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366 孊習指導芁領等の改善に係る怜蚎に必芁な専門的䜜業等協力者五十音順 職名は平成30 幎月珟圚 〔科孊ず人間生掻〕 岩   矩 博  島根県立島根䞭倮高等孊校教諭 䞊 村 瀌 子  千代田区立九段䞭等教育孊校副校長 川 村 教 䞀  秋田倧孊教授 寺 田 光 宏  岐阜聖埳孊園倧孊教授 林   慶 䞀  甲南倧孊教授 林   広 幞  千葉県立小芋川高等孊校教頭 山 田 裕 二  千葉県教育庁指導䞻事 柚 朚 朋 也  北海道教育倧孊教授 〔物理基瀎・物理〕 荒 川  掋   東京郜教職員研修センタヌ孊習指導専門員 岩 瀬 英二郎  栃朚県総合教育センタヌ副䞻幹 小 倉  康   埌玉倧孊教授 瀧 柀 照 廣  株匏䌚瀟日立補䜜所ヘルスケアビゞネスナニット嘱蚗 筒 井 和 幞  倧阪教育倧孊附属高等孊校池田校舎副校長 新 田 英 雄  東京孊芞倧孊教授 村 䞊  匘   独立行政法人倧孊入詊センタヌ詊隓問題䌁画官 前岩手県立総合教育センタヌ䞻任研修指導䞻事 村 田 埋 子  東京郜立戞山高等孊校䞻任教諭 本 谷  䞀   京郜垂立塔南高等孊校教頭 〔化孊基瀎・化孊〕 赀 石 定 治  囜立研究開発法人科孊技術振興機構理数孊習掚進郚䞻任調査員 飯 田 寛 志  静岡県総合教育センタヌ課長 倧 平 和 之  新期県教育庁指導䞻事 埌 藀 顕 䞀  東掋倧孊教授 鮫 島 朋 矎  東京孊芞倧孊附属囜際䞭等教育孊校教諭 神   孝 幞  青森県立青森南高等孊校教諭 西 原  寛   東京倧孊教授 林   誠 䞀  富山県立砺波高等孊校長 枡 郚 智 博  立教新座䞭孊校・高等孊校教諭 〔生物基瀎・生物〕 倧 鹿 聖 公  愛知教育倧孊教授 倧 野 智 久  東京郜立囜立高等孊校䞻任教諭 金 本 吉 泰  北海道札幌西高等孊校教諭 前北海道立教育研究所附属理科教育センタヌ研究研修䞻事
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367 神 厎 亮 平  東京倧孊先端科孊技術研究センタヌ所長・教授 䜐 竹 矎恵子  犏岡県立東筑高等孊校教諭 田 䞭 秀 二  京郜府立掛北高等孊校教諭 束 浊 克 矎  銖郜倧孊東京名誉教授 䞉 浊 淳 子  広島県立広島囜泰寺高等孊校指導教諭 森 田 保 久  埌玉県立所沢高等孊校教諭 〔地孊基瀎・地孊〕 倧 島  良   東京郜立日野台高等孊校長 岡 本 匥 圊  岡山理科倧孊教授 川 村 教 䞀  秋田倧孊教授 田 口 公 則  神奈川県立生呜の星・地球博物通䞻任孊芞員 田 蟺 浩 明  千葉県立長生高等孊校教諭 土 橋 䞀 仁  東京孊芞倧孊教授 名 和 俊 之  茚城県立茎厎高等孊校教諭 矎 柀 綟 子  静岡県立静岡高等孊校教諭 吉 本 盎 匘  倧阪教育倧孊准教授 なお文郚科孊省においおは次の者が本曞の線集に圓たった。 淵 䞊  孝   初等䞭等教育局教育課皋課長 枅 原 掋 䞀  初等䞭等教育局䞻任芖孊官 春 山 浩 康  倧臣官房教育改革調敎官 高 瀬 智 矎  初等䞭等教育局教育課皋課課長補䜐 遠 山 䞀 郎  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 野 内 頌 䞀  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 藀 枝 秀 暹  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 䞉 次 埳 二  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官
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368 孊習指導芁領等の改善に係る怜蚎に必芁な専門的䜜業等協力者高等孊校孊校専門理数 敬称略・五十音順 ※職名は平成30 幎月珟圚 〔数孊的分野〕 阿 原 䞀 志  明治倧孊教授 岩 田 耕 叞  犏岡教育倧孊准教授 熊 倉 啓 之  静岡倧孊教授 長 厎 栄 䞉  囜立教育政策研究所名誉所員 西 村 圭 䞀  東京孊芞倧孊教授 山 田 誠 叞  独立行政法人倧孊入詊センタヌ詊隓問題䌁画官 前倧分県立倧分䞊野䞘高等孊校教諭 〔理科的分野〕 飯 柀  功   京郜垂立堀川高等孊校䞻幹教諭 倧 路 暹 生  名叀屋倧孊博物通長・教授 倧 山 光 晎  秀明倧孊教授 前千葉県立長生高等孊校長 梶 山 正 明  筑波倧孊附属駒堎䞭・高等孊校副校長 鎌 田 正 裕  東京孊芞倧孊教授 歊   倫 倫  矀銬県立前橋女子高等孊校教諭 西 出 和 圊  仁愛倧孊准教授 山 䞋 雅 文  広島倧孊附属犏山䞭・高等孊校教諭 囜立教育政策研究所においお次の者が本曞の䜜成に携わった。  束 原 憲 治  教育課皋研究センタヌ総括研究官 なお文郚科孊省においおは次の者が本曞の線集に圓たった。 淵 䞊  孝   初等䞭等教育局教育課皋課長 枅 原 掋 䞀  初等䞭等教育局䞻任芖孊官 長 尟 節 志  初等䞭等教育局芖孊官 春 山 浩 康  倧臣官房教育改革調敎官 高 瀬 智 矎  初等䞭等教育局教育課皋課課長補䜐 橋 本 郁 也  初等䞭等教育局教育課皋課専門官 遠 山 䞀 郎  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 野 内 頌 䞀  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 藀 枝 秀 暹  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官 䞉 次 埳 二  初等䞭等教育局教育課皋課教科調査官
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定䟡582 円本䜓529 円 平成31幎月29 日 什和幎月29 日 初版発行 初版第刷発行 著䜜暩所有 文郚科孊省 発 行 所 東京郜千代田区五番町5 実教出版株匏䌚瀟 代衚者 小田 良次 印 刷 者 東京郜枯区芝浊1 䞁目2 番3 号 株匏䌚瀟広枈堂ネクスト 発 行 所 〒102-8377 東京郜千代田区五番町 実教出版株匏䌚瀟 電 話〈 営 業 〉  03  3238-7777 〈 ç·š ä¿® 〉  03  3238-7753 〈 総 務 〉  03  3238-7700 高等孊校孊習指導芁領 平成30 幎告瀺 解説 理科線 理数線 MEXT 1-1818
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地理歎史線 高等孊校孊習指導芁領 平成30 幎告瀺 解説 平成30 幎7 月 什和3 幎8 月 䞀郚改蚂
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た え が き 文郚科孊省では平成30 幎3 月30 日に孊校教育法斜行芏則の䞀郚改正ず高等孊校孊習 指導芁領の改蚂を行った。新高等孊校孊習指導芁領等は平成34 幎床から幎次進行で実斜 するこずずし平成31 幎床から䞀郚を移行措眮ずしお先行しお実斜するこずずしおいる。 今回の改蚂は平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申を螏たえ ① 教育基本法孊校教育法などを螏たえこれたでの我が囜の孊校教育の実践や蓄積 を生かし生埒が未来瀟䌚を切り拓 ひら くための資質・胜力を䞀局確実に育成するこずを 目指す。その際求められる資質・胜力ずは䜕かを瀟䌚ず共有し連携する「瀟䌚に 開かれた教育課皋」を重芖するこず。 ② 知識及び技胜の習埗ず思考力刀断力衚珟力等の育成ずのバランスを重芖する平 成21 幎改蚂の孊習指導芁領の枠組みや教育内容を維持した䞊で知識の理解の質を 曎に高め確かな孊力を育成するこず。 ③ 道埳教育の充実や䜓隓掻動の重芖䜓育・健康に関する指導の充実により豊かな 心や健やかな䜓を育成するこず。 を基本的なねらいずしお行った。 本曞は倧綱的な基準である孊習指導芁領の蚘述の意味や解釈などの詳现に぀いお説明 するために文郚科孊省が䜜成するものであり高等孊校孊習指導芁領第章第節「地 理歎史」に぀いおその改善の趣旚や内容を解説しおいる。 各孊校においおは本曞を埡掻甚いただき孊習指導芁領等に぀いおの理解を深め創 意工倫を生かした特色ある教育課皋を線成・実斜されるようお願いしたい。 むすびに本曞「高等孊校孊習指導芁領解説地理歎史線」の䜜成に埡協力くださった各 䜍に察し心から感謝の意を衚する次第である。   平成30 幎月 文郚科孊省初等䞭等教育局長        髙 橋 道 和  
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第章 総 説 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   1   第節 改蚂の経緯及び基本方針 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   1       改蚂の経緯 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   1       改蚂の基本方針 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   2   第節 地理歎史科改蚂の趣旚及び芁点 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   6       地理歎史科改蚂の趣旚 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ   6       地理歎史科改蚂の芁点 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  10   第節 地理歎史科の目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  29   第節 地理歎史科の科目線成 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  34 第章 地理歎史科の各科目 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  35   第節 地理総合 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  35       科目の性栌ず目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  35       内容ずその取扱い ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  44       指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  70   第節 地理探究 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  76       科目の性栌ず目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  76       内容ずその取扱い ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ  85       指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 117   第節 歎史総合 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 123       科目の性栌ず目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 123       内容ずその取扱い ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 128       指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 186   第節 日本史探究 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 191       科目の性栌ず目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 191       内容ずその取扱い ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 196       指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 264   第節 䞖界史探究 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 271       科目の性栌ず目暙 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 271       内容ずその取扱い ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 277       指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 346 第章 各科目にわたる指導蚈画の䜜成ず内容の取扱い ʜʜʜʜʜ 350       指導蚈画䜜成䞊の配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 350       内容の取扱いに圓たっおの配慮事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 355       教育基本法第14 条及び第15 条に関する事項の取扱い ʜ 359       総則関連事項 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 360
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参考資料    参考資料䞭孊校瀟䌚科・高等孊校地理歎史科においお           育成を目指す資質・胜力 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 362    参考資料瀟䌚的事象等に぀いお調べたずめる技胜 ʜʜʜʜ 364    参考資料各教科等に関係する教材や資料集等に぀いお ʜʜ 366 付 録 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 367    付録孊校教育法斜行芏則抄 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 368    付録高等孊校孊習指導芁領 第章 総則 ʜʜʜʜʜʜʜ 373    付録高等孊校孊習指導芁領 第章 第節 地理歎史 ʜ 391    付録䞭孊校孊習指導芁領 第章 第節 瀟䌚 ʜʜʜʜ 429    付録小・䞭孊校における「道埳の内容」の孊幎段階          ・孊校段階の䞀芧衚 ʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜʜ 450
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1  改蚂の経緯 及び基本方 針 今の子䟛たちやこれから誕生する子䟛たちが成人しお瀟䌚で掻躍する頃には我が囜 は厳しい挑戊の時代を迎えおいるず予想される。生産幎霢人口の枛少グロヌバル化の進 展や絶え間ない技術革新等により瀟䌚構造や雇甚環境は倧きくたた急速に倉化しおお り予枬が困難な時代ずなっおいる。たた急激な少子高霢化が進む䞭で成熟瀟䌚を迎え た我が囜にあっおは䞀人䞀人が持続可胜な瀟䌚の担い手ずしおその倚様性を原動力ず し質的な豊かさを䌎った個人ず瀟䌚の成長に぀ながる新たな䟡倀を生み出しおいくこず が期埅される。 こうした倉化の䞀぀ずしお進化した人工知胜AIが様々な刀断を行ったり身近 な物の働きがむンタヌネット経由で最適化されるIoT が広がったりするなどSociety5.0 ずも呌ばれる新たな時代の到来が瀟䌚や生掻を倧きく倉えおいくずの予枬もなされおい る。たた情報化やグロヌバル化が進展する瀟䌚においおは倚様な事象が耇雑さを増 し倉化の先行きを芋通すこずが䞀局難しくなっおきおいる。そうした予枬困難な時代を 迎える䞭で遞挙暩幎霢が匕き䞋げられ曎に平成342022幎床からは成幎幎霢が18 歳ぞず匕き䞋げられるこずに䌎い高校生にずっお政治や瀟䌚は䞀局身近なものずなるず ずもに自ら考え積極的に囜家や瀟䌚の圢成に参画する環境が敎い぀぀ある。 このような時代にあっお孊校教育には子䟛たちが様々な倉化に積極的に向き合い 他者ず協働しお課題を解決しおいくこずや様々な情報を芋極め知識の抂念的な理解を 実珟し情報を再構成するなどしお新たな䟡倀に぀なげおいくこず耇雑な状況倉化の䞭 で目的を再構築するこずができるようにするこずが求められおいる。 このこずは本来我が囜の孊校教育が倧切にしおきたこずであるものの教垫の䞖代亀 代が進むず同時に孊校内における教垫の䞖代間のバランスが倉化し教育に関わる様々 な経隓や知芋をどのように継承しおいくかが課題ずなり子䟛たちを取り巻く環境の倉化 により孊校が抱える課題も耇雑化・困難化する䞭でこれたでどおり孊校の工倫だけにそ の実珟を委ねるこずは困難になっおきおいる。 こうした状況の䞋で平成26 幎11 月には文郚科孊倧臣から新しい時代にふさわし い孊習指導芁領等の圚り方に぀いお䞭倮教育審議䌚に諮問を行った。䞭倮教育審議䌚にお いおは幎か月にわたる審議の末平成28 幎12 月21 日に「幌皚園小孊校䞭孊 校高等孊校及び特別支揎孊校の孊習指導芁領等の改善及び必芁な方策等に぀いお答 申 」 以䞋「平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申」ずいう。 を瀺した。 平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申においおは “よりよい孊校教育を通じおよりよ い瀟䌚を創る”ずいう目暙を孊校ず瀟䌚が共有し連携・協働しながら新しい時代に求 められる資質・胜力を子䟛たちに育む「瀟䌚に開かれた教育課皋」の実珟を目指し孊習 1 改蚂の経緯 第1 ç«  総 説 第1 節 改蚂の経緯及び基本方針
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2 第章 総 説 指導芁領等が孊校家庭地域の関係者が幅広く共有し掻甚できる「孊びの地図」ずし おの圹割を果たすこずができるよう次の点にわたっおその枠組みを改善するずずも に各孊校においお教育課皋を軞に孊校教育の改善・充実の奜埪環を生み出す「カリキュ ラム・マネゞメント」の実珟を目指すこずなどが求められた。 ①  「䜕ができるようになるか」 育成を目指す資質・胜力 ②  「䜕を孊ぶか」 教科等を孊ぶ意矩ず教科等間・孊校段階間の぀ながりを螏たえた 教育課皋の線成 ③  「どのように孊ぶか」 各教科等の指導蚈画の䜜成ず実斜孊習・指導の改善・充 実 ④  「子䟛䞀人䞀人の発達をどのように支揎するか」 子䟛の発達を螏たえた指導 ⑀  「䜕が身に付いたか」 孊習評䟡の充実 ⑥  「実斜するために䜕が必芁か」 孊習指導芁領等の理念を実珟するために必芁な方 策 これを螏たえ文郚科孊省においおは平成29 幎月31 日に幌皚園教育芁領小孊校 孊習指導芁領及び䞭孊校孊習指導芁領をたた同幎月28 日に特別支揎孊校幌皚郚教 育芁領及び小孊郚・䞭孊郚孊習指導芁領を公瀺した。 高等孊校に぀いおは平成30 幎月30 日に高等孊校孊習指導芁領を公瀺するずずも に孊校教育法斜行芏則の関係芏定に぀いお改正を行ったずころであり今埌平成34 2022幎月日以降に高等孊校の第孊幎に入孊した生埒単䜍制による課皋にあっ おは同日以降入孊した生埒孊校教育法斜行芏則第91 条の芏定により入孊した生埒で 同日前に入孊した生埒に係る教育課皋により履修するものを陀く。  から幎次進行により 段階的に適甚するこずずしおいる。たたそれに先立っお新孊習指導芁領に円滑に移行 するための措眮移行措眮を実斜するこずずしおいる。 今回の改蚂は平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申を螏たえ次の基本方針に基づき 行った。 1  今回の改蚂の基本的な考え方 ① 教育基本法孊校教育法などを螏たえこれたでの我が囜の孊校教育の実践や蓄積 を生かし生埒が未来瀟䌚を切り拓 ひら くための資質・胜力を䞀局確実に育成するこずを 目指す。その際求められる資質・胜力ずは䜕かを瀟䌚ず共有し連携する「瀟䌚に 開かれた教育課皋」を重芖するこず。 ② 知識及び技胜の習埗ず思考力刀断力衚珟力等の育成ずのバランスを重芖する平 成21 幎改蚂の孊習指導芁領の枠組みや教育内容を維持した䞊で知識の理解の質を 曎に高め確かな孊力を育成するこず。 ③ 道埳教育の充実や䜓隓掻動の重芖䜓育・健康に関する指導の充実により豊かな 心や健やかな䜓を育成するこず。 2 改蚂の基本方針
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3  改蚂の経緯 及び基本方 針 2  育成を目指す資質・胜力の明確化 平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申においおは予枬困難な瀟䌚の倉化に䞻䜓的に 関わり感性を豊かに働かせながらどのような未来を創っおいくのかどのように瀟 䌚や人生をよりよいものにしおいくのかずいう目的を自ら考え自らの可胜性を発揮 しよりよい瀟䌚ず幞犏な人生の創り手ずなる力を身に付けられるようにするこずが重 芁であるこずこうした力は党く新しい力ずいうこずではなく孊校教育が長幎その育成 を目指しおきた「生きる力」であるこずを改めお捉え盎し孊校教育がしっかりずその 匷みを発揮できるようにしおいくこずが必芁ずされた。たた汎甚的な胜力の育成を重 芖する䞖界的な朮流を螏たえ぀぀知識及び技胜ず思考力刀断力衚珟力等ずをバラ ンスよく育成しおきた我が囜の孊校教育の蓄積を生かしおいくこずが重芁ずされた。 このため「生きる力」をより具䜓化し教育課皋党䜓を通しお育成を目指す資質・胜 力をア「䜕を理解しおいるか䜕ができるか生きお働く「知識・技胜」の習埗 」  む「理解しおいるこず・できるこずをどう䜿うか未知の状況にも察応できる「思考 力・刀断力・衚珟力等」の育成 」 り「どのように瀟䌚・䞖界ず関わりよりよい人生 を送るか孊びを人生や瀟䌚に生かそうずする「孊びに向かう力・人間性等」の涵 かん 逊 」 の䞉぀の柱に敎理するずずもに各教科等の目暙や内容に぀いおもこの䞉぀の柱に基 づく再敎理を図るよう提蚀がなされた。 今回の改蚂では知・埳・䜓にわたる「生きる力」を生埒に育むために「䜕のために 孊ぶのか」ずいう各教科等を孊ぶ意矩を共有しながら授業の創意工倫や教科曞等の教 材の改善を匕き出しおいくこずができるようにするため党おの教科等の目暙や内容を 「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」  「孊びに向かう力人間性等」の䞉぀ の柱で再敎理した。 3   「䞻䜓的・察話的で深い孊び」の実珟に向けた授業改善の掚進 子䟛たちが孊習内容を人生や瀟䌚の圚り方ず結び付けお深く理解しこれからの時 代に求められる資質・胜力を身に付け生涯にわたっお胜動的に孊び続けるこずができ るようにするためにはこれたでの孊校教育の蓄積も生かしながら孊習の質を䞀局高 める授業改善の取組を掻性化しおいくこずが必芁である。 特に高等孊校教育に぀いおは倧孊入孊者遞抜や資栌の圚り方等の倖郚芁因によっ おその教育の圚り方が芏定されおしたい目指すべき教育改革が進めにくいず指摘さ れおきたずころであるが今回の改蚂は高倧接続改革ずいう高等孊校教育を含む初 等䞭等教育改革ず倧孊教育の改革そしお䞡者を぀なぐ倧孊入孊者遞抜改革ずいう䞀 䜓的な改革や曎にキャリア教育の芖点で孊校ず瀟䌚の接続を目指す䞭で実斜される ものである。改めお高等孊校孊習指導芁領の定めるずころに埓い各高等孊校におい お生埒が卒業たでに身に付けるべきものずされる資質・胜力を育成しおいくためにど のようにしおこれたでの授業の圚り方を改善しおいくべきかを各孊校や教垫が考える 必芁がある。
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4 第章 総 説 たた遞挙暩幎霢及び成幎幎霢が18 歳に匕き䞋げられ生埒にずっお政治や瀟䌚が 䞀局身近なものずなる䞭高等孊校においおは生埒䞀人䞀人に瀟䌚で求められる資 質・胜力を育み生涯にわたっお探究を深める未来の創り手ずしお送り出しおいくこず がこれたで以䞊に重芁ずなっおいる。 「䞻䜓的・察話的で深い孊び」の実珟に向けた 授業改善アクティブ・ラヌニングの芖点に立った授業改善ずは我が囜の優れた教 育実践に芋られる普遍的な芖点を孊習指導芁領に明確な圢で芏定したものである。 今回の改蚂では䞻䜓的・察話的で深い孊びの実珟に向けた授業改善を進める際の指 導䞊の配慮事項を総則に蚘茉するずずもに各教科等の「第欟 各科目にわたる指導 蚈画の䜜成ず内容の取扱い」等においお単元や題材など内容や時間のたずたりを芋通 しおその䞭で育む資質・胜力の育成に向けお䞻䜓的・察話的で深い孊びの実珟に向 けた授業改善を進めるこずを瀺した。 その際以䞋の点に留意しお取り組むこずが重芁である。 ① 授業の方法や技術の改善のみを意図するものではなく生埒に目指す資質・胜力を 育むために「䞻䜓的な孊び」  「察話的な孊び」  「深い孊び」の芖点で授業改善を進 めるものであるこず。 ② 各教科等においお通垞行われおいる孊習掻動蚀語掻動芳察・実隓問題解決的 な孊習などの質を向䞊させるこずを䞻県ずするものであるこず。 ③ 回回の授業で党おの孊びが実珟されるものではなく単元や題材など内容や時 間のたずたりの䞭で孊習を芋通し振り返る堎面をどこに蚭定するかグルヌプなど で察話する堎面をどこに蚭定するか生埒が考える堎面ず教垫が教える堎面ずをどの ように組み立おるかを考え実珟を図っおいくものであるこず。 ④ 深い孊びの鍵ずしお「芋方・考え方」を働かせるこずが重芁になるこず。各教科等 の「芋方・考え方」は 「どのような芖点で物事を捉えどのような考え方で思考し おいくのか」ずいうその教科等ならではの物事を捉える芖点や考え方である。各教科 等を孊ぶ本質的な意矩の䞭栞をなすものであり教科等の孊習ず瀟䌚を぀なぐもので あるこずから生埒が孊習や人生においお「芋方・考え方」を自圚に働かせるこずが できるようにするこずにこそ教垫の専門性が発揮されるこずが求められるこず。 ⑀ 基瀎的・基本的な知識及び技胜の習埗に課題がある堎合にはそれを身に付けさせ るために生埒の孊びを深めたり䞻䜓性を匕き出したりずいった工倫を重ねながら 確実な習埗を図るこずを重芖するこず。 4  各孊校におけるカリキュラム・マネゞメントの掚進 各孊校においおは教科等の目暙や内容を芋通し特に孊習の基盀ずなる資質・胜力 蚀語胜力情報掻甚胜力情報モラルを含む。以䞋同じ。  問題発芋・解決胜力等 や珟代的な諞課題に察応しお求められる資質・胜力の育成のために教科等暪断的な孊習 を充実するこずや䞻䜓的・察話的で深い孊びの実珟に向けた授業改善を単元や題材な ど内容や時間のたずたりを芋通しお行うこずが求められる。これらの取組の実珟のため には孊校党䜓ずしお生埒や孊校地域の実態を適切に把握し教育内容や時間の配
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5  改蚂の経緯 及び基本方 針 分必芁な人的・物的䜓制の確保教育課皋の実斜状況に基づく改善などを通しお教 育掻動の質を向䞊させ孊習の効果の最倧化を図るカリキュラム・マネゞメントに努め るこずが求められる。 このため総則においお 「生埒や孊校地域の実態を適切に把握し教育の目的や 目暙の実珟に必芁な教育の内容等を教科等暪断的な芖点で組み立おおいくこず教育課 皋の実斜状況を評䟡しおその改善を図っおいくこず教育課皋の実斜に必芁な人的又は 物的な䜓制を確保するずずもにその改善を図っおいくこずなどを通しお教育課皋に基 づき組織的か぀蚈画的に各孊校の教育掻動の質の向䞊を図っおいくこず以䞋「カリ キュラム・マネゞメント」ずいう。 に努める」こずに぀いお新たに瀺した。 5  教育内容の䞻な改善事項 このほか蚀語胜力の確実な育成理数教育の充実䌝統や文化に関する教育の充 実道埳教育の充実倖囜語教育の充実職業教育の充実などに぀いお総則や各教 科・科目等各教科・科目総合的な探究の時間及び特別掻動をいう。以䞋同じ。 に おいおその特質に応じお内容やその取扱いの充実を図った。
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6 第章 総 説 今回の地理歎史科の改蚂は平成28 幎12 月の䞭倮教育審議䌚答申を螏たえお行われた ものである。この䞭倮教育審議䌚答申では小・䞭・高等孊校を通じた瀟䌚科地理歎史 科公民科の「内容の芋盎し」に぀いお瀺されおおりそこからは今回の高等孊校地理歎 史科の改蚂の趣旚及び芁点に぀いおも読み取るこずができる。なお以䞋枠内に䞭倮教 育審議䌚答申の蚘述を瀺すずずもにそれを螏たえた今回の地理歎史科の改蚂の方向性を 瀺しおいる。ただし䞭倮教育審議䌚答申のいずれの匕甚においおもそこに瀺された別 添資料に぀いおはここでは掲茉を割愛しおいるので必芁に応じお䞭倮教育審議䌚答申の 別添資料を確認されたい。 1  瀟䌚科地理歎史科公民科の成果ず課題 1   ①珟行孊習指導芁領の成果ず課題 ○ 瀟䌚科地理歎史科公民科においおは瀟䌚的事象に関心を持っお倚面的・倚 角的に考察し公正に刀断する胜力ず態床を逊い瀟䌚的な芋方や考え方を成長させ るこず等に重点を眮いお改善が目指されおきた。䞀方で䞻䜓的に瀟䌚の圢成に参 画しようずする態床や資料から読み取った情報を基にしお瀟䌚的事象の特色や意味 などに぀いお比范したり関連付けたり倚面的・倚角的に考察したりしお衚珟する力の 育成が䞍十分であるこずが指摘されおいる。たた 瀟䌚的な芋方や考え方に぀いおは その党䜓像が䞍明確でありそれを逊うための具䜓策が定着するには至っおいないこ ずや近珟代に関する孊習の定着状況が䜎い傟向にあるこず課題を远究したり解決 したりする掻動を取り入れた授業が十分に行われおいないこず等も指摘されおいる。 ○  これらの課題を螏たえるずずもにこれからの時代に求められる資質・胜力を芖野 に入れれば瀟䌚科地理歎史科公民科では瀟䌚ずの関わりを意識しお課題を远 究したり解決したりする掻動を充実し知識や思考力等を基盀ずしお瀟䌚の圚り方や 人間ずしおの生き方に぀いお遞択・刀断する力自囜の動向ずグロヌバルな動向を暪 断的・盞互的に捉えお珟代的な諞課題を歎史的に考察する力持続可胜な瀟䌚づくり の芳点から 地球芏暡の諞課題や地域課題を解決しようずする態床など囜家及び瀟 䌚の圢成者ずしお必芁な資質・胜力を育んでいくこずが求められる。 ここに瀺されたのは平成2021 幎改蚂の孊習指導芁領における小・䞭・高等孊校を 通した瀟䌚科地理歎史科公民科の成果ず課題である。課題ずしお瀺された 「䞻䜓的 に瀟䌚の圢成に参画しようずする態床や資料から読み取った情報を基にしお瀟䌚的事象 の特色や意味などに぀いお比范したり関連付けたり倚面的・倚角的に考察したりしお衚珟 する力の育成が䞍十分であるこず」に぀いおは同じく課題ずしお瀺された 「課題を远 1 地理歎史科改蚂の趣旚 第2 節 地理歎史科改蚂の趣旚及び芁点
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7  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 究したり解決したりする掻動を取り入れた授業が十分に行われおいない」状況ず䜵せお改 善しおいくこずが必芁である。たたここに瀺された成果ず課題を螏たえた改善の方向性 は埌掲する地理歎史科の改蚂の基本的な考え方ず軌を䞀にするものであり今回改蚂さ れた孊習指導芁領及び本解説においお反映されおいる。 なお同じく課題ずしお瀺されおいる「瀟䌚的な芋方や考え方に぀いおはその党䜓像 が䞍明確でありそれを逊うための具䜓策が定着するには至っおいないこず」に関しお は今回の改蚂においお瀟䌚科のみならず党おの教科等においお各教科等を孊ぶ本質的な 意矩の䞭栞をなすものが「芋方・考え方」であり教科等の孊習ず瀟䌚を぀なぐものであ るずしお敎理がなされおいるこずに留意が必芁である。 「瀟䌚的な芋方や考え方」に぀ いおは今回改めお「瀟䌚的な芋方・考え方」ずしお敎理され答申においお以䞋のよう にたずめられた。 1   ③瀟䌚科地理歎史科公民科における「芋方・考え方」 ○  「瀟䌚的な芋方・考え方」は課題を远究したり解決したりする掻動においお瀟 䌚的事象等の意味や意矩特色や盞互の関連を考察したり瀟䌚に芋られる課題を把 握しお その解決に向けお構想したりする際の芖点や方法であるず考えられる。 そこで 小孊校瀟䌚科においおは 「瀟䌚的事象を 䜍眮や空間的な広がり 時期や時間の経過 事象や人々の盞互関係などに着目しお捉え 比范 ・ 分類したり総合したり地域の人々 や 囜民の生掻ず関連付けたりするこず」を「瀟䌚的事象の芋方・考え方」ずしお敎理 し䞭孊校瀟䌚科高等孊校地理歎史科公民科においおも校皮の段階や分野・科 目の特質を螏たえた「芋方 ・ 考え方」をそれぞれ敎理するこずができる。その䞊で 「瀟 䌚的な芋方・考え方」をそれらの総称ずした。 別添−別添−を参照 ○  こうした「瀟䌚的な芋方・考え方」は瀟䌚科地理歎史科公民科ずしおの本質 的な孊びを促し深い孊びを実珟するための思考力刀断力の育成はもずより生き お働く知識の習埗に䞍可欠であるこず䞻䜓的に孊習に取り組む態床や孊習を通しお 涵逊される自芚や愛情等にも䜜甚するこずなどを螏たえるず資質・胜力党䜓に関わ るものであるず考えられる。 これを螏たえ地理歎史科における「瀟䌚的な芋方・考え方」は各科目の特質に応じ お敎理した。地理領域科目では「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」ずしお 「瀟䌚的 事象を䜍眮や空間的な広がりに着目しお捉え地域の環境条件や地域間の結び付きなど の地域ずいう枠組みの䞭で人間の営みず関連付け」 歎史領域科目では「瀟䌚的事象の 歎史的な芋方・考え方」ずしお 「瀟䌚的事象を時期掚移などに着目しお捉え類䌌や 差異などを明確にしたり事象同士を因果関係などで関連付けたりし」お働かせるものずさ れ小・䞭・高等孊校の孊校皮を超えお瀟䌚科地理歎史科公民科を貫く「瀟䌚的な芋 方・考え方」の構成芁玠ずしお敎理した。 なお 「芋方・考え方」を働かせる際に着目する芖点は地理領域科目における䜍眮や 分垃など歎史領域科目における時期や幎代など倚様にあるこずに留意するこずが必芁
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8 第章 総 説 である。したがっお各科目の孊習における远究の過皋においおもこれらの芖点を必芁 に応じお組み合わせお甚いるようにするこずも倧切である。 2  地理歎史科の改蚂の基本的な考え方 地理歎史科の改蚂に圓たっおは既述のずおり平成21 幎改蚂の孊習指導芁領におけ る成果ず課題を基に今回の改蚂においお育成を目指す資質・胜力が䞉぀の柱ずしお明確 に敎理されたこずを螏たえその基本的な考え方を次の点に集玄するこずができる。    基瀎的・基本的な「知識及び技胜」の確実な習埗 「瀟䌚に開かれた教育課皋」を掲げる今回の改蚂においお瀟䌚ずの぀ながりを意 識した「生きる力」の育成に぀いおは匕き続きその充実が求められおいる。今回 資質・胜力の育成に関わる議論が重ねられる䞭で埓前の孊習指導芁領ではそれぞ れ教えるべき内容に関する蚘述を䞭心に教科等の内容の枠組みごずに身に付けるこ ずが目指される知識などが十分に敎理されるこずなく瀺されおいるずの指摘があっ た。これは裏を返せば今埌の孊習掻動においおは「䜕を理解しおいるか・䜕ができ るか」にずどたるこずなく 「理解しおいるこず・できるこずをどう䜿うか」を意識 した指導が求められおいるこずを意味しおいる。 この点に関しお基瀎的・基本的な「知識及び技胜」を子䟛たちの未来におい お生きお働くものずしお確実な習埗を図るこずが必芁である。すでに平成20 幎の 䞭倮教育審議䌚答申においおは基瀎的・基本的な「知識及び技胜」に関しおは 「系統性に留意しながら䞻ずしお①瀟䌚の倉化や科孊技術の進展等に䌎い瀟䌚 的な自立等の芳点から子䟛たちに指導するこずが必芁な知識・技胜②確実な習埗を 図る䞊で孊校や孊幎間等であえお反埩スパむラルするこずが効果的な知識・技 胜等に限っお内容事項ずしお加えるこずが適圓である旚の提蚀がなされおいる」 ず瀺されおおり匕き続きこのこずに留意するこずが倧切である。 基瀎的・基本的な「知識及び技胜」に぀いおは単に理解しおいるかできるかだ けでなくそれらを生きお働かせおどう䜿うかどのように瀟䌚・䞖界ず関わりよ りよい人生を送るかずいった䞉぀の柱で瀺された資質・胜力の育成党䜓を芋通した 䞊でその確実な習埗が求められる。    「瀟䌚的な芋方・考え方」を働かせた「思考力刀断力衚珟力等」の育成 本節の 1 に掲げた䞭倮教育審議䌚答申の抜粋においお瀺されるずおり 「瀟䌚的 な芋方・考え方」は資質・胜力の育成党䜓に関わるものであるず考えられる。たた 課題を远究したり解決したりする掻動においお瀟䌚的事象の意味や意矩特色や盞 互の関連を考察したり瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお構想した りする際の「芖点や方法考え方 」であるず考えられるこずを螏たえれば 「思考力 刀断力衚珟力等」の育成に圓たっお重芁な圹割を果たすものであるず捉えられる。 地理歎史科の孊習においおは瀟䌚的事象に぀いお考察する䞭で「知識及び技胜」
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9  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 の習埗に぀ながったり瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお構想する 䞭でよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決しようずする態床が育たれ 「孊びに向かう力人間性等」が涵 かん 逊されたりするこずを考えれば 「瀟䌚的な芋方・ 考え方」を働かせた「思考力刀断力衚珟力等」の育成は 「知識及び技胜」の習 埗 「孊びに向かう力人間性等」の涵 かん 逊ずずもに資質・胜力の䞉぀の柱の育成に資 するこずが期埅されるためこのように改蚂の基本的な考え方に挙げおいる。 特に今回の䞭倮教育審議䌚における審議では 「瀟䌚的な芋方・考え方」を孊校 皮や科目等の特質を螏たえお敎理する䞭で地理歎史科における各科目においおそ れぞれの特質に応じた芖点の䟋や芖点を生かした考察や構想遞択・刀断に向か う「問い」の䟋なども敎理されおきた。単元など内容や時間のたずたりを芋通した 「問い」を蚭定し 「瀟䌚的な芋方・考え方」を働かせるこずで瀟䌚的事象の意味や 意矩特色や盞互の関連等を考察したり瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に 向けお構想したりする孊習を䞀局充実させるこずが求められる。    䞻暩者ずしお持続可胜な瀟䌚づくりに向かう瀟䌚参画意識の涵 かん 逊やよりよい瀟䌚 の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決しようずする態床の育成 䞭倮教育審議䌚答申では各教科等の具䜓的な教育内容の改善に぀いおは教育基 本法第条教育の目暙や孊校教育法第21 条矩務教育の目暙などの芏定を螏 たえお提蚀が行われおいる。特に教育基本法及び孊校教育法に芏定されおいる「公共 の粟神に基づき䞻䜓的に瀟䌚の圢成に参画しその発展に寄䞎する態床を逊うこ ず」は地理歎史科孊習の究極の目暙である公民ずしおの資質・胜力の育成ず密接 に関わるものである。 たた同様に「䌝統ず文化を尊重」するこずに぀いおも教育基本法及び孊校教育法 に芏定されおいる。 さらに教育基本法の第15 条宗教教育には宗教に関する䞀般的な教逊は 教育䞊尊重されなければならない旚が瀺されおいる。今回の改蚂においおは教育基 本法等を十分に螏たえ瀟䌚参画や様々な䌝統や文化宗教に関する孊習を重芖する 芳点から各科目の特質に配慮しお匕き続きそうした孊習の充実を図っおいる。 今回の䞭倮教育審議䌚答申においお䞻䜓的に瀟䌚に参画しようずする態床に぀い おの課題が指摘される䞭公職遞挙法の改正に䌎い遞挙暩幎霢が満20 歳以䞊から満 18 歳以䞊に匕き䞋げられたこずなども螏たえ遞挙暩をはじめずする政治に参加す る暩利を行䜿する良識ある䞻暩者ずしお䞻䜓的に政治に参加するこずに぀いおの自 芚を深めるこずなどこれからの瀟䌚を創り出しおいく子䟛たちが瀟䌚や䞖界に向 き合い関わり合い自らの人生を切り拓いおいくこずが匷く求められおいる。地理歎 史科においおは埓前の孊習指導芁領から䞀貫しお重芖されおきた課題の発芋解 決のための「思考力刀断力衚珟力等」ずも盞たっお身近な地域瀟䌚から地球芏 暡に至るたでの課題の解決の手掛かりを埗るこずが期埅されおいる。そのような理念 に立぀持続可胜な開発のための教育ESDや䞻暩者教育などに぀いおは匕き続
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10 第章 総 説 き地理歎史科の孊習においお重芁な䜍眮を占めおおり珟実の瀟䌚的事象を扱うこず のできる地理歎史科ならではの「䞻暩者ずしお持続可胜な瀟䌚づくりに向かう瀟䌚 参画意識の涵 かん 逊やよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決しようずする態床 の育成」が必芁であり子䟛たちに平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の圢成者ずしおの自 芚を涵 かん 逊するこずが求められる。 今回の改蚂では知・埳・䜓にわたる「生きる力」を子䟛たちに育むために「䜕のため に孊ぶのか」ずいう各教科等を孊ぶ意矩を共有しながら授業の創意工倫や教科曞等の教 材の改善を匕き出しおいくこずができるよう党おの教科等の目暙及び内容が 「知識及 び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」  「孊びに向かう力人間性等」の䞉぀の柱で再敎 理された。 1  目暙の改善 䞊蚘の敎理を受け教科の目暙は育成を目指す資質・胜力を䞉぀の柱により明確にし ぀぀孊校教育法第30 条第項の芏定等を螏たえ党䜓に関わる柱曞に瀺された目暙に 加えお 1 ずしお「知識及び技胜」を 2 ずしお「思考力刀断力衚珟力等」を 3 ずしお「孊びに向かう力人間性等」を瀺し目暙ずするこずずされた。たた 1 か ら 3 たでに瀺す資質・胜力の育成を目指すに圓たり生埒がどのような孊びの過皋を経 隓するこずが求められるかさらにはそうした孊びの過皋においお質の高い深い孊び を実珟する芳点から各教科等の特質に応じた物事を捉える芖点や考え方を働かせるこず が求められる。たた教科の目暙ではどのような孊びの過皋を通しおどのような資 質・胜力を育成するこずを目指すのかを䞀䜓的に瀺すこずずされ地理歎史科においお も䞭倮教育審議䌚答申においお次のような目暙の圚り方が瀺された。 1   ②課題を螏たえた瀟䌚科地理歎史科公民科の目暙の圚り方 ○  これを螏たえ瀟䌚科地理歎史科公民科における教育目暙は埓前の目暙の趣 旚を勘案しお「公民ずしおの資質・胜力」を育成するこずを目指しその資質・胜力 の具䜓的な内容を「知識・技胜」  「思考力・刀断力・衚珟力等」  「孊びに向かう力・ 人間性等」の䞉぀の柱で瀺し別添−のずおり敎理する。 その際高等孊校地理歎史科公民科では広い芖野に立ちグロヌバル化する囜 際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民 ずしおの資質・胜力を小・䞭孊校瀟䌚科ではその基瀎をそれぞれ育成するこずが必 芁である。 ○ 資質・胜力の具䜓的な内容ずしおは 「知識・技胜」に぀いおは瀟䌚的事象等に 関する理解などを図るための知識ず瀟䌚的事象等に぀いお調べたずめる技胜ずしお 「思考力・刀断力・衚珟力等」に぀いおは瀟䌚的事象等の意味や意矩特色や盞互 2 地理歎史科改蚂の芁点
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11  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 の関連を考察する力瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお構想する力 や 考察したこずや構想したこずを説明する力 それらを基に議論する力ずしお たた 「孊びに向かう力 ・ 人間性等」に぀いおは䞻䜓的に孊習に取り組む態床ず倚面的 ・ 倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊される自芚や愛情などずしおそれぞれ校皮の 段階や分野・科目ごずの内容に応じお敎理するこずができる。 別添−別添− を参照 地理歎史科における目暙に぀いおは小䞭孊校瀟䌚科ずの接続はもちろん高等孊校 公民科ずの関連も螏たえ孊校皮の違いによる発達段階や分野の特質に応じお柱曞ず䞉 ぀の資質・胜力からなる目暙を蚭定した。その際埓前からの孊習指導芁領における目暙 の趣旚を匕き継ぎ぀぀瀟䌚の倉化に䌎い地理歎史科孊習に求められる状況などを螏た え改善を図るこずずした。 具䜓的には小・䞭・高等孊校の䞀貫性の芳点から瀟䌚科地理歎史科公民科が目 指す究極のねらいに圓たる文蚀に぀いおは小孊校䞭孊校瀟䌚科では 「グロヌバル化 する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の圢成者に必芁な公民ずしお の資質・胜力の基瀎」ずし高等孊校地理歎史科及び公民科ではそれを「圢成者」に぀ いおは「有為な」を冠するずずもに「公民ずしおの資質・胜力の基瀎」に぀いおは「公民 ずしおの資質・胜力」ずする共通の文蚀ずし 「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟 力等」  「孊びに向かう力人間性等」に関わる 1 から 3 たでの目暙においおは各教 科各領域各科目の特質を衚す芏定ずなるよう敎理した。 2  内容構成の改善 各科目の内容に぀いおはその項目ごずに生埒が身に付けるこずが期埅される資質・胜 力を䞉぀の柱に沿っお瀺すこずずし぀぀も 「孊びに向かう力人間性等」に぀いおは 教科及び科目目暙においお党䜓ずしおたずめお瀺し項目ごずには内容を瀺さないこずを 基本ずし蚘述するこずずした。たたこの他にも以䞋の䞭倮教育審議䌚答申で瀺された 「教育課皋の瀺し方の改善」を螏たえ蚘茉の䜓裁を敎えるこずずした。 2   ①教育課皋の瀺し方の改善 ⅰ資質・胜力を育成する孊びの過皋に぀いおの考え方 ○  䞉぀の柱に沿った資質・胜力を育成するためには課題を远究したり解決したりす る掻動の充実が求められる。瀟䌚科においおは埓前小孊校で問題解決的な孊習の充 実䞭孊校で適切な課題を蚭けお行う孊習の充実が求められおおりそれらの趣旚を 螏襲する。 ○  そうした孊習掻動を充実させるための孊習過皋の䟋ずしおは倧きくは課題把握 課題远究課題解決の䞉぀が考えられる。たた それらを構成する掻動の䟋ずしおは 動機付けや方向付け情報収集や考察・構想たずめや振り返りなどの掻動が考えら れる。 別添−を参照
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12 第章 総 説 ⅱ指導内容の瀺し方の改善 ○ 瀟䌚科地理歎史科公民科の内容に぀いおは䞉぀の柱に沿った資質・胜力や 孊習過皋の圚り方を螏たえおそれらの趣旚を実珟するため次の二点から教育内容 を敎理しお瀺すこずが求められる。 ○  芖点の第䞀は瀟䌚科における内容の枠組みや察象に関わる敎理である。小孊校瀟 䌚科では䞭孊校瀟䌚科の分野別の構成ずは異なり瀟䌚的事象を総合的に捉える内 容ずしお構成されおいる。そのため教員は指導しおいる内容が瀟䌚科党䜓においお どのような䜍眮付けにあるか䞭孊校瀟䌚科ずどのように぀ながるかずいったこずを 意識しづらいずいう点が課題ずしお指摘されおいる。そのこずを螏たえ小・䞭孊校 瀟䌚科の内容を㋐地理的環境ず人々の生掻㋑歎史ず人々の生掻㋒珟代瀟䌚の 仕組みや働きず人々の生掻ずいう䞉぀の枠組みに䜍眮付ける。たた㋐㋑は空間的 な広がりを念頭に地域日本䞖界ず㋒は瀟䌚的事象に぀いお経枈・産業政治及 び囜際関係ず察象を区分する。 ○  芖点の第二は 「瀟䌚的な芋方・考え方」に基づいた瀺し方の改善である。 「瀟䌚的 な芋方・考え方」は瀟䌚的事象等を芋たり考えたりする際の芖点や方法であり時間 空間盞互関係などの芖点に着目しお事実等に関する知識を習埗しそれらを比范 関連付けなどしお考察・構想し特色や意味理論などの抂念等に関する知識を身に 付けるために必芁ずなるものである。これらのこずを螏たえお孊習指導芁領の内容 に぀いお 䟋えば「瀟䌚的な芋方・考え方」ず抂念等に関する知識ずの関係などを瀺 しおいくこずが重芁である。 このこずに関わり地理歎史科においおは倧項目を の順で瀺しそれを 構成する䞭項目を 1  2  3  の順で瀺しさらに必芁に応じおそれを现分した小項 目を蚭定した。たた今回科目間で共通しお各䞭項目においおアむを眮きそれぞれ 原則的に「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」の順にそれぞれの事項におけ るねらいを蚘茉した。 3  内容の改善・充実 内容の改善・充実に関わっおは地理歎史科の科目構成を芋盎すこずずしその具䜓 像が䞭倮教育審議䌚答申に瀺された。 2   ②ⅰ科目構成の芋盎し 地理歎史科の科目構成 ○  地理歎史科の科目構成を芋盎し共通必履修科目ずしおの「歎史総合」ず「地理総 合」を蚭眮し遞択履修科目ずしお「日本史探究」  「䞖界史探究」及び「地理探究」 を蚭眮する。 別添−を参照 ○  共通必履修科目である「歎史総合」に぀いおは 1②で瀺した資質・胜力を螏た え぀぀
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13  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 ・ 䞖界ずその䞭における日本を広く盞互的な芖野から捉えお近珟代の歎史を理解 する科目 ・ 歎史の掚移や倉化を螏たえ課題の解決を芖野に入れお珟代的な諞課題の圢 成に関わる近珟代の歎史を考察する科目 ・  歎史の倧きな転換に着目し単元の基軞ずなる問いを蚭け資料を掻甚しながら 歎史の孊び方 「類䌌・差異」  「因果関係」に着目する等を習埗する科目 ずするこずが適圓である。 別添−別添−を参照 ○  そのため次のような四぀の倧項目で構成するこずが適圓である。具䜓的には科 目の導入ずしお䞭孊校瀟䌚科の孊習を振り返りながら䟋えば珟代的な諞課題の 圢成に関わる近珟代の歎史を題材に歎史を孊ぶ意矩や歎史の孊び方を考察させこ れに続く䞉぀の倧項目は近珟代の歎史の倧きな転換 「近代化」  「倧衆化」  「グロ ヌバル化」 に着目させるずいう構成ずするこずが適圓である。 ○  その際 「近代化」では近代化の前の各地域の状況䟋えばアゞアを舞台ずす る日本ず䞖界の商業や亀易などに぀いお觊れ導入ずし産業瀟䌚ず囜民囜家の圢 成を背景ずしお人々の生掻や瀟䌚の圚り方が倉化したこずを扱い 「倧衆化」では 倧衆の瀟䌚参加の拡倧を背景ずしお人々の生掻や瀟䌚囜際関係の圚り方が倉化した こずを扱い 「グロヌバル化」ではグロヌバル化する囜際瀟䌚を背景ずしお人々の 生掻や瀟䌚囜際関係の圚り方が倉化したこずを扱い䞖界ずその䞭における日本を 広く盞互的な芖野から捉えお珟代的な諞課題の圢成に関わる近珟代の歎史を考察さ せるずいう構成ずするこずが適圓である。 ○  たた 「自由ず制限」  「富裕ず貧困」  「察立ず協調」  「統合ず分化」  「開発ず保党」 などの珟代的な諞課題に぀ながる歎史的な状況を取り䞊げ近珟代の歎史の孊習内容 の焊点化を図る。 ○  なお 「近代化」  「倧衆化」  「グロヌバル化」ずいった近珟代の歎史の倧きな転換 に着目する際には欧米等特定の地域の動きやそれらの動きが歎史に䞎える圱響のみ に着目するこずがないよう留意する必芁がある。 ○  たたこれを発展的に孊習する遞択履修科目ずしお「日本史探究」  「䞖界史探究」 を䜍眮付ける。 別添−別添−を参照 ○  同じく共通必履修科目である「地理総合」に぀いおも 1②で瀺した資質・胜 力を螏たえ぀぀ ・ 持続可胜な瀟䌚づくりを目指し環境条件ず人間の営みずの関わりに着目しお珟 代の地理的な諞課題を考察する科目 ・ グロヌバルな芖座から囜際理解や囜際協力の圚り方を地域的な芖座から防灜な どの諞課題ぞの察応を考察する科目 ・ 地図や地理情報システムなどを甚いるこずで汎甚的で実践的な地理 的技胜を習埗する科目 ずするこずが適圓である。 別添−を参照 そのため次のような䞉぀の倧項目で構成するこずが適圓である。具䜓的には第
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14 第章 総 説 䞀には地理を孊ぶ意矩を確認するずずもに珟代䞖界の地理的認識を深め地図や などに関わる汎甚的な地理的技胜を身に付けさせるこず 第二には 自然ず瀟䌚 ・ 経枈システムの調和を図った䞖界の倚様性のある生掻・文化に぀いお理解させるず ずもに地球芏暡の諞課題ずその解決に向けた囜際協力の圚り方に぀いお考察させる こず第䞉には日本囜内や地域の自然環境ず自然灜害ずの関わりやそこでの防灜 察策に぀いお考察させるずずもに生掻圏の課題を芳察や調査・芋孊等を取り入れ た授業を通じお捉え持続可胜な瀟䌚づくりのための改善解決策を探究させるこず ずいう構成ずするこずが適圓である。 たた これを発展的に孊習する遞択履修科目ずしお「地理探究」を䜍眮付ける。 別 添−を参照 さらに内容の改善・充実に関わっおは次のずおり孊校皮を超えお求められる事項 の具䜓像が䞭倮教育審議䌚答申に瀺された。 2   ②ⅱ教育内容の芋盎し ○ 瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお構想する力を逊うためには珟 行孊習指導芁領においお充実された䌝統・文化等に関する様々な理解を匕き続き深め ぀぀将来に぀ながる珟代的な諞課題を螏たえた教育内容の芋盎しを図るこずが必芁 である。具䜓的には日本ず䞖界の生掻・文化の倚様性の理解や地球芏暡の諞課題 や地域的な諞課題の解決に぀いお䟋えば我が囜の固有の領土に぀いお地理的な偎 面や囜際的な関係に着目しお考えるなど時間的・空間的など倚様な芖点から考察す る力を身に付けるなどのグロヌバル化ぞの察応持続可胜な瀟䌚の圢成情報化等に よる産業構造の倉化やその䞭での起業防灜・安党ぞの察応や呚囲が海に囲たれ倚 くの島々からなる海掋囜家である我が囜の囜土の様子䞻暩者教育においお重芁な圹 割を担う教科ずしお遞挙暩幎霢の歳ぞの匕き䞋げに䌎い財政や皎瀟䌚保障雇 甚劎働や金融ずいった課題ぞの察応にも留意した政治参加少子高霢化等による地 域瀟䌚の倉化などを螏たえた教育内容の芋盎しを図るこずが必芁である。 別添− を参照 このうち地理歎史科ずしおは共通必履修科目である「地理総合」  「歎史総合」ず 遞択科目である「地理探究」  「日本史探究」及び「䞖界史探究」間の関連付けや小・ 䞭孊校瀟䌚科や公民科ずの関連付けを図りながら適宜その内容を各科目に振り分け その具䜓化を図るこずずした。 4  孊習指導の改善・充実等 2   ③孊習・指導の改善充実や教育環境の充実等 ⅰ 「䞻䜓的・察話的で深い孊び」の実珟
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15  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点  「䞻䜓的な孊び」の芖点 ・ 䞻䜓的な孊びに぀いおは児童生埒が孊習課題を把握しその解決ぞの芋通しを持 ぀こずが必芁である。そのためには単元等を通した孊習過皋の䞭で動機付けや方 向付けを重芖するずずもに孊習内容・掻動に応じた振り返りの堎面を蚭定し児 童生埒の衚珟を促すようにするこずなどが重芁である。  「察話的な孊び」の芖点 ・ 察話的な孊びに぀いおは䟋えば実瀟䌚で働く人々が連携・協働しお瀟䌚に芋 られる課題を解決しおいる姿を調べたり実瀟䌚の人々の話を聞いたりする掻動の 䞀局の充実が期埅される。しかしながら話合いの指導が十分に行われずグルヌプ による掻動が優先し内容が深たらないずいった課題が指摘されるずころであり深 い孊びずの関わりに留意しその改善を図るこずが求められる。 ・ たた䞻䜓的・察話的な孊びの過皋でを掻甚するこずも効果的である。  「深い孊び」の芖点 ・ これらのこずを螏たえるずずもに深い孊びの実珟のためには 「瀟䌚的な芋方・ 考え方」を甚いた考察構想や説明議論等の孊習掻動が組み蟌たれた課題を 远究したり解決したりする掻動が䞍可欠である。具䜓的には教科・科目及び分野 の特質に根ざした远究の芖点ずそれを生かした課題問いの蚭定諞資料等を 基にした倚面的・倚角的な考察瀟䌚に芋られる課題の解決に向けた広い芖野から の構想遞択・刀断 論理的な説明合意圢成や瀟䌚参画を芖野に入れながらの 議論などを通し䞻ずしお甚語・語句などを含めた個別の事実等に関する知識のみ ならず䞻ずしお瀟䌚的事象等の特色や意味理論などを含めた瀟䌚の䞭で汎甚的 に䜿うこずのできる抂念等に関わる知識を獲埗するように孊習を蚭蚈するこずが求 められる。このような芳点から䟋えば特に小・䞭孊校における䞻暩者教育の充実 のためモデル事業による指導法の改善や単元開発の実斜新しい教材の開発・掻 甚など教育効果の高い指導䞊の工倫の普及などを図るこずも重芁である。 ⅱ教材や教育環境の充実 ○  教育の改善・充実のためには教材の圚り方を次のように芋盎すこずが求められる。 ・ 小孊校瀟䌚科においおはこれたで第孊幎から配垃されおいた「教科甚図曞  地図」を第孊幎から配垃するようにしグロヌバル化などぞの察応を図っおいく こず ・ 授業においお新聞や公的機関が発行する資料等を䞀局掻甚するこず ・ 高等孊校地理歎史科の歎史系科目では教材で扱われる甚語が膚倧になっおいる こずが指摘されおいるこずから歎史甚語に぀いお研究者ず教員ずの察話を通じ 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」等も螏たえ地理歎史科の科目のねらいを 実珟するために必芁な抂念等に関する知識を明確化するなどしお敎理するこず ・ 地理系科目においおは地理情報システムの指導に関わり教育珟堎 における掻甚を普及するための環境敎備や広報等ずずもに掻甚可胜なデヌ
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16 第章 総 説 タ情報の䞀元的敎理・掻甚が求められるこず ○  教育環境の充実のために次のような条件敎備が求められる。 ・ 教科の内容に関係する専門家や関係諞機関等ず円滑な連携・協働を図り瀟䌚ず の関わりを意識しお課題を远究したり解決したりする掻動を充実させるこず ・ 博物通や資料通図曞通などの公共斜蚭に぀いおも匕き続き積極的に掻甚するこ ず ・ 教員を察象にした研修の充実を進めるこず ・ 地理歎史科及び公民科科目ず倧孊入孊者遞抜ずの関係に぀いお高倧接続シス テム改革䌚議の最終報告の趣旚を螏たえた出題の怜蚎が望たれるこず 「䞻䜓的・察話的で深い孊び」に぀いおは方匏化された授業の方法や技術ではなく 授業改善の考え方ずしお捉えるべきこずが議論されおきた。これたで蚀語掻動の充実など の圢で教科を超えお図られおきた孊習掻動の改善が匕き続き「瀟䌚的な芋方・考え方」 を働かせる䞭で地理歎史科ならではの「問い」ずしお蚭定され瀟䌚的事象に関わる課 題を远究したり解決したりする掻動が取り入れられるこずによっお実珟するこずが求めら れる。このこずに関しおは 「教材や教育環境の充実」ずしお瀺された 「新聞や公的機関 が発行する資料等」や「博物通や資料通図曞通などの公共斜蚭」の掻甚の掚進ずずも に 「第 指導蚈画の䜜成ず内容の取扱い」の項においお具䜓的に瀺すこずずしおおり 各科目に共通する留意事項ずしお䜍眮付けるこずずした。 これら 2 の①から③たでに瀺されたこずを螏たえ各科目の改善・充実の芁点を敎理 するずそれぞれ次のずおりたずめられる。 〔地理総合〕 「地理総合」における改善・充実の芁点は䞻に次の点である。 ア  「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実 今回の改蚂では地理を孊ぶ本質的な意矩ずしお地理ならではの「芋方・考え方」 を 本皿第章第節の「目暙」で詳述するように  「瀟䌚的事象を䜍眮や空 間的な広がりに着目しお捉え地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域ずいう枠 組みの䞭で人間の営みず関連付けるこず」ずしお敎理した。これは䞭孊校瀟䌚科地 理的分野ずずもにこれたでの孊習指導芁領䞋で重芖しおきた「地理的な芋方や考え 方」の趣旚を受け継ぐものでそれをこの「地理総合」でも働かせ鍛えるこずが求め られる。よっお 「地理総合」の孊習においおは以䞋のりからカたでの芁点で瀺され るいずれの孊習堎面においおもその趣旚を受けお 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考 え方」を働かせ鍛えるこずが求められる。 ただし 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」を構成する芖点には 「䜍眮や分垃 堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域」などがあり 「地理総合」の各䞭項目の孊習内容を螏たえお適宜適切にそれらの芖点に着目するこ ずが倧切である。具䜓的には 倧項目の 1 では䜍眮や分垃 倧項目の 1 では堎所
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17  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係同じく 2 では空間的盞互䟝存䜜甚地域倧項目 の 1 では人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係地域同じく 2 では空間的盞互䟝存䜜 甚地域ずいった䟋瀺がそれに圓たる。もちろんそれ以倖の芖点に着目した孊習掻動の 蚭定も考えられるがいずれの䞭項目においおも意図的蚈画的にそのような芖点を䜍 眮付けるこずが求められる。 「地理総合」の孊習においおはこのように各䞭項目の孊習内容に応じお倚様な芖点 に着目しお課題を远究したり解決したりする孊習を展開するこずが倧切である。た た 「芋方・考え方」を甚いるこずによっお生埒が獲埗する知識の抂念化を促し理解 を䞀局深めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする態床などにも䜜甚したりするこずが 期埅されるこずからも 「地理総合」の孊習の党䜓を通じお地理ならではの「芋方・考 え方」を働かせ鍛える孊習掻動の充実が求められる。 む  「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開 䞊述の「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」を生埒が働かせ鍛えるためにはそ れを促す孊習堎面の蚭定が必芁でありそのためには生埒自身が瀟䌚的事象を倚面的・ 倚角的に考察し衚珟する䞭で 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」を働かせるこ ずができるような適切な「䞻題」や 「問い」が前提ずなる。すなわち瀟䌚の情報 化グロヌバル化に䌎い日々膚倧な数の事象が生たれおは消えおいく䞭でそれらの 名称や仕組みを単に芚えるのではなく遞び出した真に必芁な事象を基に䜍眮や空間 的な広がりに着目しおその事象がそこにある意味や意矩を芋いだし远究するような 孊習掻動を重ねるこずは 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」を働かせ鍛えるこ ずに他ならない。 そのため各䞭項目にはいずれも思考力等を身に付ける事項においお「䞻題を蚭定 し」の蚘述を盛り蟌みさらに解説䞭にはその具䜓的な事䟋を瀺しおいる。特に孊習 のたずめずなる倧項目においおはそれを構成するいずれの䞭項目に぀いおもより 詳现な孊習展開䟋を瀺しおおりそれたでの孊習の成果を掻甚しお具䜓的な䞻題や問 いを基に 「持続可胜な地域づくりず私たち」の圚り方を「問う」孊習掻動の䟋ずしお 瀺しおいる。 これらはあくたで参考事䟋ではあるが各校においおは生埒や孊校などの実態を螏た えお適切な「䞻題」ずそれに基づく「問い」を立おそれらを䞭心に構成した孊習掻動 の実斜が求められる。 り 地図や地理情報システムを掻甚しお育む汎甚的で実践的な地理的技胜 「地理総合」の孊習の冒頭に圓たり以降の孊習の基盀ずなるよう 「珟代䞖界の地 域構成」を抂芳するずずもに 「地図や地理情報システムなどを甚いおその情報を収 集し読み取りたずめる基瀎的・基本的な技胜を身に付ける」孊習掻動を䜍眮付け た。したがっおこの䞭項目の孊習で汎甚的で実践的な地理的技胜の育成が完結する わけではなくあえお「読図」あるいは「基瀎的・基本的な技胜」ず瀺したようにあ
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18 第章 総 説 くたでその導入端緒ずしお䜍眮付けられる。 ここで瀺した汎甚的で実践的な地理的技胜は 「地理総合」の孊習の党䜓を通しお それぞれの孊習内容に沿っお読図や䜜図などの䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習掻動 を行うこずによっお育成ずそれぞの習熟が期埅される。たた汎甚的で実践的ずした のはここで求められる地理的技胜が単に「地理総合」だけでなく 「地理探究」や 地理歎史科の他科目公民科などの他科目さらには瀟䌚的な自立等の芳点からも必芁 ずなるような技胜であるこずを瀺しおおり 「生きお働く」地理的技胜を育成するよう 意図したこずによるものである。 ゚ グロヌバルな芖座から求められる自他の文化の尊重ず囜際協力 今回の改蚂では䞭倮教育審議䌚答申の䞭で 「持続可胜な瀟䌚づくりの芳点から地 球芏暡の諞課題や地域課題を解決しようずする態床など囜家及び瀟䌚の圢成者ずしお 必芁な資質・胜力を育んでいくこずが求められ」おいる。たた孊校教育法の矩務教育 の目暙の䞭に瀺された 「䌝統ず文化を尊重しそれらをはぐくんできた我が囜ず郷土 を愛する態床を逊うずずもに進んで倖囜の文化の理解を通じお他囜を尊重し囜際 瀟䌚の平和ず発展に寄䞎する態床を逊うこず」に぀いおはその重芁性がたすたす高 たっおきおいる。 そこで囜際教育の芖座に立ち単に異文化の理解にずどたらない双方向からの囜 際理解を促すための「自他の文化の尊重」をねらいに掲げ網矅的な地域情報を取り䞊 げるのではなくあくたで䞖界の人々の特色ある生掻文化に焊点を圓おお生掻文化の 倚様性や倉容の芁因を考察するずいった孊習掻動の䜍眮付けを意図しおいる。その䞊 でグロヌバル化が匕き続き進展し環境問題等の地球的課題が䞀局深刻化する珟状に おいお䞭孊校たでに孊習した䞖界の諞地域の倚様性に関わる基瀎的・基本的な知識 䞖界党䜓の地理的認識を基に地球的課題の珟状や芁因に぀いお地域性を螏たえお考察 するずずもにその解決の方向性に぀いお盞互互恵の立堎から我が囜の囜際協力の圚り 方を考察するような孊習掻動を䜍眮付けるこずを意図したものである。 オ 我が囜をはじめずする䞖界や生埒の生掻圏における自然灜害ず防灜 平成20 幎改蚂以降未曜有の灜害である東日本倧震灜を経おなお党囜各地で生起 する地震被害さらに台颚や集䞭豪雚などによる氎害や土砂灜害など頻発する自然灜 害に察応した人々の暮らしの圚り方を考えるこずは我が囜で生掻する党おの人々に ずっお欠くこずのできない「生きる力」である。 そこで倧項目の 1 「自然環境ず防灜」においおは埓前の「地理」においお取 り扱う「我が囜の自然環境の特色ず自然灜害ずのかかわり」だけでなく 「䞖界で芋ら れる自然灜害や生埒の生掻圏で芋られる自然灜害」に぀いおも取り扱うこずを明瀺し その充実を図るこずずした。䞖界や日本で芋られる自然灜害の孊習では灜害を匕き起 こす自然珟象ハザヌドず瀟䌚的な脆匱性ずの関係が灜害の芏暡に反映されるこず やその䞡者の関係を螏たえお地域の防灜の圚り方を考察するこずの重芁性を理解する
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19  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 こずが期埅される。たたそこでの人々の防灜のための取組を教蚓に孊習のたずめず しお「生埒の生掻圏で芋られる自然灜害」を取り䞊げ生埒自身の生掻圏における自然 灜害に察する察凊の圚り方を自助共助さらには公助ずいった偎面から孊習を深め るこずが可胜ずなるよう意図したものである。 カ 持続可胜な地域づくりのための地域調査ず地域展望 すでに䞊掲の゚においお䞭倮教育審議䌚答申の蚘述を匕いお瀺したずおり 「持続 可胜な瀟䌚づくり」の芳点は 「囜際理解や囜際協力」  「自然灜害や防灜」の孊習にお いおもその䞭栞をなすものでありこの「地理総合」の䞭心的課題でもある。このこず に関わっおは囜際地理孊連合・地理教育委員䌚が行った持続可胜な開発のための教育 ESDずしおの地理教育掚進に関わる「持続可胜な開発のための地理教育に関するル ツェルン宣蚀2007 」によっお裏付けられるように地理教育の䞭心的課題でもある。 「地理総合」の孊習の集倧成ずしお䜍眮付けられる䞭項目「生掻圏の調査ず地域の展 望」では生埒自身にずっお最も身近な地理的空間である生掻圏を察象ずし実際に芳 察や野倖調査文献調査などを行うこずによっおそこに存圚する地理的な課題を芋い だしその解決策改善策を考察構想するこずを期埅しおいる。さらに孊習成果を地 域に還元するなど瀟䌚参画を目指すこずを芖野に入れた䞀連の䞻䜓的な孊習掻動によっ おここでの孊習が授業の䞭で終結するこずなく授業埌の日垞生掻においおも持続的 に行われ実瀟䌚に出おも継続的に持続可胜な生掻圏の圚り方を考え続けるこずができ る契機ずなるよう意図したものである。 〔地理探究〕 「地理探究」における改善・充実の芁点は䞻に次の点である。 ア  「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実 「地理総合」においお働かせ鍛えおきた「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」 をさらに「地理探究」においおも働かせ鍛えおいくこずが求められる。ここでも 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」を構成する芖点を 「地理探究」の各䞭項目の孊 習内容を螏たえお適宜適切にそれらの芖点に着目しお孊習掻動を進めるこずが倧切で ある。具䜓的には倧項目の 1 では堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係同じ く 2 から 5 たでは共通しお堎所空間的盞互䟝存䜜甚倧項目の 1 では䜍眮や分 垃地域同じく 2 では空間的盞互䟝存䜜甚地域倧項目の 1 では空間的盞互䟝 存䜜甚地域ずいった䟋瀺がそれに圓たる。もちろんそれ以倖の芖点に着目した孊習 掻動の蚭定が考えられるこずやいずれの䞭項目においおも意図的蚈画的にそのよう な芖点の䜍眮付けが求められるこずは「地理総合」ず同様であるこずが求められる。 「地理探究」の孊習においおはこのように各䞭項目の孊習内容に応じお倚様な芖点 に着目しお課題を远究したり解決したりする孊習を展開するこずが倧切である。た た 「芋方・考え方」を甚いるこずによっお生埒が獲埗する知識の抂念化を促し理解 を䞀局深めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする態床などにも䜜甚したりするこずが
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20 第章 総 説 期埅されるこずからも 「地理探究」の孊習の党䜓を通じお地理ならではの「芋方・ 考え方」を働かせ鍛える孊習掻動の充実が求められる。 む  「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開 「地理総合」ず同様に「地理探究」においおも 「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え 方」を働かせ鍛えるためには 「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開が必 芁である。たた同様にしお各䞭項目に 「䞻題」ず「問い」を参考事䟋ずしお䟋瀺 し倧項目には孊習展開䟋を瀺しおいる。 「地理探究」では定たった答えのない課題を察象に詊行錯誀を重ねながら探究する 掻動を通しお日本の将来を担う生埒自身が我が囜が抱える地理的な課題の解決の方 向性を批刀的思考力を働かせお議論するなどの掻動によっお圚るべき囜土像を芋い だそうずするこずを求めおいる。そのため生埒が地理的な知識を確実なものにするず ずもに地球芏暡から地域芏暡たでの様々な芏暡の空間認識を深めるためにも適宜適 切に䞻題や問いを蚭定しお新たな囜土像の圚り方を探究し創造する力を育むこずが 期埅される。この䞀連の孊習掻動によっお地理的環境が倧きく倉化し぀぀ある珟代䞖 界の䞭で圚るべき囜づくりや地域づくりを考察しその実珟を阻害する課題を発芋す る力や課題を解決する力を確実に身に付けられるよう適切な孊習堎面ず時間の確保が求 められる。 り 倧項目の前提ずしおの系統地理的考察ず地誌的考察 系統地理的考察では自然地理的な事象自然環境などず人文地理的な事象資 源産業亀通・通信芳光人口郜垂・村萜生掻文化民族・宗教などに぀い おそれぞれの事象の分垃やたずたりに芋られる空間的な芏則性傟向性ずその芁因な どに着目しお考察するこずが求められる。たた地誌的考察ではそれらの個別の事象 が重局的に組み合わさった珟代䞖界を構成する諞地域の地域性ず諞課題を遞択した 地域の孊習を通しお考察するこずずなる。これらの考察は地理の孊習や研究に圓たっ おいずれも無くおはならぬ存圚ずしお車の䞡茪のような圹割を担っおいるがこの 「地理探究」においおはそこにずどたらない䜍眮付けが求められる。 すなわち䞡者は 「持続可胜な囜土像の探究」を図る䞊での前提であり倧項目で 取り䞊げる諞事象の孊習や倧項目で取り䞊げる諞地域の孊習を通しお考察理解した こずが倧項目の孊習で掻甚される必芁がある。たた科目のたずめずしお行われる 「探究」のために適切に時間配圓がなされるためにもそこで取り扱う䞻題を芋据えお 系統地理的考察で取り䞊げる事象地誌的考察で取り䞊げる地域を重点化するなどず いった工倫を図るこずも必芁である。䞉぀の倧項目はそのような関連をもたせお䜍眮付 けられおおり䞉者を円滑に結び付けた調和の取れた孊習が展開するよう意図したも のである。 ゚  「珟代䞖界の系統地理的考察」における「亀通・通信芳光」の項目化
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21  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 瀟䌚の情報化グロヌバル化によっお囜内の地域間囜家間の結び付きが緊密化 し人や物情報などの動きが掻発化する䞭でそれらを地理情報ずしお捉える必芁性 が増倧しおきた。すでに平成29 幎改蚂の䞭孊校瀟䌚科地理的分野においおは 「日本の 地域的特色」を系統的に捉えるため 「自然環境」  「人口」  「資源・゚ネルギヌず産業」 ずずもに 「地域間の結び付き」を改称した「亀通・通信」を項目化しおいる。そこで 「地理探究」においおも 「珟代䞖界の系統地理的考察」の「自然環境」  「資源産業」  「人口郜垂・村萜」  「生掻文化民族・宗教」の項目構成を芋盎し埓来 「資源産 業」ずしお䞻にそれらの生産や立地などに関わる諞事象の芏則性や傟向性を察象ずし おきた項目から人や物情報などの動きに泚目しそれらを支える瀟䌚資本や産業に 関わる諞事象を取り出し亀通地理孊や芳光地理孊などの研究成果を螏たえおその芏則 性や傟向性を考察する新たな䞭項目ずしお「亀通・通信芳光」を䜍眮付けるこずを意 図したものである。 オ  「珟代䞖界におけるこれからの日本の囜土像」を問う探究項目の充実 この項目が「地理探究」ずしお探究掻動の実斜を䞭栞のねらいずするこずから埓前 の「地理」では倧項目 3 の「珟代䞖界の地誌的考察」を構成する䞉぀の䞭項目の䞀 ぀ずいう䜍眮付けであった「珟代䞖界ず日本」における探究的な孊習を充実させ倧項 目の「珟代䞖界におけるこれからの日本の囜土像」を構成する唯䞀の䞭項目である 「持続可胜な囜土像の探究」ずしお重点化を図るこずずした。 これたで孊んできた様々な孊習の成果を基に珟代䞖界における日本の囜土の特色を 囜や地域や個人ずいった倚局な芖点から客芳的に芋る力を培い日本が抱える地理的な 諞課題を生埒自ら芋いだすこずを通しおその解決ず望たしい囜土の圚り方を実珟する ためにどのような取組が必芁であるかを探究する 「地理探究」の孊びの集倧成ずしお 䜍眮付けるこずを意図したものである。 〔歎史総合〕 「歎史総合」における改善・充実の芁点は䞻に次の点である。 ア  「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実 今回の改蚂においおは歎史を孊ぶ本質的な意矩ずしお歎史ならではの「芋方・考 え方」を 「瀟䌚的事象を時期掚移などに着目しお捉え類䌌や差異などを明確に したり事象同士を因果関係などで関連付けたりするこず」ずしお敎理した。 「芋方・ 考え方」に぀いおは平成22 幎の孊習指導芁領解説においお「歎史的な芋方や考え方 を身に付けさせるこずを期す」こずが瀺されおいたが 「日本史」 「日本史」解説第 章第節「改蚂の芁点」  今回の改蚂においお䞭孊校瀟䌚科歎史的分野ずずも に 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」ずしお初めおその内容を明瀺した。これを 受けお「歎史総合」の孊習では䞻䜓的・察話的で深い孊びを実珟するためにこれら の「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を働かせお鍛えるこずが求められる。 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を構成する芖点には 「時期や幎代掚移
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22 第章 総 説 比范盞互の関連や珟圚ずの぀ながり」などがあり 「歎史総合」の各䞭項目の孊習内 容に応じお倚様な芖点に着目しお歎史に関わる事象を比范したり関連付けたりしお 捉え課題を远究したり解決したりする孊習を展開するこずが倧切である。たた 「芋 方・考え方」を甚いるこずによっお生埒が獲埗する知識の抂念化を促し理解を䞀局深 めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする態床などにも䜜甚したりするこずが期埅され るこずからも歎史ならではの「芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実が求められ る。 む「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開 䞊述の「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を生埒が働かせ鍛えるためにはそれ を促す孊習堎面の蚭定が必芁でありそのためには生埒自身が瀟䌚的事象を倚面的・倚 角的に考察し衚珟する䞭で 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を働かせるこず ができるような適切な「䞻題」や「問い」の蚭定が前提ずなる。歎史に関わる事象は 数倚く存圚する。それらを単に蚘憶するのではなく事象の意味や意矩を芋いだし孊 習のねらいを明確にしお課題を远究する孊習の構成を図るこずが求められる。 そのため倧項目からでは䞭項目 1 に孊習内容ぞの芋通しをもたせる「問い」 を衚珟する孊習䞭項目 2 ず 3 に䞻題を蚭定しおそれを螏たえた課題問いを 蚭定しお展開する孊習䞭項目 4 には䞻題を蚭定しお珟代的な諞課題の圢成や珟 代的な諞課題を考察構想する孊習をそれぞれ瀺しおいる。解説䞭にはその具䜓的な事 䟋を瀺しおいるが各校においおは生埒や孊校などの実態を螏たえお適切な「䞻題」や それに基づく「問い」を立おそれらを䞭心に構成した孊習掻動の実斜が求められる。 り 単元や内容のたずたりを重芖した孊習の展開 「歎史総合」では倧項目が孊習の倧きなたずたりをもっお構成されおいる。倧項目 内の䞭項目は 1 で資料から生埒が問いを衚珟しお課題意識を圢成し 2  3 で 1 の生埒が衚珟した問いを螏たえ歎史の倧きな倉化に着目した近珟代の歎史の理解を深 め 4 で 1 から 3 の孊習を螏たえお珟代的な諞課題の展望などに぀いお生埒が考 察構想するずいう䞀連の構造をもっおいる。たた䞭項目 2 及び 3 の孊習においお は 「知識及び技胜」ず「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項が内容のたずたり ごずに小項目を圢成しその小項目の䞭で䞻題を蚭定し䞻題を螏たえた問いを瀺すこ ずで孊習が展開するよう構成されおいる。 このように倧項目䞭項目小項目が䞀連の関係性をも぀孊習の展開を図るこずが 求められる。 ゚ 歎史の倧きな倉化に着目し䞖界ずその䞭の日本を広く盞互的な芖野から捉える内容 の構成 「歎史総合」では珟代的な諞課題の圢成に関わる近珟代の歎史に぀いお人々の生 掻や瀟䌚の圚り方の倉化を 「近代化」  「囜際秩序の倉化や倧衆化」  「グロヌバル化」
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23  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 ず衚しこれを螏たえ孊習内容の倧項目からを構成した。 たた今回の改蚂に際し䞭倮教育審議䌚の答申の䞭でこれからの時代に求められ る資質・胜力ずしお 「自囜の動向ずグロヌバルな動向を暪断的・盞互的に捉えお珟代 的な諞課題を歎史的に考察する力」を育成するこずが瀟䌚科・地理歎史科の課題の䞀 ぀ずしお指摘された。これを受けお 「歎史総合」は埓前の歎史領域の科目のねらいを 総合的に螏たえ぀぀䞖界ずその䞭における日本を広く盞互的な芖野から歎史を捉える 科目ずしお内容を構成した。 オ 資料を掻甚し歎史の孊び方を習埗する孊習 「思考力刀断力衚珟力等」を身に付けるこずを重芖する孊習においおは考察す る際の根拠ずなる資料の扱いが重芁ずなる。そのために 「歎史総合」では孊習のほ が党般にわたり資料を掻甚した孊習の充実を図っおいる。 具䜓的には倧項目の 2 「歎史の特質ず資料」では資料に基づいお歎史が叙述さ れおいるこずの理解ずずもにその特性や䜜成の背景などを含めた資料の吟味の倧切さ など資料を扱う際の留意点に気付くようにする。その䞊で倧項目及びの䞭 項目 1 で生埒が資料を掻甚しお問いを衚珟し 2 及び 3 で資料を掻甚しお事象 を倚面的・倚角的に考察し 4 では珟代的な諞課題ずの関係に぀いお資料を掻甚し お考察したり構想したりするよう構成しおいる。このように生埒が資料を掻甚し考察す る孊習を繰り返すこずでそれに関わる技胜の定着を図り぀぀確かな理解に至るずい う歎史の孊び方を習埗するこずを意図したものである。 カ 珟代的な諞課題の圢成に関わる近珟代の歎史を考察する孊習 「歎史総合」では瀟䌚の倉化の䞭で諞課題に向き合うためにその目暙においお 「珟代的な諞課題の圢成に関わる近珟代の歎史を理解する」こず 「歎史に芋られる課題 を把握し解決を芖野に入れお構想する」こず 「近珟代の歎史の倉化に関わる諞事象に ぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に远究解決しようずする態床を逊 う」こずが瀺されおいる。それを実珟するために倧項目の 4 「近代化ず珟代的な諞 課題」及びの 4 「囜際秩序の倉化や倧衆化ず珟代的な諞課題」では珟代的な諞課題 の圢成に関わる歎史の理解を図る孊習を倧項目の 4 「珟代的な諞課題の圢成ず展 望」では生埒が自身の関心をもずに䞻題を蚭定し歎史的な経緯を螏たえお珟代的な 諞課題を理解したり考察構想したりする孊習を蚭定した。これらの孊習は生埒が 珟代のみならず将来においおも匕き続き盎面するこずの予想される課題に察しお向き 合うこずができる資質・胜力を育成するこずを意図したものである。 〔日本史探究〕 「日本史探究」における改善・充実の芁点は䞻に次の点である。 ア「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実 「歎史総合」においお働かせ鍛えおきた「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を
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24 第章 総 説 さらに「日本史探究」においおも働かせ鍛えおいくこずが求められる。 「日本史探究」 においおも各䞭項目の孊習内容に応じお倚様な芖点に着目しお歎史に関わる事象を 比范したり関連させたりしお捉え課題を远究したり解決したりする孊習を展開する こずが倧切である。具䜓的には倧項目からたでの各䞭項目 1 の時代の転換を捉 える孊習や 2 の仮説を衚珟する孊習 3 の事象の意味や意矩関係性を考察し諞 事象の解釈や画期を衚珟する孊習倧項目の 4 の珟代の日本の課題に぀いお考察 構想する孊習においおもそれぞれの䞭項目のねらいや内容に応じた芖点が瀺されおお りそれらに着目しお孊習が展開するように構成されおいる。これらの「瀟䌚的事象の 歎史的な芋方・考え方」を甚いるこずで生埒が獲埗する知識の抂念化を促し理解を䞀 局深めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする態床などにも䜜甚したりするこずが期埅 されるこずからも歎史ならではの「芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実が求めら れる。 む「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開 「歎史総合」ず同様に「日本史探究」においおも 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考 え方」を働かせ鍛えるためには 「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開が 必芁である。 「日本史探究」では倧項目からたでの 1 には生埒がその埌の孊習 ぞの芋通しをも぀ための「時代を通芳する問い」を衚珟する孊習 3 には䞻題を蚭定 しそれを螏たえた課題問いを蚭定しお展開する孊習倧項目の 4 には生埒 が珟代の日本の諞課題ずその展望に぀いお自ら䞻題を蚭定しお考察構想する孊習 を瀺しおいる。解説䞭にはその具䜓的な事䟋を瀺しおいるが各校においおは生埒や孊 校などの実態を螏たえお適切な「䞻題」やそれに基づく「問い」を立おそれらを䞭心 に構成した孊習掻動の実斜が求められる。 り 単元や内容のたずたりを重芖した孊習の展開 「日本史探究」では各倧項目のそれぞれ䞭項目 1 から 3 たでが以䞋のように䞀 連の孊習の展開を圢成しおいる。 äž­é …ç›® 1 では時代の転換を扱い生埒が時代の特色を探究するための筋道や孊習 の方向性を導く「時代を通芳する問い」を衚珟する。 äž­é …ç›® 2 では 1 で衚珟した「時代を通芳する問い」を成長させ時代の特色に぀ いお 3 の孊習ぞの芋通しを立おお探究的な孊びに向かうための仮説を衚珟する。 äž­é …ç›® 3 では 1 の問いや 2 の仮説を螏たえ各時代の歎史の展開に぀いお事 象の意味や意矩関係性などを考察し歎史に関わる諞事象の解釈や歎史の画期を衚珟 する孊習を行う。 たた䞭項目 3 では 「知識及び技胜」ず「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事 項が内容のたずたりごずに小項目を圢成しその小項目の䞭で䞻題を蚭定し䞻題に関 わる問いを蚭定しお孊習が展開する。 たた倧項目は 「歎史総合」䞊びに「日本史探究」の倧項目からたでの孊習
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25  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 の成果や育成された資質・胜力を掻甚し歎史孊習のたずめずしおの性栌が瀺されおい る。 このように倧項目䞭項目小項目が䞀連の関係性をも぀孊習の展開を図るこずが 求められる。 ゚  「歎史の解釈説明論述」を通じた知識抂念の深い理解ず「思考力刀断力衚 珟力等」の育成の䞀局の重芖 「日本史探究」は 「歎史総合」の孊習を螏たえるずずもに埓前の「日本史」  「日本史」の「諞資料を掻甚しお歎史を考察し衚珟する孊習」を発展的に継承する科 目ずしお蚭眮された。 埓前の「日本史」では技胜や思考力等を段階的に育成する趣旚から倧項目の 1 から 3 そしお孊習のたずめずしお 6 に順次「歎史ず資料」  「歎史の解釈」  「歎史の説明」  「歎史の論述」が瀺されおいた。今回の改蚂では 「歎史総合」が必履修 科目ずしお蚭眮されそこで思考力刀断力衚珟力等の育成や基本的な「歎史の孊 び方」に぀いおの習埗を図るこずを螏たえ 「日本史探究」では孊習の党般にわたっ お「歎史の解釈説明論述」などの孊習掻動を繰り返し行うこずで習埗した知識 抂念の深い理解ずずもに思考力刀断力衚珟力等の育成を䞀局図るこずずした。具 䜓的には各倧項目の 3 で事象の意味や意矩関係性を考察し諞事象の解釈や歎 史の画期を衚珟する孊習掻動の充実が求められる。 オ 資料を掻甚し歎史の孊び方を習埗する孊習 「思考力刀断力衚珟力等」を身に付けるこずを重芖する孊習においおは考察す る際の根拠ずなる資料の扱いが重芁ずなる。そのために 「日本史探究」ではほが党 般にわたり資料を掻甚した孊習の充実を図っおいる。 特に各倧項目の 2 「歎史資料ず時代の展望」は歎史資料を掻甚しお時代の特色 に぀いお考察し仮説を衚珟する孊習を蚭定しおいる。ここでは歎史資料の特性に着 目し倚面的・倚角的に考察できるよう資料を掻甚する技胜を高める指導の工倫が求 められる。その䞊で各倧項目の 3 においお資料を掻甚し倚面的・倚角的な考察 や考察の結果を衚珟する孊習が展開する構成ずしおいる。 たた歎史資料や遺構の保存・保党などの努力が図られおいるこずに気付くこずで 生涯にわたっお掻甚するこずが可胜ずなる「歎史の孊び方」を習埗するこずが求められ おいる。 カ 歎史的経緯を螏たえた珟代の日本の課題の探究 「日本史探究」では科目のたずめずしお珟代の日本の課題を探究する孊習を蚭眮 しおいる。その際 「歎史総合」で育成した歎史的な経緯を螏たえお珟代的な諞課題 の解決に向けお考察構想する力を掻甚するこずが求められる。 具䜓的には倧項目の 4 で珟代の日本の課題の圢成に関わる歎史ず展望に぀い
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26 第章 総 説 お倚面的・倚角的に考察構想しその結果を衚珟する孊習を蚭定した。この䞭項目 では持続可胜な瀟䌚の実珟を芖野に入れ生埒自らが䞻題を蚭定し珟代の日本の諞 課題に぀いお地域瀟䌚や身の回りの事象ず関連させお探究するよう構成しおいる。 「歎史総合」で孊習した「䞖界ずその䞭の日本」における珟代的な諞課題の圢成を螏 たえそれらを日本の瀟䌚の䞭でより具䜓的に考察できるよう地域瀟䌚や身の回り の事象ず関連させお日本や䞖界の動きの䞭で課題を探究する考察が可胜ずなるように 意図したものである。 〔䞖界史探究〕 「䞖界史探究」における改善・充実の芁点は䞻に次の点である。 ア  「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実 「歎史総合」においお働かせ鍛えおきた「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」を さらに「䞖界史探究」においおも各䞭項目の孊習内容に応じお倚様な芖点に着目し お歎史に関わる事象を比范したり関連付けたりしお捉え課題を远究したり解決した りする孊習を展開するこずが倧切である。具䜓的には倧項目からの各䞭項目 1 で 「歎史的な芋方・考え方」を働かせお資料から情報を読み取ったりたずめたりし お 「諞地域」の「歎史的特質」  「亀流・再線」  「結合・倉容」を読み解く芳点に぀い お考察し自分自身の問いを衚珟する。その埌に続く䞭項目で䞻題を蚭定し諞資料 を比范したり関連付けたりしお読み解く際にも「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考え方」 を甚いるこずで生埒が獲埗する知識の抂念化を促し理解を䞀局深めたり課題を䞻䜓 的に解決しようずする態床などにも䜜甚したりするこずが期埅されるこずからも歎史 ならではの「芋方・考え方」に基づく孊習掻動の充実が求められる。 む  「䞻題」や「問い」を䞭心に構成する孊習の展開 「歎史総合」ず同様に「䞖界史探究」においおも 「瀟䌚的事象の歎史的な芋方・考 え方」を働かせ鍛えるためには 「䞻題」や 「問い」を䞭心に構成する孊習の展開が 必芁である。倚様な地域の歎史や諞地域間の盞互䟝存関係の倉化などを孊習する䞖界の 歎史を䞖界の倧きな枠組みず展開においお捉えるために事象の意味や意矩特色な どを芋いだし孊習のねらいを明確にしお課題を远究する孊習の構成を図るこずが求 められる。 「䞖界史探究」では倧項目からたでの䞭項目 1 には諞地域の歎史的特 質諞地域の亀流・再線諞地域の結合・倉容を読み解く芳点を考察しおその埌に続 く孊習内容ぞの芋通しをもたせるこずをねらいずした生埒が「問い」を衚珟する孊習 äž­é …ç›® 2 から 4 には䞻題を蚭定しおそれを螏たえた課題問いを蚭定しお展開 する孊習倧項目 4 には䞻題を蚭定しお地球䞖界の課題の圢成に関わる䞖界の 歎史に぀いお考察構想する孊習をそれぞれ瀺しおいる。解説䞭にはその具䜓的な事䟋 を瀺しおいるが各校においおは生埒や孊校の実態を螏たえお適切な「䞻題」ずそれに 基づく「問い」を立おそれらを䞭心に構成した孊習掻動の実斜が求められる。
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27  地理歎史科 改蚂の趣旚 及び芁点 り 単元や内容のたずたりを重芖した孊習の展開 「䞖界史探究」では倧項目が孊習の倧きなたずたりをもっお構成されおいる。倧項 目及びそれぞれの䞭項目は 1 で資料から生埒が問いを衚珟しお課題意識を 圢成し 2  3 及び 4 で 1 の生埒が衚珟した問いを螏たえ䞖界の歎史の倧きな 枠組みず展開に関わる事象の意味や意矩などの理解を深めるずいう䞀連の構造をもっお いる。さらに倧項目の䞭項目は 1 から 3 たでの孊習で地球䞖界の課題を理解 し 4 でそれらを螏たえおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に探究する ずいう䞀連の構造をもっおいる。たた各䞭項目内で「知識及び技胜」ず「思考力刀 断力衚珟力等」に関わる事項が内容のたずたりごずに小項目を圢成しその小項目の 䞭で䞻題を蚭定したり問いを蚭定したりする孊習が展開する。 このように倧項目䞭項目小項目が䞀連の関係性をも぀孊習の展開を図るこずが 求められる。 ゚ 䞖界の歎史の倧きな枠組みず展開を捉える内容の構成 「䞖界史探究」は䞖界の歎史の倧きな枠組みず展開を諞地域の歎史的特質の圢 成諞地域の亀流・再線諞地域の結合・倉容ずいう構成に沿っお孊習した䞊で地球 䞖界の課題の圢成に関わる䞖界の歎史に぀いお探究する掻動を蚭けおいる科目である。 これを螏たえお倧項目からを構成した。倧項目「諞地域の歎史的特質の圢成」 では歎史的に圢成された諞地域の倚様性倧項目「諞地域の亀流・再線」では諞地域 の耇合的・重局的な぀ながり倧項目「諞地域の結合・倉容」では地球芏暡での䞀䜓 化ず盞互䟝存のさらなる匷たりをそれぞれ諞資料を掻甚しお読み解き䞖界の歎史の 倧きな枠組みず展開に察する理解を深め倧項目の地球䞖界の課題の探究掻動の充実 に぀なげおいく。このような䞀連の孊習掻動を通しお地球䞖界に぀ながる諞地域の瀟 䌚や文化の倚様性や耇合性に぀いお段階的に考察を深めるような孊習の䞀局の充実を 図った。 オ 資料を掻甚し歎史の孊び方を習埗する孊習 「思考力刀断力衚珟力等」を身に付けるこずを重芖する孊習においおは考察す る際の根拠ずなる資料の扱いが重芁ずなる。そのため 「䞖界史探究」では孊習のほ が党般にわたり資料を掻甚した孊習の充実を図っおいる。 「歎史総合」の孊習の成果 を螏たえおさらに資料を掻甚する技胜を高める指導の工倫が必芁である。具䜓的に は倧項目及びの䞭項目 1 では生埒が資料を掻甚しお問いを衚珟し 2  3 及び 4 では資料を掻甚しお考察するよう構成されおいる。たた倧項目 4 では地球䞖界の課題ずの関係に぀いお資料を掻甚しお考察したり構想したりするよ う構成されおいる。このように生埒が資料を掻甚し考察する孊習を繰り返すこずでそ れに関わる技胜の定着を図るずずもに内容の確かな理解に至るずいう歎史の孊び方を 習埗するこずを意図したものである。
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28 第章 総 説 カ 歎史的経緯を螏たえた地球䞖界の課題の探究 埓前の「䞖界史」  「䞖界史」においおもそれぞれ「持続可胜な瀟䌚ぞの展望」  「資料を掻甚しお探究する地球䞖界の課題」が蚭けられ探究する掻動が重芖されおき た。 「䞖界史探究」ではそれらのねらいを発展的に継承し倧項目「地球䞖界の課 題」が蚭眮されおいる。ここでは䞭項目 1 「囜際機構の圢成ず平和の暡玢」から 3 「科孊技術の高床化ず知識基盀瀟䌚」においお課題を远究したり解決したりする掻動 を通しおそれぞれの地球䞖界の課題を理解する。さらに 4 「地球䞖界の課題の探究」 においお①玛争や共生②経枈栌差の是正や経枈発展③科孊技術の発展や文化の受 容に関連する課題の䞭から生埒が䞻題を蚭定し探究する孊習掻動を「䞖界史探究」のた ずめずしお䜍眮付けおいる。 「歎史総合」で孊習した「䞖界ずその䞭の日本」における 珟代的な諞課題の圢成を螏たえお持続可胜な瀟䌚の実珟を芖野に入れ地球䞖界の課 題の圢成に関わる䞖界の歎史に぀いお倚面的・倚角的に探究する考察が可胜ずなるよう に意図したものである。
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29  地理歎史科 の目暙 瀟䌚的な芋方・考え方を働かせ課題を远究したり解決したりする掻動を通しお広 い芖野に立ちグロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟 䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしおの資質・胜力を次のずおり育成するこずを目指す。 教科目暙のこの郚分は地理歎史科で育成を目指す目暙のうち柱曞ずしお瀺された箇所 であり以降瀺された 「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」  「孊びに向かう 力人間性等」ずいう育成を目指す資質・胜力の䞉぀の柱に沿った目暙ずずもに埓前 の目暙の趣旚を継承するものずなっおいる。 この柱曞は前段ず埌段の二段階で構成されおいる。前段は「瀟䌚的な芋方・考え方を 働かせ課題を远究したり解決したりする掻動を通しお」ずいう郚分で地理歎史科を含 む瀟䌚科地理歎史科公民科の特質に応じた孊び方を瀺しおいる。 瀟䌚的な芋方・考え方に぀いおは本章の第節 2 においお瀺したずおり瀟䌚科 地理歎史科公民科の特質に応じた芋方・考え方の総称であり瀟䌚的事象等の意味や意 矩特色や盞互の関連を考察したり瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお 構想したりする際の「芖点や方法考え方 」であるず考えられる。そしお瀟䌚的な芋 方・考え方を働かせるずはそうした「芖点や方法考え方 」を甚いお課題を远究した り解決したりする孊び方を衚すずずもにこれを甚いるこずにより児童生埒の「瀟䌚的な 芋方・考え方」が鍛えられおいくこずを䜵せお衚珟しおいる。 こうした「瀟䌚的な芋方・考え方を働かせ」るこずは瀟䌚科地理歎史科公民科ず しおの本質的な孊びを促し深い孊びを実珟するための思考力刀断力の育成はもずよ り生きお働く知識の習埗に䞍可欠であるこず䞻䜓的に孊習に取り組む態床にも䜜甚す るこずなどを螏たえるず資質・胜力党䜓に関わるものであるず考えられるため柱曞に 䜍眮付けられおいる。 たた地理歎史科における「瀟䌚的な芋方・考え方」は地理領域の科目における「瀟 䌚的事象の地理的な芋方・考え方」 歎史領域の科目における「瀟䌚的事象の歎史的な芋 方・考え方」を総称しおの呌称であり本解説第章第節 1 においお瀺したずおり である。 次に課題を远究したり解決したりする掻動に぀いおは単元など内容や時間のたずた りを芋通しお孊習課題を蚭定し諞資料や調査掻動などを通しお調べたり思考刀断 衚珟したりしながら瀟䌚的事象の特色や意味などを理解したり瀟䌚ぞの関心を高めたり する孊習などを指しおいる。こうした孊習は地理歎史科においお埓前から課題を远究す る孊習課題を探究する孊習課題解決的な孊習などずしおその充実が求められおお り 「課題を远究したり解決したりする掻動」はそれず趣旚を同じくするものである。そ こでは䞻䜓的・察話的で深い孊びが実珟されるよう生埒が瀟䌚的事象等から孊習課題 を芋いだし課題解決の芋通しをもっお他者ず協働的に远究し远究結果をたずめ自分 第3 節 地理歎史科の目暙
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30 第章 総 説 の孊びを振り返ったり新たな問いを芋いだしたりする方向で充実を図っおいくこずが倧切 である。 䞉぀の柱に沿った資質・胜力を育成するためには生埒が課題を远究したり解決したり する掻動の䞀局の充実が求められる。それらはいずれも「知識及び技胜」を習埗・掻甚し お思考刀断衚珟しながら課題を解決する䞀連の孊習過皋においお効果的に育成される ず考えられるからである。そのため「課題を远究したり解決したりする掻動を通しお」ず いう文蚀が目暙に䜍眮付けられおいる。 次に埌段は「広い芖野に立ちグロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民 䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしおの資質・胜力を次のずおり育成す るこずを目指す」ずいう郚分で小孊校及び䞭孊校における瀟䌚科孊習を螏たえた高等 孊校における地理歎史科公民科の共通のねらいでありそこでの指導を通しおその実 珟を目指す究極的なねらいを瀺しおいる。なおこの郚分の各孊校皮における衚珟の違い は児童生埒の発達の段階を螏たえお䜍眮付けられたものであり今回小・䞭・高等孊 校を貫いお敎理された「瀟䌚的な芋方・考え方」を基軞にそれぞれの目暙を関連付けな がらそのねらいを達成する必芁がある。 広い芖野に立ちに぀いおは䞭孊校たでの瀟䌚科孊習の成果を掻甚するこずを意味する ずずもに倚面的・倚角的に考察しようずする態床ず公正で客芳的な芋方・考え方に立぀ こずに関わる意味ず囜際的な芖野ずいう空間的な広がりに関わる意味が含たれおいる。 小孊校瀟䌚科から䞭孊校瀟䌚科ぞず接続しおいく過皋で䞭孊校瀟䌚科は分野別の構造 さらに高等孊校地理歎史科公民科では耇数教科に分かれた䞊で科目別の構造になっおお り瀟䌚的事象を倚面的・倚角的に考察するこずや耇数の立堎や意芋を螏たえお構想さ らには探究するこずなどが求められおいる。たた孊習察象も䞭孊校以䞊に広がりず深た りを芋せる。こうした点を螏たえお地理歎史科においおはその特質である各科目なら ではの芖野囜内倖の瀟䌚的事象を取り扱う地球的な芖野をも぀こずが期埅されおいる。 グロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成 者に必芁な公民ずしおの資質・胜力を次のずおり育成するこずを目指すの郚分は目暙の 1 から 3 たでにそれぞれ瀺された資質・胜力を育成するこずが 「グロヌバル化する囜 際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の圢成者」に必芁ずされる「公民ず しおの資質・胜力」を育成するこずに぀ながるこずを瀺しおいる。 なおここでいう「公民ずしおの資質・胜力」ずは小・䞭孊校瀟䌚科の目暙に䞀貫し た衚珟である「公民ずしおの資質・胜力の基瀎」の䞊に立っお育成されるものである。今 回の改蚂では 「公民ずしおの資質・胜力」に぀いお平成21 幎改蚂の高等孊校孊習指導 芁領公民科の目暙に瀺されおいる「平和で民䞻的な囜家・瀟䌚の有為な圢成者ずしお必芁 な公民ずしおの資質を逊う」こずの趣旚を䞀局明確にするずずもに人商品資本情 報技術などが囜境を越えお自由に移動したり組織や䌁業など囜家以倖の様々な集合䜓 の圹割が増倧したりしおグロヌバル化が䞀局進むこずが予枬されるこれからの瀟䌚におい お教育基本法孊校教育法等の芏定を螏たえ囜家及び瀟䌚の圢成者ずしお必芁な資 質・胜力を育成するこずの倧切さぞの意識をも぀こずを期埅しおこのような衚珟ぞず敎
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31  地理歎史科 の目暙 理したものである。 たたこれたで「小孊校孊習指導芁領解説 瀟䌚線」で「公民的資質」ずしお説明しお きた 「平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の圢成者ずしおの自芚をもち自他の人栌を互いに 尊重し合うこず瀟䌚的矩務や責任を果たそうずするこず瀟䌚生掻の様々な堎面で倚面 的に考えたり公正に刀断したりするこず」などの態床や胜力や 「高等孊校孊習指導芁 領解説 公民線」で「公民ずしおの資質」ずしお説明しおきた 「珟代の瀟䌚に぀いお探 究しようずする意欲や態床平和で民䞻的な囜家・瀟䌚の有為な圢成者ずしお瀟䌚に぀ いおの広く深い理解力ず健党な批刀力ずによっお政治的教逊を高めるずずもに物心䞡面に わたる豊かな瀟䌚生掻を築こうずする自䞻的な粟神真理ず平和を垌求する人間ずしおの 圚り方生き方に぀いおの自芚個人の尊厳を重んじ各人の個性を尊重し぀぀自己の人栌の 完成に向かおうずする実践的意欲」を基盀ずし 「これらの䞊に立っお広く自らの個 性を䌞長発揮し぀぀文化ず犏祉の向䞊発展に貢献する胜力ず平和で民䞻的な瀟䌚の 実珟掚進に向けお䞻䜓的に参加協力する態床」などは 「平和で民䞻的な囜家及び瀟 䌚の有為な圢成者に必芁な資質・胜力」であるず考えられるこずから今埌も「公民ずし おの資質・胜力」に匕き継がれるものである。 1   珟代䞖界の地域的特色ず日本及び䞖界の歎史の展開に関しお理解するずずもに調 査や諞資料から様々な情報を適切か぀効果的に調べたずめる技胜を身に付けるように する。 珟代䞖界の地域的特色ず日本及び䞖界の歎史の展開に぀いおは地理歎史科で扱う孊習 察象を瀺しそれらに関しお理解するずは単に知識を身に付けるこずではなく基瀎的 ・ 基本的な知識を確実に習埗しながら既埗の知識ず関連付けたり組み合わせたりしおいく こずにより孊習内容の深い理解ず個別の知識の定着を図るずずもに瀟䌚における 様々な堎面で掻甚できる 抂念などに関する知識ずしお獲埗しおいくこずをも瀺しおいる。 調査や諞資料から様々な情報を適切か぀効果的に調べたずめる技胜を身に付けるに぀い おは瀟䌚的な芋方・考え方を働かせお調査掻動や諞資料から課題の解決ずいう目的 に合わせお必芁な情報を適切か぀効果的に収集し読み取りたずめる技胜を身に付ける こずを意味しおいる。このうち「適切か぀効果的に」に぀いおは課題の解決に向けお客 芳的で誰もが玍埗し埗る説埗力のある情報を耇数の資料を照らし合わせながら収集しお いくこずを意味しおいる。そしお収集した情報を瀟䌚的な芋方・考え方を働かせお 比范したり関連付けたりしお事象や出来事の原因や理由結果や圱響に぀いお読み取 り解釈する技胜が必芁ずなる。 これらの技胜は単元など内容や時間のたずたりごずに党おを身に付けようずするもの ではなく資料の特性等ずずもに情報を収集する手段やその内容に応じお様々な技胜や留 意すべき点が存圚するず考えられる。そのため小・䞭孊校の瀟䌚科での孊習を螏たえる ずずもに地理歎史科の孊習においお生埒が身に付けるこずが目指される技胜を繰り返し 掻甚しその習熟を図るように指導するこずが倧切である巻末の参考資料を参照 。
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32 第章 総 説 2   地理や歎史に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を抂念などを掻甚しお 倚面的・倚角的に考察したり 瀟䌚に芋られる課題の解決に向けお構想したりする力 や 考察 構想したこずを効果的に説明したり それらを基に議論したりする力を逊う。 地理や歎史に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を抂念などを掻甚しお倚面 的・倚角的に考察 する力に぀いおは瀟䌚的事象個々の仕組みや働きを把握するこずに ずどたらずその果たしおいる圹割や事象盞互の結び付きなども芖野に様々な偎面角 床から捉えるこずのできる力を瀺しおいる。 このうち小・䞭孊校にはない「抂念などを掻甚しお」に぀いおはこれたでの孊習に よっお獲埗された様々な地理的事象歎史的事象の䞀般的な芏則性傟向性を通しお ここで扱う地理や歎史に関わる事象を捉えるこずを意味しおおり 「倚面的・倚角的に考 察」するずは孊習察象ずしおいる瀟䌚的事象自䜓が様々な偎面をも぀「倚面性」ず瀟 䌚的事象を様々な角床から捉える「倚角性」ずを螏たえお考察するこずを意味しおいる。 瀟䌚に芋られる課題の解決に向けお構想 する力に぀いおは珟実瀟䌚においお生埒を 取り巻く倚皮倚様な課題に察しお 「それをどのように捉えるのか」  「それずどのように 関わるのか」  「それにどのように働きかけるのか」ずいったこずを問う䞭でそれらの課 題の解決に向けお自分の意芋や考えをたずめ課題解決の圚り方を問うこずのできる力を 意味しおいる。 このこずに関連しお高等孊校地理歎史科においおは孊習指導芁領の内容においお 「遞択・刀断」ではなく「構想」の衚蚘を甚いおいるこずに留意する必芁がある。これは 平成24 幎12 月に文郚科孊省に蚭眮され平成26 幎月に論点敎理を取りたずめた「育 成すべき資質・胜力を螏たえた教育目暙・内容ず評䟡の圚り方に関する怜蚎䌚」における 怜蚎の方向性を螏たえるずずもに今回の䞭倮教育審議䌚答申の第郚の第章「2030 幎の瀟䌚ず子䟛たちの未来」においお 「 前略このような時代だからこそ子䟛たち は倉化を前向きに受け止め私たちの瀟䌚や人生生掻を人間ならではの感性を働か せおより豊かなものにしたり珟圚では思いも぀かない新しい未来の姿を構想し実珟した りしおいくこずができる」ず瀺されたこずなどを受けお瀟䌚科地理歎史科公民科に おいおは䞭倮教育審議䌚答申の第郚の第章「各教科・科目等の内容の芋盎し」の 「瀟䌚地理歎史公民」においお 「 『瀟䌚的な芋方・考え方』は課題を远究したり解 決したりする掻動においお瀟䌚的事象等の意味や意矩特色や盞互の関連を考察した り瀟䌚に芋られる課題を把握しおその解決に向けお構想したりする際の芖点や方法で あるず考えられる」ず瀺されたこずを螏たえおいる。このような䞭倮教育審議䌚答申の蚘 茉を螏たえ地理歎史科各科目のたずめずなる項目においおは 「 に぀いお倚面的・倚 角的に考察構想し衚珟するこず」などず瀺しおいる。 考察構想したこずを効果的に説明したりそれらを基に議論したりする力に぀いお は考察構想したこずを資料等を適切に甚いお論理的に瀺したりその瀺されたこず を根拠に自分の意芋や考え方を䌝え合い自分や他者の意芋や考え方を発展させたり合
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33  地理歎史科 の目暙 意圢成に向かおうずしたりする力であるず捉えられる。 3   地理や歎史に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に 解決しようずする態床を逊うずずもに倚面的・倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土や歎史に察する愛情他囜や他囜の文 化を尊重するこずの倧切さに぀いおの自芚などを深める。 地理や歎史に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決 しようずする態床に぀いおは地理や歎史に関わる諞事象に関連しお孊習䞊の課題を䞻 䜓的意欲的に解決しようずする態床やよりよい瀟䌚の実珟に向けお倚面的・倚角的 に考察構想したこずを瀟䌚生掻に生かそうずする態床などを意味しおいる。 倚面的・倚角的な考察や深い理解ずは地理歎史科の孊習における考察や理解の特質を 瀺しおいる。そうした孊習を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土や歎 史に察する愛情他囜や他囜の文化を尊重するこずの倧切さに぀いおの自芚は地理歎史 科においお育成するこずが期埅される「孊びに向かう力人間性等」であるこずを意味し おいる。 日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土や歎史に察する愛情他囜や他囜の文化を尊重す るこずの倧切さに぀いおの自芚などに぀いおはいずれも珟代䞖界の地域的特色ず日本及 び䞖界の歎史の展開に぀いおの倚面的・倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊されるもの であり既述の資質・胜力を含む䞉぀の柱に沿った資質・胜力の党おが盞互に結び付き 逊われるこずが期埅される。
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34 第章 総 説 地理歎史科は次の科目をもっお線成されおいる。 科  目 暙準単䜍数 地理総合 地理探究 歎史総合 日本史探究 䞖界史探究  単 䜍  単 䜍  単 䜍  単 䜍  単 䜍 地理歎史科は 「地理総合」ず「歎史総合」をいずれも党おの生埒に履修させるこずず し その「地理総合」を履修した埌に遞択科目である「地理探究」を 同じく「歎史総合」 を履修した埌に遞択科目である「日本史探究」  「䞖界史探究」を履修できるこずずした。 たた暙準単䜍数に぀いおは必履修科目「地理総合」  「歎史総合」はいずれも単䜍 ずし 「地理探究」  「日本史探究」及び「䞖界史探究」はいずれも単䜍ずした。 第4 節 地理歎史科の科目線成
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35  地理総合 1  科目の性栌 「地理総合」は地理歎史科の䞭に蚭けられた暙準単䜍数単䜍の必履修科目である。 持続可胜な瀟䌚づくりを目指し環境条件ず人間の営みずの関わりに着目しお珟代の地理 的な諞課題を考察する科目ずしお今回の改蚂においお新たに蚭眮された。 地理歎史科ではそれが平成元幎に教科ずしお発足しお以来暙準単䜍数が単䜍であ る「䞖界史」  「日本史」  「地理」 暙準単䜍数が単䜍である「䞖界史」  「日本 史」  「地理」の科目をもっお構成されおきた。これに぀いおは生埒の特性進路 等の倚様化に察応しお倚様な遞択を可胜ずしおきたずいう偎面ずずもに䞀郚の科目に遞 択がずどたるずいう偎面も指摘され平成20 幎䞭倮教育審議䌚答申においお 「地理歎史 科に関する総合的な科目の蚭眮に぀いおは具䜓的な教育内容の圚り方等に぀いお今埌曎 に怜蚎する必芁がある」ずの課題が呈せられた。 このこずを受け今回の孊習指導芁領改蚂においおは地理歎史科がこれたで「我が囜 及び䞖界の圢成の歎史的過皋ず生掻・文化の地域的特色に぀いおの理解ず認識を深め」ず しお掲げおきたねらいを螏たえ時間認識ず空間認識をバランスよく総合する人材育成を 目指す科目構成を怜蚎するこずずした。折しも近幎の高等孊校教育を取り巻く状況ずし お冒頭の総説にも瀺されるずおり 「高等孊校においおは瀟䌚で求められる資質・胜 力を党おの生埒に育み生埒䞀人䞀人を生涯にわたっお探究を深める未来の創り手ずしお 送り出しおいくこずがこれたで以䞊に重芁」であるこずが匷く指摘された。そこで地理 歎史科の科目構成ずしおはこのうちの「瀟䌚で求められる資質・胜力を党おの生埒に 育」むずいう芳点から地理歎史科を構成する空間軞ず時間軞をそれぞれ孊習の基軞ずす る「地理総合」ず「歎史総合」をいずれも必履修科目ずしお䜍眮付けるずずもにこれ に加えお 「生埒䞀人䞀人を生涯にわたっお探究を深める未来の創り手ずしお」育むずい う芳点からは 「探究」をその科目名に含む「地理探究」  「日本史探究」及び「䞖界史探 究」を生埒自身の興味・関心を螏たえお孊ぶ遞択科目ずしお蚭眮するこずずした。 このうちこの「地理総合」に぀いおは 「歎史総合」ず盞互補完的な圹割を果たしな がら地理歎史科の目暙を達成し 「孊びの地図」の䞀端を担うため䞊述の①持続可胜 な瀟䌚づくりを目指し環境条件ず人間の営みずの関わりに着目しお珟代の地理的な諞課 題を考察するこずに加えお②グロヌバルな芖座から囜際理解や囜際協力の圚り方を地 域的な芖座から防灜などの諞課題ぞの察応を考察するこずず③地図や地理情報システム Geographic Information System 以䞋GIS ず略すなどを甚いるこずで汎甚的で実践 的な地理的技胜を習埗するこずの䞉点を科目の䞻芁な特城ずしお構成するこずずした。そ のためこの特城を科目のねらいずしお生埒自身に実珟すべくその内容は 「 地図 1 科目の性栌ず目暙 第2 ç«  地理歎史科の各科目 第1 節 地理総合
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36 第章 地理歎史科 の各科目 や地理情報システムず珟代䞖界」  「 囜際理解ず囜際協力」  「 持続可胜な地域づく りず私たち」の䞉぀の倧項目で構成しおおりこれらの倧項目はそれぞれ䞀぀二぀及び 二぀の䞭項目から成り立っおいる。たたその孊習過皋にあっおは䜜業的で具䜓的な䜓 隓を䌎う孊習をより䞀局重芖しお様々な諞課題を日垞生掻ず関連付けお取り扱い地理 的技胜を身に付けるずずもに地理孊習の有甚性に気付き孊習意欲を高めるこずに配慮 した内容や方法を工倫しおいる。珟代䞖界や生掻圏の諞課題に぀いお䞻に䞻題的な方法 を基にしお孊習できるようにしおいるのもそうした点を螏たえたものである。 2  目暙 「地理総合」の目暙は地理歎史科の目暙構成ず同様に柱曞ずしお瀺された目暙ず 「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」  「孊びに向かう力人間性等」の資質・ 胜力の䞉぀の柱に沿ったそれぞれ 1 から 3 たでの目暙から成り立っおいる。そしおこ れら 1 から 3 たでの目暙を有機的に関連付けるこずで柱曞ずしお瀺された目暙が達成 されるずいう構造になっおいる。 瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせ課題を远究したり解決したりする掻動 を通しお広い芖野に立ちグロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的 な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしおの資質・胜力を次のずおり育成する こずを目指す。 この柱曞における瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方に぀いおは平成28 幎12 月の䞭 倮教育審議䌚答申を螏たえ 「瀟䌚的事象を䜍眮や空間的な広がりに着目しお捉え地 域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域ずいう枠組みの䞭で人間の営みず関連付け るこず」ずし考察構想する際の「芖点や方法考え方 」ずしお敎理した。 今回の改蚂においおは党おの教科等を孊ぶ本質的な意矩を各教科等の特質に応じた 「芋方・考え方」ずしお敎理した。その過皋においお䞭孊校瀟䌚科の地理的分野ず高等 孊校地理歎史科の地理領域科目に固有の「芋方・考え方」に぀いお改めお「瀟䌚的事象 の地理的な芋方・考え方」ずしお敎理しおいる。このこずに関わっおは平成21 幎改蚂 時に「高等孊校孊習指導芁領解説 地理歎史線」の䞭で 「地理的な芋方や考え方」に぀ いお以䞋のずおり敎理しおきたずころであり基本的に今回改蚂においおもその趣旚を匕 き継ぐものである。 参考 「高等孊校孊習指導芁領解説 地理歎史線」における「地理的な芋方や考え方」の基本 「地理的な芋方」の基本 どこにどのようなものがどのように広がっおいるのか諞事象を䜍眮や空間的な 広がりずのかかわりでずらえ地理的事象ずしお芋いだすこず。たたそうした地理的
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37  地理総合 事象にはどのような空間的な芏則性や傟向性がみられるのか地理的事象を距離や空間 的な配眮に留意しおずらえるこず。 「地理的な考え方」の基本 そうした地理的事象がなぜそこでそのようにみられるのかたたなぜそのように分 垃したり移り倉わったりするのか地理的事象やその空間的な配眮秩序などを成り立 たせおいる背景や芁因を地域ずいう枠組みの䞭で地域の環境条件や他地域ずの結び 付きなどず人間の営みずのかかわりに着目しお远究しずらえるこず。 その䞊で瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせ課題を远究したり解決したり する掻動を通しおに぀いおは地理孊習においお䞻䜓的・察話的で深い孊びを実珟するた めに瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方に根ざした远究の芖点ずそれを生かしお解決す べき課題問いを蚭定する掻動が䞍可欠であるこずを意味しおいる。たた瀟䌚的事象 の地理的な芋方・考え方を働かせに぀いおは地理孊習の特質を瀺しおいる。すなわち 事象の意味や意矩特色や盞互の関連を考察したり地域に芋られる課題を把握しおそ の解決に向けお構想したりするずいうこずでありたたそれを甚いるこずによっお生埒 が獲埗する知識の抂念化を促し理解を䞀局深めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする 態床などにも䜜甚したりするずいうこずである。 こうした「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」に぀いおは平成21 幎改蚂時の「地 理的な芋方や考え方」においおも 「地理」  「地理」に共通する最終的な目暙ずしお 「地理的な芋方や考え方を培い」ず瀺し぀぀孊習の党般を通じお培うものずしお「系統 性に留意しお蚈画的に指導するこず」 内容の取扱いず説明しおいたずころである。今 回の改蚂においおはこれらの趣旚を螏たえ぀぀ 改めお柱曞においお明瀺したものである。 課題を远究したり解決したりする掻動を通しお広い芖野に立ちグロヌバル化する囜 際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしお の資質・胜力を次のずおり育成するこずを目指すに぀いおは地理歎史科及び各科目に共 通する衚珟である。 「地理総合」においおは地理孊習ならではの「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を 働かせ」お以䞋の 1 から 3 たでの資質・胜力を育成するこずにより高等孊校ならで はの「グロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な 圢成者に必芁な」珟代䞖界に関する地理的認識を逊うこずが求められる。 1   地理に関わる諞事象に関しお䞖界の生掻文化の倚様性や防灜地域や地球的課 題ぞの取組などを理解するずずもに地図や地理情報システムなどを甚いお調査や 諞資料から地理に関する様々な情報を適切か぀効果的に調べたずめる技胜を身に付け るようにする。 目暙の 1 は 「地理総合」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「知識及び技 胜」に関わるねらいを瀺しおいる。
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38 第章 地理歎史科 の各科目 䞖界の生掻文化の倚様性や防灜地域や地球的課題ぞの取組などを理解するの䞭の 「䞖界の生掻文化の倚様性や防灜地域や地球的課題ぞの取組」に぀いおは䞭倮教育 審議䌚答申の「地理総合」に関わる科目構成の芋盎しにおいお求められた 「持続可胜な 瀟䌚づくりを目指し環境条件ず人間の営みずの関わりに着目しお珟代の地理的な諞課題 を考察する科目」  「グロヌバルな芖座から囜際理解や囜際協力の圚り方を地域的な芖座 から防灜などの諞課題ぞの察応を考察する科目」ずいう趣旚を反映したものである。た たそれらを「理解する」こずに぀いおは埌述する「抂念などを掻甚しお倚面的・倚角 的に考察したり地理的な課題の解決に向けお構想したりする」孊習過皋を前提に䞖界 の生掻文化の倚様性や防灜地域や地球的課題ぞの取組などを理解するこずを意味しお いる。 地図や地理情報システムなどを甚いお調査や諞資料から地理に関する様々な情報を適 切か぀効果的に調べたずめる技胜を身に付けるに぀いおは地理孊習に圓たっおの基瀎 的・基本的な知識ずしおの珟代䞖界の地域構成を察象ずしお同じく䞭倮教育審議䌚答申 の「地理総合」に関わる科目構成の芋盎しにおいお求められた 「地図や地理情報システ ムGISなどを甚いるこずで汎甚的で実践的な地理的技胜を習埗する科目」ずいう趣 旚を反映したものである。ここで身に付ける「技胜」ずしおは情報を収集する技胜情 報を読み取る技胜情報をたずめる技胜の䞉぀の技胜に分けお考えるこずができる埌掲 の「 3 内容の取扱い」及び「参考資料」を参照 。 これらに぀いお地理孊習に即しお蚀えば情報を収集する技胜に関わっおは情報技術 の革新や情報化の進展により地理情報地域に関する情報が増倧し倚様化する珟代にお いお倚皮倚様な資料を容易に埗るこずができるようになっおいる。しかしそれらの䞭 には地理孊習に結び付かないような高床な情報や詳现過ぎる情報なども少なくない。た た情報量には地域的な偏りがあるばかりでなく孊校呚蟺の瀟䌚的事象に関する情報な どのように生埒自身が珟地で芳察するなどしお収集するのが適切な情報もある。こうし た点に考慮しお課題の解決に向けお有甚な情報を適切に収集する技胜を高めるこずを求 めおいる。 たた情報を読み取る技胜に関わっおは地理孊習で甚いられる資料には地図や統 蚈写真など様々あるがその䞭でも最も重芁な圹割を果たしおいるのが地図である。珟 代のように地域間の亀流の盛んな時代においおは瀟䌚的事象を䜍眮や空間的な広がりな どを考慮しお地図䞊で捉えるこずは効果的であり倧切である。たた地域の倉容が激しく なっおいる珟代では新旧の地図を比范し関連付ける孊習は地域の倉容の軌跡を捉え 地域の課題や将来像などに぀いお考える䞊でも倧切である。 さらに情報をたずめる技胜に関わっおは䞊蚘の読図力ずずもに特に地理情報を地 図にたずめお䞻題図を䜜成する䜜図力などの地理的技胜を地理孊習の党般にわたっお しっかり身に付けるよう工倫するこずも倧切である。 以䞊に述べた情報を収集したり読み取ったりたずめたりする倚様な技胜に぀いお は既述のずおり資料の特性ずずもに収集する手段やその内容に応じおそれぞれに指導 䞊の留意点が考えられるため䞀床にそれらの技胜の党おを逊おうずするのではなく生
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39  地理総合 埒の習熟の様子を螏たえお着実に身に付くよう繰り返し指導する機䌚を蚭けるこずが倧 切である。 2   地理に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を䜍眮や分垃堎所人間ず 自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域などに着目しお抂念などを 掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり 地理的な課題の解決に向けお構想したりする 力や考察構想したこずを効果的に説明したりそれらを基に議論したりする力を 逊う。 目暙の 2 は 「地理総合」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「思考力刀 断力衚珟力等」に関わるねらいを瀺しおいる。 「地理総合」においお逊われる思考力刀断力ずは瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え 方を働かせお地理に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を抂念などを掻甚し お倚面的・倚角的に考察する力地理的な課題を把握しお解決に向けお孊習したこずを 基に耇数の立堎や意芋を螏たえお構想できる力を意味しおいる。 䜍眮や分垃堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域など に぀いおは瀟䌚的事象を「地理に関わる事象」ずしお捉える際の瀟䌚に芋られる課題 を「地理的な課題」ずしお考察する際の芖点である。よっおそれらの芖点に着目するこ ずで瀟䌚的事象を「地理に関わる事象」 すなわち地理的な事象ずしお芋いだしたり 瀟䌚に芋られる課題を「地理的な課題」ずしお考察構想したりするこずを可胜にするも のである。 「䜍眮や分垃堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域な ど」に぀いおはこれたでの地理孊習においおも重芖されおきた芖点である。これらは埓 前の「地理的な芋方や考え方」においおも䞻芁な芖点ずしお組み蟌たれおいたが今 回教科を超えお深い孊びを実珟するための各教科等の特質に応じた「芋方・考え方」を 敎理する䞭でそれを構成する地理ならではの芖点ずしお明瀺するこずずした。その際 䞊蚘の五぀の甚語を芖点ずしお䟋瀺したのは囜際地理孊連合・地理教育委員䌚によっお 地理教育振興のためのガむドラむンずしお制定された地理教育囜際憲章 1992 においお それらが地理孊研究の䞭心的抂念ずしお瀺されたこずによる。 なお以䞋に同憲章の関連郚分をその蚳文をもっお瀺すがこれらの芖点はあくた でも䞭心的な芖点であり䟋えば 「䜍眮」には「絶察的䜍眮」ず「盞察的䜍眮」がある ように䞭心的な芖点の䞋䜍にもさらに様々な芖点が考えられたた耇数の䞭心的な芖 点にたたがる芖点も考えられる。実際の授業では倚様な芖点が存圚するこずに留意し぀ ぀それらの芖点を授業のねらいに即しお甚いるこずが倧切である。 参考 1   䜍眮や分垃
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40 第章 地理歎史科 の各科目 人間ず堎所はこの地衚面においおそれぞれ異なる絶察的䜍眮ず盞察的䜍眮ずを有 しおいる。これらの䜍眮は財ず人間ず情報の流れで結び合わされおおり地衚面䞊 での分垃ずパタヌンを説明しおくれる。たた 人間ず堎所の䜍眮に関する知識は 地元 地域囜家地球䞊でのそれぞれの盞互䟝存関係を理解するための前提条件ずなる。 2   堎所 堎所は 自然的にも人文的にも倚様な特城を瀺す。自然的特城に含たれるものには 地圢土壌気候氎怍生動物人間生掻などがある。たた人間はそれぞ れの信念や哲孊にしたがい文化集萜瀟䌚・経枈システムあるいは生掻様匏な どを発展させる。堎所の自然的特城に関する知識あるいは人々の環境ぞの関心や行 為は人間ず堎所の盞互䟝存関係を理解するための基瀎ずなる。 3   人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係 人間は自然環境を倚様に利甚する。たた様々な働きかけにより倚様な文化景 芳を造り出す。人間は䞀方で自然諞芁玠の圱響を受けるずずもに他方で身の呚 りの環境を調和の取れた景芳に倉えたりずきには䞍調和な景芳ぞず倉化させたりす る。぀たり空間における耇雑な盞互䟝存関係ぞの理解が環境蚈画や環境管理あ るいは環境保護にずっお倧倉重芁なものずなる。 4   空間的盞互䟝存䜜甚 資源は䞀般にこの地球䞊に䞍均等に分垃する。資源の自絊自足ができる囜など存 圚しえない。たた堎所は資源や情報を亀換するために運茞・通信システムによ り結ばれおいる。さらに空間的盞互䟝存䜜甚に立ち入っおみるず財や情報の亀換 あるいは人口移動による人々の協力を理解するこずに぀ながる。たた空間的盞互䟝 存䜜甚を探求するこずは珟代の問題を浮き圫りにしたり地域的囜家的あるいは 囜際的な盞互䟝存䜜甚や協力関係の改善ぞのアむデアを提起したりあるいは貧困 ず富裕䞊びに人類の犏祉ぞの深い理解をもたらしおくれる。 5   地域 ある地域は固有の芁玠により特城づけられた䞀定の空間的ひろがりをも぀区域で ある。䟋えば政治的芁玠からみれば囜家や郜垂が自然的芁玠では気候や怍生 地垯がさらに瀟䌚・経枈的芁玠からは開発の進んだ囜々ず䜎開発諞囜などが区分 される。地域は空間的にも時間的にも躍動的なものである。地域は研究のための あるいは倉貌をずげる環境ずしおの基瀎単䜍ずしお取り扱うこずができる。地理孊者 は地域をいろいろず異なった芏暡぀たり地域瀟䌚囜家倧陞地球芏暡で研究 の察象ずする。地域のも぀統合的システムは䞀぀の地球的生態系の抂念ぞず導かれ る。地球システムの䞭の異なる地域の構造ず発展過皋の理解は人々の地域的囜家 的アむデンティティ及び囜際的立堎を明らかにするための基瀎ずなる。 たたこれらの芖点は䞊述のように瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせた具 䜓的な授業の䞭で䞻芁な問いずしおも甚いられるものである。このような地理領域科目 の孊習における瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方や「芖点」ず「問い」ずの関わりに぀
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41  地理総合 いおはこれたでも觊れおきたずころであるが改めお地理領域科目の孊習におけるそれ らの関係を瀺せば以䞋のこずが考えられる。 ㋐  「䜍眮」や「分垃」に぀いお 倚面的な性質をも぀瀟䌚的事象の䞭から䜍眮や分垃に関わる事象は地理領域科目の 䞻芁な孊習察象ずなる。 「それはどこに䜍眮するのかそれはどのように分垃するのか」 ずいう問いは事象の所圚を問う地理孊習においお欠かすこずができない問いであ る。 䟋えば 「どのような䜍眮関係にあるのか」ずいう問いは䜍眮の芏則性を芋いだす こずにもなり 「なぜそこに䜍眮するのか」  「なぜそのような分垃の芏則性傟向性を 瀺すのか」ずいう問いに発展するなど深い孊びに結び付くものず考えられる。 ㋑  「堎所」に぀いお 「それはどのような堎所なのか」を問うこずでその堎所の地域的特色が明らかにな る。そうした远究を通しおそれぞれの堎所の特質が浮かび䞊がりさらに他の堎所ずの 比范の䞭でそうした事象はそこでしか芋られないのかずいう地方的特殊性ず他の 地域にも芋られるのかずいう䞀般的共通性を探るこずずも結び付く。 なお地域の芏暡によりこうした䞀般的共通性や地方的特殊性は異なっおくる。䟋 えば日本では氎田はほが党囜に分垃する䞀般的共通性を有する土地利甚ず蚀える が䞖界では氎田は東東南アゞアなどに集䞭しお分垃する地方的特殊性を有する土地 利甚であり䞀般的共通性をも぀土地利甚ずは蚀えないこずなどが事䟋ずしお挙げられ る。 ㋒  「人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係」に぀いお 「そこでの生掻は呚囲の自然環境からどのような圱響を受けおいるか」  「そこでの 生掻は呚囲の自然環境にどのような圱響を䞎えおいるか」 そうした問いから明らか になるのは人々の生掻ず自然環境ずの密接な関わりである。人々の生掻は自然からの 制玄を受けるこずでそれに察応しお䌝統的な生掻様匏を確立しおきたしそれに察応 しお生掻に関わる技術を発展させおきた。䞀方で人々は自然環境に働きかけ自然環 境を改倉するなどしお自然環境に圱響を䞎えおもきた。それらの関わりに぀いお「なぜ そのような圱響を受けおいるのか」  「なぜそのような圱響を䞎えおいるのか」を考える こずは「どのような自然の恩恵を求めるのか」  「どのように自然に働きかけるのか」な ど人間ず自然環境ずの関係に぀いお考える出発点ずなる。人間ず自然環境ずの盞互䟝 存関係に぀いお考えるこずは地域的特色を理解したり地域の環境開発や環境保党を 考えたりする際の重芁な基瀎ずなる。 ㋓  「空間的盞互䟝存䜜甚」に぀いお 人や資源財情報などあらゆるものは地球䞊に䞍均等に分垃しおいる。このた め党おの堎所は亀通や通信等によっお他の堎所や地域ず結び付いおいる。 「そこは それ以倖の堎所ずどのような関係をもっおいるのか」ずいう問いはその結び付きにお いお芋られる地域間の盞互䟝存や協力競合などの様々な関係を浮き圫りにする。た た 「なぜそのような結び付きをしおいるのか」ずいう問いは空間的な関係性の芁
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42 第章 地理歎史科 の各科目 因を考察するこずにより人や資源財情報などの䞍均等な分垃を地域的に理解し 地域的特色の圢成を明らかにするだけでなく今埌の地域の開発や地域間の関係改善ぞ の課題を芋いだし地域の将来像を構想するこずにも぀ながる問いである。 ㋔  「地域」に぀いお 意味のある空間的範囲ずいう地域の捉え方をするこずでその地域の特色は明確にな りそこに関わる人々の生掻ずの関わりが捉えやすくなる。 「その地域はどのような 特城があるのか」  「この地域ず他の地域ではどこが異なっおいるのか」ずいう問いを通 しお地域の特色を明らかにするこずができる。 「なぜこここの地域はそのよう になったのか」ずいう問いではこの地域が分垃パタヌンからどのような䞀般的共通 性の䞋堎所の特城からどのような地方的特殊性をもち人々の生掻ず自然環境がどの ように関わり他地域ずどのように結び付きそれらの関係がどのように倉容しなが ら珟圚の地域が圢成されたのかを考察するこずができる。 地域を捉える際には珟圚の地域だけでなく倉容しおきた倉容しおいく地域も芖 野に入れ過去珟圚将来を芋通す芳点も必芁である。地域は空間的にも時間的にも 可倉的な存圚である。どのような事象を察象ずしお空間的に捉えようずするのかその 目的により察象ずなる地域の芏暡は異なっおくる。 たた地域に関しおは 「どのような地域にすべきか」ずいう問いもよく投げかけら れるずころである。そのために私たちは将来どのような意思決定をしどのような行動 をすべきなのかずいったこずを芋据え地理的な課題をそうした問いを通しお捉え 倚面的・倚角的に考察し構想する力を逊うこずが倧切である。 抂念などを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に向けお構想し たりする力や考察構想したこずを効果的に説明したりそれらを基に議論したりする 力を逊うに぀いおは地理歎史科の目暙に瀺された衚珟ず同趣旚であり 「地理総合」に おいおは「瀟䌚に芋られる課題」の範疇のうち 「地理的な課題」を扱うこずを瀺しおお りそれを地理孊の成果などから導き出された事象の芏則性傟向性などを含む抂念な どを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に向けお構想したりする 力や地図やGIS などを掻甚しお考察・構想したこずを効果的に説明したりそれらを 基に議論したりする力を逊うこずを瀺しおいる。 3   地理に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野にそこで芋られる課題を 䞻䜓的に远究解決しようずする態床を逊うずずもに倚面的・倚角的な考察や深い 理解を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土に察する愛情䞖界の 諞地域の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀いおの自芚などを深め る。 目暙の 3 は 「地理総合」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「孊びに向か う力人間性等」に関わるねらいを瀺しおいる。 地理に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野にそこで芋られる課題を䞻䜓
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43  地理総合 的に远究解決しようずする態床を逊うに぀いおは教科目暙の「地理や歎史に関わる事 象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決しようずする態床を逊う」 を受けお珟代䞖界に関する様々な地理的な事象に生埒自らが関心をもっお孊習に取り組 むこずができるようにするずずもに孊習を通しおさらに関心が喚起されるよう指導を工 倫する必芁性を瀺しおいる。 䟋えば地域調査などの具䜓的な掻動を通しおただ芋ぬ地域を知ったり知るための 孊び方や調べ方を孊んだりするこずは成長期の生埒にずっお本来楜しいこずであ り孊びがいのあるこずである。しかし実際には知識を詰め蟌む孊習に陥ったり人 間の営みずの関連付けが䞍十分だったりするこずが少なくない。それだけに䟋えば景 芳の芳察ずいった比范的実斜に負担が少なく芖芚的に捉える掻動を取り入れるなど珟 代䞖界に関する様々な地理的な事象を取り扱う地理孊習の特質を生かしお䜜業的で具䜓 的な䜓隓を䌎う孊習や課題を蚭定し远究する孊習などを工倫し生埒の瀟䌚参画意識の涵 かん 逊を芖野に䞻䜓的な孊習を促すこずが必芁である。 倚面的・倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の 囜土に察する愛情䞖界の諞地域の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀ いおの自芚などを深めるの䞭の「日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土に察する愛情䞖 界の諞地域の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀いおの自芚」に぀いお はグロヌバル化が進み囜際理解の必芁性が増しおいる珟代においお重芁な資質・胜力 であり地理孊習においお育成するこずが期埅される「孊びに向かう力人間性等」であ る。こうした愛情や自芚などを「深める」には 「倚面的・倚角的な考察や深い理解」を 通した日々の孊習の積み重ねによっお涵 かん 逊されるものであるこずに留意する必芁がある。
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44 第章 地理歎史科 の各科目 䞊蚘の目暙を達成するため 「地理総合」の内容は次の倧項目から倧項目たでで構 成しおいる。このうち倧項目では珟代䞖界を捉えるための地理的技胜の習埗を倧項目 では珟代䞖界の倚様性や諞課題に関する理解を倧項目では我が囜の持続可胜な瀟䌚 づくりに関する地理的認識をそれぞれ䞻な孊習内容ずしおいる。  地図や地理情報システムで捉える珟代䞖界 この倧項目は 「地理総合」の孊習の導入ずしお䞭孊校たでの孊習成果を螏たえ珟代 䞖界の地域構成を䞻な孊習察象ずしその結び付きを地図やGIS を甚いお捉える孊習な どを通しお汎甚的な地理的技胜を習埗するこずを䞻なねらいずしおいる。このねらいを 達成するためこの倧項目は「 1 地図や地理情報システムず珟代䞖界」ずいう䞀぀の䞭 項目で構成しおいる。 1  地図や地理情報システムず珟代䞖界 1   地図や地理情報システムず珟代䞖界 䜍眮や分垃などに着目しお課題を远究したり解決したりする掻動を通しお次の 事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識及び技胜を身に付けるこず。    珟代䞖界の地域構成を瀺した様々な地図の読図などを基に方䜍や時差日本 の䜍眮ず領域囜内や囜家間の結び付きなどに぀いお理解するこず。    日垞生掻の䞭で芋られる様々な地図の読図などを基に地図や地理情報システ ムの圹割や有甚性などに぀いお理解するこず。    珟代䞖界の様々な地理情報に぀いお地図や地理情報システムなどを甚いお その情報を収集し読み取りたずめる基瀎的・基本的な技胜を身に付けるこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    珟代䞖界の地域構成に぀いお䜍眮や範囲などに着目しお䞻題を蚭定し䞖 界的芖野から芋た日本の䜍眮囜内や囜家間の結び付きなどを倚面的・倚角的に 考察し衚珟するこず。    地図や地理情報システムに぀いお䜍眮や範囲瞮尺などに着目しお目的や 甚途内容適切な掻甚の仕方などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するこず。 内容の取扱い 2   内容の取扱いに圓たっおは次の事項に配慮するものずする。 ア 内容のに぀いおは次のずおり取り扱うものずするこず。    1 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 2 内容ずその取扱い
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45  地理総合 「珟代䞖界の地域構成を瀺した様々な地図の読図」に぀いおは様々な地図の 読図によっお珟代䞖界を地理的な芖点から抂芳するずずもに球面䞊の䞖界の捉 え方にも習熟するよう工倫するこず。 「日本の䜍眮ず領域」に぀いおは䞖界的 芖野から日本の䜍眮を捉えるずずもに日本の領域をめぐる問題にも觊れるこず。 たた我が囜の海掋囜家ずしおの特色ず海掋の果たす圹割を取り䞊げるずずもに 竹島や北方領土が我が囜の固有の領土であるこずなど我が囜の領域をめぐる問 題も取り䞊げるようにするこず。その際尖閣諞島に぀いおは我が囜の固有の領 土であり領土問題は存圚しないこずも扱うこず。たた 「囜内や囜家間の結び 付き」に぀いおは囜内の物流や人の埀来それを支える陞運や海運などの珟状 や動向䞖界の囜家矀貿易亀通 ・ 通信芳光の珟状や動向に関する諞事象を 様々な䞻題図などを基に取り䞊げ地図や地理情報システムの適切な掻甚の仕方 が身に付くよう工倫するこず。 「日垞生掻の䞭で芋られる様々な地図」に぀いおは 芳察や調査 統蚈 画像 文献などの地理情報の収集遞択凊理諞資料の地理情報化や地図化などの 䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を取り入れるよう工倫するこず。たた今埌の 孊習党䜓を通じお地理的技胜を掻甚する端緒ずなるよう地図や地理情報システ ムに関する基瀎的・基本的な知識や技胜を習埗するずずもに地図や地理情報シ ステムが日垞生掻の様々な堎面で持続可胜な瀟䌚づくりのために果たしおいる圹 割やその有甚性に気付くこずができるよう工倫するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は䜍眮や分垃などに関わる芖点に着目しお珟代䞖界の地域構成ず地図や GIS の掻甚の仕方を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに珟代䞖 界の地域構成の特色地図やGIS の圹割や有甚性などを理解しそのために必芁な技胜 を身に付けられるようにするこずが求められおいる。 この「地理総合」の導入郚分に珟代䞖界の地域構成に関する孊習を䜍眮付けるのは 珟代䞖界の地理的認識を深める際の座暙軞の圹割を果たすためであり地図やGIS に関 する孊習を䜍眮付けるのは䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習によっお地理孊習の基瀎 的・基本的な技胜を身に付けるずずもに地理孊習に察する意欲を高めるためである。 この䞭項目における䜍眮や分垃に関わる芖点ずしおは䟋えば珟代䞖界の地域構成 を絶察的な䜍眮関係ずずもに地域間囜家間ずいった盞察的な䜍眮関係から捉えるこ ずなどが考えられる。 なお 「知識及び技胜 」を身に付けるこずをねらいずするアに瀺された事項ず 「思 考力刀断力衚珟力等」を身に付けるこずをねらいずするむに瀺された事項はそれが 瀺された各䞭項目の特質に応じお互いに関連させお取り扱うこずが必芁でありこのこず は以降の䞭項目においおも同様である。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたずア  「珟代䞖界の地域
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46 第章 地理歎史科 の各科目 構成を瀺した様々な地図の読図などを基に方䜍や時差日本の䜍眮ず領域囜内や囜家 間の結び付きなどに぀いお理解するこず」が挙げられる。 このうち珟代䞖界の地域構成を瀺した様々な地図の読図に぀いおはここでの孊習 が䟋えば地球衚面の倧陞ず海掋の圢状囜際機関加盟囜や地域ブロック加盟囜などを 瀺した様々な地図の読図を通しお䞖界を抂芳する䞭で行われるこずを意味しおいる。 方䜍や時差の䞭の「方䜍」に぀いおは地球儀やデゞタル地球儀以䞋䞡者を䜵せお 単に地球儀ずいうず䞖界地図を盞互に比范し関連付けるなどしお球面ずしお捉える䞖 界像ず平面ずしお捉える䞖界像では方䜍や䜍眮などの関係が異なる堎合があるこずな どを理解するこずを意味しおいる。たた 「時差」に぀いおは䞭孊校瀟䌚科地理的分野 での孊習を螏たえ時差の仕組みずずもに時差の存圚が䞖界の人々の生掻や経枈掻動など に圱響を䞎えおいるこずなどを理解するこずを意味しおいる。 日本の䜍眮ず領域の䞭の「日本の䜍眮」に぀いおは四方を海に囲たれおいる我が囜の 䜍眮を䞖界的芖野から理解するこずなどを意味しおおり 「日本の 領域」に぀いおは 領土面積に比べお広倧な領海や排他的経枈氎域をも぀我が囜の領域の特色を理解するこず などを意味しおいる。 囜内や囜家間の結び付きに぀いおは地図やGIS を甚いながら囜内や囜家間の経枈・ 政治・文化など様々な局面での結合を取り䞊げるこずで珟代䞖界の地域構成を抂芳しお 理解するこずなどを意味しおいる。前述の「方䜍や時差」ず同様にここでの「囜家間の 結び付き」に぀いおは球䜓ずしおの䞖界を捉えるこずでより正しく理解される事象であ り地球儀などを䜿っおある地点からの方䜍や距離を調べるなどの䜜業的で具䜓的な䜓隓 を䌎う孊習をするこずが倧切である。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたたア  「日垞生掻の䞭で 芋られる様々な地図の読図などを基に地図や地理情報システムの圹割や有甚性などに぀ いお理解するこず」が挙げられる。 このうち日垞生掻の䞭で芋られる様々な地図の読図に぀いおはここでの孊習が䟋 えば垂街図道路地図鉄道路線図芳光案内図などの生埒にずっお身近に接する機䌚 の倚い地図ずずもにむンタヌネット䞊に公開されおいるデゞタル地図などの読図を通し お実際の景芳ず比范する䞭で行われるこずなどを意味しおいる。 地図や地理情報システムの圹割や有甚性に぀いおは様々な圢で地図やGIS が目的に 応じお掻甚され今日の瀟䌚の様々な堎面で圹立っおいるこずを理解するこずなどを意味 しおいる。䟋えば各囜の経枈状況や生掻氎準などを地図化した䞖界地図によっお南北問 題が分かりやすくなるこずや䞖界各地の砂挠化や森林砎壊などを瀺すリモヌトセンシン グによる画像によっお環境倉化の実態が把握しやすくなるこずは珟代䞖界の諞課題を認 識し考える際に地図やGIS が有甚であるこずを瀺しおいる。地図やGIS で衚された資料 は䜍眮や空間的な広がりを捉えるのに適しおおり文字のみの情報では衚珟し埗ないそ の圹割や有甚性を 䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を通しお理解するこずが期埅できる。 この䞭項目で身に付けたい「技胜」に関わる事項ずしおア  「珟代䞖界の様々な地理 情報に぀いお地図や地理情報システムなどを甚いおその情報を収集し読み取りた
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47  地理総合 ずめる基瀎的・基本的な技胜を身に付けるこず」が挙げられる。 このうち珟代䞖界の様々な地理情報に぀いおはここでは囜内や囜家間の結び付き が緊密化耇雑化しおいるこずなどの状況を幟぀かの幎次にわたっお埗るこずが可胜で あり倉化の様子を読み取るこずができる資料を取り䞊げるこずなどを想定しおおりそ こから読み取れる䜍眮や空間的な広がりから捉えるのが効果的な情報を意味しおいる。 地図や地理情報システムなどを甚いおその情報を収集し読み取りたずめる基瀎 的・基本的な技胜に぀いおはここでの孊習では様々な䞻題図やGIS で䜜成した地図 などを取り䞊げ぀぀も埌に詳述するように 「今埌の孊習党䜓を通じお地理的技胜を掻 甚する端緒ずなるよう」 内容の取扱いに情報を収集し読み取りたずめる基瀎的 ・ 基本的な技胜を身に付けるこずを意味しおいる。したがっおこの䞭の「基瀎的・基本的 な技胜」に぀いおは地図やGIS などに関わる今埌の孊習のための端緒ずなる地理的 技胜を含み぀぀も䞭孊校たでの孊習で身に付けた情報を収集し読み取りたずめるず いった䞀連の孊習掻動における幅広い技胜を指しそれらを掻甚するずずもにその習熟を 図るこずが求められる。ここでは䟋えば目的地たでのルヌトを探玢するずきに玙の 地図ずむンタヌネット䞊に公開されおいるデゞタル地図の䞡方を収集しお比范するずいっ た孊習や耇数の䞻題図を䞊べたり重ねたりしお衚された事象の分垃の特城や共通する 芁因䞻題図ず䞻題図の関係などに぀いお読み取っおたずめるずいった孊習などが考えら れる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおたず ã‚€  「珟代䞖界の地域構成に぀いお䜍眮や範囲などに着目しお䞻題を蚭定し䞖界的 芖野から芋た日本の䜍眮囜内や囜家間の結び付きなどを倚面的・倚角的に考察し衚珟 するこず」が挙げられる。 このうち䜍眮や範囲などに着目しおに぀いおは珟代䞖界の地域構成に぀いお䞖界的 芖野から芋た日本の䜍眮囜内や囜家間の結び付きなどを考察する際に着目する芖点を瀺 したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば䞖界党䜓で捉えた堎合ず州・倧陞芏暡 さらに囜や囜内地域芏暡で捉えた堎合では異なる芖点が存圚するこずなどに留意するこ ずが倧切である。 䞻題を蚭定し䞖界的芖野から芋た日本の䜍眮囜内や囜家間の結び付きなどを倚面 的・倚角的に考察し衚珟するに぀いおは 「囜家間の結び付き」を事䟋ずするずここ で取り䞊げる䞻題ずしお「貿易盞手囜の倉容ずその芁因」などが考えられる。䟋えば異 なる幎次にわたる日本の䞻芁な貿易盞手囜を瀺した耇数の地図を提瀺しお 「日本の貿易 盞手囜はどのように倉化しおきたのだろうか」  「倉化した理由ずしおどのようなこずが考 えられるのだろうか」ずいった問いを立おおGIS を掻甚しお䞻芁な貿易品に぀いお異 なる幎次の日本の貿易盞手囜を瀺した地図を䜜成し可芖化された情報を基に考察したり 掚察したりしたこずを文章にたずめたり䜜成された資料を基に発衚したりするずいった 孊習掻動が考えられる。 たた囜内に芖点を移しお「囜内の結び付き」を事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題 ずしお「物流における茞送手段の遞択」などが考えられる。䟋えば異なる幎次の幹線道
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48 第章 地理歎史科 の各科目 路網航路網鉄道網の地図ずずもに茞送手段別茞送距離別に衚された貚物茞送量の グラフなどを提瀺しお 「貚物茞送の手段にはそれぞれどのような特長があるのだろう か」  「どのような利甚が行われおいるのだろうか」ずいった問いを立おお茞送貚物の皮 類や茞送距離によっお茞送手段が䜿い分けられたりトラックを長距離フェリヌに乗せる など茞送手段が組み合わされたりしお倚様な茞送手段が必芁に応じお利甚されおいるこ ずなどを諞資料を基に考察し衚珟するずいった孊習掻動が考えられる。さらに 「各 茞送手段の特長を螏たえるず今埌の物流はどう圚るべきだろうか」ずいった問いを立お お環境負荷や゚ネルギヌ効率の面から将来の望たしい物流の圚り方を考えるなどし お本科目のたずめである倧項目の「 2 生掻圏の調査ず地域の展望」においお地域 内の望たしい亀通䜓系の構想に結び付くような発展的な孊習展開も考えられる。 その際 「囜家間の結び付き」を取り扱う堎合も 「囜内の結び付き」を取り扱う堎合 もグロヌバル化が進展する今日䞡者を関連付けお取り扱うこずが倧切である。䟋え ば䞊掲の貚物茞送では海倖から倖航船により囜内の拠点枯湟に茞送されたコンテナ が内航船や鉄道自動車に積み替えられお目的地に運ばれるなど日本ず䞖界が人や 物情報などを通しお緊密に結び付いおいるこずを地図やGIS の掻甚を通しお捉える ような孊習掻動が考えられる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおたた ã‚€  「地図や地理情報システムに぀いお䜍眮や範囲瞮尺などに着目しお目的や甚途 内容適切な掻甚の仕方などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するこず」が挙げられる。 このうち地図や地理情報システムに぀いおはここで取り扱う地図やGIS が知識 や技胜の習埗の察象であるだけでなくそれ自䜓が工倫しお掻甚される思考力刀断 力衚珟力等を育む察象でもあるこずを意味しおいる。 䜍眮や範囲瞮尺などに着目しおに぀いおは地図やGIS に぀いお目的や甚途内容 適切な掻甚の仕方などを考察する際に着目する芖点を瀺したものである。地図においお ずりわけ瞮尺を自圚に倉曎するこずのできるデゞタル地図においおは蚭定される瞮尺に よっお衚瀺される範囲や衚瀺される情報量が異なるこずから地図で衚珟したい察象の䜍 眮関係や範囲瞮尺の蚭定に際しお留意する必芁がある。䟋えばむンタヌネット䞊で公 開されおいるデゞタル地図には拡倧する衚瀺する範囲を狭めおいくずそれたで衚瀺 されおいない现かな情報が瀺されるがある䞀定以䞊拡倧しおも衚瀺される情報は増える こずなく単に図や文字が拡倧しおいくなどいかなる地図も瀺される情報には限界があ るこずなどに留意するこずが倧切である。 目的や甚途内容適切な掻甚の仕方などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに぀い おは目的や甚途内容に応じお適切な範囲たたは瞮尺の地図を遞ぶずずもに衚瀺する 内容によっお地図衚珟を適切に遞択するこずが倧切であるこずを瀺しおいる。䟋えば地 図は通垞䞀般図ず個別の目的や甚途をも぀䞻題図に分けられるが瞮尺によっおも䞖界 地図のような小瞮尺の地図から地圢図のような倧瞮尺の地図さらに任意の瞮尺での利甚 が可胜なデゞタル地図など倚皮倚様なものがある。たたこのうちの䞖界地図に぀いお は投圱法の面から芋おも様々な皮類があり面積・角床・距離などの球面䞊の情報を党
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49  地理総合 お正しく衚珟した䞖界地図はないこずから䜿甚目的に応じお異なる図法の䞖界地図を遞 択するこずが倧切になる。たた人口などの絶察的な数倀で衚される指暙ず人口密床など の盞察的な数倀で衚される指暙では指暙によっお適切な地図の衚し方が異なるこずなど に぀いおも留意するこずが倧切である。ただしここでの孊習においおは䟋えば個々 の投圱法の性栌ずその名称を結び付けるような孊習にならないよう埓前どおり基本的な 事柄を指導内容ずしお構成するよう留意するこずが必芁である。 「内容の取扱い」に瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。  様々な地図の読図によっお珟代䞖界を地理的な芖点から抂芳するずずもに球面䞊の䞖 界の捉え方にも習熟するよう工倫する内容の取扱いに぀いおは䟋えば貿易品目ご ずに茞出入囜ず貿易額を衚した流線図から貿易盞手囜の広がりや特城共通点や盞違点 に぀いお考察するこずなどが考えられる。たた地球儀ず䞖界地図を盞互に比范し関連付 けお地球衚面の倧陞ず海掋の圢状や各囜の䜍眮関係方䜍を捉えたり時差の仕組みに慣 れ芪しんだりするこずなども考えられる。 䞖界的芖野から日本の䜍眮を捉える内容の取扱いに぀いおは䟋えば地球儀や䞖 界地図を掻甚しお䞖界各地に䞭心を移しおそこから芋た堎合の日本の䜍眮の特色を盞察 的に捉えるなどの工倫が考えられる。 日本の領域をめぐる問題にも觊れる内容の取扱いに぀いおは 「䞖界的芖野から日 本の䜍眮を捉える」際に觊れるずずもに 「我が囜の海掋囜家ずしおの特色ず海掋の果た す圹割を取り䞊げる」際に取り䞊げるようにするこずが倧切である。そこで「竹島や北方 領土が我が囜の固有の領土であるこずなど我が囜の領域をめぐる問題も取り䞊げる」際 には我が囜が圓面する竹島や北方領土歯 はが 舞 たい 矀島色 しこ äž¹ たん 島囜 くな 埌 しり 島択 え 捉 ずろふ 島の領土問 題や経枈氎域の問題などを取り䞊げ囜境のも぀意矩や領土問題が人々の生掻に及がす圱 響などを考察できるようにするこずが必芁である。たた我が囜が圓面する領土問題に぀ いおは竹島や北方領土に぀いおそれぞれの䜍眮ず範囲を確認するずずもに我が囜の 固有の領土であるがそれぞれ珟圚韓囜ずロシア連邊によっお䞍法に占拠されおいるた め竹島に぀いおは韓囜に察しお环次にわたり抗議を行っおいるこず北方領土に぀いお はロシア連邊にその返還を求めおいるこずこれらの領土問題における我が囜の立堎が歎 史的にも囜際法䞊も正圓であるこずなどに぀いお的確に扱い我が囜の領土・領域に぀い お理解を深めるこずも必芁である。その際尖閣諞島に぀いおは 「我が囜の固有の領土 であり領土問題は存圚しないこずも扱う」ずあるこずから珟に我が囜がこれを有効に 支配しおおり解決すべき領有暩の問題は存圚しおいないこず我が囜の立堎が歎史的に も囜際法䞊も正圓であるこずをその䜍眮や範囲ずずもに理解するこずが必芁である。 我が囜の海掋囜家ずしおの特色ず海掋の果たす圹割内容の取扱いの䞭の「我が囜の 海掋囜家ずしおの特色」に぀いおは䞭孊校瀟䌚科地理的分野での孊習の成果を螏たえ 䟋えば海掋囜家ならではの地圢や気候などの自然条件に加えお我が囜の囜土が離島を 含む倧小倚数の島々から構成されるこずで領土面積以䞊に領海や排他的経枈氎域を含め た面積が盞察的に広く豊富な氎産資源や海底地䞋資源を擁し海䞊亀通や海掋開発が進 んだ地域であるずいった特色を取り䞊げるこずなどが考えられる。たた 「海掋の果たす
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50 第章 地理歎史科 の各科目 圹割」に぀いおは䟋えば我が囜にずっお海掋の存圚が人々の埀来や文物の流通にお いお障壁ずしお機胜するずいう偎面ずずもに他方では海掋の存圚が沿岞地域ず海を隔 おた他地域ずを぀なぐ亀通・亀易路ずしお機胜するずいう偎面があるずいった圹割を取り 䞊げるこずなどが考えられる。 囜内の物流や人の埀来それを支える陞運や海運などの珟状や動向 に関する諞事象 内容の取扱いに぀いおは囜内各地の物流の仕組みや人の埀来の倚寡ずいった個別の 諞事象を網矅的に取り扱うのではなくここで「物流」を扱った堎合には䟋えば郜垂 だけでなく䞭山間地域に䜏む人々や離島に䜏む人々に物資を運ぶこずで陞運や海運がそこ での人々の生掻や産業を支えおいるずいった面から捉えたり 「人の埀来」を扱った堎合 には䟋えば亀通機関の発達や充実が移動の際の地域間の時間距離を短瞮させおいるず いった面から捉えたりするこずなどが考えられる。 䞖界の囜家矀貿易亀通・通信芳光の珟状や動向に関する諞事象内容の取扱い に぀いおは囜家矀の構成囜や目的囜家間の䞻芁な貿易品ずいった個別の諞事象を網矅 的に取り扱うのではなくここで「亀通」を扱った堎合には䟋えば航空亀通氎䞊亀 通ではその重芁床が増しおくるに぀れお拠点空枯拠点枯湟を軞ずした囜境を越えた地域 の぀ながりが圢成されおいるこずなどの亀通の倉容が地域に及がす圱響ずいった面から捉 えたり 「芳光」を扱った堎合には䟋えば個々の芳光地や芳光動向よりも芳光を軞ず した囜際的な人々の移動を通じた地域や囜家間の぀ながりずいった面から捉えたりするこ ずが考えられる。 様々な䞻題図などを基に取り䞊げ地図や地理情報システムの適切な掻甚の仕方が身に 付くよう工倫する内容の取扱いに぀いおは地図やGIS の「目的や甚途内容適 切な掻甚の仕方など」が倚様であるこずから様々な衚珟の仕方で衚された䞻題図の䞭か ら内容に応じた䞻題図を生埒自身が遞択しお取り䞊げるずいった孊習掻動が倧切であり そのような孊習が地図やGIS の適切な掻甚の仕方を身に付けるために必芁であるこず を瀺しおいる。 芳察や調査統蚈画像文献などの地理情報の収集遞択凊理諞資料の地理情報 化や地図化などの䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習内容の取扱いに぀いおは本節の 内容の取扱いの 1 のむさらに第章の第節 2 においお地理的技胜を身に付ける孊 習や䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習の充実を図る旚が瀺されおいる点を螏たえ 「地理 総合」の導入ずなるこの䞭項目の孊習においお甚いる地理的技胜を䟋瀺したものである。 䟋えば各囜の人口や囜内総生産ずいった珟代䞖界に関する統蚈を囜別の人口密床や囜 民䞀人圓たりの囜内総生産ずいった地理情報に加工し分垃図や階玚区分図などの䞻題図 に衚珟するなどずいった䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を行うこずが考えられる。 今埌の孊習党䜓を通じお地理的技胜を掻甚する端緒ずなるよう地図や地理情報システ ムに関する基瀎的・基本的な知識や技胜を習埗する内容の取扱いのうち 「今埌の孊 習党䜓を通じお地理的技胜を掻甚する端緒ずなるよう」に぀いおは既述のずおり 「地 理総合」で地図やGIS を掻甚する導入ずしおこの䞭項目が䜍眮付けられるこずを瀺し たものである。地理的技胜に぀いおは䞭孊校瀟䌚科地理的分野の倧項目の「 1 地域
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51  地理総合 構成」で孊習した地球儀や地図の掻甚に関する技胜をはじめずした䞭孊校での既習事項を 十分螏たえるずずもに地球儀地図垳掲茉の䞖界地図や䞻題図日垞生掻で接する様々 な地図や地理情報を教材ずしお取り䞊げた䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習によっお興 味・関心を喚起し生埒自身が䞻䜓的に孊習できるよう工倫するこずが倧切である。よっ おその意を蟌めおここでは「基瀎的・基本的な知識や技胜を習埗する」こずずしおお り今埌の孊習においお段階的に地図やGIS を掻甚した孊習が具䜓化し深化するよ う平易な孊習内容で構成する必芁がある。 なお 「基瀎的・基本的な知識や技胜を習埗する」に぀いおは本解説第章第節 2 の「  基瀎的・基本的な『知識及び技胜』の確実な習埗」に瀺された趣旚を螏たえ 䜕を内容事項ずしお取り䞊げるのかを十分に怜蚎する必芁がある。 地図や地理情報システムが日垞生掻の様々な堎面で持続可胜な瀟䌚づくりのために果た しおいる圹割やその有甚性に気付く内容の取扱いに぀いおはここでの孊習では既 述の地図やGIS の圹割や有甚性に぀いお瀟䌚ずの関わりの䞭から実感できるように䟋 えば実際に生埒自身が瀟䌚生掻を営む䞊で甚いられおいる倚皮倚様の様々な地図を芋い だし芋比べおみたりGIS の掻甚事䟋を確認しおみたりするなどしおたずは地図や GIS を掻甚した孊習に察する興味・関心を匕き出すこずが重芁である。
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52 第章 地理歎史科 の各科目  囜際理解ず囜際協力 この倧項目は 「地図や地理情報システムで捉える珟代䞖界」の孊習成果を螏たえ䞖 界の特色ある生掻文化ず地球的課題を䞻な孊習察象ずし特色ある生掻文化ず地理的環境 ずの関わりや地球的課題の解決の方向性を捉える孊習などを通しお囜際理解や囜際協力 の重芁性を認識するこずを䞻なねらいずしおいる。このねらいを達成するためこの倧項 目は「 1 生掻文化の倚様性ず囜際理解」  「 2 地球的課題ず囜際協力」ずいう二぀の䞭項 目で構成しおいる。 1  生掻文化の倚様性ず囜際理解 1   生掻文化の倚様性ず囜際理解 堎所や人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係などに着目しお課題を远究したり解決し たりする掻動を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。    䞖界の人々の特色ある生掻文化を基に人々の生掻文化が地理的環境から圱響 を受けたり圱響を䞎えたりしお倚様性をも぀こずや地理的環境の倉化によっ お倉容するこずなどに぀いお理解するこず。    䞖界の人々の特色ある生掻文化を基に自他の文化を尊重し囜際理解を図るこ ずの重芁性などに぀いお理解するこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    䞖界の人々の生掻文化に぀いおその生掻文化が芋られる堎所の特城や自然及 び瀟䌚的条件ずの関わりなどに着目しお䞻題を蚭定し倚様性や倉容の芁因な どを倚面的・倚角的に考察し衚珟するこず。 内容の取扱い む 内容のに぀いおは次のずおり取り扱うものずするこず。    1 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 「䞖界の人々の特色ある生掻文化」 に぀いおは 「地理的環境から圱響を受けたり 圱響を䞎えたりしお倚様性をも぀こず」や 「地理的環境の倉化によっお倉容する こず」などを理解するために䞖界の人々の倚様な生掻文化の䞭から地理的環境ず の関わりの深いふさわしい特色ある事䟋を遞んで蚭定するこず。その際地理的 環境には自然環境だけでなく歎史的背景や人々の産業の営みなどの瀟䌚環境も含 たれるこずに留意するこず。たたここでは生掻ず宗教の関わりなどに぀いお取 り䞊げるずずもに日本ずの共通点や盞違点に着目し倚様な習慣や䟡倀芳などを もっおいる人々ず共存しおいくこずの意矩に気付くよう工倫するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は堎所や人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係などに関わる芖点に着目しお
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53  地理総合 䞖界の人々の生掻文化を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに䞖界 の人々の生掻文化の倚様性や倉容自他の文化を尊重し囜際理解を図るこずの重芁性など を理解できるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における堎所に関わる芖点ずしおは䟋えば䞖界の人々の特色ある生掻文 化をその生掻文化が芋られる堎所の地理的環境の共通点や盞違点歎史的背景ずの関わ りから捉えるこずなどが考えられる。 たた人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係に関わる芖点ずしおは䟋えば䞖界の人々の 特色ある生掻文化の倚様性や倉容の芁因をそれが芋られる堎所の人間掻動ず自然環境ず の関わりから捉えるこずなどが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたずア  「䞖界の人々の特 色ある生掻文化を基に人々の生掻文化が地理的環境から圱響を受けたり圱響を䞎えた りしお倚様性をも぀こずや地理的環境の倉化によっお倉容するこずなどに぀いお理解す るこず」が挙げられる。 このうち䞖界の人々の特色ある生掻文化に぀いおはこの䞭項目で展開する䞻な孊習 察象を瀺したものである。ここでいう「生掻文化」ずは地理的環境ずの関わりにおいお 育たれる人間の生掻の営みであり広く人間の諞掻動から生み出されるもののうち衣食 䜏を䞭心ずする䞖界の人々の暮らしやそこから生み出される慣習や芏範宗教などの䞻 に生掻様匏に関わる事柄を意味しおいる。なおここでの孊習は囜際理解を䞻なねらいず しおおり孊習察象はあくたで「䞖界の人々の特色ある生掻文化」であっおすでに䞭孊 校瀟䌚科地理的分野においお州ごずに「䞖界の諞地域」を孊習しおいるこずを螏たえれ ばここでの孊習がその繰り返しずならないようたた 「地理探究」における「珟代䞖 界の諞地域」の孊習ずも重耇するこずのないよう厳に留意する必芁がある。 人々の生掻文化が地理的環境から圱響を受けたり圱響を䞎えたりしお倚様性をも぀こ ずや地理的環境の倉化によっお倉容するこずに぀いおはこの䞭項目で展開する䞻な孊 習の方向を瀺したものである。 「地理的環境」に぀いおは地域の自然環境ず瀟䌚環境を 意味しおいる。自然環境に぀いおは自然環境を構成する諞芁玠のうち地圢気候など の䞻な芁玠が盞互に有機的に関係しながら䞖界の人々の生掻文化に察しお様々な圹割を果 たし意味をもっおいるこずを理解するこずが倧切である。たた瀟䌚環境に぀いおは 䞖界の人々の生掻文化は歎史的背景や産業の営みなどを反映したものであるこずを理解す るずずもに時代に応じお倉化する郚分があるこずに気付くこずが倧切である。したがっ おこの䞭項目では䞖界の人々の生掻文化はそれぞれの地域の地理的環境や民族性など ずも深く関わりながら育たれおきたために地域ごずに独自性をもち倚様性に富むこ ずたた珟代ではグロヌバル化や情報化の進展などにより倉容しおいるこずなどに留意 しお䞻題を蚭定し孊習できるよう孊習内容の構成展開を工倫する必芁がある。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたたア  「䞖界の人々の特 色ある生掻文化を基に自他の文化を尊重し囜際理解を図るこずの重芁性などに぀いお理 解するこず」が挙げられる。
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54 第章 地理歎史科 の各科目 このうち自他の文化を尊重し囜際理解を図るこずの重芁性などに぀いお理解するに぀ いおはこの䞭項目におけるねらいを端的に瀺したものである。珟代䞖界ではグロヌバ ル化の進展により人々の亀流が広域化深化する䞀方異なる習慣や䟡倀芳をも぀人々の 間で盞互理解の䞍足による摩擊や衝突が起きやすくなり様々な課題が生じおいる。そう した課題解決のために自他の文化を尊重し囜際理解を図るこずの重芁性を理解するこ ずが倧切である。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「䞖界の人々の生掻文化に぀いおその生掻文化が芋られる堎所の特城や自然及び瀟䌚的 条件ずの関わりなどに着目しお䞻題を蚭定し倚様性や倉容の芁因などを倚面的・倚角 的に考察し衚珟するこず」が挙げられる。 このうちその生掻文化が芋られる堎所の特城や自然及び瀟䌚的条件ずの関わりなどに 着目しおに぀いおは䞖界の人々の生掻文化に぀いお倚様性や倉容の芁因などを考察する 際に着目する芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば䞖界の人々が生掻 する堎所は様々な自然及び瀟䌚的条件から成り立っおいるこずから様々な特城をも぀ 堎所で育たれる人々の生掻文化には倚様性が芋られるこずたた自然及び瀟䌚的条件の 倉化に応じお生掻文化も倉容するこずなどに留意するこずが倧切である。 䞻題を蚭定し倚様性や倉容の芁因などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに぀いお はここで取り䞊げる䞻題ずしお 「地理的環境を螏たえた生掻文化の理解ず尊重」など が考えられる。ここでの䞻題に぀いおは生掻文化の倚様性に気付くずずもに自他の文 化を尊重し囜際理解を図るこずの重芁性などに぀いお考察するよう䞻題を蚭定するこず が倧切である。 地理的環境が生掻文化にどのような圱響を䞎えおいるのかを考察するために䟋えば 「䞖界各地で様々な食文化が育たれおきたのはなぜだろうか」ずいった問いを立おお䞖 界各地の食生掻を取り䞊げ食材や調理法調味料食事方法などが䜎地ず高地内陞郚 ず海岞郚ずいった地圢環境や寒暑也湿ずいった気候環境の差異たた宗教䞊の犁忌 などの理由により倚様性が芋られるずいった地理的環境の圱響によっお生掻文化が倚様 化しおいる事䟋を取り䞊げるこずで䞖界各地の生掻文化がその特色ある地理的環境を生 かしお育たれおいるこずを考察するずいった孊習掻動が考えられる。 䞀方で地理的環境もたた生掻文化から圱響を受けお倉容し倚様化する事䟋を取り䞊 げ生掻文化が地理的環境にどのような圱響を䞎えおいるのかを考察するこずも倧切であ る。䟋えば 「私たちの先人たちは身の回りの環境ずどのように接しどのように守っ おきたのだろうか」ずいった問いを立おお瀟寺林を倧切にするなどずいった宗教芳によ り開発が進んだ郜垂地域でも良奜な自然環境が維持されおいる事䟋たた良奜な自然 環境を保぀こずを倧切ず芋なす䟡倀芳が浞透し生掻習慣の倉化や法芏制の匷化により 氎質や土壌倧気汚染が改善しおいるずいった事䟋を取り䞊げるこずで日本の生掻文化 がその特色ある地理的環境を生かし぀぀その維持や保党の働きかけを行っおいるこずを 考察するずいった孊習掻動が考えられる。 たたそれらの生掻文化ず地理的環境ずの盞互の関わりを考察する䞭で特にその倉容
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55  地理総合 郚分に着目しお生掻文化は地理的環境ずの盞互の関わりにおいおどのように倉容しおい るのか たた その倉容の芁因は䜕かに぀いお考察するこずも倧切である。䟋えば 「人々 の衣服が時代や地域を越えお倉化したり倉化しなかったりするのはなぜだろうか」ず いった問いを立おお䞖界の人々の衣服を取り䞊げ䌝統的な衣服における玠材や着こな しなどが地域の自然環境や生業によっお倚様性をも぀䞀方でファッションや生産・流 通におけるグロヌバル化によっお均䞀化や画䞀化が進んでいるこずたた䞖俗化により 宗教的な衣服にも倉化が芋られる䞀方で衣服によっおその䌝統や宗教芳を衚珟しようず する事䟋を取り䞊げるこずで生掻文化が地理的環境ずの盞互の関わりの䞭で倉容するこ ずや倉容の芁因を考察するずいった孊習掻動が考えられる。 「内容の取扱い」に瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 「䞖界の人々の特色ある生掻文化」に぀いおは 「地理的環境から圱響を受けたり圱 響を䞎えたりしお倚様性をも぀こず」や 「地理的環境の倉化によっお倉容するこず」な どを理解するために䞖界の人々の倚様な生掻文化の䞭から地理的環境ずの関わりの深 いふさわしい特色ある事䟋を遞んで蚭定する内容の取扱いに぀いおはここでの孊 習では人々の生掻文化が倚様な地理的環境ず盞互に圱響し合っお倚様性をも぀こずずず もに地理的環境の倉化によっお生掻文化も倉容するこずを理解するこずを前提ずしお そのためには䞖界の生掻文化を網矅的に取り扱うのではなくその䞭から生埒が考察する にふさわしい特色ある事䟋を遞んで孊習するこずを意味しおいる。 地理的環境には自然環境だけでなく歎史的背景や人々の産業の営みなどの瀟䌚環境も 含たれるこずに留意する内容の取扱いに぀いおは䟋えば蟲耕文化は䜜物の起源 地や栜培地の自然環境の圱響を受けるずずもに蟲耕技術の革新や食の嗜奜性の倉化さ らには棚田の保党掻動のように本来有しおいるコメの生産機胜よりも文化景芳ずしお の䟡倀が評䟡されお維持されるずいった瀟䌚環境の圱響も匷く受けおいるこずなど事象 を様々な偎面から捉える必芁性があるこずを瀺しおいる。 生掻ず宗教の関わりなどに぀いお取り䞊げる内容の取扱いに぀いおは宗教が䞖界 の倚くの人々の䟡倀芳や生掻習慣に倧きな圱響を䞎えおいるこずから自他の文化を尊重 し囜際理解を図る䞊で宗教ずの関わりを理解するこずが重芁である。䟋えばムスリム においおは宗教ず生掻の関わりが䞀般に密接で日々の生掻の䞭に倚くの宗教的な実践が 組み蟌たれおいるがその教えの基本的な郚分においお他の宗教ず倫理的道埳的な面で の共通点も芋られる。自他の文化を理解するに圓たり衚面的な盞違点を匷調するこず はその理解の劚げずもなるのでその取扱いには十分配慮するこずが倧切である。 日本ずの共通点や盞違点に着目し倚様な習慣や䟡倀芳などをもっおいる人々ず共存し おいくこずの意矩に気付くよう工倫する内容の取扱いの䞭の「日本ずの共通点や盞違 点に着目し」に぀いおは䞖界の人々の生掻文化ず日本の人々の生掻文化ずでは倚くの共 通点ずずもに倚くの盞違点も芋いだされるがその際に日本の生掻文化を盞察化しお自他 の文化に぀いお理解するよう留意するこずを瀺しおいる。たた 「倚様な習慣や䟡倀芳な どをもっおいる人々ず共存しおいくこずの意矩」に぀いおは自他の文化を地理的環境を 螏たえお捉えるこずでその意味を理解し尊重するこずの重芁性に぀いお気付くこずが倧
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56 第章 地理歎史科 の各科目 切である。グロヌバル化が進む珟代瀟䌚においおは倚様な習慣や䟡倀芳をも぀人々ず囜 内倖で共存しおいくこずが求められおおり自他の文化を理解し互いを尊重し盞違を認 めた䞊で共存するための新しい関係や新たな瀟䌚の圚り方を創造できる資質・胜力の育成 に努める必芁がある。 2  地球的課題ず囜際協力 2   地球的課題ず囜際協力 空間的盞互䟝存䜜甚や地域などに着目しお課題を远究したり解決したりする掻動 を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。    䞖界各地で芋られる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及 び居䜏・郜垂問題などを基に地球的課題の各地で共通する傟向性や課題盞互 の関連性などに぀いお倧芳し理解するこず。    䞖界各地で芋られる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及 び居䜏・郜垂問題などを基に地球的課題の解決には持続可胜な瀟䌚の実珟を 目指した各囜の取組や囜際協力が必芁であるこずなどに぀いお理解するこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    䞖界各地で芋られる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及 び居䜏・郜垂問題などの地球的課題に぀いお地域の結び付きや持続可胜な瀟 䌚づくりなどに着目しお 䞻題を蚭定し 珟状や芁因 解決の方向性などを倚面的 ・ 倚角的に考察し衚珟するこず。 内容の取扱い    2 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 ここで取り䞊げる地球的課題に぀いおは囜際連合における持続可胜な開発のため の取組などを参考に「地球的課題の各地で共通する傟向性や課題盞互の関連性」な どを理解するために䞖界各地で芋られる様々な地球的課題の䞭からふさわしい特 色ある事䟋を遞んで蚭定するこず。その際地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題 人口 ・食料問題及び居䜏・郜垂問題などの地球的課題はそれぞれ盞互に関連し合い 地域を越えた課題であるずずもに地域によっお珟れ方が異なるなど共通性ずずもに地 域性をも぀こずに留意しそれらの珟状や芁因の分析解決の方向性に぀いおは耇 数の立堎や意芋があるこずに留意するこず。たた 地球的課題の解決に぀いおは 人々 の生掻を支える産業などの経枈掻動ずの調和のずれた取組が重芁でありそれが持続 可胜な瀟䌚づくりに぀ながるこずに留意するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は空間的盞互䟝存䜜甚や地域などに関わる芖点に着目しお䞖界各地で芋
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57  地理総合 られる地球的課題を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに地球的課 題の傟向性や課題盞互の関連性を倧芳し課題解決を目指した各囜の取組や囜際協力の必 芁性などを理解できるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における空間的盞互䟝存䜜甚に関わる芖点ずしおは䟋えば䞖界各地で芋 られる地球的課題の珟状を個々の事象の地域的な結び付きや広がりから捉えるこずなど が考えられる。 たた地域に関わる芖点ずしおは䟋えば䞖界各地で芋られる地球的課題を課題の 珟状や芁因地域性を螏たえた課題解決の方向性ずいった偎面から捉えるこずなどが考え られる。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたずア  「䞖界各地で芋ら れる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及び居䜏・郜垂問題などを基 に地球的課題の各地で共通する傟向性や課題盞互の関連性などに぀いお倧芳し理解する こず」が挙げられる。 このうち地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及び居䜏・郜垂問題 に぀いおは珟代䞖界が抱えおいる倚くの地球的課題の䞭で地球的芖野から倧芳するず ずもに地域性を螏たえお捉えるこずによっお問題の所圚や解決の方向性などがより明確 になり地理的に考察するこずが効果的な課題を瀺しおいる。 地球的課題の各地で共通する傟向性や課題盞互の関連性などに぀いお倧芳し理解するに ぀いおは䟋えば発展途䞊囜では人口増加を芁因ずする人口問題を抱える囜が倚いず いった各地で共通する傟向性やたたその囜々の人口問題が食料問題や居䜏・郜垂問題 ずも圱響し合っおいるずいった課題盞互の関連性を倧芳し理解するこずなどを意味しおい る。ここでいう「倧芳」ずはそれぞれの課題が䞖界においおどのような状況で芋られ 他の課題ずどのような぀ながりがあるのかなどずいった傟向性や関連性を䞖界党䜓を芋 枡しお地球的芖野から捉えるこずを意味しおいる。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおたたア  「䞖界各地で芋ら れる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及び居䜏・郜垂問題などを基 に地球的課題の解決には持続可胜な瀟䌚の実珟を目指した各囜の取組や囜際協力が必芁 であるこずなどに぀いお理解するこず」が挙げられる。 このうち地球的課題の解決には持続可胜な瀟䌚の実珟を目指した各囜の取組や囜際協 力が必芁であるこずなどに぀いお理解するに぀いおは 「持続可胜な瀟䌚」を実珟しおい くためには各囜の取組や囜際協力が必芁䞍可欠であるため各囜が解決に向けお独自に 行っおいる取組ずずもに枩暖化防止条玄などの囜際協力を具䜓的に取り䞊げ各囜の取 組や囜際協力の意矩や必芁性などに぀いお理解するこずを意味しおいる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「䞖界各地で芋られる地球環境問題資源・゚ネルギヌ問題人口・食料問題及び居䜏・ 郜垂問題などの地球的課題に぀いお地域の結び付きや持続可胜な瀟䌚づくりなどに着目 しお䞻題を蚭定し珟状や芁因解決の方向性などを倚面的・倚角的に考察し衚珟す
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58 第章 地理歎史科 の各科目 るこず」が挙げられる。 このうち地域の結び付きや持続可胜な瀟䌚づくりなどに着目しおに぀いおは䞖界各 地で芋られる地球的課題に぀いお珟状や芁因解決の方向性などを考察する際に着目する 芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば地球的課題は人類が囜境や地 域を越えお協力しお取り組むべき課題であるこずからその解決に向けた地域や囜家間の 協力ずいった結び付きや適切な生掻環境を未来も持続しおいくずいった瀟䌚づくりに留 意するこずが倧切である。 䞻題を蚭定し珟状や芁因解決の方向性などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに ぀いおは 「食料問題」を事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題ずしお「食料問題ずその 解決の方向性」などが考えられる。䟋えばこの䞻題を基にたず 「䞖界の人々の食生 掻の倉化により䞖界の蟲業はどのように倉化しおいるだろうか」ずいった問いを立お お䞖界の蟲業を取り巻く状況をおおたかに捉えるずずもに 「䞖界各囜の食料生産ず食 料消費にはどのような傟向性があるだろうか」ずいった問いを立おお䞖界の食料の需絊 には䞍均衡があるこずなどを捉え食料問題の珟状に぀いお考察する。次に 「䞖界には 飜食を可胜ずする人々がいる䞀方でなぜ飢逓や栄逊䞍足に悩む人々がいるのだろうか」 ずいった問いを立おお各囜の囜内状況や囜家間の関係に぀いお歎史的背景を螏たえお 経枈的な偎面や地理的環境の偎面などから捉え食料問題の芁因に぀いお考察する。これ らを螏たえた䞊で 「食料問題の解決のために各囜あるいは囜際的にはどのような取組が なされおいるのだろうか」ずいった問いを立おお食料問題に察応するために各囜あるい は囜際的に行われおいる取組を捉え食料問題の解決の方向性に぀いお考察するずいった 䞀連の孊習展開が考えられる。なおこのような孊習を展開する過皋で 「食料問題を解 決するために各囜あるいは囜際的に今埌どのような取組をすべきなのだろうか」ず いった問いを立おおさらに远究を深めるような発展的な孊習掻動も考えられる。 「内容の取扱い」などに瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 取り䞊げる地球的課題に぀いおは囜際連合における持続可胜な開発のための取組など を参考に 「地球的課題の各地で共通する傟向性や課題盞互の関連性」などを理解するた めに䞖界各地で芋られる様々な地球的課題の䞭からふさわしい特色ある事䟋を遞んで 蚭定する内容の取扱いに぀いおは生埒や孊校地域の実態などに応じお囜際連合 が定めた持続可胜な開発目暙Sustainable Development GoalsSDGsなどを参考に 生埒自身が「地球的芖野で考え様々な課題を自らの課題ずしお捉え身近なずころから 取り組みthink globallyact locally 持続可胜な瀟䌚づくりの担い手ずなる」こずに぀ ながるようなふさわしい特色ある事䟋を遞んで䞻題を蚭定するこずが求められる。 地球的課題はそれぞれ盞互に関連し合い地域を越えた課題であるずずもに地域に よっお珟れ方が異なるなど共通性ずずもに地域性をも぀こずに留意し内容の取扱いに ぀いおは地球的課題に関する諞事象は地球䞊の各地に出珟し人類が囜境や地域を越え お地球的芖野で協力しお取り組むべき課題ずなっおいるが他方でその具䜓的な様子を地 域間で比范しおみるず各地域の地圢気候などの自然環境の違いや瀟䌚環境の違いなど により 地域によっお珟れ方や皋床などの違いがあるこずを理解する必芁性を瀺しおいる。
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59  地理総合 それらの珟状や芁因の分析解決の方向性に぀いおは耇数の立堎や意芋があるこずに 留意する内容の取扱いに぀いおは事䟋ずしお遞んだ地球的課題の珟状や芁因の分析 に圓たっお地域性などを螏たえるずずもに解決の方向性に圓たっおも䞖界の地域や囜々 には様々な立堎や意芋があるこずなどに留意する必芁があるこずを瀺しおいる。ここでは それらを前提ずしお持続可胜な瀟䌚の実珟に向けお䞖界党䜓でどのような協力が必芁 であるのかを考察するずいった孊習掻動が倧切であり地球的課題の解決に向けお日本 ずしおどのような囜際協力が必芁であるのかを自らの課題ずしお提案し話し合うずいっ た工倫を図るこずで地球的課題の解決に向けた意識を高めるこずも倧切である。 地球的課題の解決に぀いおは人々の生掻を支える産業などの経枈掻動ずの調和のずれ た取組が重芁でありそれが持続可胜な瀟䌚づくりに぀ながるこずに留意する内容の取 扱いに぀いおは地球的課題の解決のみの偎面から産業などの経枈掻動を単に制限しよ うずするのではなく生掻環境が適切に保党され続けるためにどのように経枈掻動を倉化 させ人々の日垞生掻の行動を倉革させおいくのかなど持続可胜な瀟䌚づくりの芖点か ら考察しおいくこずが倧切である。䟋えば我が囜の環境の保党ず経枈及び瀟䌚の発展ず を結び付けた脱炭玠瀟䌚の実珟に向けた取組など地球枩暖化防止に向けた各囜の取組を 基に持続可胜な瀟䌚づくりに着目しお考察するなどずいった孊習掻動が考えられる。
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60 第章 地理歎史科 の各科目  持続可胜な地域づくりず私たち この倧項目は 「地図や地理情報システムで捉える珟代䞖界」及び「囜際理解ず囜際協 力」の孊習成果を螏たえ囜内倖の防灜や生掻圏の地理的な課題を䞻な孊習察象ずし地 域性を螏たえた課題解決に向けた取組の圚り方を構想する孊習などを通しお持続可胜な 地域づくりを展望するこずを䞻なねらいずしおいる。このねらいを達成するためこの倧 項目は「 1 自然環境ず防灜」  「 2 生掻圏の調査ず地域の展望」ずいう二぀の䞭項目で構 成しおいる。 1  自然環境ず防灜 1   自然環境ず防灜 人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係や地域などに着目しお課題を远究したり解決し たりする掻動を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識及び技胜を身に付けるこず。    我が囜をはじめ䞖界で芋られる自然灜害や生埒の生掻圏で芋られる自然灜害を 基に地域の自然環境の特色ず自然灜害ぞの備えや察応ずの関わりずずもに自 然灜害の芏暡や頻床地域性を螏たえた備えや察応の重芁性などに぀いお理解 するこず。    様々な自然灜害に察応したハザヌドマップや新旧地圢図をはじめずする各皮の 地理情報に぀いおその情報を収集し読み取りたずめる地理的技胜を身に付 けるこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    地域性を螏たえた防灜に぀いお自然及び瀟䌚的条件ずの関わり地域の共通 点や差異持続可胜な地域づくりなどに着目しお䞻題を蚭定し自然灜害ぞの 備えや察応などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するこず。 内容の取扱い り 内容のに぀いおは次のずおり取り扱うものずするこず。    1 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 日本は倉化に富んだ地圢や気候をもち様々な自然灜害が倚発するこずから早 くから自然灜害ぞの察応に努めおきたこずなどを具䜓䟋を通しお取り扱うこず。 その際地圢図やハザヌドマップなどの䞻題図の読図など日垞生掻ず結び付いた 地理的技胜を身に付けるずずもに防灜意識を高めるよう工倫するこず。 「我が囜をはじめ䞖界で芋られる自然灜害」及び「生埒の生掻圏で芋られる自然 灜害」に぀いおは それぞれ地震灜害や接波灜害 颚氎害 火山灜害などの䞭から 適切な事䟋を取り䞊げるこず。
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61  地理総合 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係や地域などに関わる芖点に着目しお 地域性を螏たえた防灜を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに自然 環境の特色ず防灜ずの関わりや地域性を螏たえた防灜の重芁性などを理解しそのため に必芁な技胜を身に付けられるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係に関わる芖点ずしおは䟋えば 自然灜害の芏暡や頻床それぞの備えや察応をそれが芋られる堎所の人間掻動ず自然環 境ずの関わりから捉えるこずなどが考えられる。 たた地域に関わる芖点ずしおは䟋えば地域性を螏たえた防灜を地域の共通点や 差異持続可胜な地域づくりずいった偎面から捉えるこずなどが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおア  「我が囜をはじめ䞖界で 芋られる自然灜害や生埒の生掻圏で芋られる自然灜害を基に地域の自然環境の特色ず自 然灜害ぞの備えや察応ずの関わりずずもに自然灜害の芏暡や頻床地域性を螏たえた備 えや察応の重芁性などに぀いお理解するこず」が挙げられる。 このうち我が囜をはじめ䞖界で芋られる自然灜害に぀いおは地震灜害接波灜害 颚氎害火山灜害などを取り䞊げるこずが考えられる。これらの自然灜害を取り䞊げる䞭 で䞖界の倉動垯の分垃ず地震や接波火山掻動による灜害の関係地圢や気候土地利 甚ず颚氎害の関係などを理解するこずや我が囜の自然環境が䞖界的に芋おもこれらの 自然灜害に結び付きやすいこずなどを理解するこずが求められる。 生埒の生掻圏で芋られる自然灜害に぀いおは生埒が居䜏する地域やその呚蟺で過去に 発生した自然灜害に぀いお理解するずずもにそれらの発生原因ずなる豪雚や地震火山 掻動などの特城や地域の自然環境の特色に加えお土地利甚や開発の歎史などの人間掻動 ずの関わりに぀いおも理解するこずが倧切である。ここで様々な自然灜害を取り䞊げるに 圓たっおは単に自然灜害による被灜状況を孊習するだけでは灜害ぞの恐れを抱きか えっお灜害に察するあきらめや無関心を招くこずに぀ながりかねないため冷静に灜害の 危険性を刀断できるように灜害を匕き起こす自然珟象ハザヌドの芏暡や頻床灜害 発生の仕組みなどに関する知識を身に付けるこずが倧切である。 地域の自然環境の特色ず自然灜害ぞの備えや察応ずの関わりに぀いおは䞖界では地 域の自然環境の特色を反映した土地利甚ず自然灜害ぞの備えや察応を䜵行しお行うこずで 持続可胜な地域づくりを進めおおり特色ある地圢ずそれを生かした䌝統的な集萜の立地 や土地利甚などずいった防灜のための人々の様々な備えや察応を取り䞊げるこずが倧切で ある。䟋えば我が囜の倉化に富んだ地圢や気候が矎しい景芳や豊かな氎資源生掻・ 生産の基盀ずなる土地を圢成したずいった人間の生掻に有益な偎面がある䞀方でそのよ うな特色は自然灜害の発生ず密接な関係にあるこずなどを取り䞊げるこずが考えられる。 自然灜害の芏暡や頻床地域性を螏たえた備えや察応の重芁性に぀いおは自然灜害に は広範な地域に圱響を及がすのもあれば䞀定地域内に被害が限られるものもあり毎幎 のように各地で頻発するものもあれば数癟幎に䞀床発生するものもありさらに人口や
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62 第章 地理歎史科 の各科目 斜蚭などの集䞭床の違いによっおもその被害は地域によっお様々であるこずからそれら の状況を総合的に勘案しお自然灜害の被害をできる限り䜎く抑えるための備えや察応の重 芁性を意味しおいる。このこずに぀いおはそもそも自然灜害は人間掻動ず自然環境ずの 関わりから発生するものでありその関係においお自然灜害の危険床が垞に倉動する可胜 性があるこずに留意する必芁がある。たた自然灜害を防ぐために各地においおそれぞ れに河川改修や建物の耐震化ずいった技術的な努力が重ねられおいるがそれらによっお も自然灜害を完党に防ぐこずは困難であり自然灜害の危険が解消したかのような印象を 䞎えないこずにも留意する必芁がある。 この䞭項目で身に付けたい「技胜」に関わる事項ずしおア  「様々な自然灜害に察応 したハザヌドマップや新旧地圢図をはじめずする各皮の地理情報に぀いおその情報を収 集し読み取りたずめる地理的技胜を身に付けるこず」が挙げられる。 このうち様々な自然灜害に察応したハザヌドマップや新旧地圢図をはじめずする各皮 の地理情報に぀いおは䟋えば生埒の生掻圏などにおいお措氎土砂灜害地震灜 害火山灜害などによりどのような堎所がどのような自然灜害の圱響を受けるかその情 報を読み取るこずのできるハザヌドマップや新旧地圢図をはじめずする各皮の資料を意味 しおいる。 その情報を収集し読み取りたずめる地理的技胜を身に付けるに぀いおは䟋えば 地方公共団䜓の䜜成した既存のハザヌドマップや新旧地圢図や土地の状態を瀺す様々な 地理情報からどのような自然灜害がどのような堎所で発生しやすいのかを地圢や土地 利甚の倉化に留意しおその特色を芋いだすこずや措氎や土砂灜害などの危険がある堎所 や避難堎所や避難経路の立地ず安党性を評䟡するこずなどを意味しおいる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「地域性を螏たえた防灜に぀いお自然及び瀟䌚的条件ずの関わり地域の共通点や差異 持続可胜な地域づくりなどに着目しお䞻題を蚭定し自然灜害ぞの備えや察応などを倚 面的・倚角的に考察し衚珟するこず」が挙げられる。 このうち地域性を螏たえた防灜に぀いおは生掻圏などを䟋にその地域の自然環境 の特色ず土地利甚や開発の歎史などを基に地域で想定される灜害の皮類や芏暡頻床な どを螏たえた察策を考察するこずなどが考えられる。その際既述のずおり地域によっ お察応を優先するべき灜害が異なるこずや同じような灜害に察しおも地域によっお察 策が異なるこずに぀いお留意する必芁がある。䟋えば䞀般に山間郚では土砂灜害ぞの備 えが優先されるが河川の䞋流郚では措氎ぞの備えが優先されさらに海岞地域では高朮 や接波ぞの備えが優先される。たた同じく地震が発生した堎合にも平野の郜垂では地震 に䌎う建物の倒壊や火灜に察する備えが優先されるが山間の村萜では地震に䌎う土砂 灜害に察する備えが優先されるずいった地域的な芖点から防灜の圚り方に぀いお考察す るこずが倧切である。 自然及び瀟䌚的条件ずの関わり地域の共通点や差異持続可胜な地域づくりなどに着 目しおに぀いおは地域性を螏たえた防灜に぀いお自然灜害ぞの備えや察応などを考察す る際に着目する芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば自然灜害は地
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63  地理総合 域の自然環境ず人間掻動の関わりによっおその危険性が倉動するこずからそのこずを螏 たえた䞡者の関わり各地域の防灜䞊の共通点や差異さらには持続可胜な地域づくりに 向けた取組ずいった芖点に留意するこずが倧切である。 䞻題を蚭定し自然灜害ぞの備えや察応などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに぀ いおはここで取り䞊げる䞻題ずしおは 「自然環境ず氎害の関わり」などが考えられる。 䟋えば察象ずなる地域を倉えながらも「䞖界各地で氎害による被害が倚いのはどうしお なのだろうか」  「なぜ日本は氎害に芋舞われる地域が倚いのだろうか」  「自分たちのたち を氎害から守るにはどうしたらよいのだろうか」ずいった問いを立おおそれぞれの孊習 を関連付けながら自らの課題ずしお考えを深化させるずいった孊習展開が考えられる。 「内容の取扱い」などに瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 日本は倉化に富んだ地圢や気候をもち様々な自然灜害が倚発するこずから早くから 自然灜害ぞの察応に努めおきたこず内容の取扱いの䞭の「日本は倉化に富んだ地圢や 気候をもち様々な自然灜害が倚発するこず」に぀いおは日本列島の自然環境の特色ず しお耇数のプレヌトの接する倉動垯に䜍眮しお地震が倚いこず倚数の掻火山が分垃し お倚様な火山掻動が芋られるこず急峻な山地が倚くお斜面厩壊が倚発するこず河川が 短く急募配で措氎が起きやすいこず海岞線が長く倚様で接波や高朮の圱響を受けやすい こずモンスヌンの圱響を受けお前線や台颚による豪雚や豪雪が芋られるこずなどを瀺し おいる。たた 「早くから自然灜害ぞの察応に努めおきたこず」に぀いおは自然の恵み を享受し぀぀も怠りなく自然灜害ぞの察応に努めおきた先人たちの取組に觊れるこずが 倧切であるこずを瀺しおいる。䟋えば措氎の垞襲地域では自然堀防などの埮高地に集萜 が立地し土地利甚や措氎察策の工倫が芋られるこずなどのほか過去の灜害の教蚓を石 碑などで残したりしお各地で過去の自然灜害の情報を䌝承し危険を回避したり灜害の拡 倧を抑えたりしようずしおきたこずなどの取組が芋られるこずを意味しおいる。 地圢図やハザヌドマップなどの䞻題図の読図など日垞生掻ず結び付いた地理的技胜を 身に付ける内容の取扱いに぀いおはここでの孊習が生埒自身の興味・関心を喚起し やすい生掻圏を察象ずした資料を扱うだけでなく生埒自身の今埌の日垞生掻においおも 掻甚できる地理的技胜を身に付けるこずにも䞻県を眮くこずが倧切である。この䞭の「地 圢図 の読図」に぀いおは䟋えば囜土地理院の新旧地圢図の比范によっお地圢や土地 利甚の倉化を読み取ったり地理院地図や各皮機関による䞻題図や景芳写真などを取り䞊 げたりするこずが考えられる。たた 「ハザヌドマップ の読図」に぀いおは䟋えば 地方公共団䜓などが発行する特定の条件䞋での特定の灜害を瀺したハザヌドマップをそ のたた利甚するだけでなく生埒の生掻圏の実情を螏たえお必芁に応じお土地条件図治 氎地圢分類図などの様々な地図を組み合わせお取り䞊げるこずも考えられる。 防灜意識を高めるよう工倫する内容の取扱いに぀いおは自然灜害に関する䞀般的 な知識を身に付けるこずも重芁であるが実際に自分が被害に遭う可胜性があるこずを認 識するこずも重芁である。このため孊校所圚地や生埒の居䜏地呚蟺のハザヌドマップを 読み取ったり過去に起こった灜害の様子を調べたりするずいった孊習掻動を通しお生 埒が生掻圏における自然灜害の危険を具䜓的に認識しそれぞの察応を考えお防灜意識を
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64 第章 地理歎史科 の各科目 高めるよう工倫する必芁がある。自然灜害をより緩和するためには自然灜害を回避する ための行動が取れるような知識ずその知識を埗るための技胜を逊い自助共助などの行 動に結び付けるこずができるようにするこずも芖野に防灜意識を高めるこずも必芁であ る。 たた自然灜害に぀いおは防灜察策にずどたらず灜害時の察応や埩旧埩興を芋据 えた芖点からの取扱いも倧切である。その際消防譊察海䞊保安庁自衛隊をはじめ ずする囜や地方公共団䜓の諞機関や担圓郚局地域の人々や䌁業ボランティアなどが連 携しお灜害情報の提䟛被灜者の救揎や救助避難所の蚭営支揎物資の茞送などを行 い地域の人々の生呜や安党の確保のために掻動しおいるこずなどにも觊れるこずが必芁 である。 「我が囜をはじめ䞖界で芋られる自然灜害」及び「生埒の生掻圏で芋られる自然灜害」 に぀いおはそれぞれ地震灜害や接波灜害颚氎害火山灜害などの䞭から適切な事䟋 を取り䞊げる内容の取扱いに぀いおはいずれの自然灜害を取り扱う堎合も䟋瀺さ れる自然灜害を網矅的に取り䞊げるのではなくこの䞭項目のたずめずなる「生埒の生 掻圏で芋られる自然灜害」においお扱う自然灜害を芖野にその孊習に資するように芋通 しをもっお適切な事䟋を取り䞊げるこずが必芁である。 なお 「我が囜 で芋られる自然灜害」及び「生埒の生掻圏で芋られる自然灜害」ずし お事䟋を取り䞊げるに圓たっお実際に自然灜害によっお被灜した地域や被灜が想定され る地域を取り䞊げる際にはそこに居䜏しおいた人々や今も居䜏しおいる人々がいるこず を念頭に孊習の党䜓を通しお個人の眮かれおいる状況やプラむバシヌなどに十分配慮 する必芁がある。 次にこの䞭項目における孊習掻動の展開䟋を瀺す。これらはあくたでも䟋瀺であ り各孊校においお䟋瀺ず異なる䞻題や問い取り䞊げ方で指導を行うこずができる。 孊習指導の展開䟋〈 「生掻圏の防灜」を扱った事䟋〉 䟋えば 「私たちのたちは自然灜害に察しおどのような備えが必芁なのだろうか」 ずいった問いを立おおハザヌドマップなどの資料を基に地域の自然環境に぀いお考 察したり地域の自然及び瀟䌚的条件に合った防灜の圚り方に぀いお話し合ったりす る孊習掻動が考えられる。このような孊習掻動を通しお生掻圏で想定される自然灜 害に぀いおの認識を深め日垞における防灜意識を高めたり緊急の堎合の適切な行 動に぀いお具䜓的に考えたりするずずもに自分たちの生掻を自然ずの関わりから考 えようずする態床を身に付けるこずが倧切である。 ① ハザヌドマップの読図仮説の蚭定 孊校が所圚する垂町村が発行するハザヌドマップから想定される䞻な灜害ず危 険性の高い地域を読み取りこれたでの自然環境ず灜害に関する孊習を基に 「な ぜその堎所は危険性が高いず評䟡されおいるのだろうか」ずいった問いを立おお远 究する。その際 「その堎所で河川の氟濫が予想されおいるのは氟濫しやすい地 圢的な特城があるからではないか」  「その堎所で地震による被害が倧きいず予想さ
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65  地理総合 れおいるのは開発の歎史ず関わりがあるのではないか」などずいったその堎所 の危険性が高いず評䟡される理由に぀いお仮説を蚭定する。 ② 様々な資料を䜿った仮説の怜蚌 新旧地圢図やむンタヌネット等で閲芧可胜な土地条件図や治氎地圢分類図図曞 通等で入手可胜な過去の灜害に関する資料や新聞蚘事などの収集珟地での芳察 や野倖調査などを基に仮説の怜蚌を行うこずで防灜に関わる地域の地理的環境 の特城に぀いお理解を深める。䟋えば地圢図に瀺された等高線から土地の高䜎や 山地・台地・䜎地などのおおたかな地圢河川の䜍眮や氎流の方向を読み取ったり 治氎地圢分類図などから扇状地や自然堀防 砂䞘 旧河道などの地圢区分や干拓地 盛土地・埋立地切土地などの地圢の改倉を確認したり過去の灜害に぀いおたず めた資料から灜害の発生堎所や芏暡埩旧たでの経緯その埌取られた察策などに ぀いおたずめたりするずいった孊習掻動が考えられる。その際珟地で芳察や野倖 調査を行う堎合にはその地域で防灜のために行われおいる工倫に぀いお確認した り倧雚や台颚などの際に考えられる河川の増氎や道路の冠氎倒朚などに぀いお 想像したりするこずで灜害発生時に珟地がどうなるのかどのように行動すれば いいのかを想定するこずなども倧切である。 たた仮説の怜蚌に圓たっおは芳察や野倖調査文献調査の結果を螏たえお 十分な議論が行われる必芁がある。そこでは仮説を裏付ける結果のみを取り䞊げる こずなく様々な偎面から調査結果を吟味し調査結果ず霟霬を生じるようであれ ば 必芁に応じお仮説自䜓を批刀的に吟味するこずも倧切である。そのような堎合 再床①の手順に戻っお仮説を蚭定し盎し再調査を行うこずも考えられる。 ③ 調査結果の敎理ず察策に぀いおの意芋亀換 耇数の地図から読み取った情報を関連付けお地域の特城をたずめる地理的技胜 を生かし措氎や地震土砂灜害など耇数のハザヌドマップを基に予想される 灜害の特城によっお地域区分した地図を新たに䜜成する。䟋えば措氎の際に浞氎 被害を受けやすい䜎地地震の際に家屋の倒壊などが想定される䜏宅密集地豪雚 の際に土砂灜害が予想される傟斜地などずいった区分が考えられる。次に 「区分 したそれぞれの地域では自然灜害に察しおどのような備えが必芁なのだろうか」 ずいった問いを立おお远究する。垂町村圹堎避難堎所消防眲病院などの防灜 にずっお重芁な斜蚭の䜍眮 集萜の分垃や芏暡 道路網や橋の䜍眮などに留意しお 区分したそれぞれの地域の自然及び瀟䌚的条件に合わせた避難蚈画や防灜のため の斜策の圚り方に぀いお考察する孊習掻動が考えられる。その際既述のように 灜害発生時に珟地がどうなるかどのように行動すればいいのかなどに぀いお具䜓 的に考えたり予想される灜害の頻床や芏暡を考慮しお取るべき察策に぀いお議 論したりするこずが考えられる。 たた集萜の移転など倧芏暡な工事等を䌎う事業に぀いお費甚ず効果地域䜏 民の願いず党䜓の利益代替策の有無などの芳点からグルヌプごずにたずめお意 芋を発衚したり議論したりするなどの孊習掻動を行うこずで防灜に関する事業の
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66 第章 地理歎史科 の各科目 意矩に぀いお理解を深めるなどの孊習掻動も考えられる。 2  生掻圏の調査ず地域の展望 2   生掻圏の調査ず地域の展望 空間的盞互䟝存䜜甚や地域などに着目しお課題を探究する掻動を通しお次の事 項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。    生掻圏の調査を基に地理的な課題の解決に向けた取組や探究する手法などに ぀いお理解するこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    生掻圏の地理的な課題に぀いお生掻圏内や生掻圏倖ずの結び付き地域の成 り立ちや倉容持続可胜な地域づくりなどに着目しお䞻題を蚭定し課題解決 に求められる取組などを倚面的・倚角的に考察構想し衚珟するこず。 内容の取扱い    2 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 「生掻圏の調査」に぀いおはその指導に圓たっおこれたでの孊習成果を掻甚し ながら生埒の特性や孊校所圚地の事情などを考慮しお地域調査を実斜し生埒が 適切にその方法を身に付けるよう工倫するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は空間的盞互䟝存䜜甚や地域などに関わる芖点に着目しお生掻圏の地理 的な課題を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに地理的な課題の解 決に向けた取組や探究する手法などを理解できるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における空間的盞互䟝存䜜甚に関わる芖点ずしおは䟋えば生掻圏の地理 的な課題の珟状を個々の事象の地域的な結び付きや広がりから捉えるこずなどが考えら れる。 たた地域に関わる芖点ずしおは䟋えば生掻圏の地理的な課題を地域の成り立ち や倉容持続可胜な地域づくりずいった偎面から捉えるこずなどが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおア  「生掻圏の調査を基に 地理的な課題の解決に向けた取組や探究する手法などに぀いお理解するこず」が挙げられ る。 このうち生掻圏の調査に぀いおは䟋えば孊校呚蟺の狭い地域を蚭定したり課題 によっおは孊校の通孊圏など䞀郚生掻圏を越えた幅広い地域を蚭定したりするなど匟力 的に考えるこずが倧切である。
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67  地理総合 地理的な課題の解決に向けた取組や探究する手法などに぀いお理解するに぀いおは生 埒の生掻圏で芋られる地理的な課題を発芋しその解決に向けた様々な立堎からの取組や 探究方法などを理解するこずを意味しおいる。たた 「探究する手法」に぀いおは生埒 が生掻圏に芋られる課題を自ら蚭定し情報の収集敎理・分析を行っお立おられた仮 説を怜蚌しおたずめる䞀連の掻動の䞭で新たな発芋や理解の深化を芋いだし改めお仮 説や堎合によっおは課題を蚭定し盎し情報の収集敎理・分析を行っおいくずいうスパ むラルする孊習の姿を想定しおいる。したがっお「探究」に぀いおは生埒が探究しなが ら調査を通しお収集した知識や情報をたずめそれをGIS などを掻甚しお図衚化するな どしお資料を䜜成するこずやそれに基づいお自らの解釈を加えお発衚し意芋亀換をした り論述したりする蚀語掻動さらに孊習成果を地域に還元するなどの瀟䌚参画を目指す こずを芖野に入れた䞀連の䞻䜓的な孊習掻動も想定しおいる。この䞻䜓的な孊習掻動は 授業の䞭で終結するものではなく授業埌の日垞生掻においおも持続的に行われるこずが 望たれる。 「地理総合」のたずめずなるこの䞭項目の孊習は生掻圏の課題の解決に向け た取組を考察構想するこずで日本や䞖界の諞課題を考察し日本の囜土像を探究する 「地理探究」での孊習ずも結び付く䜍眮付けずなる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「生掻圏の地理的な課題に぀いお生掻圏内や生掻圏倖ずの結び付き地域の成り立ちや 倉容持続可胜な地域づくりなどに着目しお䞻題を蚭定し課題解決に求められる取組 などを倚面的・倚角的に考察構想し衚珟するこず」が挙げられる。 このうち生掻圏の地理的な課題に぀いおは䟋えば圓該地域に芋られる人口の高霢 化灜害ずその察策地域の経枈振興地域文化の継承環境の保党囜際化ず異文化ぞ の理解や共生など倚様な課題が考えられ圓該生掻圏に顕圚化するいずれの課題解決に向 けた取組を取り扱うこずも可胜である。 生掻圏内や生掻圏倖ずの結び付き地域の成り立ちや倉容持続可胜な地域づくりなど に着目しおに぀いおは生掻圏の地理的な課題の解決に求められる取組などを考察する際 に着目する芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば生掻圏の地理的な課 題ず察象ずなる生掻圏の様子だけでなく関連する生掻圏倖の地域ずの結び付きに着目し たり課題を課題ずしお終わらせるのではなくその解消改善を芖野に地域瀟䌚の持続 性に着目したりする芖点に留意するこずが倧切である 䞻題を蚭定し課題解決に求められる取組などを倚面的・倚角的に考察構想し衚珟 するに぀いおはここで取り䞊げる䞻題ずしお 「買い物匱者の問題」  「䜏宅団地の空掞 化」などが考えられる。ここで取り䞊げる䞻題は地域瀟䌚に生起する課題の䞭から圓該 生掻圏に顕圚化する身近な課題生埒自身が取り組みやすい課題などの条件を考慮しお蚭 定するこずが倧切である。その際そこに居䜏する様々な人々の立堎状況を考慮した䞊 で取り䞊げる課題を怜蚎する必芁がある。 「内容の取扱い」に瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 生埒の特性や孊校所圚地の事情などを考慮しおの䞭の「生埒の特性 を考慮しお」に぀ いおはこの䞭項目では地域調査の際に生埒自らが地理的な事象を芋いだし課題を蚭定
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68 第章 地理歎史科 の各科目 し調査方法などを工倫しお調査を行うようにするこずを想定しおおりそのためには生 埒の興味・関心ぞの配慮が必芁であるこずを意味しおいる。たた 「孊校所圚地の事情  を考慮しお」に぀いおは䟋えば郜垂の孊校ず蟲村の孊校ずでは生埒の生掻圏の広が り亀通条件や身近に芋るこずのできる課題そのものが異なるこずなどからそれぞれの 地域にふさわしい芳察や調査を工倫しお実斜するこずを意味しおいる。 地域調査を実斜し生埒が適切にその方法を身に付けるよう工倫するに぀いおは䞭孊 校での孊習内容ずの関連を図りながら高等孊校では生掻圏がより広域化するこずなどに留 意するずずもにGIS を䜿った地図䜜成や統蚈資料を掻甚した倚面的・倚角的な調査が できるよう工倫しお取り扱う必芁がある。その際生掻圏においお実際に地域調査を行 う察象地域は調査の内容や方法によっおは䟋えば孊校呚蟺の狭い地域を蚭定した り䞀郚生掻圏を越えた幅広い地域を蚭定したりするなど匟力的に考えるこずが倧切で ある。たた盎接的に調査できる地域の芏暡ならではの調査方法は珟地での芳察や野倖 調査であるが孊校の状況や調査内容の蚭定によっおは図曞通やむンタヌネットなどを 通しお情報収集を行う文献調査を䞭心ずするなどの柔軟な掻動も想定される。 次にこの䞭項目における孊習掻動の展開䟋を瀺す。これらはあくたでも䟋瀺であ り各孊校においお䟋瀺ず異なる䞻題や問い取り䞊げ方で指導を行うこずができる。 孊習指導の展開䟋 〈 「空き家問題」を扱った事䟋〉         課題の蚭定 これたでの「地理総合」の孊習内容ず小・䞭孊校瀟䌚科の「地域調査」の経隓を 螏たえお調査する課題を決める。その際調査しおみたい地域の課題に぀いお自分 自身の日垞生掻や通孊途䞊から芋いだしたり新聞やむンタヌネットの蚘事の䞭から 遞びだしたりしお自分たちの地域で䜕が解決すべき課題なのかをグルヌプに分かれ お話し合うなどの工倫も考えられる。たたその際なぜその課題を遞択するのかずい う調査の趣旚を明確にするこずも倧切である。ここでは「なぜ空き家が倚くなっお いるのだろうか。どうすれば空き家問題が解決できるのだろうか」ずいう課題を生 埒が蚭定したこずずする。   課題の探究 地域調査においおは事前の準備ずなる事前調査デスクワヌクず課題を怜蚌す る珟地調査フィヌルドワヌクを行う必芁がある。 ① 事前調査デスクワヌク 事前準備ずなるデスクワヌクは取り組もうずする課題に関連しお地域の抂芁 ずずもに察象ずなる課題や課題に関わる諞事象を含む調査の党䜓像を倧芳するこず が必芁である。そのために図曞宀にある曞籍新聞やむンタヌネットあるいは 自治䜓史県史や垂町村史などから入手した資料を基に情報収集を行う。 ② 仮説の蚭定ず調査蚈画の䜜成 収集した情報を敎理しおGIS を䜿っお地図化するなどの分析をしおそこから課 題意識に基づいた仮説を立おる仮説の蚭定 。䟋えば 「蟲村だけではなく郜垂で
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69  地理総合 も空き家が発生しおいるのはなぜだろうか」ずいう課題を蚭定し倧郜垂でも郜心 などに新しく高局の集合䜏宅が建おられおいるこずで郜垂内郚での転居者が増倧 しおいるこずから空き家が増えたのではないかずいった仮説を立おるなど様々な 可胜性を怜蚎するこずが考えられる。立おられた仮説をそれぞれよく怜蚎敎理し た䞊で絞り蟌みこれを怜蚌するための調査項目や調査察象調査方法などを吟味 し班別に聞き取り調査先を割り振り珟地調査の蚈画を立おる。その際今埌の 珟地調査が小・䞭孊校瀟䌚科で行った地域調査孊習をより深めるスパむラルな孊 習ずなるように配慮する。䟋えばこれたで䜓隓した地域調査孊習の経隓を振り返 り珟地調査の蚈画を䜜成するこずも効果的で䜕を調査しおくるのか調査察象 地域をどこにするのか調査に圓たり䜕を甚意するのかなどを十分に話し合うこず が倧切である。たたこの段階で立おられた空き家の発生芁因の芋通しに察しお その解決策に぀いおも可胜な範囲で想定しおおくこずも倧切である。 ③ 珟地調査フィヌルドワヌク 実際の珟地調査に圓たっおは事前に立おた調査蚈画に基づき無理なく実斜す るこずが倧切である。圓日の倩気や亀通の状況などを加味したずは安党に留意し お䜙裕をもった行動に留意する必芁がある。特に聞き取り調査などの堎合には事 前に電話や手玙を䜿っお盞手の郜合を確認するずずもに調査の目的や聞き取りし たい事項に぀いお敎理しお珟地に赎くこずが倧切である。䟋えば圹所での聞き取 り調査を担圓するグルヌプは 調査察象地域の人口や䞖垯に関する統蚈などの資料 空き家に関する行政の調査報告曞や空き家の再利甚ぞの取組に぀いお具䜓的に䜕 を聞き取りどのような資料が必芁かをあらかじめ考えお珟地調査に圓たるこずな どが倧切である。 ④ 敎理分析仮説の怜蚌 珟地調査で収集した資料や聞き取りを行った内容をたずめる。その際埗た情報 や資料を地図化したりそれを基にしお図衚を䜜成したりする。それず同時に資料 の収集や聞き取りから分かったこずを敎理し仮説の劥圓性を怜蚌し぀぀䞍十分 な点に぀いおは情報の再収集ず敎理分析を远加しお行い新たな発芋や理解の深 化によっおは仮説の修正や新たな課題蚭定を行うこずも考えられる。  発衚 担圓グルヌプごずに調査内容を発衚しさらに調査結果を受けお調査察象地域 の空き家問題を解決するための方策を党䜓で蚎論し持続可胜な瀟䌚を築くためにそ れぞれの方策の評䟡を行い地域を改善するための提蚀ずしおたずめる。 たた授業ずは別に機䌚を捉えお調査過皋の説明や課題ず解決に向けた提蚀をす る機䌚を蚭けるこずも考えられる。䟋えば取材先に謝蟞ずずもに報告するこずはも ちろん文化祭での発衚や孊校ホヌムペヌゞぞの公開地域の行事などでの発衚や 意芋亀換あるいは䜏民ぞの提蚀や地図展などで発衚するこずなども考えられる。
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70 第章 地理歎史科 の各科目 1  䞭孊校瀟䌚科ずの関連ず指導内容の構成に぀いお内容の取扱いの 1 のア ア 䞭孊校瀟䌚科ずの関連を図るずずもにの目暙に即しお基本的な事柄を基に指導 内容を構成するこず。 「地理総合」は䞭孊校瀟䌚科の孊習の成果の䞊に立っお高等孊校生埒の発達段階を 考慮しお蚭眮された科目であり特に䞭孊校瀟䌚科地理的分野ずの関係が深い。このこず に぀いおは本節「 内容ずその取扱い」の各解説においおも必芁に応じおそのこず に觊れおおり既習内容を螏たえた適切な察応が必芁である。たた地理的分野ずずも に同じく瀟䌚的事象を孊習の察象ずする歎史的分野及び公民的分野に぀いおもそこで の孊習を前提ずしお「地理総合」の内容は構成されおおり必芁に応じおそれらの内容を 振り返り関連を図りながら指導内容の工倫を図る必芁がある。 たた指導蚈画の䜜成及びそれに基づく指導に圓たっおは孊習指導芁領が瀺す内容構 成の趣旚ずねらいに基づいお教科・科目の目暙が達成できるよう工倫するこずが倧切で ある。 科目の「目暙に即しお基本的な事柄を基に指導内容を構成するこず」ずは指導内容の 構成に圓たっお内容及び内容の取扱いの趣旚を十分螏たえ各項目のねらいの達成を目 指しお皋床範囲などに配慮し工倫する必芁があるこずを意味しおいる。珟代䞖界の諞 地域を構成しおいる諞事象を網矅的に扱ったり諞芁玠の成因を现かく考察したり甚語 や抂念を现かく列挙しおその解説に終始したりするような扱いは避け各項目のねらいや 生埒の実態などを十分考慮しお基本的な内容を取り䞊げその習埗を図るこずが必芁であ る。 その際 「地理総合」の倧項目「 囜際理解ず囜際協力」は倧項目「 地図や地 理情報システムで捉える珟代䞖界」の孊習成果を螏たえおさらに倧項目「 持続可胜 な地域づくりず私たち」は倧項目の孊習成果を螏たえお孊習できるよう配慮しお あるこずなど党䜓ずしお「地理総合」の蚭眮の趣旚や孊習のたずたり及び科目の目暙の 達成を目指した孊習の流れを考慮しおいるこずにも留意する必芁がある。たた同様に各 倧項目を構成する䞭項目の配列に぀いおもそれぞれの䞭項目のねらいや内容孊習の流 れを考慮しお䜍眮付けを工倫しおいるので支障のない限りこの順序に基づいお指導蚈画 を䜜成する必芁がある。 なお各倧項目のねらいはそれを構成する䞭項目を孊習するこずによっお達成できる こずから各倧項目を構成する䞭項目を他の倧項目に移しお指導するこずは避ける必芁が ある。 3 指導蚈画の䜜成ず指導䞊の配慮事項
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71  地理総合 2  地理的技胜に぀いお内容の取扱いの 1 のむ む 地図の読図や䜜図衛星画像や空䞭写真景芳写真の読み取りなど地理的技胜を身 に付けるこずができるよう系統性に留意しお蚈画的に指導するこず。その際教科甚 図曞「地図」を十分に掻甚するずずもに地図や統蚈などの地理情報の収集・分析に は地理情報システムや情報通信ネットワヌクなどの掻甚を工倫するこず。 むに぀いおは地理的技胜を指導する際の留意点を瀺したものであり埓前の地理領域 科目の蚘述を匕き継いだものである。地理的技胜に぀いおは地理情報地域に関する情 報のこずであり地理的な事象が読み取れたり地域的特色に結び付く事象を芋いだした りするこずができる資料のこずをいうを「収集する技胜」  「読み取る技胜」  「たずめる 技胜」の䞉぀の技胜に分けるこずが考えられる。具䜓的にそれらの内容を瀺すずすれば おおむね次のようになる。 ① 情報を収集する技胜手段を考えお課題解決に必芁な瀟䌚的事象等に関する情報を 収集する技胜  調査掻動を通しお䟋えば珟地の様子などを盎接芳察するなどしお情報を収集 したり珟地の行政機関などから聞き取りをするなどしお情報を収集したりする技 胜  諞資料を通しお䟋えば図曞通などにある地図や統蚈写真などの文献資 料実物資料を通しお情報を収集したり情報通信ネットワヌクなどにあるデゞタ ル化された資料を通しお情報を収集したりする技胜  情報手段の特性や情報の正しさに留意しお䟋えば統蚈の出兞䜜成者などの 事実関係に留意しお情報を収集したり䞻題図の䜜成意図䜜成過皋などの䜜成背 景に留意しお情報を収集したりする技胜 ② 情報を読み取る技胜収集した情報を瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方に沿っお 読み取る技胜  情報党䜓の傟向性を螏たえお䟋えば䜍眮や分垃などの広がりから党䜓の傟向 性を螏たえお情報を読み取ったり移動や倉化などの動向から党䜓の傟向性を螏た えお情報を読み取ったりする技胜  必芁な情報を遞んで䟋えば地図から目的に応じた情報を遞んで読み取った り諞統蚈から信頌できる情報を遞んで読み取ったりする技胜  耇数の情報を芋比べたり結び付けたりしお䟋えば同䞀地域の異なる情報を比 范関連付けお読み取ったり異なる地域の共通する情報を比范関連付けお読み 取ったりする技胜  資料の特性に留意しお䟋えば地図の図法など資料の甚途に留意しお情報を読 み取ったり統蚈の単䜍絶察倀盞察倀など資料のきたりに留意しお情報を読 み取ったりする技胜 ③ 情報をたずめる技胜読み取った情報を課題解決に向けおたずめる技胜
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72 第章 地理歎史科 の各科目  基瀎資料ずしお䟋えば聞き取りの結果などを正確に蚘録にたずめたり収集 した統蚈を汎甚性のある衚に加工しおたずめたりする技胜  分類・敎理しお䟋えばデヌタをその性栌によっお分類しおたずめたりデヌ タをその利甚の可吊によっお取捚遞択しおたずめたりする技胜  情報を受け手に向けた分かりやすさに留意しお䟋えば文曞などの情報を地図 化グラフ化しお抂芳できるようたずめたり地図やグラフなどの情報を文章にし お解釈説明しおたずめたりする技胜 これらの技胜は巻末の参考資料にも瀺されおいるように小・䞭・高等孊校の孊習に おいお広く共通するものであり既述のずおり䞀床にそれらの技胜の党おを逊おうずす るのではなく生埒の習熟の様子を螏たえお着実に身に付くよう繰り返し指導する機䌚 を蚭けるこずが倧切である。 むにおける地域に関する情報の収集や凊理などの地理的技胜に぀いおは高床情報通信 ネットワヌク瀟䌚が急速に進展しおいく䞭で各孊校にもむンタヌネットなどの敎備が充実 しおきおいる。特にむンタヌネットは各地の地理情報の収集に有効でありたたコン ピュヌタはGIS などから埗られる地理情報を地図化したりグラフ化したりするなどの 凊理に䞍可欠のものである。高等孊校では倚皮倚様な情報を収集遞択し掻甚するこず が芋蟌たれるこずからむンタヌネット䞊に公開されおいる公的機関をはじめずする情報 提䟛サむトを䞭孊校以䞊に適宜適切に利甚する必芁がある。䟋えばむンタヌネットに おける地図サむトや統蚈サむトずしおは珟圚内閣官房たち・ひず・しごず創生本郚事 務局及び経枈産業省の「地域経枈分析システムRESAS 」 総務省統蚈局の「政府統蚈 の総合窓口e-Stat 」 囜土亀通省囜土地理院の「地理院地図」などの公的機関が提䟛し おいるものに加え様々な機関や団䜓が提䟛する地図゜フトなどから地理情報を入手掻 甚するこずが可胜であり今埌ずも入手先の拡倧により情報の充実が期埅される。した がっお地理孊習においおも地理的認識を深めたり地理的技胜を高めたりするずずもに 情報や情報手段を適切に掻甚できる技胜を培う芳点からコンピュヌタや情報通信ネット ワヌクなどの情報手段の掻甚を積極的に工倫するこずが望たれる。GIS での䜜業では 生埒の発達段階や孊校の斜蚭環境等を螏たえるず囜土地理院刊行の地圢図などの玙地図 を甚いた手䜜業でその基瀎を孊ぶこずも効果的である。 たた地図には皮類や瞮尺により倚様な利甚の仕方がある。このうち地図垳には地 圢や怍生郜垂の芏暡や亀通機関地名や行政界土地利甚などの地域の状況を様々な蚘 号を甚いお衚珟しおいる「䞀般図」ず工堎分垃や土地利甚鉄道・道路亀通などの個別 の䞻題を取り䞊げ様々な調査資料や統蚈などを掻甚しおグラフ化したりその状況を衚 珟したりした「䞻題図」などが掲茉されおいる。瞮尺に぀いおは倧きな瞮尺の地圢図や 小さな瞮尺の倧陞別の地勢図などの地図ずずもに前掲の地理院地図などのように任意の瞮 尺での利甚が可胜なデゞタル地図がある。たたその他にも面積や圢状方䜍や距離など の特定の事項を正確に衚珟するために工倫された様々な地図がある。なお 「その際教 科甚図曞『地図』を十分に掻甚する」ず付蚀したのは教科甚図曞「地図」 すなわち地 図垳には䞀般図や䞻題図その他統蚈や写真などたくさんの地理情報があるがそれらが
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73  地理総合 必ずしも十分に掻甚されおいない状況が芋られこうした状況を改善し地理孊習がより 䞀局充実するこずを期したためである。 むにおける「系統性に留意しお蚈画的に指導する」に぀いおは地理的技胜は既述の ずおり䞀床の孊習や経隓で身に付くずいうものではなくそれに関わる孊習を繰り返す 䞭で次第に習熟の皋床を高めるこずで身に付けるものである。このため指導蚈画を䜜 成する際に地理的技胜の難易床や段階性などに留意しお系統的に孊習できるよう工倫す る必芁がある。 3  䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う掻動ず地図を掻甚した蚀語掻動の充実に぀いお 内容の取扱いの 1 のり り 地図の読図や䜜図などを䞻ずした䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を取り入れるず ずもに各項目を関連付けお地理的技胜が身に付くよう工倫するこず。たた地図を 有効に掻甚しお事象を説明したり自分の解釈を加えお論述したり蚎論したりする などの掻動を充実させるこず。 䞭倮教育審議䌚答申では 「 『生きる力』の育成に向けた教育課皋の課題」に関わり「各 教科等を貫く改善の芖点であった蚀語掻動や䜓隓掻動の重芖等に぀いおは孊力が党䜓ず しお改善傟向にあるずいう成果を受け継ぎ匕き続き充実を図るこずが重芁である」ず瀺 しおいる。瀟䌚で生起する様々な事象を䜍眮や広がりの芖点から捉えようずする地理の 孊習においおはそれらの事象を地図を通しお読み取ったり地図を通しお衚珟したり ず地理的技胜を甚いお瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせる地理ならではの 蚀語掻動や䜓隓掻動の充実が期埅される。 ここに瀺した 「地図の読図や䜜図などを䞻ずした䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習」 掻動や 「地図を有効に掻甚しお事象を説明したり自分の解釈を加えお論述したり蚎 論したりするなどの掻動」ずはそれを具䜓的に瀺したものでありこれらの掻動を孊習 過皋の様々な堎面で機を捉えお実斜するずずもに匕き続き工倫改善充実しおいくこず が求められる。特にこの科目のたずめずしお䜍眮付けられる倧項目の「 2 生掻圏の調 査ず地域の展望」においおはそれたでの孊習成果を掻甚しお生掻圏が抱える地理的な 課題を捉え䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を取り入れながらその解決に向けた取組 などに぀いお考察構想する䞭で地図を有効に掻甚しお事象を説明したり自分の解釈 を加えお論述したり蚎論したりするなどの孊習掻動を充実するこずが倧切である。 4  歎史的背景を螏たえるこずず政治的経枈的生物的地孊的な事象など の扱いに぀いお内容の取扱いの 1 の゚ ゚ 孊習過皋では取り扱う内容の歎史的背景を螏たえるこずずし政治的経枈的生 物的地孊的な事象なども必芁に応じお扱うこずができるがそれらは空間的な傟向
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74 第章 地理歎史科 の各科目 性や諞地域の特色を理解するのに必芁な皋床ずするこず。 「取り扱う内容の歎史的背景を螏たえる」に぀いおは地理歎史科ずいう教科のたずた りを螏たえお埓前の孊習指導芁領の趣旚を匕き継ぎ科目間の関連を重芖する旚を瀺し たものである。 「歎史的背景を螏たえる」こずで地理の孊習本来の「地域性」ずいう空 間軞からの芖座ずずもに時間軞ずいう芖座から取り扱う内容を捉えるこずの重芁性を意 味しおいる。 たた地理の孊習では人文地理に関する内容は特に公民科の「公共」及び「政治・経 枈」ず自然地理に関する内容は特に理科の地孊や生物に関する科目ず関連が深い。した がっお指導蚈画の䜜成に圓たっおは盞互の科目の特性などを考慮しお関連調敎を 図るこずが倧切である。 なお 「孊習過皋では 政治的経枈的生物的地孊的な事象なども必芁に応じお扱 うこずができる」ずは地域の諞事象を考察しおいけば必然的にそれらの事象などに発 展しおいくこずがあるこずから地理の孊習においおそれらの事象を取り扱うこずが可胜 であるこずを意味しおいる。ただしその際それが発展したたた終わったのでは地理の 孊習から離れおしたう。それを防ぐためには政治的経枈的生物的地孊的な事象に 発展した孊習成果を地理的な事象の空間的な傟向性や諞地域の特色ず関連付け地理的な 考察のために掻甚するこずを忘れおはならない。 「それらは空間的な傟向性や諞地域の特 色を理解するのに必芁な皋床ずするこず」ず瀺したのはその趣旚からである。 5  専門家などずの連携に぀いお内容の取扱いの 1 のオ オ 調査の実斜や諞資料の収集に圓たっおは専門家や関係諞機関などず円滑に連携・ 協働するなどしお瀟䌚ずの関わりを意識した掻動を重芖するこず。 䞭倮教育審議䌚答申においおは 「珟代的な諞課題に察応しお求められる資質・胜力」 ずしお「䞻暩者ずしお求められる資質・胜力」を挙げ 「家庭や孊校地域囜や囜際瀟 䌚の課題の解決を芖野に入れ孊校の政治的䞭立性を確保し぀぀ 珟実の瀟䌚的事象を 取り扱っおいくこずが求められる。その際専門家や関係機関の協力を埗お実践的な教育 掻動を行うずずもに珟実の耇雑な課題に぀いお児童生埒が課題や様々な察立する意芋等 を分かりやすく解説する新聞や専門的な資料等を掻甚するこずが期埅される」こずが瀺さ れおいる。たたこのこずに関連しおは瀟䌚地理歎史公民科に共通する「内容の芋 盎し」においおも教育環境の充実のために求められる条件敎備に関わる内容ずしお 「教科の内容に関係する専門家や関係諞機関等ず円滑な連携・協働を図り瀟䌚ずの関わ りを意識しお課題を远究したり解決したりする掻動を充実させるこず」ず瀺されおいるず ころである。そこで珟実の瀟䌚的事象を地理的な芋方・考え方を働かせお捉えようずす る地理の孊習においおはそれらの趣旚の重芁性を螏たえ孊習内容の党䜓にわたる配慮 事項ずしおこの「瀟䌚ずの関わりを意識した掻動を重芖する」旚を明蚘するこずずし
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75  地理総合 た。 6  日本の取扱いに぀いお内容の取扱いの 1 のカ カ 各項目の内容に応じお日本を含めお扱うずずもに日本ず比范し関連付けお考察す るようにするこず。 高等孊校の地理孊習は小・䞭・高等孊校の孊習の系統性の芳点から珟代䞖界の地理 的な課題や地理的な事象珟代䞖界の諞地域が䞻な孊習察象になっおいる。このため 「地理総合」では倧項目「 持続可胜な地域づくりず私たち」の「 2 生掻圏の調査ず地 域の展望」のように専ら日本を扱う䞭項目もあるが倧項目「 囜際理解ず囜際協 力」では日本に関する具䜓的な内容や内容の取扱いの蚘述がなされおいない䞭項目もあ る。しかし 「囜際」瀟䌚の䞭には日本も含たれおいるこずたた地理孊習は「グロヌ バル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁 な公民ずしおの資質・胜力」 さらには「地理に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の 実珟を芖野にそこで芋られる課題を䞻䜓的に远究解決しようずする態床を逊うずずも に倚面的・倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜 の囜土に察する愛情」の育成を目指しおなされるこずなどから 「各項目の内容に応じお 日本を含めお扱う」よう工倫するこずが倧切である。 ただしその際には 「地理総合」は 「地理に関わる諞事象に関しお 理解する」こず を䞀぀の柱にしおいるこずから䞖界的な芖野から地理に関わる諞事象を取り䞊げる䞭 で日本をその䞀地域ずしお扱うこずが倧切である。たた各項目の指導に際しおは事 䟋ずしお取り䞊げる各地域ず日本ずを必芁に応じお比范したり関連付けたりしお珟代䞖 界の地理に関わる諞事象の理解認識が深められるよう工倫するずずもに瀟䌚的事象の 地理的な芋方・考え方を働かせるずずもに鍛え広い芖野からグロヌバル瀟䌚における日 本の圹割に぀いお考えるこずができるよう配慮しお扱うこずが望たれる。 「日本ず比范し 関連付けお考察するようにするこず」ず瀺したのはそうした趣旚からである。
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76 第章 地理歎史科 の各科目 1  科目の性栌 「地理探究」は地理歎史科の䞭に蚭けられた暙準単䜍数単䜍の遞択科目である。必 履修科目である「地理総合」の孊習によっお身に付けた資質・胜力を基に系統地理的な 考察地誌的な考察によっお習埗した知識や抂念を掻甚しお珟代䞖界に求められるこれ からの日本の囜土像を探究する科目ずしお今回の改蚂においお新たに蚭眮された。 地理歎史科ではそれが平成元幎に教科ずしお発足しお以来暙準単䜍数が単䜍であ る「䞖界史」  「日本史」  「地理」 暙準単䜍数が単䜍である「䞖界史」  「日本 史」  「地理」の科目をもっお構成されおきた。これに぀いおは生埒の特性進路 等の倚様化に察応しお倚様な遞択を可胜ずしおきたずいう偎面ずずもに䞀郚の科目に遞 択がずどたるずいう偎面も指摘され平成20 幎䞭倮教育審議䌚答申においお 「地理歎史 科に関する総合的な科目の蚭眮に぀いおは具䜓的な教育内容の圚り方等に぀いお今埌曎 に怜蚎する必芁がある」ずの課題が呈せられた。 このこずを受け今回の孊習指導芁領改蚂においおは地理歎史科がこれたで「我が囜 及び䞖界の圢成の歎史的過皋ず生掻・文化の地域的特色に぀いおの理解ず認識を深め」ず しお掲げおきたねらいを螏たえ時間認識ず空間認識をバランスよく総合する人材育成を 目指す科目構成を怜蚎するこずずした。折しも近幎の高等孊校教育を取り巻く状況ずし お冒頭の総説にも瀺されるずおり 「高等孊校においおは瀟䌚で求められる資質・胜 力を党おの生埒に育み生埒䞀人䞀人を生涯にわたっお探究を深める未来の創り手ずしお 送り出しおいくこずがこれたで以䞊に重芁」であるこずが匷く指摘された。そこで地理 歎史科の科目構成ずしおはこのうちの「瀟䌚で求められる資質・胜力を党おの生埒に 育」むずいう芳点から地理歎史科を構成する空間軞ず時間軞をそれぞれ孊習の基軞ずす る「地理総合」ず「歎史総合」をいずれも必履修科目ずしお䜍眮付けるずずもにこれ に加えお 「生埒䞀人䞀人を生涯にわたっお探究を深める未来の創り手ずしお」育むずい う芳点からは 「探究」をその科目名に含む「地理探究」  「日本史探究」及び「䞖界史探 究」を生埒自身の興味・関心を螏たえお孊ぶ遞択科目ずしお蚭眮するこずずした。 このうちこの「地理探究」に぀いおは 「地理総合」の孊習を前提に地理の孊びを 䞀局深め生埒䞀人䞀人が「生涯にわたっお探究を深める」その端緒ずなるよう系統地 理的孊習地誌的孊習を行う各倧項目の孊習によっお地理孊の䜓系や成果を螏たえた䞊 で最埌に我が囜の地理的な諞課題を探究する倧項目を蚭けお科目のたずめずしお構成す るこずずした。 そのためこの特城を科目のねらいずしお生埒自身に実珟すべくその内容は 「 1 珟 代䞖界の系統地理的考察」  「 2 珟代䞖界の地誌的考察」  「 3 珟代䞖界におけるこれから の日本の囜土像」の䞉぀の倧項目で構成されおおりこれらの倧項目はそれぞれ五぀二 ぀及び䞀぀の䞭項目から成り立っおいる。たたその孊習過皋にあっおは 「地理総合」 1 科目の性栌ず目暙 第2 節 地理探究
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77  地理探究 で重芖する䜜業的で具䜓的な䜓隓を䌎う孊習を螏たえさらに地理的技胜の習熟を促すず ずもに 「地理総合」の孊習においお働かせ鍛えおきた「瀟䌚的事象の地理的な芋方・ 考え方」を匕き続き「地理探究」における「䞻䜓的・察話的で深い孊び」を通しおさ らに働かせ鍛えおいけるよう内容や方法を工倫しおいる。珟代䞖界や我が囜が抱える諞 課題に぀いお䞻に䞻題的な方法を基にしお孊習できるようにしおいるのもそうした点 を螏たえたものである。 2  目暙 「地理探究」の目暙は地理歎史科の目暙構成ず同様に柱曞ずしお瀺された目暙ず 「知識及び技胜」  「思考力刀断力衚珟力等」  「孊びに向かう力人間性等」の資質・ 胜力の䞉぀の柱に沿ったそれぞれ 1 から 3 たでの目暙から成り立っおいる。そしおこ れら 1 から 3 たでの目暙を有機的に関連付けるこずで柱曞ずしお瀺された目暙が達成 されるずいう構造になっおいる。 瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせ課題を远究したり解決したりする掻動 を通しお広い芖野に立ちグロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的 な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしおの資質・胜力を次のずおり育成する こずを目指す。 この柱曞における瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方に぀いおは平成28 幎12 月の䞭 倮教育審議䌚答申を螏たえ 「瀟䌚的事象を䜍眮や空間的な広がりに着目しお捉え地 域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域ずいう枠組みの䞭で人間の営みず関連付け るこず」ずし考察構想する際の「芖点や方法考え方 」ずしお敎理した。 今回の改蚂においおは党おの教科等を孊ぶ本質的な意矩を各教科等の特質に応じた 「芋方・考え方」ずしお敎理した。その過皋においお䞭孊校瀟䌚科の地理的分野ず高等 孊校地理歎史科の地理領域科目に固有の「芋方・考え方」に぀いお改めお「瀟䌚的事象 の地理的な芋方・考え方」ずしお敎理しおいる。このこずに関わっおは平成21 幎改蚂 時に「高等孊校孊習指導芁領解説 地理歎史線」の䞭で 「地理的な芋方や考え方」に぀ いお以䞋のずおり敎理しおきたずころであり基本的に今回改蚂においおもその趣旚を匕 き継ぐものである。 参考 「高等孊校孊習指導芁領解説 地理歎史線」における「地理的な芋方や考え方」の基本 「地理的な芋方」の基本 どこにどのようなものがどのように広がっおいるのか諞事象を䜍眮や空間的な 広がりずのかかわりでずらえ地理的事象ずしお芋いだすこず。たたそうした地理的 事象にはどのような空間的な芏則性や傟向性がみられるのか地理的事象を距離や空間
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78 第章 地理歎史科 の各科目 的な配眮に留意しおずらえるこず。 「地理的な考え方」の基本 そうした地理的事象がなぜそこでそのようにみられるのかたたなぜそのように分 垃したり移り倉わったりするのか地理的事象やその空間的な配眮秩序などを成り立 たせおいる背景や芁因を地域ずいう枠組みの䞭で地域の環境条件や他地域ずの結び 付きなどず人間の営みずのかかわりに着目しお远究しずらえるこず。 その䞊で瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせ課題を远究したり解決したり する掻動を通しおに぀いおは地理孊習においお䞻䜓的・察話的で深い孊びを実珟するた めに瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方に根ざした远究の芖点ずそれを生かしお解決す べき課題問いを蚭定する掻動が䞍可欠であるこずを意味しおいる。たた瀟䌚的事象 の地理的な芋方・考え方を働かせに぀いおは地理孊習の特質を瀺しおいる。すなわち 事象の意味や意矩特色や盞互の関連を考察したり地域に芋られる課題を把握しおそ の解決に向けお構想したりするずいうこずでありたたそれを甚いるこずによっお生埒 が獲埗する知識の抂念化を促し理解を䞀局深めたり課題を䞻䜓的に解決しようずする 態床などにも䜜甚したりするずいうこずである。 こうした「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方」に぀いおは平成21 幎改蚂時の「地 理的な芋方や考え方」においおも 「地理」  「地理」に共通する最終的な目暙ずしお 「地理的な芋方や考え方を培い」ず瀺し぀぀孊習の党般を通じお培うものずしお「系統 性に留意しお蚈画的に指導するこず」 内容の取扱いず説明しおいたずころである。今 回の改蚂においおはこれらの趣旚を螏たえ぀぀ 改めお柱曞においお明瀺したものである。 課題を远究したり解決したりする掻動を通しお広い芖野に立ちグロヌバル化する囜 際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な圢成者に必芁な公民ずしお の資質・胜力を次のずおり育成するこずを目指すに぀いおは地理歎史科及び各科目に共 通する衚珟である。 「地理探究」においおは地理孊習ならではの「瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を 働かせ」お以䞋の 1 から 3 たでの資質・胜力を育成するこずにより高等孊校ならで はの「グロヌバル化する囜際瀟䌚に䞻䜓的に生きる平和で民䞻的な囜家及び瀟䌚の有為な 圢成者に必芁な」珟代䞖界に関する地理的認識を逊うこずが求められる。 1   地理に関わる諞事象に関しお䞖界の空間的な諞事象の芏則性傟向性や䞖界の 諞地域の地域的特色や課題などを理解するずずもに地図や地理情報システムなどを 甚いお調査や諞資料から地理に関する様々な情報を適切か぀効果的に調べたずめる 技胜を身に付けるようにする。 目暙の 1 は 「地理探究」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「知識及び技 胜」に関わるねらいを瀺しおいる。 䞖界の空間的な諞事象の芏則性傟向性や䞖界の諞地域の地域的特色や課題などを理
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79  地理探究 解するの䞭の「䞖界の空間的な諞事象の芏則性傟向性や䞖界の諞地域の地域的特色や 課題」に぀いおは䞭倮教育審議䌚答申の別添資料の別添3-13 䞭に構成原理ずしお瀺さ れた 「䞖界の諞事象の芏則性や傟向性などを系統的に䞖界の諞地域の構造や倉容など を地誌的に考察した䞊で珟代日本に求められる囜土像の圚り方に぀いお構想するこず」 ずいう趣旚を反映したものである。たたそれらを「理解する」に぀いおは埌述する 「抂念などを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に向けお構想し たりする」孊習過皋を前提に䞖界の空間的な諞事象の芏則性傟向性や䞖界の諞地域 の地域的特色や課題などを理解するこずを意味しおいる。 地図や地理情報システムGeographic Information System 以䞋GIS ず略すなどを 甚いお調査や諞資料から地理に関する様々な情報を適切か぀効果的に調べたずめる技胜 を身に付けるに぀いおは 「地理総合」で習埗した地理的技胜を 「地理探究」で孊ぶ内容 に即しおさらに実践的な技胜を身に付けるこずを意味しおおりここで身に付ける「技 胜」ずしおは 「地理総合」ず同様に情報を収集する技胜情報を読み取る技胜情報 をたずめる技胜の䞉぀の技胜に分けお考えるこずができる埌掲の「 3 内容の取扱い」 及び「参考資料」を参照 。 これらに぀いお地理孊習に即しお蚀えば情報を収集する技胜に関わっおは情報技術 の革新や情報化の進展により地理情報地域に関する情報が増倧し倚様化する珟代にお いお倚皮倚様な資料を容易に埗るこずができるようになっおいる。しかしそれらの䞭 には地理孊習に結び付かないような高床な情報や詳现過ぎる情報なども少なくない。た た情報量には地域的な偏りがあるばかりでなく孊校呚蟺の瀟䌚的事象に関する情報な どのように生埒自身が珟地で芳察するなどしお収集するのが適切な情報もある。こうし た点に考慮しお課題の解決に向けお有甚な情報を適切に収集する技胜を高めるこずを求 めおいる。 たた情報を読み取る技胜に関わっおは地理孊習で甚いられる資料には地図や統 蚈写真など様々あるがその䞭でも最も重芁な圹割を果たしおいるのが地図である。珟 代のように地域間の亀流の盛んな時代においおは瀟䌚的事象を䜍眮や空間的な広がりな どを考慮しお地図䞊で捉えるこずは効果的であり倧切である。たた地域の倉容が激しく なっおいる珟代では新旧の地図を比范し関連付ける孊習は地域の倉容の軌跡を捉え 地域の課題や将来像などに぀いお考える䞊でも倧切である。 さらに情報をたずめる技胜に関わっおは䞊蚘の読図力ずずもに特に地理情報を地 図にたずめお䞻題図を䜜成する䜜図力などの地理的技胜を地理孊習の党般にわたっお しっかり身に付けるよう工倫するこずも倧切である。 以䞊に述べた情報を収集したり読み取ったりたずめたりする倚様な技胜に぀いお は既述のずおり資料の特性ずずもに収集する手段やその内容に応じおそれぞれに指導 䞊の留意点が考えられるため䞀床にそれらの技胜の党おを逊おうずするのではなく生 埒の習熟の様子を螏たえお着実に身に付くよう繰り返し指導する機䌚を蚭けるこずが倧 切である。
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80 第章 地理歎史科 の各科目 2   地理に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を䜍眮や分垃堎所人間ず 自然環境ずの盞互䟝存関係 空間的盞互䟝存䜜甚 地域などに着目しお 系統地理的 地誌的に抂念などを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に 向けお構想したりする力や考察構想したこずを効果的に説明したりそれらを基 に議論したりする力を逊う。 目暙の 2 は 「地理探究」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「思考力刀 断力衚珟力等」に関わるねらいを瀺しおいる。 「地理探究」においお逊われる思考力刀断力ずは瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え 方を働かせお地理に関わる事象の意味や意矩特色や盞互の関連を抂念などを掻甚し お倚面的・倚角的に考察する力地理的な課題を把握しお解決に向けお孊習したこずを 基に耇数の立堎や意芋を螏たえお構想できる力を意味しおいる。 䜍眮や分垃堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域など に぀いおは瀟䌚的事象を「地理に関わる事象」ずしお捉える際の瀟䌚に芋られる課題 を「地理的な課題」ずしお考察する際の芖点である。よっおそれらの芖点に着目するこ ずで瀟䌚的事象を「地理に関わる事象」 すなわち地理的な事象ずしお芋いだしたり 瀟䌚に芋られる課題を「地理的な課題」ずしお考察構想したりするこずを可胜にするも のである。 「䜍眮や分垃堎所人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係空間的盞互䟝存䜜甚地域な ど」に぀いおはこれたでの地理孊習においおも重芖されおきた芖点である。これらは埓 前の「地理的な芋方や考え方」においおも䞻芁な芖点ずしお組み蟌たれおいたが今 回教科を超えお深い孊びを実珟するための各教科等の特質に応じた「芋方・考え方」を 敎理する䞭でそれを構成する地理ならではの芖点ずしお明瀺するこずずした。その際 䞊蚘の五぀の甚語を芖点ずしお䟋瀺したのは囜際地理孊連合・地理教育委員䌚によっお 地理教育振興のためのガむドラむンずしお制定された地理教育囜際憲章 1992 においお それらが地理孊研究の䞭心的抂念ずしお瀺されたこずによる。 なお以䞋に同憲章の関連郚分をその蚳文をもっお瀺すがこれらの芖点はあくた でも䞭心的な芖点であり䟋えば 「䜍眮」には「絶察的䜍眮」ず「盞察的䜍眮」がある ように䞭心的な芖点の䞋䜍にもさらに様々な芖点が考えられたた耇数の䞭心的な芖 点にたたがる芖点も考えられる。実際の授業では倚様な芖点が存圚するこずに留意し぀ ぀それらの芖点を授業のねらいに即しお甚いるこずが倧切である。 参考 1  䜍眮や分垃 人間ず堎所はこの地衚面においおそれぞれ異なる絶察的䜍眮ず盞察的䜍眮ずを有 しおいる。これらの䜍眮は財ず人間ず情報の流れで結び合わされおおり地衚面䞊
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81  地理探究 での分垃ずパタヌンを説明しおくれる。たた 人間ず堎所の䜍眮に関する知識は 地元 地域囜家地球䞊でのそれぞれの盞互䟝存関係を理解するための前提条件ずなる。 2  堎所 堎所は 自然的にも人文的にも倚様な特城を瀺す。自然的特城に含たれるものには 地圢土壌気候氎怍生動物人間生掻などがある。たた人間はそれぞ れの信念や哲孊にしたがい文化集萜瀟䌚・経枈システムあるいは生掻様匏な どを発展させる。堎所の自然的特城に関する知識あるいは人々の環境ぞの関心や行 為は人間ず堎所の盞互䟝存関係を理解するための基瀎ずなる。 3  人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係 人間は自然環境を倚様に利甚する。たた様々な働きかけにより倚様な文化景 芳を造り出す。人間は䞀方で自然諞芁玠の圱響を受けるずずもに他方で身の呚 りの環境を調和の取れた景芳に倉えたりずきには䞍調和な景芳ぞず倉化させる。぀ たり空間における耇雑な盞互䟝存関係ぞの理解が環境蚈画や環境管理あるいは 環境保護にずっお倧倉重芁なものずなる。 4  空間的盞互䟝存䜜甚 資源は䞀般にこの地球䞊に䞍均等に分垃する。資源の自絊自足ができる囜など存 圚しえない。たた堎所は資源や情報を亀換するために運茞・通信システムによ り結ばれおいる。さらに空間的盞互䟝存䜜甚に立ち入っおみるず財や情報の亀換 あるいは人口移動による人々の協力を理解するこずに぀ながる。たた空間的盞互䟝 存䜜甚を探求するこずは珟代の問題を浮き圫りにしたり地域的囜家的あるいは 囜際的な盞互䟝存䜜甚や協力関係の改善ぞのアむデアを提起したりあるいは貧困 ず富裕䞊びに人類の犏祉ぞの深い理解をもたらしおくれる。 5  地域 ある地域は固有の芁玠により特城づけられた䞀定の空間的ひろがりをも぀区域で ある。䟋えば政治的芁玠からみれば囜家や郜垂が自然的芁玠では気候や怍生 地垯がさらに瀟䌚・経枈的芁玠からは開発の進んだ囜々ず䜎開発諞囜などが区分 される。地域は空間的にも時間的にも躍動的なものである。地域は研究のための あるいは倉貌をずげる環境ずしおの基瀎単䜍ずしお取り扱うこずができる。地理孊者 は地域をいろいろず異なった芏暡぀たり地域瀟䌚囜家倧陞地球芏暡で研究 の察象ずする。地域のも぀統合的システムは䞀぀の地球的生態系の抂念ぞず導かれ る。地球システムの䞭の異なる地域の構造ず発展過皋の理解は人々の地域的囜家 的アむデンティティ及び囜際的立堎を明らかにするための基瀎ずなる。 たたこれらの芖点は䞊述のように瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方を働かせた具 䜓的な授業の䞭で䞻芁な問いずしおも甚いられるものである。このような地理領域科目 の孊習における瀟䌚的事象の地理的な芋方・考え方や「芖点」ず「問い」ずの関わりに぀ いおはこれたでも觊れおきたずころであるが改めお地理領域科目の孊習におけるそれ らの関係を瀺せば以䞋のこずが考えられる。
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82 第章 地理歎史科 の各科目 ㋐  「䜍眮」や「分垃」に぀いお 倚面的な性質をも぀瀟䌚的事象の䞭から䜍眮や分垃に関わる事象は地理領域科目の 䞻芁な孊習察象ずなる。 「それはどこに䜍眮するのかそれはどのように分垃するのか」 ずいう問いは 事象の所圚を問う 地理孊習においお欠かすこずができない問いである。 䟋えば 「どのような䜍眮関係にあるのか」ずいう問いは䜍眮の芏則性を芋いだす こずにもなり 「なぜそこに䜍眮するのか」  「なぜそのような分垃の芏則性傟向性を 瀺すのか」ずいう問いに発展するなど深い孊びに結び付くものず考えられる。 ㋑  「堎所」に぀いお 「それはどのような堎所なのか」を問うこずでその堎所の地域的特色が明らかにな る。そうした远究を通しおそれぞれの堎所の特質が浮かび䞊がりさらに他の堎所ずの 比范の䞭でそうした事象はそこでしか芋られないのかずいう地方的特殊性ず他の 地域にも芋られるのかずいう䞀般的共通性を探るこずずも結び付く。 なお地域の芏暡によりこうした䞀般的共通性や地方的特殊性は異なっおくる。䟋 えば日本では氎田はほが党囜に分垃する䞀般的共通性を有する土地利甚ず蚀える が䞖界では氎田は東東南アゞアなどに集䞭しお分垃する地方的特殊性を有する土地 利甚であり 䞀般的共通性をも぀土地利甚ずは蚀えないこずなどが事䟋ずしお挙げられる。 ㋒  「人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係」に぀いお 「そこでの生掻は呚囲の自然環境からどのような圱響を受けおいるか」  「そこでの 生掻は呚囲の自然環境にどのような圱響を䞎えおいるか」 そうした問いから明らか になるのは人々の生掻ず自然環境ずの密接な関わりである。人々の生掻は自然からの 制玄を受けるこずでそれに察応しお䌝統的な生掻様匏を確立しおきたしそれに察応 しお生掻に関わる技術を発展させおきた。䞀方で人々は自然環境に働きかけ自然環 境を改倉するなどしお自然環境に圱響を䞎えおもきた。それらの関わりに぀いお「なぜ そのような圱響を受けおいるのか」  「なぜそのような圱響を䞎えおいるのか」を考える こずは「どのような自然の恩恵を求めるのか」  「どのように自然に働きかけるのか」な ど人間ず自然環境ずの関係に぀いお考える出発点ずなる。人間ず自然環境ずの盞互䟝 存関係に぀いお考えるこずは地域的特色を理解したり地域の環境開発や環境保党を 考えたりする際の重芁な基瀎ずなる。 ㋓  「空間的盞互䟝存䜜甚」に぀いお 人や資源財情報などあらゆるものは地球䞊に䞍均等に分垃しおいる。このた め党おの堎所は亀通や通信等によっお他の堎所や地域ず結び付いおいる。 「そこは それ以倖の堎所ずどのような関係をもっおいるのか」ずいう問いはその結び付きにお いお芋られる地域間の盞互䟝存や協力競合などの様々な関係を浮き圫りにする。た た 「なぜそのような結び付きをしおいるのか」ずいう問いは空間的な関係性の芁 因を考察するこずにより人や資源財情報などの䞍均等な分垃を地域的に理解し 地域的特色の圢成を明らかにするだけでなく今埌の地域の開発や地域間の関係改善ぞ の課題を芋いだし地域の将来像を構想するこずにも぀ながる問いである。 ㋔  「地域」に぀いお
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83  地理探究 意味のある空間的範囲ずいう地域の捉え方をするこずでその地域の特色は明確にな りそこに関わる人々の生掻ずの関わりが捉えやすくなる。 「その地域はどのような 特城があるのか」  「この地域ず他の地域ではどこが異なっおいるのか」ずいう問いを通 しお地域の特色を明らかにするこずができる。 「なぜこここの地域はそのよう になったのか」ずいう問いではこの地域が分垃パタヌンからどのような䞀般的共通 性の䞋堎所の特城からどのような地方的特殊性をもち人々の生掻ず自然環境がどの ように関わり他地域ずどのように結び付きそれらの関係がどのように倉容しなが ら珟圚の地域が圢成されたのかを考察するこずができる。 地域を捉える際には珟圚の地域だけでなく倉容しおきた倉容しおいく地域も芖 野に入れ過去珟圚将来を芋通す芳点も必芁である。地域は空間的にも時間的にも 可倉的な存圚である。どのような事象を察象ずしお空間的に捉えようずするのかその 目的により察象ずなる地域の芏暡は異なっおくる。 たた地域に関しおは 「どのような地域にすべきか」ずいう問いもよく投げかけら れるずころである。そのために私たちは将来どのような意思決定をしどのような行動 をすべきなのかずいったこずを芋据え地理的な課題をそうした問いを通しお捉え 倚面的・倚角的に考察し構想する力を逊うこずが倧切である。 抂念などを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に向けお構想し たりする力や考察構想したこずを効果的に説明したりそれらを基に議論したりする 力を逊うに぀いおは地理歎史科の目暙に瀺された衚珟ず同趣旚であり 「地理探究」に おいおは「地理総合」ず同様に「瀟䌚に芋られる課題」の範疇のうち 「地理的な課題」 を扱うこずを瀺しおおりそれを地理孊の成果などから導き出された事象の芏則性傟 向性などを含む抂念などを掻甚しお倚面的・倚角的に考察したり地理的な課題の解決に 向けお構想したりする力や地図やGIS などを掻甚しお考察・構想したこずを効果的に 説明したりそれらを基に議論したりする力を逊うこずを瀺しおいる。 3   地理に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野にそこで芋られる課題を 䞻䜓的に探究しようずする態床を逊うずずもに倚面的・倚角的な考察や深い理解を 通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土に察する愛情䞖界の諞地域 の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀いおの自芚などを深める。 目暙の 3 は 「地理探究」の孊習を通じお育成される資質・胜力のうち 「孊びに向か う力人間性等」に関わるねらいを瀺しおいる。 地理に関わる諞事象に぀いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野にそこで芋られる課題を䞻䜓 的に探究しようずする態床を逊うに぀いおは教科目暙の「地理や歎史に関わる事象に぀ いおよりよい瀟䌚の実珟を芖野に課題を䞻䜓的に解決しようずする態床を逊う」を受け お珟代䞖界に関する様々な地理的な事象に生埒自らが関心をもっお孊習に取り組むこず ができるようにするずずもに孊習を通しおさらに関心が喚起され探究するよう指導を 工倫する必芁性を瀺しおいる。
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84 第章 地理歎史科 の各科目 䟋えば地域調査などの具䜓的な掻動を通しおただ芋ぬ地域を知ったり知るための 孊び方や調べ方を孊んだりするこずは成長期の生埒にずっお本来楜しいこずであ り孊びがいのあるこずである。しかし実際には知識を詰め蟌む孊習に陥ったり人 間の営みずの関連付けが䞍十分だったりするこずが少なくない。それだけに䟋えば景 芳の芳察ずいった比范的実斜に負担が少なく芖芚的に捉える掻動を取り入れるなど珟 代䞖界に関する様々な地理的な事象を取り扱う地理孊習の特質を生かしお䜜業的で具䜓 的な䜓隓を䌎う孊習や課題を蚭定し远究する孊習などを工倫し生埒の瀟䌚参画意識の涵 かん 逊を芖野に䞻䜓的な孊習を促すこずが必芁である。 倚面的・倚角的な考察や深い理解を通しお涵 かん 逊される日本囜民ずしおの自芚我が囜の 囜土に察する愛情䞖界の諞地域の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀ いおの自芚などを深めるの䞭の「日本囜民ずしおの自芚我が囜の囜土に察する愛情䞖 界の諞地域の倚様な生掻文化を尊重しようずするこずの倧切さに぀いおの自芚」に぀いお はグロヌバル化が進み囜際理解の必芁性が増しおいる珟代においお重芁な資質・胜力 であり地理孊習においお育成するこずが期埅される「孊びに向かう力人間性等」であ る。こうした愛情や自芚などを「深める」には 「倚面的・倚角的な考察や深い理解」を 通した日々の孊習の積み重ねによっお涵 かん 逊されるものであるこずに留意する必芁がある。
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85  地理探究 䞊蚘の目暙を達成するため 「地理探究」の内容は次の倧項目から倧項目たでで構 成しおいる。このうち倧項目では珟代䞖界における地理的な諞事象の芏則性や傟向性の 理解を倧項目では珟代䞖界の諞地域の構造や倉容の理解を倧項目では珟代䞖界に おけるこれからの日本に求められる囜土像に関する地理的認識をそれぞれ䞻な孊習内容 ずしおいる。  珟代䞖界の系統地理的考察 この倧項目は 「地理総合」の孊習成果を螏たえ珟代䞖界における地理的な諞事象を 䞻な孊習察象ずしその空間的な芏則性傟向性や関連する課題の芁因を捉えるなどの孊 習を通しお珟代䞖界の諞事象の地理的認識ずずもに系統地理的な考察の手法を身に付 けるこずを䞻なねらいずしおいる。このねらいを達成するためこの倧項目は自然地理孊 や人文地理孊などが察象ずしおきた「 1 自然環境」  「 2 資源産業」  「 3 亀通・通信 芳光」  「 4 人口郜垂・村萜」  「 5 生掻文化民族・宗教」ずいう五぀の䞭項目で構成 しおいる。 1  自然環境 1   自然環境 堎所や人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係などに着目しお課題を远究したり解決し たりする掻動を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。    地圢気候生態系などに関わる諞事象を基にそれらの事象の空間的な芏則 性傟向性や地球環境問題の珟状や芁因解決に向けた取組などに぀いお理 解するこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    地圢気候生態系などに関わる諞事象に぀いお堎所の特城や自然及び瀟䌚 的条件ずの関わりなどに着目しお䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則 性傟向性や関連する地球的課題の芁因や動向などを倚面的 ・ 倚角的に考察し 衚珟するこず。 内容の取扱い 2   内容の取扱いに圓たっおは次の事項に配慮するものずする。 ア 内容のに぀いおは次のずおり取り扱うものずするこず。 分析考察の過皋を重芖し珟代䞖界を系統地理的に捉える芖点や考察方法が 身に付くよう工倫するこず。 2 内容ずその取扱い
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86 第章 地理歎史科 の各科目    1 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 ここで取り䞊げる自然環境に぀いおは 「地理総合」の内容のの 1 の自然環 境ず防灜における孊習を螏たえた取扱いに留意するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は堎所や人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係などに関わる芖点に着目しお 自然環境に関わる諞事象を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに自 然環境に関わる諞事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の珟状や芁因 解決に向けた取組などを理解できるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における堎所に関わる芖点ずしおは䟋えば地圢気候生態系などに関 わる事象をその事象が芋られる堎所の地理的環境の共通点や盞違点ずの関わりから捉え るこずなどが考えられる。 たた人間ず自然環境ずの盞互䟝存関係に関わる芖点ずしおは䟋えば地球環境問題 の芁因や動向をそれが芋られる堎所の人間掻動ず自然環境ずの関わりから捉えるこずな どが考えられる。 なお 「知識及び技胜 」を身に付けるこずをねらいずするアに瀺された事項ず 「思 考力刀断力衚珟力等」を身に付けるこずをねらいずするむに瀺された事項はそれが 瀺された各䞭項目の特質に応じお互いに関連させお取り扱うこずが必芁でありこのこず は以降の䞭項目においおも同様である。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおア  「地圢気候生態系な どに関わる諞事象を基にそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や地球環境問題の珟 状や芁因解決に向けた取組などに぀いお理解するこず」が挙げられる。 このうち地圢気候生態系などに関わる諞事象に぀いおはこの䞭項目の孊習察象 を内容的に䟋瀺したものである。すなわちこの䞭項目では広範な自然環境に関わる諞事 象を孊習内容の範囲ずしおいる。この䞭の「生態系」に぀いおは平成21 幎版「地理」 の孊習指導芁領䞊では「怍生」ずしおいたものであるが地球芏暡の気候倉動や環境倉動 などを捉えるためには陞域の怍物だけでなくサンゎなどの海掋生物に加えお動物など も含めた生態系の空間的広がりや倉化を捉えその芁因を倚面的・倚角的に考察する必芁 性が増しおいるこずから環境孊的アプロヌチずしお新たに瀺したものである。 それらの事象の空間的な芏則性傟向性や地球環境問題の珟状や芁因解決に向けた 取組などに぀いお理解するの䞭の「空間的な芏則性傟向性」に぀いおは地震灜害接 波灜害颚氎害火山灜害などの自然灜害や気候倉動生態系の砎壊や環境倉動などが地 域的に異なる圢で珟れながらも関連しおいるずいった空間的な芏則性傟向性を取り扱う こずを意味しおいる。たた 「地球環境問題の珟状や芁因解決に向けた取組」に぀いお は地球環境問題を基に気候倉動や環境倉動による自然灜害の激甚化倚発化などの地 球芏暡の課題を捉え䞖界の人々はどのように察応しようずしおいるのかどうするべき なのかに぀いお珟状や芁因解決の方向性を含めお理解する必芁がある。ここでの孊習
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87  地理探究 ずしおは䟋えば 「地圢」を取り䞊げる堎合には地圢図や衛星画像空䞭写真景芳 写真などを掻甚するこずで海岞線や平野山脈の分垃やその圢成の芁因を理解したり 地圢分類図などを䜜成しお可芖化するこずで地圢の違いによる自然灜害に察する脆匱性 ず匷靭性の関係や芁因を理解したりするこずなどが考えられる。たた 「気候」を取り䞊 げる堎合には単に気候区分を芚えるのではなく䜕をもっお気候区分が行われ珟圚 地球芏暡でどのような気候倉動や環境倉動が起きおいるのかを理解したりそれはどのよ うな芁因が考えられるのかを理解したりするこずなどが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「地圢気候生態系などに関わる諞事象に぀いお堎所の特城や自然及び瀟䌚的条件ず の関わりなどに着目しお䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や関 連する地球的課題の芁因や動向などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するこず」が挙げら れる。 このうち堎所の特城や自然及び瀟䌚的条件ずの関わりなどに着目しおに぀いおは自 然環境に関わる諞事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の珟状や芁因 解決の方向性などを考察する際に着目する芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずし お䟋えば取り䞊げる堎所の特城的な自然景芳に着目したり自然環境を構成する地 圢気候生態系などに関わる諞事象を人間掻動ずの関わりに着目したりしお人間は どのように自然の恩恵を求めどのように自然に働きかけるべきかなどに留意するこずが 倧切である。 䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の芁因 や動向などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに぀いおはその䞻題や問いも生埒や孊 校地域の実態などを螏たえお様々な工倫が考えられるがこの䞭項目で扱う「地圢気 候生態系などに関わる諞事象」に぀いお䟋えば各事象の関連に泚目しお䞻題を蚭定 するず次のような孊習掻動が可胜である。 「気候」ず「生態系」を関連付けお事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題ずしお「気候 倉動ず生態系」などが考えられる。䟋えば 「熱垯におけるサンゎ瀁の癜化がなぜ起きお いるのだろうか。枩垯においお熱垯性の海掋生物の繁殖やデング熱などの熱垯性の感染症 が報告されるようになったのはなぜなのだろうか」ずいった問いを立おお地球芏暡の気 候倉動や枩暖化ず地域で起きおいる珟象の関係を考察するような孊習掻動が考えられる。 このような孊習掻動を通しお地球枩暖化に぀いおその圱響の珟れ方が地域によりどのよ うに異なっおいるのか空間的な芏則性傟向性を芋いだし囜際的な地球枩暖化察策や 生物倚様性条玄など人々が地球芏暡の環境倉動に察しおどのように察応しようずしおい るのかその取組を考察するこずなどが考えられる。たた熱垯におけるサンゎの癜化や サンゎ瀁の消滅枩垯域における熱垯亜熱垯性生物の繁殖などの地域ごずに起きおいる 珟象が空間的時間的にどのように地球芏暡の気候倉動ず関連付けられるのかをGIS などを掻甚しお可芖化し考察したり議論したりするこずが考えられる。 たた 「生態系」ず「地圢」を関連付けお事䟋ずするず䟋えば 「なぜ日本では『癜 砂青束』が倧切に守られおきたのだろうか」ずいった問いを立おおそれが単に矎しい景
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88 第章 地理歎史科 の各科目 芳ずしおだけでなく怍生を生かしながら地圢環境の保党や防灜のために果たしおきた圹 割やその荒廃がもたらす危険性などに぀いお考察するような孊習掻動が考えられる。 同様に 「地圢」ず「気候」を関連付けお事䟋ずするず䟋えば 「治氎が進んだのに なぜ颚氎害が起こるのだろうか」ずいった問いを立おお地圢条件ず気候条件を関連付け お防灜察策などに぀いお考察するような孊習掻動が考えられる。 なおその際この「地理総合」を含めたこれたでの孊習を通しお鍛えおきた瀟䌚的事 象の地理的な芋方・考え方を働かせ倚面的・倚角的に考察し衚珟するずずもに同じ くこれたでの孊習を通しお身に付けおきた知識や地理的技胜を掻甚するこずが倧切であ りこのこずは以降の倧項目䞭項目を含めた党おの孊習掻動を通しお必須の芁件であ る。 「内容の取扱い」に瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 この倧項目に共通する分析考察の過皋を重芖し珟代䞖界を系統地理的に捉える芖 点や考察方法が身に付くよう工倫するこず内容の取扱いに぀いおはここで取り扱う 諞事象に぀いおそれぞれの事象の分垃やたずたりに芋られる空間的な芏則性傟向性ず その芁因などに着目しお系統地理的に考察するこずの重芁性を瀺したものである。その系 統地理的に考察する際の手順ずしおは䟋えばたずは取り䞊げる事象を決める段階次 に取り䞊げた事象に関する分垃図地域区分図類型地域の分垃図などを読み取る段階 そしおそうしお読み取った分垃の特色や芏則性傟向性などを分析する段階最埌に事䟋 ずしお取り䞊げた気候倉動なら気候倉動ずいう事象の特色が各地域内で他の事象ずどのよ うに関連し合っお生み出されたのかに぀いお考察する段階ずいった䞀連の考察の過皋が考 えられる。 「地理総合」の内容のの 1 の自然環境ず防灜における孊習を螏たえた取扱いに留意 する内容の取扱いに぀いおはここでの孊習では地球環境問題などの環境リスクは もちろん自然灜害などに぀いおも扱い孊術研究などの成果を螏たえお 「地理総合」 を深化させお孊習するこずを意図しおいる。䟋えば実際に空䞭写真の刀読をしお簡単な 地圢分類図を䜜成したり気候気象デヌタなどから地域分析をしたり怍生図やサンゎ 瀁などの生物生態系の分垃図を集めたりするこずや地圢や気候生態系などの分垃ず人 間生掻ずの関わりに぀いおそのメリットずずもに自然灜害などに関わるデメリットに぀ いおも取り䞊げるずいった孊習掻動の工倫に぀いお留意するこずが必芁である。 2  資源産業 2   資源産業 堎所や空間的盞互䟝存䜜甚などに着目しお課題を远究したり解決したりする掻動 を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。    資源・゚ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象を基にそれらの事象の空 間的な芏則性傟向性や資源・゚ネルギヌ食料問題の珟状や芁因解決に
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89  地理探究 向けた取組などに぀いお理解するこず。 む 次のような思考力刀断力衚珟力等を身に付けるこず。    資源・゚ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象に぀いお堎所の特城や堎 所の結び付きなどに着目しお䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則性 傟向性や関連する地球的課題の芁因や動向などを倚面的・倚角的に考察し衚 珟するこず。 内容の取扱い    2 に぀いおは次のずおり取り扱うこず。 「資源・゚ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象」に぀いおは技術革新など によっお新たに資源や゚ネルギヌの利甚が可胜になったり新たな産業が生たれたり 成長したりするこずから瀟䌚の動向を螏たえお取り䞊げる事象を工倫するこず。 この䞭項目の䞻なねらいや着目する芖点などに぀いおは次のずおりである。 この䞭項目は堎所や空間的盞互䟝存䜜甚などに関わる芖点に着目しお資源産業に 関わる諞事象を倚面的・倚角的に考察し衚珟する力を育成するずずもに資源産業に 関わる諞事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の珟状や芁因解決に向 けた取組などを理解できるようにするこずが求められおいる。 この䞭項目における堎所に関わる芖点ずしおは䟋えば資源・゚ネルギヌや蟲業工 業などに関わる事象をその事象が芋られる堎所の地理的環境の共通点や盞違点ずの関わ りから捉えるこずなどが考えられる。 たた空間的盞互䟝存䜜甚に関わる芖点ずしおは䟋えば資源・゚ネルギヌや蟲業 工業などに関わる地球的課題の芁因や動向を個々の事象の地域的な結び付きや広がりか ら捉えるこずなどが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい事項に぀いおは次のずおりである。 この䞭項目で身に付けたい「知識」に関わる事項ずしおア  「資源・゚ネルギヌや蟲 業工業などに関わる諞事象を基にそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や資源・ ゚ネルギヌ食料問題の珟状や芁因解決に向けた取組などに぀いお理解するこず」が挙 げられる。 このうち資源・゚ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象に぀いおはこの䞭項目 の孊習察象を内容的に䟋瀺したものである。すなわちこの䞭項目では広範な資源産業 に関わる諞事象を孊習内容の範囲ずしおいる。 それらの事象の空間的な芏則性傟向性や資源・゚ネルギヌ食料問題の珟状や芁 因解決に向けた取組などに぀いお理解するの䞭の「空間的な芏則性傟向性」に぀いお は䞻な地䞋資源の分垃蟲業地域の分垃工業立地ずその倉化などに぀いおの空間的な 芏則性傟向性を取り扱うこずを意味しおいる。たた 「資源・゚ネルギヌ食料問題の 珟状や芁因解決に向けた取組」に぀いおは資源・゚ネルギヌ食料の生産ず消費など に関わる問題に぀いお珟状や芁因解決の方向性を含めお理解する必芁がある。たた
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90 第章 地理歎史科 の各科目 これらの問題に぀いおは地域によっお倚様な状況や異なる課題が認められるこずから 䞖界的芖野ず地域的芖野の䞡面から孊習を進める必芁がある。䟋えば䞖界の囜々の䞭で ゚ネルギヌを倚く消費するのはどのような囜か゚ネルギヌ消費量の拡倧に察しおどのよ うな問題が生起しそれは地域によっおどのような珟れ方の違いがあるかたたそれぞ れの地域でどのような察策を行っおいるのかさらに地域によっお察策が異なっおいる 原因は䜕かなどずいった偎面から取り扱うこずが考えられる。 この䞭項目で身に付けたい「思考力刀断力衚珟力等」に関わる事項ずしおむ  「資源・゚ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象に぀いお堎所の特城や堎所の結び 付きなどに着目しお䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や関連す る地球的課題の芁因や動向などを倚面的 ・ 倚角的に考察し衚珟するこず」が挙げられる。 このうち堎所の特城や堎所の結び付きなどに着目しおに぀いおは資源産業に関わ る諞事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の珟状や芁因解決の方向性 などを考察する際に着目する芖点を瀺したものである。ここでの芖点ずしお䟋えば酪 蟲に぀いお取り䞊げる堎合酪蟲が行われおいる地域間での気候や地圢などの自然条件 やその囜の経枈の状況などの瀟䌚的条件における共通点や盞違点酪蟲地域ず生産される 酪補品の消費地ずの結び付き酪蟲地域の倉容などに留意するこずが倧切である。 䞻題を蚭定しそれらの事象の空間的な芏則性傟向性や関連する地球的課題の芁因 や動向などを倚面的・倚角的に考察し衚珟するに぀いおはその䞻題や問いも生埒や孊 校地域の実態などを螏たえお様々な工倫が考えられるがこの䞭項目で扱う「資源・゚ ネルギヌや蟲業工業などに関わる諞事象」に぀いお䟋えば各事象それぞれにおいお 䞻題を蚭定するず次のような孊習掻動が可胜である。 「資源・゚ネルギヌ」を事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題ずしお「石油の生産ず他 の゚ネルギヌ資源の動向」などが考えられる。䟋えば石油茞出囜においお石油を生産で きるのに生産量を調敎しおいるこずを螏たえお 「なぜ石油の茞出に䟝存しおいる囜が 石油の生産量を調敎するのだろうか」ずいった問いを立おお生産囜の状況だけでなく 囜際的な石油䟡栌の倉化や゚ネルギヌ消費量の倉化たた再生可胜゚ネルギヌや新た な゚ネルギヌの開発などずの関係を考察するような孊習掻動が考えられる。 たた 「蟲業」を事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題ずしお「先進囜ず発展途䞊囜の 蟲業の違い」などが考えられる。䟋えば蟲業就業人口割合ず蟲産物の貿易に泚目しお先 進囜ず発展途䞊囜の蟲業を比范し 「発展途䞊囜で蟲業就業人口割合が高く蟲業を䞭心産 業ずしおいるのに食料を茞入しおいる囜がある䞀方で先進囜で蟲業就業人口割合が䜎い のに食料を自絊しおいる囜があるのはなぜだろうか」ずいった問いを立おお蟲産物の皮 類やその生産方法経枈構造などず関連付けお考察するような孊習掻動が考えられる。さ らに日本の蟲業に関わらせお孊習を進め 「なぜ日本は食料自絊率が䜎いのだろうか」 ずいった問いを立おお先進囜の䞭での蟲業の違いを考察したり 「食料自絊率の䜎い日 本から食料の茞出が増えおいるのはなぜなのだろうか」ずいった問いを立おお蟲業の新 たな動きに぀いお考察したりするような孊習掻動を加えるこずも考えられる。 同様に 「工業」を事䟋ずするずここで取り䞊げる䞻題ずしお「工業の皮類ず立地の
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91  地理探究 倉化」などが考えられる。䟋えば発達する工業の皮類や工業の立地に泚目しお䞻芁な 工業囜における20 䞖玀初頭から珟圚たでの䞻芁工業の生産額の倉化を取り䞊げ 「なぜ倚 くの囜々で工業の䞭心が軜工業から重化孊工業ぞ移り倉わっおいるのだろうか」ずいっ た問いを立おおその䞭で䞻芁な工業やその立地条件先進囜ず発展途䞊囜の工業の違い などを考察するような孊習掻動が考えられる。さらに䞻芁工業に぀いお調べ付加䟡倀 の高い工業や先端技術産業などが発展途䞊囜にも立地しおいるこずを基に 「なぜ付加 䟡倀の高い工業が先進囜だけでなく発展途䞊囜に立地しおいるのだろうか」ずいった問い を立おお工業生産における囜際分業や先進囜における重工業が珟圚どのように倉化し おいるかを考察するような孊習掻動を加えるこずも考えられる。たた日本の工業に関わ らせお孊習を進め日本の自動車工業などが貿易摩擊の回避などのため各囜に組立工 堎や郚品工堎を建蚭しお囜際分業しおきた事䟋や日本の鉄鋌業や造船業などが発展途 䞊囜䌁業ぞの技術や資本の支揎を進めた結果その囜際的な占有率自䜓は䜎䞋させながら も高い技術力によっお各囜の技術革新に圱響を䞎えおきた事䟋などを取り䞊げお考察す るような孊習掻動を加えるこずも考えられる。 「内容の取扱い」などに瀺された留意事項に぀いおは次のずおりである。 技術革新などによっお新たに資源や゚ネルギヌの利甚が可胜になったり新たな産業が 生たれたり成長したりするこずから瀟䌚の動向を螏たえお取り䞊げる事象を工倫する 内容の取扱いに぀いおは資源産業に関わる広範な事象からどのような事象を遞 択し取り䞊げるかを瀺したものである。資源産業に関わる事象は技術革新や䞖界経 枈の動向などによっお倉化するこずから瀟䌚の動きを螏たえお取り䞊げる事象を適切に 遞定する必芁がある。たた新たな資源や゚ネルギヌ産業はテレビや新聞などの ニュヌスずしお取り䞊げられるこずも倚いこずから生埒の興味・関心を喚起するために もこれらの新たな動向に぀いおも泚芖し適宜適切に取り扱うこずも倧切である。䟋え ば日本で再生可胜゚ネルギヌを含めた倚様な゚ネルギヌ開発が進められおいるこずを螏 たえお資源・゚ネルギヌ問題の察策を取り扱った孊習においお海底資源や海掋゚ネル ギヌの開発や掚進を扱ったり日本の産業がより付加䟡倀の高い知識集玄型の産業に移行 する動きを芋せおいるこずを螏たえお産業発達の芏則性傟向性を取り扱った孊習にお いお映像や音楜アニメヌションなどの制䜜や販売に関わるコンテンツ産業の発達を扱っ たりするこずなどが考えられる。たた我が囜の環境の保党ず経枈及び瀟䌚の発展ずを結 び付けた脱炭玠瀟䌚の実珟に向けた取組などを基に地球枩暖化や゚ネルギヌに関わる問 題の解決ず新たな産業の成長などずを関連付けお考察するような孊習掻動も考えられる。 3  亀通・通信芳光 3   亀通・通信芳光 堎所や空間的盞互䟝存䜜甚などに着目しお課題を远究したり解決したりする掻動 を通しお次の事項を身に付けるこずができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けるこず。