ようにすること。
エ 生徒が様々な感覚を関連付けて音楽への理解を深めたり,主体的に学習に取り組んだりすることが
できるようにするため,コンピュータや教育機器を効果的に活用できるよう指導を工夫すること。
オ 生徒が学校内及び公共施設などの学校外における音楽活動とのつながりを意識できるようにするな
ど,生徒や学校,地域の実態に応じ,生活や社会の中の音や音楽,音楽文化と主体的に関わっていく
ことができるよう配慮すること。
カ 自己や他者の著作物及びそれらの著作者の創造性を尊重する態度の形成を図るとともに,必要に応
じて,音楽に関する知的財産権について触れるようにすること。また,こうした態度の形成が,音楽
文化の継承,発展,創造を支えていることへの理解につながるよう配慮すること。
(2)
各学年の「A表現」の
(1)
の歌唱の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 歌唱教材は,次に示すものを取り扱うこと。
(ア)
我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに照らして適切で,生徒にとって親しみが
もてたり意欲が高められたり,生活や社会において音楽が果たしている役割が感じ取れたりできる
もの。
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指導要領
559
(イ)
民謡,長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち,生徒や学校,地域の実態を考慮して,伝統的な
声や歌い方の特徴を感じ取れるもの。なお,これらを取り扱う際は,その表現活動を通して,生徒
が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい,愛着をもつことができるよう工夫すること。
(ウ)
我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの
又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの。なお,各学年において,以下の共通教材
の中から1曲以上を含めること。
「赤とんぼ」
三
み
木
き
露
ろ
風
ふう
作詞
山
やま
田
だ
耕
こう
筰
さく
作曲
「荒城の月」
土
ど
井
い
晩
ばん
翠
すい
作詞
滝
たき
廉
れん
太
た
郎
ろう
作曲
「早春賦」
吉
よし
丸
まる
一
かず
昌
まさ
作詞
中
なか
田
だ
章
あきら
作曲
「夏の思い出」
江
え
間
ま
章
しょう
子
こ
作詞
中
なか
田
だ
喜
よし
直
なお
作曲
「花」
武
たけ
島
しま
羽
は
衣
ごろも
作詞
滝
たき
廉
れん
太
た
郎
ろう
作曲
「花の街」
江
え
間
ま
章
しょう
子
こ
作詞
團
だん
伊
い
玖
く
磨
ま
作曲
「浜辺の歌」
林
はやし
古
こ
溪
けい
作詞
成
なり
田
た
為
ため
三
ぞう
作曲
イ 変声期及び変声前後の声の変化について気付かせ,変声期の生徒を含む全ての生徒の心理的な面に
ついても配慮するとともに,変声期の生徒については適切な声域と声量によって歌わせるようにする
こと。
ウ 相対的な音程感覚などを育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
(3)
各学年の「A表現」の
(2)
の器楽の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 器楽教材は,次に示すものを取り扱うこと。
(ア)
我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに照らして適切で,生徒にとって親しみ
がもてたり意欲が高められたり,生活や社会において音楽が果たしている役割が感じ取れたりで
きるもの。
イ 生徒や学校,地域の実態などを考慮した上で,指導上の必要に応じて和楽器,弦楽器,管楽器,打
楽器,鍵盤楽器,電子楽器及び世界の諸民族の楽器を適宜用いること。なお,3学年間を通じて1種
類以上の和楽器を取り扱い,その表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい,
愛着をもつことができるよう工夫すること。
(4)
歌唱及び器楽の指導における合わせて歌ったり演奏したりする表現形態では,他者と共に一つの音楽
表現をつくる過程を大切にするとともに,生徒一人一人が,担当する声部の役割と全体の響きについて
考え,主体的に創意工夫できるよう指導を工夫すること。
(5)
読譜の指導に当たっては,小学校における学習を踏まえ,#や♭の調号としての意味を理解させると
ともに,3学年間を通じて,1#,1♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるようにする
こと。
(6)
我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導に当たっては,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方につ
いても配慮するとともに,適宜,口
くち
唱
しょう
歌
が
を用いること。
(7)
各学年の
「A表現」
の
(3)
の創作の指導に当たっては,即興的に音を出しながら音のつながり方を試す
など,音を音楽へと構成していく体験を重視すること。その際,理論に偏らないようにするとともに,
必要に応じて作品を記録する方法を工夫させること。
(8)各学年の「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらい
に照らして適切なものを取り扱うこと。
イ 第1学年では言葉で説明したり,第2学年及び第3学年では批評したりする活動を取り入れ,曲や
演奏に対する評価やその根拠を明らかにできるよう指導を工夫すること。
|
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指導要領
560
(9)
各学年の〔共通事項〕に示す「音楽を形づくっている要素」については,指導のねらいに応じて,音
色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などから,適切に選択したり関連付けたり
して指導すること。
(10)各学年の〔共通事項〕の
(1)
のイに示す「用語や記号など」については,小学校学習指導要領第2章
第6節音楽の第3の2の
(9)
に示すものに加え,生徒の学習状況を考慮して,次に示すものを音楽にお
ける働きと関わらせて理解し,活用できるよう取り扱うこと。
|
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指導要領
561
第6節 美術
第1 目 標
表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,造形的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中の美術や美術文化
と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,表現方法を創意工夫し,創造的に表す
ことができるようにする。
(2)
造形的なよさや美しさ,表現の意図と工夫,美術の働きなどについて考え,主題を生み出し豊かに発
想し構想を練ったり,美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
(3)
美術の創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を育み,感性を豊かにし,心豊かな生活を創造
していく態度を養い,豊かな情操を培う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目 標
(1)
対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,意図に応じて表現方法を工夫して表
すことができるようにする。
(2)
自然の造形や美術作品などの造形的なよさや美しさ,表現の意図と工夫,機能性と美しさとの調和,
美術の働きなどについて考え,主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり,美術や美術文化に対す
る見方や感じ方を広げたりすることができるようにする。
(3)
楽しく美術の活動に取り組み創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を培い,心豊かな生活
を創造していく態度を養う。
2 内 容
A 表 現
(1)表現の活動を通して,次のとおり発想や構想に関する資質・能力を育成する。
ア 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に
関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
対象や事象を見つめ感じ取った形や色彩の特徴や美しさ,想像したことなどを基に主題を生み
出し,全体と部分との関係などを考え,創造的な構成を工夫し,心豊かに表現する構想を練るこ
と。
イ 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構
想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
構成や装飾の目的や条件などを基に,対象の特徴や用いる場面などから主題を生み出し,美的
感覚を働かせて調和のとれた美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
(イ)
伝える目的や条件などを基に,伝える相手や内容などから主題を生み出し,分かりやすさと美
しさなどとの調和を考え,表現の構想を練ること。
(ウ)
使う目的や条件などを基に,使用する者の気持ち,材料などから主題を生み出し,使いやすさ
や機能と美しさなどとの調和を考え,表現の構想を練ること。
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指導要領
562
(2)表現の活動を通して,次のとおり技能に関する資質・能力を育成する。
ア 発想や構想をしたことなどを基に,表現する活動を通して,技能に関する次の事項を身に付ける
ことができるよう指導する。
(ア)材料や用具の生かし方などを身に付け,意図に応じて工夫して表すこと。
(イ)
材料や用具の特性などから制作の順序などを考えながら,見通しをもって表すこと。
B 鑑 賞
(1)鑑賞の活動を通して,次のとおり鑑賞に関する資質・能力を育成する。
ア 美術作品などの見方や感じ方を広げる活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることが
できるよう指導する。
(ア)
造形的なよさや美しさを感じ取り,作者の心情や表現の意図と工夫などについて考えるなどし
て,見方や感じ方を広げること。
(イ)
目的や機能との調和のとれた美しさなどを感じ取り,作者の心情や表現の意図と工夫などにつ
いて考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
イ 生活の中の美術の働きや美術文化についての見方や感じ方を広げる活動を通して,鑑賞に関する
次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
身の回りにある自然物や人工物の形や色彩,材料などの造形的な美しさなどを感じ取り,生活
を美しく豊かにする美術の働きについて考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
(イ)
身近な地域や日本及び諸外国の文化遺産などのよさや美しさなどを感じ取り,美術文化につい
て考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
〔共通事項〕
(1)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらが感情にもたらす効果などを理解すること。
イ 造形的な特徴などを基に,全体のイメージや作風などで捉えることを理解すること。
3 内容の取扱い
(1)
第1学年では,内容に示す各事項の定着を図ることを基本とし,一年間で全ての内容が学習できる
ように一題材に充てる時間数などについて十分検討すること。
(2)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,発想や構想に関する資質・能力や鑑賞に関する資
質・能力を育成する観点から,
〔共通事項〕
に示す事項を視点に,アイデアスケッチで構想を練ったり,
言葉で考えを整理したりすることや,作品などについて説明し合うなどして対象の見方や感じ方を広
げるなどの言語活動の充実を図ること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目 標
(1)
対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,意図に応じて自分の表現方法を追求
し,創造的に表すことができるようにする。
(2)
自然の造形や美術作品などの造形的なよさや美しさ,表現の意図と創造的な工夫,機能性と洗練さ
れた美しさとの調和,美術の働きなどについて独創的・総合的に考え,主題を生み出し豊かに発想し
構想を練ったり,美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
(3)
主体的に美術の活動に取り組み創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を深め,心豊かな生
活を創造していく態度を養う。
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指導要領
563
2 内 容
A 表 現
(1)表現の活動を通して,次のとおり発想や構想に関する資質・能力を育成する。
ア 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に
関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
対象や事象を深く見つめ感じ取ったことや考えたこと,夢,想像や感情などの心の世界などを
基に主題を生み出し,単純化や省略,強調,材料の組合せなどを考え,創造的な構成を工夫し,
心豊かに表現する構想を練ること。
イ 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構
想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
構成や装飾の目的や条件などを基に,用いる場面や環境,社会との関わりなどから主題を生み
出し,美的感覚を働かせて調和のとれた洗練された美しさなどを総合的に考え,表現の構想を練
ること。
(イ)
伝える目的や条件などを基に,伝える相手や内容,社会との関わりなどから主題を生み出し,
伝達の効果と美しさなどとの調和を総合的に考え,表現の構想を練ること。
(ウ)
使う目的や条件などを基に,使用する者の立場,社会との関わり,機知やユーモアなどから主
題を生み出し,使いやすさや機能と美しさなどとの調和を総合的に考え,表現の構想を練ること。
(2)表現の活動を通して,次のとおり技能に関する資質・能力を育成する。
ア 発想や構想をしたことなどを基に,表現する活動を通して,技能に関する次の事項を身に付ける
ことができるよう指導する。
(ア)
材料や用具の特性を生かし,意図に応じて自分の表現方法を追求して創造的に表すこと。
(イ)
材料や用具,表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら,見通しをもって
表すこと。
B 鑑 賞
(1)鑑賞の活動を通して,次のとおり鑑賞に関する資質・能力を育成する。
ア 美術作品などの見方や感じ方を深める活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることが
できるよう指導する。
(ア)
造形的なよさや美しさを感じ取り,作者の心情や表現の意図と創造的な工夫などについて考え
るなどして,美意識を高め,見方や感じ方を深めること。
(イ)
目的や機能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り,作者の心情や表現の意図と創
造的な工夫などについて考えるなどして,美意識を高め,見方や感じ方を深めること。
イ 生活や社会の中の美術の働きや美術文化についての見方や感じ方を深める活動を通して,鑑賞に
関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア)
身近な環境の中に見られる造形的な美しさなどを感じ取り,安らぎや自然との共生などの視点
から生活や社会を美しく豊かにする美術の働きについて考えるなどして,見方や感じ方を深める
こと。
(イ)
日本の美術作品や受け継がれてきた表現の特質などから,伝統や文化のよさや美しさを感じ取
り愛情を深めるとともに,諸外国の美術や文化との相違点や共通点に気付き,美術を通した国際
理解や美術文化の継承と創造について考えるなどして,見方や感じ方を深めること。
〔共通事項〕
(1)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらが感情にもたらす効果などを理解すること。
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指導要領
564
イ 造形的な特徴などを基に,全体のイメージや作風などで捉えることを理解すること。
3 内容の取扱い
(1)
第2学年及び第3学年では,第1学年において身に付けた資質・能力を柔軟に活用して,表現及び
鑑賞に関する資質・能力をより豊かに高めることを基本とし,第2学年と第3学年の発達の特性を考
慮して内容の選択や一題材に充てる時間数などについて十分検討すること。
(2)
「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,発想や構想に関する資質・能力や鑑賞に関する資
質・能力を育成する観点から,
〔共通事項〕
に示す事項を視点に,アイデアスケッチで構想を練ったり,
言葉で考えを整理したりすることや,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして
対象の見方や感じ方を深めるなどの言語活動の充実を図ること。
(3)
「B鑑賞」のイの
(イ)
の指導に当たっては,日本の美術の概括的な変遷などを捉えることを通して,
各時代における作品の特質,人々の感じ方や考え方,願いなどを感じ取ることができるよう配慮する
こと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,造形的な見方・考え方を働かせ,表現及
び鑑賞に関する資質・能力を相互に関連させた学習の充実を図ること。
(2)
第2の各学年の内容の「A表現」及び「B鑑賞」の指導については相互に関連を図り,特に発想や構
想に関する資質・能力と鑑賞に関する資質・能力とを総合的に働かせて学習が深められるようにするこ
と。
(3)
第2の各学年の内容の〔共通事項〕は,表現及び鑑賞の学習において共通に必要となる資質・能力で
あり,
「A表現」及び「B鑑賞」の指導と併せて,十分な指導が行われるよう工夫すること。
(4)
第2の各学年の内容の「A表現」については,
(1)
のア及びイと,
(2)
は原則として関連付けて行い,
(1)
のア及びイそれぞれにおいて描く活動とつくる活動のいずれも経験させるようにすること。その際,
第2学年及び第3学年の各学年においては,
(1)
のア及びイそれぞれにおいて,描く活動とつくる活動
のいずれかを選択して扱うことができることとし,2学年間を通して描く活動とつくる活動が調和的に
行えるようにすること。
(5)
第2の内容の「B鑑賞」の指導については,各学年とも,各事項において育成を目指す資質・能力の
定着が図られるよう,適切かつ十分な授業時数を確保すること。
(6)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(7)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
〔共通事項〕の指導に当たっては,生徒が造形を豊かに捉える多様な視点をもてるように,以下の内
容について配慮すること。
ア
〔共通事項〕のアの指導に当たっては,造形の要素などに着目して,次の事項を実感的に理解でき
るようにすること。
(ア)色彩の色味や明るさ,鮮やかさを捉えること。
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指導要領
565
(イ)材料の性質や質感を捉えること。
(ウ)
形や色彩,材料,光などから感じる優しさや楽しさ,寂しさなどを捉えること。
(エ)形や色彩などの組合せによる構成の美しさを捉えること。
(オ)余白や空間の効果,立体感や遠近感,量感や動勢などを捉えること。
イ
〔共通事項〕のイの指導に当たっては,全体のイメージや作風などに着目して,次の事項を実感的
に理解できるようにすること。
(ア)
造形的な特徴などを基に,見立てたり,心情などと関連付けたりして全体のイメージで捉えるこ
と。
(イ)造形的な特徴などを基に,作風や様式などの文化的な視点で捉えること。
(2)
各学年の「A表現」の指導に当たっては,主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程
を通して,生徒が夢と目標をもち,自分のよさを発見し喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形
成を図るようにすること。
(3)
各学年の「A表現」の指導に当たっては,生徒の学習経験や資質・能力,発達の特性等の実態を踏ま
え,生徒が自分の表現意図に合う表現形式や技法,材料などを選択し創意工夫して表現できるように,
次の事項に配慮すること。
ア 見る力や感じ取る力,考える力,描く力などを育成するために,スケッチの学習を効果的に取り入
れるようにすること。
イ 美術の表現の可能性を広げるために,写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活
用を図るようにすること。
ウ 日本及び諸外国の作品の独特な表現形式,漫画やイラストレーション,図などの多様な表現方法を
活用できるようにすること。
エ 表現の材料や題材などについては,地域の身近なものや伝統的なものも取り上げるようにすること。
(4)各活動において,互いのよさや個性などを認め尊重し合うようにすること。
(5)
互いの個性を生かし合い協力して創造する喜びを味わわせるため,適切な機会を選び共同で行う創造
活動を経験させること。
(6)
各学年の「B鑑賞」の題材については,国内外の児童生徒の作品,我が国を含むアジアの文化遺産に
ついても取り上げるとともに,美術館や博物館等と連携を図ったり,それらの施設や文化財などを積極
的に活用したりするようにすること。
(7)
創造することの価値を捉え,自己や他者の作品などに表れている創造性を尊重する態度の形成を図る
とともに,必要に応じて,美術に関する知的財産権や肖像権などについて触れるようにすること。また,
こうした態度の形成が,美術文化の継承,発展,創造を支えていることへの理解につながるよう配慮す
ること。
3 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導な
どを徹底するものとする。
4 学校における鑑賞のための環境づくりをするに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
生徒が造形的な視点を豊かにもつことができるよう,生徒や学校の実態に応じて,学校図書館等にお
ける鑑賞用図書,映像資料等の活用を図ること。
(2)
生徒が鑑賞に親しむことができるよう,校内の適切な場所に鑑賞作品などを展示するとともに,学校
や地域の実態に応じて,校外においても生徒作品などの展示の機会を設けるなどすること。
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指導要領
566
第7節 保健体育
第1 目 標
体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を
一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能
力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
各種の運動の特性に応じた技能等及び個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本
的な技能を身に付けるようにする。
(2)
運動や健康についての自他の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,他者に
伝える力を養う。
(3)
生涯にわたって運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,明るく豊かな生活を営
む態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔体育分野 第1学年及び第2学年〕
1 目 標
(1)
運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わい,運動を豊かに実践することができる
ようにするため,運動,体力の必要性について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるように
する。
(2)
運動についての自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,自己や仲間
の考えたことを他者に伝える力を養う。
(3)
運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たす,
一人一人の違いを認めようとするなどの意欲を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を
尽くして運動をする態度を養う。
2 内 容
A 体つくり運動
体つくり運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,体つくり運動の意義と行い方,体の動
きを高める方法などを理解し,目的に適した運動を身に付け,組み合わせること。
ア 体ほぐしの運動では,手軽な運動を行い,心と体との関係や心身の状態に気付き,仲間と積極的
に関わり合うこと。
イ 体の動きを高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ,巧みな動き,力強い動き,動きを
持続する能力を高めるための運動を行うとともに,それらを組み合わせること。
(2)
自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の
考えたことを他者に伝えること。
(3)
体つくり運動に積極的に取り組むとともに,仲間の学習を援助しようとすること,一人一人の違い
に応じた動きなどを認めようとすること,話合いに参加しようとすることなどや,健康・安全に気を
配ること。
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指導要領
567
B 器械運動
器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,器械運動の特性や成り立ち,技の名称や行
い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,技をよりよく行うこと。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を
行うこと及びそれらを組み合わせること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を行
うこと及びそれらを組み合わせること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展
技を行うこと及びそれらを組み合わせること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展
技を行うこと。
(2)
技などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己
の考えたことを他者に伝えること。
(3)
器械運動に積極的に取り組むとともに,よい演技を認めようとすること,仲間の学習を援助しよう
とすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,健康・安全に気を配
ること。
C 陸上競技
陸上競技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,陸上競技の特性や成り立ち,技術
の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本的な動きや効率のよ
い動きを身に付けること。
ア 短距離走・リレーでは,滑らかな動きで速く走ることやバトンの受渡しでタイミングを合わせる
こと,長距離走では,ペースを守って走ること,ハードル走では,リズミカルな走りから滑らかに
ハードルを越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から素早く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズ
ミカルな助走から力強く踏み切って大きな動作で跳ぶこと。
(2)
動きなどの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自
己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
陸上競技に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分
担した役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,
健康・安全に気を配ること。
D 水 泳
水泳について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,水泳の特性や成り立ち,技術の名
称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,泳法を身に付けること。
ア クロールでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり速く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり長く泳ぐこと。
ウ 背泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
(2)
泳法などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自
己の考えたことを他者に伝えること。
|
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指導要領
568
(3)
水泳に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担し
た役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,水
泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全に気を配ること。
E 球 技
球技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,球技の特性や成り立ち,技術の名称や行い
方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本的な技能や仲間と連携した動きで
ゲームを展開すること。
ア ゴール型では,ボール操作と空間に走り込むなどの動きによってゴール前での攻防をすること。
イ ネット型では,ボールや用具の操作と定位置に戻るなどの動きによって空いた場所をめぐる攻防
をすること。
ウ ベースボール型では,基本的なバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と定位置での守備などに
よって攻防をすること。
(2)
攻防などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自
己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3)
球技に積極的に取り組むとともに,フェアなプレイを守ろうとすること,作戦などについての話合
いに参加しようとすること,一人一人の違いに応じたプレイなどを認めようとすること,仲間の学習
を援助しようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
F 武 道
武道について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,武道の特性や成り立ち,伝統的な考え方,
技の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本動作や基本となる
技を用いて簡易な攻防を展開すること。
ア 柔道では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,投げたり抑えたりするなどの
簡易な攻防をすること。
イ 剣道では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,打ったり受けたりするなどの
簡易な攻防をすること。
ウ 相撲では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,押したり寄ったりするなどの
簡易な攻防をすること。
(2)
攻防などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自
己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
武道に積極的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を守ろうとすること,分担
した役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,
禁じ技を用いないなど健康・安全に気を配ること。
G ダンス
ダンスについて,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,ダンスの
特性や由来,表現の仕方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,イメージを捉え
た表現や踊りを通した交流をすること。
ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージを捉え,動きに変化を付けて即興的に表現
したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,日本の民踊
よう
や外国の踊りから,それらの踊り方の特徴を捉え,音楽に合わ
|
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指導要領
569
せて特徴的なステップや動きで踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴を捉え,変化のある動きを組み合わせて,リズムに
乗って全身で踊ること。
(2)
表現などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自
己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3)
ダンスに積極的に取り組むとともに,仲間の学習を援助しようとすること,交流などの話合いに参
加しようとすること,一人一人の違いに応じた表現や役割を認めようとすることなどや,健康・安全
に気を配ること。
H 体育理論
(1)
運動やスポーツが多様であることについて,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次
の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 運動やスポーツが多様であることについて理解すること。
(ア)
運動やスポーツは,体を動かしたり健康を維持したりするなどの必要性及び競い合うことや課
題を達成することなどの楽しさから生みだされ発展してきたこと。
(イ)
運動やスポーツには,行うこと,見ること,支えること及び知ることなどの多様な関わり方が
あること。
(ウ)
世代や機会に応じて,生涯にわたって運動やスポーツを楽しむためには,自己に適した多様な
楽しみ方を見付けたり,工夫したりすることが大切であること。
イ 運動やスポーツが多様であることについて,自己の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し
判断するとともに,他者に伝えること。
ウ 運動やスポーツが多様であることについての学習に積極的に取り組むこと。
(2)
運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について,課題を発見し,その解決を目指し
た活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について理解すること。
(ア)
運動やスポーツは,身体の発達やその機能の維持,体力の向上などの効果や自信の獲得,スト
レスの解消などの心理的効果及びルールやマナーについて合意したり,適切な人間関係を築いた
りするなどの社会性を高める効果が期待できること。
(イ)
運動やスポーツには,特有の技術があり,その学び方には,運動の課題を合理的に解決するた
めの一定の方法があること。
(ウ)
運動やスポーツを行う際は,その特性や目的,発達の段階や体調などを踏まえて運動を選ぶな
ど,健康・安全に留意する必要があること。
イ 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について,自己の課題を発見し,よりよい
解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝えること。
ウ 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方についての学習に積極的に取り組むこと。
〔体育分野 第3学年〕
1 目 標
(1)
運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わい,生涯にわたって運動を豊かに実践す
ることができるようにするため,運動,体力の必要性について理解するとともに,基本的な技能を身
に付けるようにする。
(2)
運動についての自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,自己
や仲間の考えたことを他者に伝える力を養う。
|
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指導要領
570
(3)
運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の責任を果たす,
参画する,一人一人の違いを大切にしようとするなどの意欲を育てるとともに,健康・安全を確保し
て,生涯にわたって運動に親しむ態度を養う。
2 内 容
A 体つくり運動
体つくり運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,運動を継続する意義,体の構造,運動
の原則などを理解するとともに,健康の保持増進や体力の向上を目指し,目的に適した運動の計画を
立て取り組むこと。
ア 体ほぐしの運動では,手軽な運動を行い,心と体は互いに影響し変化することや心身の状態に気
付き,仲間と自主的に関わり合うこと。
イ 実生活に生かす運動の計画では,ねらいに応じて,健康の保持増進や調和のとれた体力の向上を
図るための運動の計画を立て取り組むこと。
(2)
自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や
仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3)
体つくり運動に自主的に取り組むとともに,互いに助け合い教え合おうとすること,一人一人の違
いに応じた動きなどを大切にしようとすること,話合いに貢献しようとすることなどや,健康・安全
を確保すること。
B 器械運動
器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,技の名称や行い方,運動観察の方法,体力
の高め方などを理解するとともに,自己に適した技で演技すること。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や
発展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や発
展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた
技や発展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた
技や発展技を行うこと。
(2)
技などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,
自己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
器械運動に自主的に取り組むとともに,よい演技を讃
たた
えようとすること,互いに助け合い教え合お
うとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや,健康・安全を
確保すること。
C 陸上競技
陸上競技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め
方,運動観察の方法などを理解するとともに,各種目特有の技能を身に付けること。
ア 短距離走・リレーでは,中間走へのつなぎを滑らかにして速く走ることやバトンの受渡しで次走
者のスピードを十分高めること,長距離走では,自己に適したペースを維持して走ること,ハード
|
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指導要領
571
ル走では,スピードを維持した走りからハードルを低く越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から力強く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズ
ミカルな助走から力強く踏み切り滑らかな空間動作で跳ぶこと。
(2)
動きなどの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するととも
に,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
陸上競技に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしよ
うとすること,自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしよ
うとすることなどや,健康・安全を確保すること。
D 水 泳
水泳について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め
方,運動観察の方法などを理解するとともに,効率的に泳ぐこと。
ア クロールでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳い
だりすること。
イ 平泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだ
りすること。
ウ 背泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
オ 複数の泳法で泳ぐこと,又はリレーをすること。
(2)
泳法などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するととも
に,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
水泳に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようと
すること,自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようと
することなどや,水泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全を確保すること。
E 球 技
球技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め方,運動
観察の方法などを理解するとともに,作戦に応じた技能で仲間と連携しゲームを展開すること。
ア ゴール型では,安定したボール操作と空間を作りだすなどの動きによってゴール前への侵入など
から攻防をすること。
イ ネット型では,役割に応じたボール操作や安定した用具の操作と連携した動きによって空いた場
所をめぐる攻防をすること。
ウ ベースボール型では,安定したバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と連携した守備などによ
って攻防をすること。
(2)
攻防などの自己やチームの課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとと
もに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3)
球技に自主的に取り組むとともに,フェアなプレイを大切にしようとすること,作戦などについて
の話合いに貢献しようとすること,一人一人の違いに応じたプレイなどを大切にしようとすること,
互いに助け合い教え合おうとすることなどや,健康・安全を確保すること。
F 武 道
武道について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,技を高め勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,伝統的な考え方,技の名称や見取
|
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指導要領
572
り稽古の仕方,体力の高め方などを理解するとともに,基本動作や基本となる技を用いて攻防を展開
すること。
ア 柔道では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技,連絡技を用いて,相手を崩して
投げたり,抑えたりするなどの攻防をすること。
イ 剣道では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技を用いて,相手の構えを崩し,し
かけたり応じたりするなどの攻防をすること。
ウ 相撲では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技を用いて,相手を崩し,投げたり
いなしたりするなどの攻防をすること。
(2)
攻防などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するととも
に,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3)
武道に自主的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること,
自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることな
どや,健康・安全を確保すること。
G ダンス
ダンスについて,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)
次の運動について,感じを込めて踊ったり,みんなで自由に踊ったりする楽しさや喜びを味わい,
ダンスの名称や用語,踊りの特徴と表現の仕方,交流や発表の仕方,運動観察の方法,体力の高め方
などを理解するとともに,イメージを深めた表現や踊りを通した交流や発表をすること。
ア 創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージを捉え,個や群で,緩急強弱のある動き
や空間の使い方で変化を付けて即興的に表現したり,簡単な作品にまとめたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,日本の民踊
よう
や外国の踊りから,それらの踊り方の特徴を捉え,音楽に合わ
せて特徴的なステップや動きと組み方で踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴を捉え,変化とまとまりを付けて,リズムに乗って
全身で踊ること。
(2)
表現などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するととも
に,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3)
ダンスに自主的に取り組むとともに,互いに助け合い教え合おうとすること,作品や発表などの話
合いに貢献しようとすること,一人一人の違いに応じた表現や役割を大切にしようとすることなどや,
健康・安全を確保すること。
H 体育理論
(1)
文化としてのスポーツの意義について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事
項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文化としてのスポーツの意義について理解すること。
(ア)
スポーツは,文化的な生活を営みよりよく生きていくために重要であること。
(イ)
オリンピックやパラリンピック及び国際的なスポーツ大会などは,国際親善や世界平和に大き
な役割を果たしていること。
(ウ)
スポーツは,民族や国,人種や性,障害の違いなどを超えて人々を結び付けていること。
イ 文化としてのスポーツの意義について,自己の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断
するとともに,他者に伝えること。
ウ 文化としてのスポーツの意義についての学習に自主的に取り組むこと。
|
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指導要領
573
〔内容の取扱い〕
(1)内容の各領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 第1学年及び第2学年においては,
「A体つくり運動」から「H体育理論」までについては,全て
の生徒に履修させること。その際,
「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,2学年間に
わたって履修させること。
イ 第3学年においては,
「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,全ての生徒に履修させ
ること。
「B器械運動」
,
「C陸上競技」
,
「D水泳」及び「Gダンス」についてはいずれかから一以上
を,
「E球技」
及び
「F武道」
についてはいずれか一以上をそれぞれ選択して履修できるようにする
こと。
(2)
内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,次のとおり取り扱うも
のとする。
ア
「A体つくり運動」の
(1)
のアの運動については,
「B器械運動」から「Gダンス」までにおいて
も関連を図って指導することができるとともに,心の健康など保健分野との関連を図って指導する
こと。
また,
「A体つくり運動」
の
(1)
のイの運動については,第1学年及び第2学年においては,動
きを持続する能力を高めるための運動に重点を置いて指導することができるが,調和のとれた体力
を高めることに留意すること。その際,音楽に合わせて運動をするなどの工夫を図ること。第3学
年においては,日常的に取り組める運動例を取り上げるなど指導方法の工夫を図ること。
イ
「B器械運動」
の
(1)
の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中か
らアを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからエまでの中から
選択して履修できるようにすること。
ウ
「C陸上競技」
の
(1)
の運動については,ア及びイに示すそれぞれの運動の中から選択して履修で
きるようにすること。
エ
「D水泳」
の
(1)
の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からア
又はイのいずれかを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからオ
までの中から選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実態に応じて,安全を確保
するための泳ぎを加えて履修させることができること。また,泳法との関連において水中からのス
タート及びターンを取り上げること。なお,水泳の指導については,適切な水泳場の確保が困難な
場合にはこれを扱わないことができるが,水泳の事故防止に関する心得については,必ず取り上げ
ること。また,保健分野の応急手当との関連を図ること。
オ
「E球技」
の
(1)
の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからウまでを全ての生
徒に履修させること。第3学年においては,アからウまでの中から二を選択して履修できるように
すること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカーの中から,イについ
ては,バレーボール,卓球,テニス,バドミントンの中から,ウについては,ソフトボールを適宜
取り上げることとし,学校や地域の実態に応じて,その他の運動についても履修させることができ
ること。なお,ウの実施に当たり,十分な広さの運動場の確保が難しい場合は指導方法を工夫して
行うこと。
カ
「F武道」については,柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃
剣道などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。また,
(1)
の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。
なお,学校
や地域の実態に応じて,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などについても履
修させることができること。また,武道場などの確保が難しい場合は指導方法を工夫して行うとと
もに,学習段階や個人差を踏まえ,段階的な指導を行うなど安全を十分に確保すること。
|
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指導要領
574
キ
「Gダンス」
の
(1)
の運動については,アからウまでの中から選択して履修できるようにすること。
なお,学校や地域の実態に応じて,その他のダンスについても履修させることができること。
ク 第1学年及び第2学年の内容の「H体育理論」については,
(1)
は第1学年,
(2)
は第2学年で取
り上げること。
(3)
内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域及び運動の選択並びにその指導に当たって
は,学校や地域の実態及び生徒の特性等を考慮するものとする。また,第3学年の領域の選択に当た
っては,安全を十分に確保した上で,生徒が自由に選択して履修することができるよう配慮すること。
その際,指導に当たっては,内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域については,それぞ
れの運動の特性に触れるために必要な体力を生徒自ら高めるように留意するものとする。
(4)
自然との関わりの深いスキー,スケートや水辺活動などの指導については,学校や地域の実態に応
じて積極的に行うことに留意するものとする。
(5)
集合,整頓
とん
,列の増減,方向変換などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動
ができるようにするための指導については,内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域
において適切に行うものとする。
〔保健分野〕
1 目 標
(1)
個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2)
健康についての自他の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝え
る力を養う。
(3)
生涯を通じて心身の健康の保持増進を目指し,明るく豊かな生活を営む態度を養う。
2 内 容
(1)
健康な生活と疾病の予防について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を
身に付けることができるよう指導する。
ア 健康な生活と疾病の予防について理解を深めること。
(ア)
健康は,主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。また,疾病は,主体の要因と環境
の要因が関わり合って発生すること。
(イ)
健康の保持増進には,年齢,生活環境等に応じた運動,食事,休養及び睡眠の調和のとれた生
活を続ける必要があること。
(ウ)
生活習慣病などは,運動不足,食事の量や質の偏り,休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れ
が主な要因となって起こること。また,生活習慣病などの多くは,適切な運動,食事,休養及び
睡眠の調和のとれた生活を実践することによって予防できること。
(エ)
喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心身に様々な影響を与え,健康を損なう原因となること。
また,これらの行為には,個人の心理状態や人間関係,社会環境が影響することから,それぞれ
の要因に適切に対処する必要があること。
(オ)
感染症は,病原体が主な要因となって発生すること。また,感染症の多くは,発生源をなくす
こと,感染経路を遮断すること,主体の抵抗力を高めることによって予防できること。
(カ)
健康の保持増進や疾病の予防のためには,個人や社会の取組が重要であり,保健・医療機関を
有効に利用することが必要であること。また,医薬品は,正しく使用すること。
イ 健康な生活と疾病の予防について,課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するとともに,
それらを表現すること。
|
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指導要領
575
(2)
心身の機能の発達と心の健康について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事
項を身に付けることができるよう指導する。
ア 心身の機能の発達と心の健康について理解を深めるとともに,ストレスへの対処をすること。
(ア)
身体には,多くの器官が発育し,それに伴い,様々な機能が発達する時期があること。
また,発
育・発達の時期やその程度には,個人差があること。
(イ)
思春期には,内分泌の働きによって生殖に関わる機能が成熟すること。また,成熟に伴う変化
に対応した適切な行動が必要となること。
(ウ)
知的機能,情意機能,社会性などの精神機能は,生活経験などの影響を受けて発達すること。
また,思春期においては,自己の認識が深まり,自己形成がなされること。
(エ)
精神と身体は,相互に影響を与え,関わっていること。欲求やストレスは,心身に影響を与え
ることがあること。また,心の健康を保つには,欲求やストレスに適切に対処する必要があるこ
と。
イ 心身の機能の発達と心の健康について,課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するととも
に,それらを表現すること。
(3)
傷害の防止について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けるこ
とができるよう指導する。
ア 傷害の防止について理解を深めるとともに,応急手当をすること。
(ア)
交通事故や自然災害などによる傷害は,人的要因や環境要因などが関わって発生すること。
(イ)
交通事故などによる傷害の多くは,安全な行動,環境の改善によって防止できること。
(ウ)
自然災害による傷害は,災害発生時だけでなく,二次災害によっても生じること。また,自然
災害による傷害の多くは,災害に備えておくこと,安全に避難することによって防止できること。
(エ)
応急手当を適切に行うことによって,傷害の悪化を防止することができること。また,心肺蘇
そ
生法などを行うこと。
イ 傷害の防止について,危険の予測やその回避の方法を考え,それらを表現すること。
(4)
健康と環境について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けるこ
とができるよう指導する。
ア 健康と環境について理解を深めること。
(ア)
身体には,環境に対してある程度まで適応能力があること。身体の適応能力を超えた環境は,
健康に影響を及ぼすことがあること。また,快適で能率のよい生活を送るための温度,湿度や明
るさには一定の範囲があること。
(イ)
飲料水や空気は,健康と密接な関わりがあること。また,飲料水や空気を衛生的に保つには,
基準に適合するよう管理する必要があること。
(ウ)
人間の生活によって生じた廃棄物は,環境の保全に十分配慮し,環境を汚染しないように衛生
的に処理する必要があること。
イ 健康と環境に関する情報から課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するとともに,それら
を表現すること。
3 内容の取扱い
(1)
内容の
(1)
のアの
(ア)
及び
(イ)
は第1学年,
(1)
のアの
(ウ)
及び
(エ)
は第2学年,
(1)
のアの
(オ)
及び
(カ)
は第3学年で取り扱うものとし,
(1)
のイは全ての学年で取り扱うものとする。内容の
(2)
は第1学年,
(3)
は第2学年,
(4)
は第3学年で取り扱うものとする。
(2)
内容の
(1)
のアについては,健康の保持増進と疾病の予防に加えて,疾病の回復についても取り扱
|
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指導要領
576
うものとする。
(3)
内容の
(1)
のアの
(イ)
及び
(ウ)
については,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び
付くように配慮するとともに,必要に応じて,コンピュータなどの情報機器の使用と健康との関わり
について取り扱うことにも配慮するものとする。また,がんについても取り扱うものとする。
(4)
内容の
(1)
のアの
(エ)
については,心身への急性影響及び依存性について取り扱うこと。また,薬物
は,覚醒剤や大麻等を取り扱うものとする。
(5)
内容の
(1)
のアの
(オ)
については,後天性免疫不全症候群(エイズ)及び性感染症についても取り扱
うものとする。
(6)
内容の
(2)
のアの
(ア)
については,呼吸器,循環器を中心に取り扱うものとする。
(7)
内容の
(2)
のアの
(イ)
については,妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から,受
精・妊娠を取り扱うものとし,妊娠の経過は取り扱わないものとする。また,身体の機能の成熟とと
もに,性衝動が生じたり,異性への関心が高まったりすることなどから,異性の尊重,情報への適切
な対処や行動の選択が必要となることについて取り扱うものとする。
(8)
内容の
(2)
のアの
(エ)
については,体育分野の内容の
「A体つくり運動」
の
(1)
のアの指導との関連を
図って指導するものとする。
(9)
内容の
(3)
のアの
(エ)
については,包帯法,止血法など傷害時の応急手当も取り扱い,実習を行うも
のとする。また,効果的な指導を行うため,水泳など体育分野の内容との関連を図るものとする。
(10)
内容の
(4)
については,地域の実態に即して公害と健康との関係を取り扱うことにも配慮するも
のとする。また,生態系については,取り扱わないものとする。
(11)
保健分野の指導に際しては,自他の健康に関心をもてるようにし,健康に関する課題を解決する
学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体
的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,体育や保健の見方・考え方を働かせなが
ら,運動や健康についての自他の課題を発見し,その合理的な解決のための活動の充実を図ること。ま
た,運動の楽しさや喜びを味わったり,健康の大切さを実感したりすることができるよう留意すること。
(2)授業時数の配当については,次のとおり扱うこと。
ア 保健分野の授業時数は,3学年間で48 単位時間程度配当すること。
イ 保健分野の授業時数は,3学年間を通じて適切に配当し,各学年において効果的な学習が行われる
よう考慮して配当すること。
ウ 体育分野の授業時数は,各学年にわたって適切に配当すること。その際,体育分野の内容の「A体
つくり運動」
については,各学年で7単位時間以上を,
「H体育理論」
については,各学年で3単位時
間以上を配当すること。
エ 体育分野の内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域の授業時数は,それらの内容の習熟
を図ることができるよう考慮して配当すること。
(3)
障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の
工夫を計画的,組織的に行うこと。
(4)
第1章総則の第1の2の
(2)
に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,
第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
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指導要領
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2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1)
体力や技能の程度,性別や障害の有無等に関わらず,運動の多様な楽しみ方を共有することができる
よう留意すること。
(2)
言語能力を育成する言語活動を重視し,筋道を立てて練習や作戦について話し合う活動や,個人生活
における健康の保持増進や回復について話し合う活動などを通して,コミュニケーション能力や論理的
な思考力の育成を促し,自主的な学習活動の充実を図ること。
(3)
第2の内容の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活
用して,各分野の特質に応じた学習活動を行うよう工夫すること。
(4)
体育分野におけるスポーツとの多様な関わり方や保健分野の指導については,具体的な体験を伴う学
習の工夫を行うよう留意すること。
(5)
生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や生徒の実態に応じ,学習内容の習熟の
程度に応じた指導,個別指導との連携を踏まえた教師間の協力的な指導などを工夫改善し,個に応じた
指導の充実が図られるよう留意すること。
(6)
第1章総則の第1の2の
(3)
に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし,特別活動,
運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践
できるよう留意すること。なお,体力の測定については,計画的に実施し,運動の指導及び体力の向上
に活用するようにすること。
(7)
体育分野と保健分野で示された内容については,相互の関連が図られるよう留意すること。
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指導要領
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第8節 技術・家庭
第1 目 標
生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,生活や技術に関する実践的・体験的な活
動を通して,よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次
のとおり育成することを目指す。
(1)
生活と技術についての基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2)
生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,表現す
るなど,課題を解決する力を養う。
(3)
よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度
を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔技術分野〕
1 目 標
技術の見方・考え方を働かせ,ものづくりなどの技術に関する実践的・体験的な活動を通して,技術
によってよりよい生活や持続可能な社会を構築する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
生活や社会で利用されている材料,加工,生物育成,エネルギー変換及び情報の技術についての基
礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付け,技術と生活や社会,環境との関わりにつ
いて理解を深める。
(2)
生活や社会の中から技術に関わる問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,製作図等に表
現し,試作等を通じて具体化し,実践を評価・改善するなど,課題を解決する力を養う。
(3)
よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,適切かつ誠実に技術を工夫し創造しようと
する実践的な態度を養う。
2 内 容
A 材料と加工の技術
(1)
生活や社会を支える材料と加工の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けるこ
とができるよう指導する。
ア 材料や加工の特性等の原理・法則と,材料の製造・加工方法等の基礎的な技術の仕組みについて
理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2)
生活や社会における問題を,材料と加工の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付
けることができるよう指導する。
ア 製作に必要な図をかき,安全・適切な製作や検査・点検等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,材料の選択や成形の方法等を構想して設計を具体化するととも
に,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3)
これからの社会の発展と材料と加工の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付
けることができるよう指導する。
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指導要領
579
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考
えること。
B 生物育成の技術
(1)
生活や社会を支える生物育成の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けること
ができるよう指導する。
ア 育成する生物の成長,生態の特性等の原理・法則と,育成環境の調節方法等の基礎的な技術の仕
組みについて理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2)
生活や社会における問題を,生物育成の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付け
ることができるよう指導する。
ア 安全・適切な栽培又は飼育,検査等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,育成環境の調節方法を構想して育成計画を立てるとともに,栽
培又は飼育の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3)
これからの社会の発展と生物育成の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付け
ることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考
えること。
C エネルギー変換の技術
(1)
生活や社会を支えるエネルギー変換の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付け
ることができるよう指導する。
ア 電気,運動,熱の特性等の原理・法則と,エネルギーの変換や伝達等に関わる基礎的な技術の仕
組み及び保守点検の必要性について理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2)
生活や社会における問題を,エネルギー変換の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身
に付けることができるよう指導する。
ア 安全・適切な製作,実装,点検及び調整等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,電気回路又は力学的な機構等を構想して設計を具体化するとと
もに,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3)
これからの社会の発展とエネルギー変換の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身
に付けることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考
えること。
D 情報の技術
(1)
生活や社会を支える情報の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることがで
きるよう指導する。
ア 情報の表現,記録,計算,通信の特性等の原理・法則と,情報のデジタル化や処理の自動化,シ
ステム化,情報セキュリティ等に関わる基礎的な技術の仕組み及び情報モラルの必要性について理
解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
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(2)
生活や社会における問題を,ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング
によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 情報通信ネットワークの構成と,情報を利用するための基本的な仕組みを理解し,安全・適切な
プログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,使用するメディアを複合する方法とその効果的な利用方法等を
構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について
考えること。
(3)
生活や社会における問題を,計測・制御のプログラミングによって解決する活動を通して,次の事
項を身に付けることができるよう指導する。
ア 計測・制御システムの仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッ
グ等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,入出力されるデータの流れを元に計測・制御システムを構想し
て情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考える
こと。
(4)
これからの社会の発展と情報の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けるこ
とができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考
えること。
3 内容の取扱い
(1)内容の「A材料と加工の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,我が国の伝統的な技術についても扱い,緻密なものづくりの技などが我が国の
伝統や文化を支えてきたことに気付かせること。
イ (2)
の製作に必要な図については,主として等角図及び第三角法による図法を扱うこと。
(2)内容の「B生物育成の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,作物の栽培,動物の飼育及び水産生物の栽培のいずれも扱うこと。
イ (2)
については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するとともに,薬品を使
用する場合には,使用上の基準及び注意事項を遵守させること。
(3)
内容の
「Cエネルギー変換の技術」
の
(1)
については,電気機器や屋内配線等の生活の中で使用する
製品やシステムの安全な使用についても扱うものとする。
(4)内容の「D情報の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)
については,情報のデジタル化の方法と情報の量,著作権を含めた知的財産権,発信した情
報に対する責任,及び社会におけるサイバーセキュリティが重要であることについても扱うこと。
イ (2)
については,コンテンツに用いる各種メディアの基本的な特徴や,個人情報の保護の必要性
についても扱うこと。
(5)各内容における
(1)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アで取り上げる原理や法則に関しては,関係する教科との連携を図ること。
イ イでは,社会からの要求,安全性,環境負荷や経済性などに着目し,技術が最適化されてきたこ
とに気付かせること。
ウ 第1学年の最初に扱う内容では,3年間の技術分野の学習の見通しを立てさせるために,内容の
「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」までに示す技術について触れること。
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指導要領
581
(6)
各内容における
(2)
及び内容の「D情報の技術」の
(3)
については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イでは,各内容の
(1)
のイで気付かせた見方・考え方により問題を見いだして課題を設定し,自
分なりの解決策を構想させること。
イ 知的財産を創造,保護及び活用しようとする態度,技術に関わる倫理観,並びに他者と協働して
粘り強く物事を前に進める態度を養うことを目指すこと。
ウ 第3学年で取り上げる内容では,これまでの学習を踏まえた統合的な問題について扱うこと。
エ 製作・制作・育成場面で使用する工具・機器や材料等については,図画工作科等の学習経験を踏
まえるとともに,安全や健康に十分に配慮して選択すること。
(7)
内容の
「A材料と加工の技術」
,
「B生物育成の技術」
,
「Cエネルギー変換の技術」
の
(3)
及び内容の
「D情報の技術」
の
(4)
については,技術が生活の向上や産業の継承と発展,資源やエネルギーの有効
利用,自然環境の保全等に貢献していることについても扱うものとする。
〔家庭分野〕
1 目 標
生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,より
よい生活の実現に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)
家族・家庭の機能について理解を深め,家族・家庭,衣食住,消費や環境などについて,生活の自
立に必要な基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2)
家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を
評価・改善し,考察したことを論理的に表現するなど,これからの生活を展望して課題を解決する力
を養う。
(3)
自分と家族,家庭生活と地域との関わりを考え,家族や地域の人々と協働し,よりよい生活の実現
に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。
2 内 容
A 家族・家庭生活
次の
(1)
から
(4)
までの項目について,課題をもって,家族や地域の人々と協力・協働し,よりよい家
庭生活に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)自分の成長と家族・家庭生活
ア 自分の成長と家族や家庭生活との関わりが分かり,家族・家庭の基本的な機能について理解する
とともに,家族や地域の人々と協力・協働して家庭生活を営む必要があることに気付くこと。
(2)幼児の生活と家族
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
幼児の発達と生活の特徴が分かり,子供が育つ環境としての家族の役割について理解すること。
(イ)幼児にとっての遊びの意義や幼児との関わり方について理解すること。
イ 幼児とのよりよい関わり方について考え,工夫すること。
(3)家族・家庭や地域との関わり
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)
家族の互いの立場や役割が分かり,協力することによって家族関係をよりよくできることにつ
いて理解すること。
(イ)
家庭生活は地域との相互の関わりで成り立っていることが分かり,高齢者など地域の人々と協
働する必要があることや介護など高齢者との関わり方について理解すること。
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Subsets and Splits
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